2024年12月に5期目を迎えたヒトツメ。事業拡大と採用力強化を目的に、新たなビジネスコンセプト「Beyond Innovation」を掲げ、リブランディングを実施しました。
企業や求職者、採用サービス事業者の垣根を超えた革新的なサービス展開で、新卒採用の常識を変え続けています。
採用コンサルティングサービス「MARUTTO」、首都圏就職に特化した新卒人材紹介「シュトキャリ」「シュトテック」、学生向け就活Q&Aサイト「IPPOS(イッポス)」、エージェント支援プラットフォーム「Agent ship」など、数々のサービスの立ち上げから携わってきた内田氏が手がけた新しいブランドコピーとともに、次のステージへと歩みを進めます。
今回は、木山代表と内田氏にリブランディングの背景とコンセプトに込められた想いについてお話を伺いました。
木山和英/代表取締役
新卒紹介のパイオニアである就職エージェントに新卒入社。1年目は100社近くの新規クライアントを開拓し全社MVPに。2年目は新規事業に関わりながら全社ギネスの売上を達成。同時に最年少リーダーを担い、2010年退職。
内⽥直樹/コピーライター・クリエイティブディレクター
2006年、株式会社ワイキューブ(中⼩企業に特化したコンサルティング会社)新卒⼊社、企画部に配属。
あらゆる境界を超える。ヒトツメが掲げる"Beyond Innovation"の真意
――リブランディングに至った背景を教えてください
木山:
2024年12月から会社が5期目を迎え、事業は順調に成長し採用人数も増やしていく中で、ヒトツメに対して「ただの人材紹介会社」というイメージを持っている候補者の方が非常に多かったんです。面接でビジョンや将来の構想について話すと「そうじゃなかったんですね」と驚かれることが多くて。
ヒトツメの本質的な意義や目指していることが、最初から100%しっかり伝わっていなかった。そこで、改めて私たちが何者で、どこに向かっているのかを整理して、もっと分かりやすく発信していきたいと考えました。
内田:
立ち上げ期から関わらせていただいているので、ヒトツメの持つポテンシャルや独自性については誰よりも実感していました。だからこそ「普通の人材紹介会社」というイメージを持たれているのは、すごくもったいないと感じていたんです。
このギャップを少しでも埋めていくには、ブランドの本質的な見直しが必要だと強く感じ、今回一緒にリブランディングに取り組ませていただきました。
木山:
採用に力を入れていく中で、もう一つ懸念がありました。ヒトツメでは創業時から「らしく」で、もっとおもしろくという理念を掲げています。ただ、この言葉が先行して、to Cの要素が強く捉えられている。候補者の多くが「自分らしく働ける世の中を作る支援をする会社」と思って応募してくださっています。
もちろんto Cの支援も行いますが、本質としては企業の採用支援を通じて世の中をより良くしていきたいという思いが強いんです。現実としてto Cのイメージが先行してしまっていたので、伝え方を工夫していく必要があると考えていました。
――具体的にどのような見直しを行ったのでしょうか
内田:
木山さんと相談しながら、企業コンセプトの見直しに加えて、新たにビジネスコンセプトを設定しました。ヒトツメの目指す方向性や提供価値がより明確になるように、言語化を進めました。
木山:
内田さんのサポートのおかげで、自分たちの強みや魅力がより分かりやすくなり、採用活動にも良い影響が出ています。
また、今回のリブランディングは、インナーブランディングの意味合いも兼ねていました。入社後は人材紹介の業務からスタートするため、社員自身も「自分は新卒紹介の仕事をしている」という認識で留まってしまうという課題を抱えていました。
ヒトツメって何の会社なの?と聞かれると、「新卒紹介会社です」「新卒紹介の仕事をしています」といった回答になってしまう。これは私たちが目指す方向性とは少しズレていると感じていました。
社員一人一人が、ヒトツメの本質的な価値や目指す方向性をしっかりと理解し、それを自分の言葉で語れるようになることも重要な目的でした。
ーー新たに掲げたビジネスコンセプトについて教えてください
木山:
今回のリブランディングでは「Beyond Innovation」というビジネスコンセプトを掲げました。僕たちが支援している企業、就活生、採用サービス事業者など、あらゆる枠組みを超えて新卒採用に変革を起こしたいという思いを込めています。
内田:
コンセプト設定の過程で印象的だったのが「新卒採用という市場において、企業も人も、もっと自分らしい選択ができる社会をつくる」という想いでした。関わるあらゆるステークホルダーの業界を超えて課題を解決し、新卒採用の価値を底上げしていきたいというヒトツメの想いを言語化させていただきました。
言葉選びには、かなりの時間を費しましたね。今後、様々な事業を生み出していく可能性を秘めた会社なのに、「新卒紹介会社の一つ」として見られてしまい、ポテンシャルが十分に伝わっていない。これは採用面でもリスクになりますし、既存の社員さんやマーケットのお客様に対しても、可能性を限定的に捉えられてしまう恐れがあると考えました。
