「車載業界でエンジニアとしてキャリアを積みたいが、技術者として深く成長できるのか」「将来的にはマネジメント側にも挑戦したいが、両立は可能なのか」――車載分野での転職を検討するエンジニアにとって、こうした悩みは決して珍しくありません。
今回お話を伺ったのは、車載ソフトウェア開発に携わる横浜本社在籍の池部さん。2014年に新卒入社してから11年間、バス運賃箱のソフト開発から現在の車載ECUまで、着実にキャリアを積み重ね、現在はプロジェクトリーダー(PL)として技術とマネジメントの両面で活躍されています。
技術の専門性を深めながら、どのようにマネジメント力も身につけていけるのか?車載業界での長期キャリア形成において、どのような経験が成長につながるのか?
池部さんの具体的な体験談を通じて、転職を検討している車載エンジニアの皆さんにとって参考となるキャリアパスを紹介します。
「技術の様々な分野で幅広く知見がある事業の厚み」サイバーコムの多様な技術領域
——新卒でサイバーコムを選ばれた理由を教えてください。
池部: 大学では情報学を専攻していたこともあり、ソフトウェア開発系の企業を幅広く見ていました。サイバーコムを選んだ決め手は、通信、業務系システム、組み込みなど、様々な技術分野を手がけていることと、自社製品も持っているという事業の厚みでした。
面接では、最終面接の直前にエレベーターで偶然当時の社長とお会いする機会があって。「これも何かのご縁ですね」とお話しさせていただいたのも良い思い出です。
——入社後のギャップはありましたか?
池部: 良い意味でのギャップがありました。ソフト開発というと、技術志向で黙々と作業する人が多いイメージを持っていたのですが、配属された上司が非常に活動的な方でした。想像していたよりもコミュニケーションが重要な仕事なのだと感じました。
「経験案件は2つ」11年間で培った深い専門性と長期キャリア形成
——入社から現在まで、どのような案件を担当されてきたのでしょうか?
池部: 実は案件数としては2つしかありません。前半5年間はバスの運賃箱のソフトウェア開発、後半5年間は車載ECUのソフトウェア開発を担当しています。
最初のバス運賃箱の案件では、皆さんがよく使う交通系ICカードをタッチして、画面に表示される運賃や残額を確認するシステムの開発に携わりました。実際に目の前に実機があったので、ICカードをタッチして動作確認をしながら、C言語でコードを組んでいました。
役割としては、3年目頃からサブリーダー的なポジションを任せてもらい、そこから段階的にステップアップして、現在の車載案件ではプロジェクトリーダーとして活動しています。
——案件期間が非常に長いのが特徴的ですね。
池部: これには理由があります。以前先輩から「流動するエンジニアではなく手放したくないエンジニアを目指そう」と言われたことがあり、優秀なエンジニアはお客様が手放したがらないものだと学びました。そこで3年目頃から、「この人を手放したくない」と思われるようなパフォーマンスを出そうと意識して取り組んできました。
お客様がどうされたら嬉しいかを常に考え、自分なりの考えをしっかり伝えて、相手に「この人は真剣に考えてくれている」と思ってもらえるようなコミュニケーションを心がけてきた結果だと思います。
「AUTOSAR準拠したソフト開発」車載業界標準規格での実践的開発経験
——現在担当している案件について詳しく教えてください。
池部: 車に搭載されるECU(Electronic Control Unit)の組み込みソフトウェア開発を行っています。特徴的なのは、AUTOSAR(オートザー)という車載業界の開発プロセス規定に準拠していることです。
開発スタイルとしては、フルスクラッチで一から作るのではなく、既存のソフトウェアに対してお客様の新しい仕様に合わせて設計変更を行うことがメインです。既存の処理や設計を調査し、有識者に相談しながら開発を進めています。
使用している技術スタックは、メインの開発言語がC言語で、作業効率化のためにVBAやPythonも活用しています。デバッグや評価には、Multi(マルチ)、CANoe(キャノー)、カバレッジマスターといった専用ツールを使用し、進捗管理にはJIRA、バージョン管理にはGitを使っています。
——既存ソフトウェアの設計変更という開発スタイルの面白さはどこにありますか?
