AIを含めた技術革新が進む中、エンジニアはどのようなキャリアを描くべきか。多くのIT技術者が抱えるこの問いに対して、当社は明確なビジョンを持ち、「プロフェッショナル化」を推進しています。1,000名以上のエンジニアを抱える当社では、中堅・中小企業向けのITソリューション提供を軸に、個々の可能性を最大限に引き出す環境づくりに注力しています。
「意欲的なエンジニアには積極的に投資していきます。」と語るのは、2023年に社長に就任した新井世東(あらいせと)社長。元エンジニアとしての豊富な経験を活かしながら、サイバーコムの成長戦略を推進しています。今回は新井社長に、エンジニア人材への積極投資や育成方針、新設されたTAKUMI室の狙い、そしてエンジニアが長期的に活躍するために必要なキャリア戦略について話を伺いました。
エンジニアとしての経験が今に活きる——社長のバックグラウンド
——まず最初に、新井社長のバックグラウンドと、技術経験が今の経営者としての視点にどのように影響しているかをお聞かせください。
新井:20代は5人程度の小規模なベンチャー企業にいて、エンジニアとしてコードを書いていました。自分でプログラムを書いてデータのバックアップをしたり、様々な作り込みの作業など担当したりと、振り返ってみると結構技術的なことをやっていましたね。
その後は技術経験を活かしてプロジェクトマネージャーとしてキャリアを積み、対外的な対応やお客様との調整など、多くの経験を積みました。一般的なプロジェクトマネージャーは、人もお金も全部決められるポジションです。お客様のところに会社の代表として行くので、そこには権限と責任があります。この経験が今の経営に生かされていると感じています。
いくつかのIT企業に転職して、35歳で親会社である富士ソフトに入社しました。その時期は富士ソフトが、メーカー・ベンダーからの二次受け的な取引からエンドユーザーとの直接取引へとシェアを上げていく会社方針のタイミングでした。会社の方針に沿った中で技術、PM、営業、管理のさまざまな立場の経験を富士ソフトの約20年間で経験をしたことが、今のサイバーコムでの経営に役立っていると思います。
会社の強みを最大化する——ビジネス戦略と技術力強化
——2023年3月の就任以来、「ビジネス拡大」を基本方針に掲げられていますが、サイバーコムの強みと市場環境を踏まえ、特に注力されている分野や取り組みについて教えてください。
新井: 社長就任の2023年は、サイバーコムが創業45周年を迎えた年でもあり、当社のビジネス内容を改めて分析しました。サイバーコムは横浜、東京、仙台、新潟、名古屋、刈谷、福岡に拠点があり、地場で強みを持った多くのお客様と非常に長い付き合いをしています。
そのような背景の中で「なぜもっと当社のバリューを活かしきれていないのだろう」と考えたとき、課題の一つが見えてきました。お客様対応が各拠点の活動範囲内で行われ、会社全体の強みが活かせていなかったのです。
この課題が分かったとき、特に当社は中堅・中小企業のお客様が多いことから、コストパフォーマンスが良く付加価値の高い国内外のプロダクト・サービスを取り揃え、会社として提供していく仕組みが必要だと考えました。そこで私自身も営業と共に国内外の企業にアプローチして、お客様のニーズに合うソリューションを探してきました。この数年でプロダクト・サービスのレパートリーが増え、今はそれをお客様のニーズに合った提案をしていく段階となっています。
——サイバーコムは富士ソフトグループの中でも「開発力に関してトップクラス」と評価されていますが、この強みをさらに伸ばすために、どのような取り組みを行っていますか?
新井: サイバーコムのコアビジネスは受託開発、特にソフトウェアの製造部分です。もの作りの速さや正確性といった点で、業界の中でもトップクラスの技術力があると自負しています。これは私が社長だから自賛して言っているのではなく、長年のさまざまな開発経験の歴史と現場の豊富なスキルの蓄積があるからこそです。
ただ、テクノロジーの進化は日進月歩ですから、社員一人ひとりの技術力にさらに付加価値をつけていく必要があります。国内外のアライアンス先企業の協力もいただきながら、社内だけではなく業界で通用する社員のプロフェッショナル化を方針として中期計画にも示し、推進しています。
技術力を深めるために重要なのは、自己啓発を含めた自分自身の努力です。自分自身で業界内での立ち位置をどうしていくかを考え、意識することが大切です。そういった意識を持って成長を目指す人には、会社として積極的に投資をしていきたいと考えています。例えばAI関係の資格取得支援なども始めており、個人の成長意欲を見える化し、対象者には集中投資していく仕組みを整えている最中です。
TAKUMI室——プロフェッショナルの集う新規事業開発の場
——2024年1月にTAKUMI室を設立された背景と、この組織に期待する役割についてお聞かせください。
新井: サイバーコムは「ITのプロフェッショナル会社」として業界内で認知されることを中期計画の目標としています。TAKUMI室は当社のプロフェッショナル社員が集まった一つのシンボル的な組織です。社員がTAKUMI室への配属を目指すような部門に成長させたいと考えています。
TAKUMI室自体は売上や利益に直接関係するわけではなく、R&Dを中心に行っています。イベントでの登壇や記事執筆などを通じてプロモーション活動にも貢献してもらっていますが、それ以上に自由な発想で取り組んでもらうことで、今年2月には「ChatTAKUMI™」という当社オリジナルの製品をリリースしました。これはAWSのライセンスを使って開発したもので、当初は社内利用が目的でしたが、業務効率、DXでお客様にも活用いただけるのではないかと考え製品化しました。販売後に当初想定していたよりもお問い合わせが多数来ており、特に中堅・中小企業のお客様向けに的を絞った戦略が間違っていなかったと感じています。今後もTAKUMI室には当社のプロフェッショナル社員を集め、自由な発想で新しい製品を生み出してほしいと期待しています。