実は、採用や就活支援の領域において、企業支援や求職者支援を行う会社は多いのですが、ヒトツメのようにHR事業者の支援まで手掛けている会社は、私の知る限りではほとんどありませんでした。
木山:
たしかにそうですね。
内田:
そこで、企業、求職者、HR事業者という境界を越えて、幅広いサービスを展開し、採用の世界を変えていく会社だという姿を打ち出せば、採用面での訴求力も上がり、マーケットでの存在感も変わってくるのではないかと考えました。
そうして様々なキーワードを検討する中で、境界なく、様々なステークホルダーを横断していくという意味の「Beyond Innovation」という言葉に行き着いたんです。
木山:
その「Beyond」という言葉は、私もとても良いなと感じました。語感の良さもありますし、何より私たちの目指す方向性を的確に表現できていると思います。
「広く、深く、早く」新卒市場にインパクトを与える存在へ
ーー「変革」というのはどのような内容を指しているのでしょうか
木山:
よく質問をいただくのですが、特定の課題を指しているわけではないんです。
新卒一括採用という仕組みについて考えてみると、企業にとっては採用活動がしやすく、一括で入社するため教育もしやすい。学生側も、決められた流れに乗ることで就活がしやすいという利点があります。一方で、その仕組みに乗らざるを得ない状況も生まれている。これについては、良い面も悪い面もあると思います。
ただ、新卒市場にはまだまだ進化の余地がある。より良いサービスを生み出し、より良い就職活動・採用活動を作ることができると考えています。
既存の採用手法や就職活動手法が100や200ある中で、それらを超えるサービスを作り上げることで、新卒採用市場全体の進化と変革を目指しています。
ーー「普通の会社員になるか、イノベーターになるか」というメッセージ、インパクトがありますね
内田:
ただ採用支援をするだけでなく、世界を変えていくようなワクワク感を持って働ける場所であることを伝えたかったんです。
木山さんがよくおっしゃる「ワークハード」な環境で、自分のキャリアを能動的に築いていけるような、そんなビジョンを持った人材に響くメッセージを目指しました。
木山:
新しい世界観を作っていきたいし、そうなりたい人に集まってほしい。そういう人にとっては、当社には無限のチャンスがあります。月並みですが、すごい会社に入るのではなく、すごい会社をつくっていきたい人が十分裁量を持てる面白いフェーズだと思いますし、中途、新卒の採用でも、数百名規模、数千名規模のベンチャー企業を蹴って、ヒトツメへ入社いただく人も増えてきている印象です。
ーー人材業界の中でも特に「新卒」に特化されているのは、どのような理由があるのでしょうか
木山:
私自身のキャリアが関係しています。私の社会人としてのキャリアは、日本で初めて新卒人材紹介を立ち上げた会社に、創業期からジョインしたことから始まりました。その後、2社目でも新卒支援の会社で役員として約10年間働き、この業界で通算14年ほどの経験を積んできました。
現在の会社を立ち上げる際も、前職の代表から背中を押していただき、同じ領域で切磋琢磨していこうという形で送り出していただきました。そういった後押しもあり、自分の持つ経験や知見を最大限活かせる新卒業界で再び挑戦することを決意しました。
新卒市場は約1,400億円規模と言われています。大きく見えるかもしれませんが、人材業界全体から見ればまだまだ小規模な市場です。当社も急成長させていただいており、4期目で8億円以上程度の売上を見込んでいますが、それでも市場シェアは0.6%程度。まだまだ挑戦の余地が十分にある市場だと考えています。
さらに、多くの企業が新卒採用を重要視している点も大きいですね。そこに我々の存在価値があると考えています。
ヒトツメを立ち上げる際には、HR領域において影響力のある存在になりたいという思いがありました。ただし、私が目指しているのは、狭い範囲で深い影響力を持つことではなく、より広い範囲により深く、そしてできるだけ早く影響力を持つことです。
新卒採用市場全体にインパクトを与え、変革を起こせるような存在になりたい。そういった思いで取り組んでいます。
ーー今後の事業において、現時点で新たな構想はありますか
木山:
いくつかの方向性は見えています。
まずは、今の事業のブラッシュアップです。パートナー同士の連携強化、企業向けのデータベースの活用方法、スカウトとエージェントサービスを組み合わせるなど、まだまだ進化の余地があります。
そして、避けては通れないのがAIの活用ですね。最近では外部サービスのOEMという形でAIを活用したスカウトサービスの提供を始めています。人が手動で行うよりも的確にマッチングができるような世界になってきています。こういったAI技術との連携は、今後必然的に取り組んでいかなければならない領域だと考えています。こういった新領域への投資も当社の今のフェーズ、カルチャーですと、比較的大きい企業と比較したときの意思決定スピードは非常にはやいと思います。僕自身もそうですし、会社全体としてもトレンドをインプットしながら、他社がやらないスピードで意思決定していき、より良いサービスクオリティにしていきたいと考えています。
創業時も今も揺らがない、ヒトツメが重視する3つの価値観
