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アーバンエックステクノロジーズのMission Vision Valueを大解剖!スタートアップがMVVを固めるまでの軌跡を公開します

よく企業の採用募集の必須要件の項目で見かける「会社のミッションへの共感」という言葉。スタートアップ企業にとっては特に大切なことだと言われます。アーバンエックステクノロジーズ(以下、アーバンエックス)もまだまだアーリーなフェーズ。だからこそ、改めてアーバンエックスのMission Vision Value(以下、MVV)を説明したいと思います。

今回はMVV作成時からアーバンエックスに在籍している梅野さんに話を聞きました。

梅野陽加里さん

学生時代は情報デザインを学び、学部・修士研究において、美術館での作品鑑賞をより楽しむためのアプリケーション開発に従事。新卒で大手総合印刷会社に就職し、自然言語処理のプロジェクトに参画したことをきっかけに「AI」や「DX」という分野への興味を持つ。仕事を通してすでにアーバンエックスの社員だった大学時代の友人と再会したことをきっかけに、業務委託での参画期間を経てアーバンエックスにジョイン。

「なぜ」を考える仕事を経て、MVV策定のプロジェクトメンバーに

— 入社したタイミングですぐにMVV策定のプロジェクトメンバーになったと聞いています。どんな経緯だったのでしょうか?

正社員として働き始めてすぐでしたが、副業でアーバンエックスに関わっていた期間もあったので、会社のことは色々と見えてきていました。私は前職でも新規事業開発に携わっており、自社プロダクトのコンセプトや機能を検討してプロトタイプを作成する業務を担っていました。私の入社当時のアーバンエックスは「プロダクト起点の会社になり変わろう」と意識し始めた時期だと思います。これまで自治体や企業とのプロジェクトが発生するごとにチームが作られており、プロダクト起点で動いたり、プロダクトを育てるような動きがまだこれからでした。

そこで、一人一役の職人気質な会社から、組織として動けるフェーズに移ろうという狙いもあり、役員と数名の従業員を中心にMVVの策定プロジェクトがスタートしました。


— プロダクト起点の会社になるとは、具体的にどんなイメージでしょうか?

アーバンエックスは大学の研究をもとに、様々な実証実験を重ねて成長してきた会社です。実証実験からスタートする場合、どちらかというと受託のようなスタイルで物事が進むケースが増えがちです。

それ自体は悪いことではありません。しかし、実証実験を重ねた結果をもとに、例えばどの自治体でも起こりうる課題解決につながるような自社プロダクトの開発により昇華していけるようにしたいと強く意識し始めたのがこの時でした。

例えば、主力サービスの一つである道路点検AI「 RoadManager」は、東京都からの委託事業や総務省の補助事業などいくつかのプロジェクトをベースにしていましたが、現在はどこの自治体でも活用可能なプロダクトになっています。

受託を脱したいというわけではなく「プロダクトの芽を見つけたい」というのが正しいですね。

3ヶ月という短い期間で何度も会話を重ねる

— どのようにMVV策定プロジェクトがスタートしたのでしょうか。

2022年1月末から、約3ヶ月間にわたって10回近くの会議やワークショップを経て完成させました。外部の人事コンサルティング企業と協働して作成を進めましたが、最終的な言語化を担うのはアーバンエックスの責任。そこで完成まで持っていくためのアーバンエックス側の担当者に私が任命されました。

当時は明確にプロダクトマネージャーという役割を持って働いていたわけではなく、”デザイナー”のような役割で働いていました。とはいえ、初めにアーバンエックスで従事していた業務は、経営陣と一緒に付箋を書きながらプロダクトの構想を考え、ワイヤーフレームを作成し、お客様へのヒアリングを重ねてプロダクトを固めていくという仕事です。このような「Why部分を固める」業務経験をもとに培ってきたコンセプトを固める仕事が、MVVの策定と通じる点が多く、自然とMVV策定プロジェクトも私が担当することになったのだと思っています。MVVがしっかりしていないと会社全体で業務がやりづらくなりますから。


— MVVの策定について、これまで経験はあったのですか?

前職は大企業だったこともあり、もともとあるMVVを踏襲していたため、策定からプロジェクトに入るのは初めてでした。ただ、前職はそのMVVにあるメッセージをしっかりと社員に伝えようとする会社で、実際に私にとっては心の支えになっていたこともあります。社内研修等の場面で触れる機会がよくあり、MVVについて考えながら仕事をする文化のある会社でした。

そんな環境で育ったからこそMVVの大切さを実感していた自覚はありましたね。


— 具体的に、どのようなプロセスで作成したのでしょうか。

まず初めは、会社全体で議論を行いました。

  • MVVの定義について
  • 代表の前田さんは会社や事業に対してどのような考えを持っているか
  • 従業員を半分ずつのチームに分かれて考えの洗い出し

当時役員を含めて10名だった全社員を5人ずつのチームに分けてアイデアを発散させ、後日各チームから2名ずつを選出し、言葉を集約していく作業を行いました。

この選出された2名ずつには、当時の役員は入っていません。そこは勇気を持った決断だったなあと、当時の経営陣に対しては思っています。発散の会議を実施し、私が次の議論の時間までにドラフトを作成。そのドラフトをもとに考えを擦り合わせていく流れで進めました。


言語化で大切にしたことは「新入社員に伝わるか、行動につながるか」

— 言語化のプロセスではどんなことが議論されましたか?

