こんにちは!開発エンジニアの藤原です。
今日は私のいきつけのバーであった一つの会話と、そこから得た一つの考えをご紹介いたします。
SDGsによる一つの終焉
みなさんはレトロポークというものをご存知でしょうか?
食品残渣(食品加工の過程で出た野菜くずや魚のアラなどの、所謂生ゴミと呼ばれるもの)を飼料として食べて育った豚肉のブランドです。
人間が食べるものを食べて育った影響か脂身が上質で甘みがあり、ハイボールと相性の良いお肉でした。
今回のメインビジュアルにも、私の行きつけのバー(アトレスタさん)で提供されていたレトロポークのアスパラ巻きを載せています。
私がこのお肉に初めて出会った日、バーのマスターから「このお肉、もうなくなっちゃうんだよね」と言われました。こんなに美味しいお肉がどうして!?
その理由は「食品残渣を食べて育つ豚」と「SDGsの取り組み」の2つが重なったことにありました。
もともと食品残渣を食べているという時点で一種のSDGs的な取り組みではあったのですが、SDGsが日本に浸透してきたことで今度はこの豚が食べる用の食品残渣が足りなくなったというのです。
初期は養豚のために必要な年間餌量に対して120%の食品残渣が出ていたそうなのですが、終売直前の頃には20%にまで減っていたそうです。
餌が変わってしまっては肉質も変わってしまうということで、レトロポークを生産していた養豚場さんも閉鎖ということになりました。
マスターの一言で天啓を得た
養豚場の閉鎖、終売についての話を聞いたとき、私は「仕事を奪われて可哀想だな、これも時代の流れなのかな」と考えていました。
なんとなく絶望的な、ネガティブな気持ちになっていたとき…しみじみとした顔のマスターが放った一言が私をハッとさせます。
「レトロポークは一つの役目を終えたんだね」
長年の取引もあってか、生産者さんと友達のような関係だというマスターは本人にそう伝えたそうです。
この言葉を聞いて生産者さんは涙を浮かべていたそう…私も胸の奥がジーンとするような、熱くなるような何かを感じていました。
「食品残渣は本来燃えるゴミだったもの、それが減ることは地球的に大変素晴らしいことだと思う」というのは、生産者さんのSNSでのお言葉。
本来は燃えるはずだったものを引き受けてくれ、美味しく育ち再び我々の食卓へ戻ってきてくれていた豚たちは、たしかにSDGsの成長期を支えてくれていたのだと感じました。
自分ならどう考えるか?
AIの発展によりいろんな職種が「仕事を奪われる」と言われています。
エンジニアにとっても他人事ではなく、生成AIがコーディングをしたりドキュメント作成をしてくれる昨今、我々の元にも着実に終焉の足音が近づいてきているように思います。
もし自分がそのせいで仕事を失ったらどうすればよいのか、何ができるのか…正直なところ今の私には何もわかりません。
わからないなりに私が考えたのは「仕事を奪われたと捉えて嘆いているだけでは本当に終わってしまう」んじゃないか、ということです。
単純にポジティブかネガティブかという話ではありますが、私に終焉の順番がまわってきたときには「役目を果たしました」と胸を張って言えるエンジニアでありたいと思います。
ちょっと着地点がフワッとした回でしたが、どうしても今回のマスターの一言を皆さんにもお届けしたく本稿を執筆いたしました。
皆さんの仕事や人生の考えに少しでも良い影響があれば幸いです。