ーー入社後どのように活躍していくのか、キャリアパスについて教えてください
木山:
入社後は、人材紹介のリクルーティングアドバイザー(RA)として企業担当からスタートします。最初は企業の顧客開拓を行い、できるだけ多くの企業を支援できる状態を目指します。
その後、入社から3ヶ月から半年以内には、キャリアアドバイザー(CA)の業務も並行して担当していただきます。半年から1年後には、RAとCAの両方の業務を行いながら、様々な商材を活用して顧客の採用成功確率を高めていく採用コンサルティングも担当していただきます。これが、プレイヤーとしての現時点での完成形といえます。
この3つの役割を習得できれば、早い人で半年から1年以内にリーダーへの昇進ができます。リーダーになると、プレイヤーとしての業務に加えて、部下のマネジメントも担当します。また、エージェントシップのパートナー向けのコンサルティングやフォロー、さらには採用業務にも関わっていただくことになります。
現在はHRコンサルタント部署が中心となっていますが、今後はマーケティング部門やバックオフィス、カスタマーサクセス部門、新規事業など、様々な部署が拡大していく予定です。
コンサルタントから部下を持って事業責任者になる道もあれば、別部署に異動してリーダーになっていく道もある。多様なキャリアパスを用意しています。
ーーRAからキャリアをスタートするということですが、一般的な人材紹介会社との違いについて教えてください
木山:
そもそもRAとCAを兼務すること自体が少数派なんです。大手企業では、一部を除き大半はほぼ必ず分業制を取っています。生産性を重視する観点から、どちらか一方に特化する形が一般的です。
そんな中でヒトツメがRAとCAを兼務している理由は、企業と学生の双方に対して最大限の価値を提供するためです。
企業に対しては、学生の支援経験があることで、より的確なアドバイスができます。さらに重要なのが、人材紹介の質の向上です。
10人の候補者を紹介する場合に、自分が担当していない候補者を紹介すると、企業からのフィードバックに対して表面的なやり取りで終わってしまいます。一方、自分が担当している候補者であれば、「〇〇を重視されていたので推薦したのですが...」といった具体的な対話ができ、「実は〇〇も重視しているんです」など新たな要件も引き出せます。より正確な人材要件を把握し、社内やパートナーとも共有することで、紹介の精度を上げていくことができます。
学生側にとってのメリットも大きく、業界や仕事についてより深い理解ができることで、的確なアドバイスや企業選定ができます。だからこそ、ヒトツメではRAとCAを兼務するスタイルをとっているんです。
ーー実際の社員のキャリアアップの実績について教えていただけますか
202●年の●月にジョインした●●のメンバーは、202●年●月にリーダーに昇格、現在●名の部下を持っています。
新卒スタート時点からの8ヶ月間で年収が84万円ほどアップした事例もあります。
女性も活躍していて、入社して約2年になる女性社員がいます。彼女は入社1年程度でリーダーになり、現在3〜4人の部下を持ちながら、新卒向けの会社説明会でも登壇してもらっています。
ーー特に活躍されているメンバーの特徴や、大切にされている価値観はありますか
木山:
創業時に掲げた3つの価値観について、今回改めて見直しました。結論、創業時も今も変わらない、私たちが求める価値観が明確になりました。
その価値観とは「プロフェッショナル」「当事者意識」「リスペクト」の3つです。
目に見えて活躍している社員に共通しているのは、「プロフェッショナル」「当事者意識」ですね。高い目標意識を持ってフルコミットし、自分事として捉えて当事者意識を持ち、他責にせず実績の観点で業務に向き合っている。そういったメンバーが特に成果を上げていると感じています。
ーー内田さんから見て、木山代表はどんな方ですか
内田:
そうですね。人材業界のスタートアップというと、若い経営者が立ち上げた会社が多い印象がありますが、木山さんの場合は業界での豊富な実績がベースにあり、ビジネスを成長させていくための確かな基盤を持っているのが特徴的だと感じています。実際、人材業界でここまで短期間で急成長しているベンチャーは珍しいと思います。
一方で、ベテランの経営者が立ち上げる会社によくある「夢のない」「売上だけを追求する」「単なるスケール志向」といった傾向とも異なります。木山さんは**「採用の世界を変えていく」という夢やビジョンと、実績に基づく確かな実行力の両輪を持っている**。だからこそ、会社が成長し、共感する仲間が増えているのだと思います。
ーー最後に、この記事を読んでいる方にメッセージをお願いします
木山:
採用支援というのは、世の中にいくらでもある一般的な表現です。ですが、実際に採用に対して「変革」を起こしていると言えるような、本当の意味で影響力のある会社はそう多くはありません。
私たちは、単なる「採用支援をやっています」という普通の会社ではなく、採用市場に変革を起こそうとしている会社でありたい。そして、その変革を一緒に起こしていく一員として、「イノベーター」として共に歩んでいける仲間が増えることを楽しみにしています。