PROFILE
屋田 拓哉(R&D Dept. Enabling Team)大学卒業後、飲食系企業で店舗マネジメントに従事。その後、HR Techベンチャーでカスタマーサクセスとプロジェクト管理を経験し、SaaSスタートアップではCS・エンジニアリング・HR・営業まで幅広く担当。医療系スタートアップでは高血圧症領域アプリのCS・BizDev・PMO・DSを兼務し、現在はプロダクトマネージャーとして企画開発に従事。傍ら、株式会社miiboにて会話型AIプラットフォーム開発に参画。2025年よりクロステック・マネジメントに出向し、R&D部門でAI活用推進やAIプロダクト開発を担当。
キャリアを限定しない選択──異業界への挑戦
──これまでのご経歴について教えてください。
大学卒業後、飲食系企業に入社し店舗マネジメントを担当しました。大学院進学か就職かで迷っていた時期に、アルバイト先の社長から声をかけてもらったことがきっかけです。元外資系でマネジメント経験のある社長のもとなら、実践的に社会人としてのスキルを学べると考え、入社を決意しました。ただ、数年働くうちに「自分のキャリアを飲食業だけに限定してよいのか」という疑問が芽生えました。30歳を目前に違ったフィールドで経験を積む必要性を強く感じました。
そこで選んだのがIT業界でした。HR Techベンチャーへ転職し、カスタマーサクセスとして顧客オンボーディングやアップセル、プロジェクト管理を担当。その矢先にコロナ禍が到来しました。当時、私が所属していた会社は人事・採用領域に強い企業だったこともあり、コロナの影響を大きく受け、組織が再編することになりました。そうした中で、当時の社長が「自分は新しい会社を立ち上げるから、よかったら一緒にやらないか」と声をかけていただきSaaS管理プラットフォームを開発するスタートアップに転職を決意。まだ3人ほどの会社だったのでCSだけでなく採用やエンジニアリング、営業まで幅広く関わりました。
いろいろ経験する中で、自分に何が合っているのか悩むことがあり、これは環境を変える方がいいかな、と考えるようになって、医療系スタートアップへ転職することにしました。医療系スタートアップでは、カスタマーサポートからスタートし、現在はプロダクトマネージャーとして医療機器にAIを組み込む開発やプロダクトマーケティングに携わっています。
『Neighbuddy』開発から始まった挑戦![]()
──クロステック・マネジメントにジョインした経緯を教えてください。
医療系スタートアップで共に働いていた同僚がmiiboを起業した際、何か協力できることがあればと参画しました。そこで担当することになったのが、クロステック・マネジメントとmiiboが共同で進める京都芸術大学での学生向け学習支援プロジェクト『Neighbuddy(ネイバディ)』の開発でした。プロジェクトでは、AIを活用した学習支援の企画や実装、現場での試行・改善まで幅広く関わることができ、教育現場での実践的な経験を積む貴重な機会となりました。
2025年からは、miiboからの出向の形でクロステック・マネジメントに参画しています。プロジェクトの幅も広がり、R&Dチームとして新しい試みを柔軟に実装できる環境で、日々挑戦を続けています。
──クロステック・マネジメントでの仕事に関心を持ったきっかけは何だったのでしょうか?
実は、私自身も働きながら通信大学に通っています。IT業界で経験は積んできましたが、学部で専門的に学んだわけではなく、基礎的な知識を改めて身につけたいと考えていました。まさにそのタイミングでクロステック・マネジメントのプロジェクトに参加することになったんです。
自分も学生として学ぶ中で、学ぶ楽しさと同時に学習時間を確保して継続して学ぶ難しさを改めて感じました。この経験があるからこそ、学生がどのように学び、どこでつまずくのかを理解し、AIを使った学習支援の設計や改善に直接活かすことができるのかなと思っています。学び手の立場を知ることで、現場の学生や教職員にとってより効果的な支援を提供できる点が、このプロジェクトに関わる大きな魅力です。
「学び×AI」で日本一を目指す──Enabling Teamが描く“広がる学び”のかたち
──現在はどのような業務を担当されていますか?