池部: 正直に言うと、「これは難しい、分からない」と思うことも多いのですが、それが面白みでもあります。現在の状態を理解した上で、「こういう仕様を実現するには、このように変更すれば良い」という提案をソースコードレベルから噛み砕いて資料にまとめ、お客様と相談する場面があります。
このプレゼンテーション的な部分で、うまく論理立てて説明できた時にやりがいを感じます。設計が固まって実装する段階は着実に進行できるのですが、課題解決の部分が一番楽しいですね。『なぜこの処理が必要なのか』『どうすれば効率的に実現できるのか』を考えて、お客様に『なるほど、そういうことですね』と納得していただけた瞬間が最高です。
「必ず改善してみせるという気持ちで工夫を重ねた」厳しいフィードバックを成長の糧に
——技術的な成長を最も感じた経験を教えてください。
池部: 現在の車載案件で、前の案件とは異なる、より高いレベルでのコミュニケーションが求められるお客様と接する機会があったことです。「結局、何が言いたいのかわからない」と説明内容について改善点を多くご指摘いただく機会もありました。
私は負けず嫌いな性格なので、「必ず改善してみせる」という気持ちで様々な工夫を重ねました。そのうち、がむしゃらに取り組んだ結果「分かりやすいですね」「ありがとうございます」というポジティブな反応をいただけるようになりました。
この経験を通じて、自分の論理的に説明する力が身についたと実感できました。相手によって伝わる表現、伝わらない表現があることも学び、誰にでも通じる説明ができるよう日々勉強しています。
——その成長過程で会社のサポートはありましたか?
池部: 上司が客先常駐の現場にもサポートに来てくれて、相談しやすい環境を作ってくれました。私は考え込む性格なので、「とりあえずやってみよう」という前向きなアドバイスをいただき、行き詰まった時や悩んだ時に相談できる体制があったことが大きかったです。
「コミュニケーションの部分が大事な要素だった」新卒からPLまでのマネジメント学習
——マネジメント側に立場が変わって、どのような学びがありましたか?
池部: 最初に戸惑ったのは「人を管理する」ということでした。私の中でリーダーは「常に正しいことを言って人を引っ張っていく人」というイメージがあったのですが、実際は違いました。
100%正しいことを相手に伝えても、相手に聞く姿勢ができていなかったり、問題だと自覚していない状況では、逆に「指摘されている」と感じられてしまうことがあります。本質的な内容について聞く耳を持ってもらえない状態になってしまうんです。
そこで重要だと気づいたのは、相手が腹の底で何を考えているかを理解し、どれだけ日頃から雑談や腹を割った話ができているかということです。1on1で話すことの大切さや、以前の上司が何気なくやっていた「立ち話でコーヒーを飲みながら」というコミュニケーションの重要性を、マネジメントをする立場になって初めて理解しました。
——現在のチーム体制について教えてください。
池部: 現在の案件では、ビジネスパートナーの方と2人体制で作業しています。半年前までは6人体制でしたが、案件の規模によって変動があります。
チーム運営で心がけているのは、壁を作らないコミュニケーションです。お昼を一緒に食べに行ったり、お菓子を持参したりして、メンバーが相談しやすい雰囲気づくりを意識しています。
「それぞれのペースで働ける環境がある」横浜本社の働きやすさと成長支援制度
——横浜本社で働く魅力について教えてください。
池部: 客先常駐が多いため本社にいる時間は限られますが、新人の頃は本社で同期とコミュニケーションを取る機会が多く、良い関係を築けました。当時の同期は40名程度で、適度な規模で親しくなりやすかったと思います。
現在のチームでも、お昼に近くの寿司屋で何気ない話をしたり、タイミングが合えば飲みに行ったりと、良好な関係を保っています。
——技術習得のサポート環境はいかがですか?
