「地方創生に関わりたい」
そう考える若い人は、決して少なくないと思います。
地元に貢献したい。
地域の企業を元気にしたい。
社会的に意味のある仕事をしたい。
一方で、現実的な問題があります。
「その仕事で、家族を支えられるだけの収入を得られるのか?」
これは、とても大切な問題です。
地方創生を「やりがい」だけに頼ってはいけない。
私はそう考えています。
社会的な意義があり、成長できて、そしてきちんと稼げる。
地方創生を、そんな“憧れる仕事”にしたい。
そこで私たちは、一つの目標を掲げています。
地方で、年収1,200万円を目指せる人材を育てる。
なぜ「1,200万円」なのか
1,200万円という数字だけを見ると、
「地方創生でそんなに稼ぐ必要があるのか」
と思われるかもしれません。
しかし、私がつくりたいのは単なる高所得者ではありません。
地域の経営課題を解決し、それだけの価値を生み出せる人材です。
企業経営者と話せる。
自治体とプロジェクトを設計できる。
地域企業の「人・物・金・情報」を整理できる。
AIを使って経営課題を可視化できる。
新規事業をつくれる。
企業同士をつなげられる。
地域外から仕事や人材を呼び込める。
ここまでできる人材は、単なる「地方創生担当者」ではありません。
私は、これを
「地域経営人材」
と考えています。
AIによって、地方でも「高付加価値の仕事」ができる時代になった
以前は、高い収入を得られる仕事の多くが東京などの都市部に集中していました。
しかし生成AIによって、その前提が変わり始めています。
企画書をつくる。
企業分析をする。
データを整理する。
市場を調査する。
業務を棚卸しする。
ダッシュボードをつくる。
経営者向けの提案を考える。
これまで専門チームで行っていた仕事の一部を、AIと一緒に進められるようになりました。
だからこそ重要になるのは、
AIを使えることそのものではなく、AIを使って「価値」を生み出せること。
地方にいながら、全国の企業や自治体を相手に仕事をする。
地域企業を支援しながら、都市部企業ともプロジェクトを動かす。
オンラインと現場を組み合わせる。
そんな働き方が現実的になってきました。
私たちが教えたいのは「プロンプト」だけではない
私たちはAI・DXのリスキリングに取り組んでいます。
しかし、単にClaudeなど生成AIの使い方を覚えるだけの研修にはしたくありません。
大切なのは、その前です。
経営者にヒアリングする。
会社の目的を理解する。
利益がどこから生まれているのかを理解する。
「人・物・金・情報」を棚卸しする。
課題を整理する。
要件定義書をつくる。
そして、その情報をAIダッシュボードとして可視化する。
つまり、
AIを操作する人ではなく、経営を理解してAIを実装できる人を育てる。
ここを目指しています。
36時間の研修は「入口」にすぎない
私たちが進めているAI実践型リスキリングでは、
初級12時間 → 中級12時間 → 上級12時間
という36時間の学習モデルを基本にしています。
しかし、36時間勉強しただけで地域経営人材になれるとは考えていません。
本当に重要なのは、その後です。
リアルな企業や自治体の案件に入ること。
経営者の話を聞く。
現場を見る。
要件定義する。
AIダッシュボードを構築する。
提案する。
改善する。
結果を出す。
そして次の案件へ進む。
この実践を何度も繰り返す。
研修 → 実案件 → 振り返り → 次の案件
この循環によって、人材の市場価値を高めていきます。
年収1,200万円は「給与の約束」ではない
ここは、Wantedlyで伝えるうえでも非常に重要です。
私たちが「年収1,200万円」という言葉で伝えたいのは、
入社すれば誰でも1,200万円もらえる、という意味ではありません。
私たちがつくりたいのは、
年収1,200万円レベルの価値を生み出せる人材になるためのキャリアモデル
です。
最初は、AIを学ぶ。
次に、一つの企業を担当できるようになる。
複数案件を担当する。