現在は、R&D Dept Enabling Teamのリードとして、次世代コンピューティング技術である生成AIを活用した学びの共有や、プロダクト開発を担当しています。R&D Dept.では「Enabling Learners ー 全ては、学びのために(学生・教員・職員・Stakeholders)」を掲げていて、最先端技術を用いた実証(リサーチ・プロダクト開発など)で得た学びを社内外に共有することを行っています。
チームとして目指すところは、京都芸術大学が「学び×AI(活用)」で日本一になることです。そのためにはどのようなアプローチがあるかを日々考えて、手を動かし、また頭を悩ませています。
- これまではAIガイドラインを整備したり、組織でAIに触れる基盤を整備したりしてきました。また社内の既存プロジェクトでのAI活用支援や前述のNeighbuddyの検証も進めました。社内でのAI活用勉強会の推進や、60名以上が参加した社内生成AIフェス(ハッカソン)を開催したりもしてきました。技術広報として、zennでの技術ブログ発信も始めました。
▼技術ブログ(一部) - ・「あなたもAIで簡単に稼げる!!」に蹴りを入れるまで。~Youtube動画自動生成までの道のり
- ・自然言語でワークフロー作成?Claude Code、n8n、n8n-mcpを組み合わせた開発体験レポート
- ・京都芸術大学、DXとEdTech Product開発に本気な件。子会社スタートアップ立ち上げ、Notionとも日本初の戦略的提携
- ・GPTもここから!Transformer誕生を告げた基礎論文『Attention Is All You Need』を読み解く
そして今取り組んでいるのは「学び×AI(活用)」を実現するプロダクト開発(仕組み化)です。チームではこの取り組みを意気込みも含めて生成AIが命名してくれた、「天下統一への道」という開発プロセスで進めています。目安箱にアイデアを溜めていき、企画化、PoC/プロトタイプの作成(戦)、MVP開発(合戦)、web上への公開(群雄割拠)をして、幅広いユーザーに使ってもらえることを目指しています。
京都芸術⼤学理念にある「あそびたまえ、試みたまえ」に基づき、作るものだけでなく、取り組みにも遊び要素を取り入れていきたいと試行錯誤しています。
──なぜEnabling Teamは「学内だけに留まらない学び」を重視しているのでしょうか?
社内では教育基盤全般に向けたメインプロダクトの企画・開発が進んでいます。だからこそEnabling Teamではあえて学内だけに留まらず、幅広い意味での「学び」を促進するためのAIプロダクト開発を企画して、素早く外に出していくことを目標としています。
これは京都芸術の大学の理念である「芸術を通して世界を平和に」にもつながります。AIを活用して学びの質を高めることは、学生がより良い成果を社会で生み出すことに直結し、結果として社会的な平和の実現にも寄与すると考えています。
AI×学びを現場に直接届けるやりがい
──クロステック・マネジメントならではの魅力はどんなところにあると感じますか?
クロステック・マネジメントで働く最大の魅力は、学びとAIを組み合わせた取り組みを、現場の学生・教員・職員に直接届けられることです。通常、教育向けや医療向け、金融向けのツール開発は、開発会社が作って企業に提供する形が一般的です。しかしクロステック・マネジメントは、ステークホルダーが同じ組織・プロジェクト内にいるため、実際に現場で試してもらい、フィードバックをすぐに得ることができます。学生や教職員の方々の反応をダイレクトに受け取りながら改善できる環境は、他の開発会社にはない体験です。
さらに、R&Dチームに所属していることで、自分のアイデアを試せる裁量の大きさも魅力です。学びの対象は学生だけでなく、社会人や教職員など年齢や役職を問わず幅広いため、AIをどう活用するかを考え、実装することができます。ステークホルダーのためになるものであれば、PoC(Proof of Concept:概念実証)から試作まで柔軟に取り組めるため、自分のこれまでの経験やスキルを最大限に活かしながらチャレンジさせてもらっています。
こうした環境で、AIを活用した学習支援や教育の質向上に挑戦できることは、日々の大きなやりがいです。学びについて頭を捻り、それを体験するためのプロダクトや仕組みを開発する取り組みを通じて、自分自身も成長できる。さらに、それが社会に還元される教育の未来につながることを実感できる点が、クロステック・マネジメントで働く魅力の本質だと感じています。