当初は「シンボル」として立ち上げたTAKUMI室ですが、2年ほどで20人近くまで成長しました。このような組織は小さなところから始めて大きく成長させていくことの大切さを改めて感じています。面白いのは、TAKUMI室自体がプロフェッショナル社員のレベル付けにも一役買っていることです。GoogleなどのクラウドプラットフォームやAIに関する研修への参加者を選ぶ際も、TAKUMI室のメンバーが技術的な資質を見抜き、適材適所の配置を考えてくれます。
<当社で活躍中のTAKUMI室メンバー>
AI時代のエンジニア像——求められる資質と投資
——近年急速に進化しているAI等のIT技術について、エンジニア出身の経営者としてどのような可能性を感じていますか?また、サイバーコムでの戦略について教えてください。
新井: 正直に言うと、AIをはじめとする最近のIT技術の進化は想像していたよりも速く、IT業界も今まで以上の変化を求められています。一個人としては、この時代の変化に高揚感を持ちながら、少子高齢化などの社会課題の解決手段になる可能性や新たな市場や事業創出などに期待しています。
当社には1,000人以上のエンジニアがいますので、会社のビジネス戦略を踏まえて国内外の動向調査を行い、最新のイベントへの参加や富士ソフトグループとの情報連携を通じて、将来の立ち位置を考えながら経営をしています。
——業界全体が人材不足に悩む中、キャリア採用も強化されていますが、エンジニアに特に期待される役割は何でしょうか?
新井: 今後の業界の進化を考えると、これまでの「農耕民族的な」会社のブランドや信用で仕事をするスタイルから、「狩猟民族的な」個々の能力が今まで以上に重要視されて仕事をしていくスタイルが増えてくると思います。特にAIが発展する中で、個々の能力がこれまで以上に評価される厳しい時代になるでしょう。
そのためには、最新の技術にアンテナを張り、情報収集を行い、資格取得や経験を重ねて自己啓発を続け、業界内での自分の立ち位置を作っていくような意欲のあるエンジニアが求められます。そういった意欲的なエンジニアには積極的に投資をしていきたいと考えております。
当社は学歴不問で、IT業界に興味のある方であれば門戸を開いています。最も重要なのは主体的に情報を集め、自分を高めていく意欲です。当社はプロフェッショナル社員が集う会社像を目指しています。
エンジニアの定着と成長——待遇改善と働き環境づくり
——社員の離職率が業界平均より低いという強みがありますが、エンジニアが長く働き続けられる環境づくりで大切にしていることは何ですか?
新井: 業界平均からすれば低いのかもしれませんが、当社の離職率の現状に満足していませんし、改善に向けた取り組みを継続して進めています。特に意識しているのは待遇面です。経営戦略を一般社員にもきちんと示し、共通の価値観を持てるよう普段から発信と説明をするように心がけています。
また、プロフェッショナル化を目指し成果を出した社員にはより待遇を改善する方針に転換しています。管理職などのポスト職とは違った制度でスペシャリストへのゆとりとやりがいの実現を図っています。
また、社員の考えや提案を会社に伝えるフィードバック制度もこれから開始します。従業員エンゲージメントの向上を目的としたもので、コンサルも入れて本格的に取り組む予定です。現場からの声をしっかり吸い上げ、それに応える仕組みを作ることで、働きやすい会社を目指しています。
——最後に、この先10年のIT業界でエンジニアがいきいきと活躍し続けるために必要な姿勢や考え方についてアドバイスをいただけませんか?
新井: この業界で長く活躍するためには自分自身が業界ニーズに合ったプロフェッショナルとしての能力を高める努力を継続していくことが重要であると理解してほしいと思います。若い頃は会社が基本的なスキルを育ててくれるという面もありますが、業界で認められ、必要とされるスキルを持てば自信になり、幅広い知見や人脈も広がり、仕事も楽しくなります。
私自身の経験で言えば、PMとして役職が上がるにつれて重要だと感じたのは、単に給料が上がることではなく、社内外に対して決裁権や責任ある立場で仕事ができることでした。
これがやりがいと自身のスキル向上に繋がっていたと感じています。
若い人にはチャレンジ精神を持ち、何が将来の自分の糧になるかを常に考えて行動してほしいと思います。テクノロジーの変化が激しい中、5年後、10年後の自分の目指す目標をもって活動していないと将来、今より何倍も苦労することになります。目標に向かって努力する社員には会社がしっかりと支援していきます。
編集後記
新井社長のインタビューから見えてきたサイバーコムの魅力は、個々のエンジニアの「プロフェッショナル化」を徹底的に支援する姿勢と、技術者が主体性を持って挑戦できる環境にあります。
特に印象的だったのは、TAKUMI室という新規事業開発の場を設け、技術者の自由な発想を製品化につなげる仕組みや、積極的な研修投資を行うなど、人材育成への本気度が伝わってきました。また、成果を出した人にはしっかりと還元する評価制度も魅力的です。
以下のような方は、ぜひサイバーコムへの応募をご検討ください:
- 技術力を磨きながら、人間関係も大切にしたいエンジニア
- スペシャリストとして専門性を極めたい方
- 幅広い案件経験を通して成長したい方
- 主体性を持って新しいことに挑戦したい方
- 温かい社風の中で長く活躍したい方
サイバーコムで、あなたの技術力と挑戦心を存分に発揮してみませんか?