例えば「デジタルツイン」という言葉です。パッと一言でお客様や新しく入ったアーバンエックスの社員に「会社は事業を通して何がしたいのか」伝わる言葉ではありませんでした。結果的に「デジタル基盤」という言葉に変わりましたね。

また「都市インフラ」という言葉が出てきたことも、この会議の大きな成果でした。私たちが対応したいのは「道路」の問題だけではなく、全ての都市に関わるインフラだという結論に至りました。この「都市」という言葉が、過疎地などを省いた都会だけの話に聞こえないかなども議論に上がりました。

その他にも「生きる」ではなく「生きられる」という言葉が使われるようになったのも、大きな議論の成果ですね。

とにかく最終的には「新入社員が見てわかる」「自分がどんな行動をすべきか想像できる」この2点を重要視して議論しました。


— アーバンエックスのValueは「矢印」が記載されているのが特徴だと思います。

これも当時のメンバーからのアイデアですね。「Valueは順序が大切だよね」という会話をしました。

「いいチームがいい学習につながる」というのがアーバンエックスの考えです。ここで登場する「学習密度」という言葉は、時間あたりの学びの大きさを指しています。アーバンエックスはチームで学習することで、この大きさを最速で最大限まで大きくしていきたいと考えています。そのためここで使っている「学習」という言葉は、個人の学びだけでなく、組織や会社としての学習することを色濃く表しています。


— 実際に完成したらどのように社内に定着を進めるのでしょうか。

アーバンエックスに新入社員が入ってきたことを想定し、新入社員にうまく伝えるためにエピソードを挙げてみるワークを行いました。それぞれが自分が担当になったバリューについてエピソードを書き、並べます。

例えば、「ローコンテキスト」という言葉。

自分や他人の意思決定に対して「背景の説明」を怠らないこと。各タスクに対して、どのような理由で意思決定したのかをしっかり経緯を辿れるようなドキュメントを作成すること。また、新しいメンバーは、過去の意思決定の背景を理解し、次の意思決定に繋げようとすることは、変化の激しいスタートアップ企業では重要なことだと思います。

他にも、Visionにある「しなやかな都市インフラ」という言葉。

「しなやか」には「レジリエンス」「回復力」「柔軟性」といった意味を込めています。ここで議論になったのは、アーバンエックスは単に「強いインフラ」を作りたいのではないということ。耐久性と言った意味ではなく、時代や環境変化に対して強いもの、ということを伝えたかったのです。

これからの時代、全ての自治体が同じレベルの都市インフラ管理をできるとは思っていません。自治体の規模や人員を含めたリソースに合ったやり方で柔軟に進める必要があるはずです。副文でかなり細かく補足しているのはそういう意図を表すためです。

MVVで感じた違和感は大切に

— 経緯を教えていただきありがとうございます!MVVのプロジェクトに携わってみて、特に梅野さんの思い入れが強い部分があれば教えて下さい。

「シンプルで鮮やかに」という言葉が気に入っています。アーバンエックスの仕事の仕方を表していると思います。「複雑な解決方法よりシンプルな解決方法を採用した時の方が、結果的に鮮やかな解き方になったということが多い」という私たちの共通認識を表したフレーズです。そんな仕事のスタイルが好きな人に集まってほしいですね。代表の前田さんも議論中に推していたことを覚えていますよ。

— 最後に、これを読んでくれているアーバンエックスに興味を持ってくださった方に一言お願いします。

MVV自体は、読んだら字面としての理解はできるものだと思います。それは、アーバンエックスだけではなくどこの会社も一緒です。MVVだけで何かを判断することはできないと思います。しかし、MVVを読んだその時点で「しっくりこない」と思ってしまった会社は、おそらく入社してもしっくりこない会社です!各社、メンバーが思いを持って、時間をかけて抽出したワードで作成されているものなので、細かい言葉の使い方等で抱いてしまう違和感は大切にすることをお勧めします。せっかくなら共感できるMVVを持った会社に入ってほしいです。ぜひ、会社選びの判断材料の一つになれば幸いです。

— 梅野さん、ありがとうございました!



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