こんにちは、unname代表取締役の宮脇啓輔です。
仕事に行き詰まった時、あるいは専門家の知恵を借りたい時、私たちは「相談」というものをします。
しかし、同じ相手に相談しても、的確なアドバイスを引き出してサクッと解決する人と、的外れな回答しか得られずに時間を浪費する人がいます。この差は、アドバイスをする側の能力ではありません。 「相談する側」のスキルの差なのです。
相談とは、相手からヒントをもらったり、答えをカンニングする行為です。マネジメントの一環として相談の受け方を学ぶ人はいても、相談の仕方そのものを学ぶ人は少ないような気がしています。
ということで今回は、「正解」に辿り着くための「相談の作法」について解説していきます。
「知ったかぶり」は最大のコミュニケーションコスト
相談が下手な人の最大の特徴は、「よくわかっていないのに、わかっているフリをして話す」ことです。
「マーケティングの戦略はある程度見えているんですが、ここのCPAが〜」
と、自信満々に切り出されると、相談される側は「あ、この人は基礎はわかっているんだな」という前提で脳をセットします。
しかし、相談の受け手が話を聞いていくうちに「あれ、そもそも戦略の定義が間違っているぞ?」と気づいたりします。そうすると、そこから誤解を解き、前提を修正する作業が発生します。これは、互いの脳のリソースをドブに捨てる行為であり、時間も浪費してしまいます。
相談の極意は、最初にうまく「白旗」を上げることです。
「初めての分野なので、わからないことがわからない状態です」
「正直、この分野については全くわかっていません」
「ここまではわかりますが、ここから先はお手上げです」
そうやって自分から「下」に降りて、相手を先生に仕立て上げてください。
「わかっていない」と宣言してくれる相手に対しては、アドバイスする側も基礎の基礎から安心して説明ができます。しかし、変に「わかってそう感」がある人に対しては、どこから教えようか迷いが生じてしまいます。加えて、「そんなのわかってるよ」と思われるかもしれないという恐怖さえ芽生える可能性もあります。
なので、変なプライドを持って「できる自分」を演じるより、白旗を上げて「教えてください」と降参する方が、お互いにとって圧倒的にコスパが良いのです。
相談上手がやっている「3つの相談テクニック」
相談を制するには、マインドセットとして「白旗」を上げた上で、テクニカルな部分でも相手の脳を疲れさせない配慮が必要です。相談がうまい人は、無意識に次の3つを整理してから話しかけています。
①適切な情報開示
「予算」や「決裁フロー」など、その会社やプロジェクト特有の事情(ローカルルール)を最初に伝えます。 「一般的にはこうですが、うちの会社ではこういう特殊な事情がありまして」など、この前提がないと、相談された側は一般論でしか返せません。ただし、情報共有は多ければ多いほど良い訳ではありません。
情報を渡しすぎると「あんまり何も考えずにわたしてきたな、めんどくさそうだ」という印象を与えてしまいます。逆に情報が少なすぎると、わからないことがわからないので、暗中模索状態で会話しなければなりません。あくまで「この相談に必要な前提」に絞って情報開示を行うのがマナーです。
情報共有も「過ぎたるはなお、及ばざるがごとし」の精神で
②相談のゴール設定
「今日は話を聞いてほしいだけ」なのか、「具体的な解決策が欲しい」のか、「複数の案から選んでほしい」のか。相談のゴールが見えないと、相手はどこにボールを投げればいいかわかりません。相談のゴールは具体的であればあるほど良いです。
たまに、「ご意見をいただきたいです」のような明確ではない相談があるのですが、そういう場合に限って、ただ意見を渡すだけではダメそうなことが多いものです。
相談力を高めるためには
「AかBのどっちが良いか、○○さんの目線で教えてください」
「もし、クライアントだとどう感じるか教えてください」
「今日は必ず施策を1つ決めたいです」
などと、最初に具体的なゴールを宣言しましょう。
論点がしっかりフォーカスされていることは、超重要
③「抽象→具体」の階段設計
マーケティング施策について相談したいからって、いきなり「メルマガの開封率が〜」と細部の話を始めてはいけません。優秀な人ほど一旦俯瞰して状況を掴みたいと思っています。
なのでしっかり「抽象(大枠)→具体(細部)」の順番で会話してみてください。
抽象:「現在リード獲得全体で悩んでいます」
↓
中間:「特にホットリードが取れません」
↓
具体:「原因はメルマガにあると思っていて」
このように、大きな視点から徐々にズームインしていく話し方をすると、相手の脳内もスムーズに同期されます。悩みの解像度が高いこと自体は素晴らしいのですが、そういう時こそひと呼吸をおいて、大枠から会話しましょう。
情報共有の階段設計を意識する。まずは木の枝ではなく、森から話す
「自分のため」に相談力を磨け
厳しい言い方をしますが、相談力が低いと相手から「この人と話すと疲れるな」「前途多難だな」と思われ、徐々に距離を置かれてしまいます。
逆に、相談力が高いと「この人は話が早い」「的確な答えを返しやすい」と好かれ、さらに良質な情報が集まってきます。そして、その相談によって具体的な解決の事例が発生すると「この人は打てば響くな」と思ってもらうことができます。
つまり、相談に乗ってあげるとしっかり実行に移して、成果を上げてくれるから、やり甲斐があると感じてもらうことができるのです。
相談力は、専門性がなくても発揮できる最強の「ポータブルスキル」です。 相談さえうまくできれば、新しい環境でもうまく順応できます。
自分が楽をするために、そして相手の脳を無駄使いさせないために、まずは勇気を持って「白旗」を上げ、適切な情報開示をするところから始めてみてください。