プロジェクトマネージャーになる。
さらに自治体や企業との官民連携プロジェクトを設計する。
その先には、新会社や地域法人の経営を任される可能性もある。
つまり、
学ぶ人 → 実装する人 → PM → 地域経営者
というキャリアをつくりたいのです。
東京へ行かなくても、挑戦できる社会へ。
私は、「地方から東京へ出なければチャンスがない」という構造そのものを変えたいと思っています。
もちろん東京には多くの機会があります。
でも、地方にも企業があります。
経営者がいます。
課題があります。
そして、まだ解決されていない課題が多いからこそ、そこには大きなビジネスチャンスがあります。
AIを使えば、地方にいながら都市部の専門家と仕事ができる。
全国の企業と仕事ができる。
自治体とプロジェクトをつくれる。
自分の地域に新しい仕事を持ってくることもできる。
「地方に仕事がない」から、
「地方だから仕事をつくれる」へ。
この転換を起こしたい。
地域活性化企業人も「キャリア」にする
私たちは自治体との官民連携にも取り組んでいます。
都市部企業の人材が地域へ入り、自治体と一緒に課題解決を行う。
そこで経験を積んだ人が、次は別の地域を担当する。
さらに複数地域のプロジェクトを統括する。
その人自身が地域企業との新規事業を立ち上げる。
こうなれば地方創生は、一時的な「派遣」ではありません。
一つの専門職としてのキャリアになります。
AI、経営、官民連携、新規事業。
これらを横断できる人材を全国につくる。
それが私たちの人材戦略です。
最終的には「経営者」を増やしたい
そして、この構想にはもう一つ先があります。
私は、ずっと人を雇い続ける巨大企業をつくることだけを目指しているわけではありません。
むしろ、
地域で事業をつくれる経営者を増やしたい。
一つの地域で経験を積む。
企業の課題を解決する。
自治体との関係をつくる。
地域企業との信頼をつくる。
そして、十分な経験を積んだら、自分たちで事業を立ち上げる。
地域ごと、業界ごとに新しい法人が生まれる。
そこから、また新しい雇用が生まれる。
一人の地域経営人材から、10人、100人の仕事が生まれる。
私たちは、そんな循環をつくりたいと思っています。
地方創生を「善意」から「産業」へ。
地方創生は、誰かの善意だけに頼っていては長く続きません。
自治体の予算だけでも続きません。
補助金だけでも続きません。
事業として利益が出る仕組みが必要です。
企業が成長する。
人材の所得が上がる。
地域で雇用が生まれる。
自治体に税収が生まれる。
さらに新しい事業へ投資できる。
この循環までつくって、初めて地方創生は持続可能になると考えています。
だから私は、
「地方創生で稼ぐ」ことを、決して悪いことだと思いません。
地域に価値を生み出した結果として、企業も、人も、地域も豊かになる。
それが健全な地方創生だと思っています。
地方こそ、最高のステージだ。
私はこれまで、食品、IT、金融、経営、新規事業など、さまざまな世界を経験してきました。
そして今、AIという大きな変化の中で改めて地方を見ています。
そこには、まだ誰も事業化していない課題がたくさんあります。
だから私は思います。
地方は「仕事がない場所」ではない。
むしろ、
これから仕事をつくれる場所です。
20代でも、30代でも、40代でも。
AI未経験でも。
地方創生未経験でも。
学び、現場に入り、企業の課題を解決し、価値を積み上げていく。
その先に、
「地方創生を仕事にする」
「地域経営をキャリアにする」
「年収1,200万円を目指す」
「そして、自分自身が経営者になる」
という道をつくりたい。
地方創生を、我慢して取り組む仕事ではなく、
若い人たちが「自分もやってみたい」と憧れる仕事へ。
日本全国には約1,700の自治体があります。
つまり、約1,700の挑戦する舞台があります。
地方こそ、最高のステージだ。
次回は、このシリーズの集大成として、
「日本全国1,700自治体をテーマパークへ。私たちが2030年に見ている景色」
について書きます。