池部: 入社時はほかの人のソースコードを参考にする機会も多かったですが、現在はPLとして技術的な判断もできるようになりました。基本的には業務の中で調べながら学ぶことと、現場にいる有識者に積極的に教えを請うことで身につけました。
また、リーダーになる前にはリーダー研修を受講させてもらい、マネジメントや進捗管理の手法について体系的に学ぶ機会もありました。会社として段階的なキャリアアップをサポートする制度が整っています。
「AIなど新しい分野にもチャンスがあれば挑戦していきたい」技術領域拡大への意欲
——今後のキャリアについてはどのようにお考えですか?
池部: 技術面では、10年間組み込み開発一筋できたため、どうしても技術の幅が限られてしまいます。そこで、AIなど新しい分野にもチャンスがあれば挑戦していきたいと考えています。
実際、先週もお客様先のAIシステムを使ってVBAのバグを修正したところ、一発で解決できて「AIすごい」と実感しました。こうした体験を通じて、AIの可能性を感じています。
キャリア面では、管理職も視野に入れる必要があると考えており、メンバーのマネジメントに加えて、物と金のマネジメントという側面でも力をつけていきたいと思っています。
——技術の幅を広げる相談はしやすい環境ですか?
池部: 上司と相談して別のグループに移ることも可能なので、そういった相談はしやすい環境だと思います。会社としても多様な技術分野を手がけているので、挑戦の機会は豊富にあります。
「責任感のある方と一緒にお仕事ができたら嬉しい」求める人材像と当事者意識
——転職を検討している同世代のエンジニアへメッセージをお願いします。
池部: サイバーコムは各所でチームを構えており、その中でチームリーダーになって力をつけていくことができる会社です。責任感がある方が多ければ多いほど、強いチームができあがっていくので、責任感のある方と一緒にお仕事ができたら嬉しいです。
特に重要だと思うのは、他人のせいにしない「当事者意識」を持てる人です。これまで成長してきた人や評価される人は、自分事として物事を捉えられる人が多いと感じています。
もちろん、ハードルを上げすぎるつもりはありません。「なんでこうなっているんだろう」「これはどういう仕組みなんだろう」といった好奇心旺盛な人であれば、きっと良いコードを書けるようになると思います。
編集後記
池部さんのお話を伺って最も印象的だったのは、「お客様に手放したくないと思われるエンジニアになる」という明確な目標を持ち、それを11年間実践し続けてこられたことです。
特に注目すべきは、AUTOSAR準拠の車載ソフトウェア開発という専門性の高い分野で、既存システムの設計変更というアプローチを通じて、お客様の課題解決に貢献されていることです。単なる実装作業ではなく、技術的な提案力や説明力を磨きながら、真の意味での「エンジニア価値」を発揮されている姿が印象的でした。
また、技術的な専門性を深めながら、コミュニケーション力やマネジメント力も並行して身につけ、現在はPLとして活躍されている姿は、車載エンジニアとしてのキャリア形成の理想的なモデルケースと言えるでしょう。
サイバーコムの環境として、長期的なキャリア形成を支援する研修制度や、技術分野を跨いだ挑戦の機会があることも魅力的です。安定した基盤の上で、着実にスキルアップしていきたいエンジニアにとって、理想的な環境と言えるのではないでしょうか。
以下のような方は、ぜひサイバーコムでのキャリアを検討してみてください。
- 車載・組み込み系の技術を活かしてキャリアアップしたい方
- 技術を深めるだけでなくマネジメントも経験してみたい方
- 長期的に安定した環境で専門性を深めたい方
- 当事者意識を持って主体的に取り組める方
- AUTOSAR等の車載業界標準技術に興味がある方
- お客様との技術的議論を通じて成長したい方
サイバーコムで、あなたの技術力と人間力を存分に発揮してみませんか?