「データやロジックだけでは人は動かないんです。」そう語るのは、セールスディレクターの田中です。
従業員1万人を超える大企業に向けてプロダクトを提供するパトスロゴスの営業チームは、どのようなアプローチで営業活動を行っているのか。その具体的なプロセスやセールス組織が大切にする価値観、そしてパトスロゴスで営業として働くことの魅力に迫ります。
勘や経験に頼らない。“科学的な営業”の面白さ
——まずは、田中さんのこれまでのご経歴とパトスロゴスへ入社された経緯、現在の役割について教えていただけますか。
私のキャリアにおいて大きな転機になったのは、弊社CEOの牧野が創業したワークスアプリケーションズに27歳で中途入社したことです。当時は、純粋に営業スキルを磨きたいという思いから入社しました。
ワークスアプリケーションズでは、営業を“科学的にアプローチする”ことを徹底的に追求していて、最初は戸惑いもありましたが、やればやるほどその深さに引き込まれました。単なる物売りではなく、お客様の課題を解決するパートナーとして、一つひとつの案件に本気で向き合うことが、何より面白かったんです。
パトスロゴスには、その経験を活かしたいと思い、創業期から参画しました。当時は製品もまだ構想段階で、まさにゼロからのスタート。アーリーアダプターのお客様にアプローチしながら事業の立ち上げを行ってきました。
現在はセールスディレクターとして、営業チームのマネジメントを担っています。
——営業として向き合うお客様は、どのような企業が多いのでしょうか?
私たちのお客様は、いわゆるエンタープライズ領域と呼ばれる大企業です。従業員が数千名、時には1万名を超えるような組織も珍しくありません。当然ながら関係者が多く、意思決定のプロセスも複雑になります。
その複雑性がエンタープライズセールスの面白さなのですが、難易度が高いからこそ、勘や経験ではなく、再現性のあるアプローチを徹底しています。
相関図を手に「どうすればキーパーソンにたどり着けるか」をチームで議論する
——その”再現性のあるアプローチ”こそが、前職でも取り組まれた「科学的な営業プロセス」ですね。具体的にどのようなものでしょうか?
最終的に意思決定をするのは組織ではなく、”個”だと考えています。なので、個人同士がどんな関係性で結びついていて、どういう力学が働いているのかを、徹底的に可視化していくんです。
それを「相関図」と呼んでいて、役職の上下ではなく、実際の影響力や発言力を見ていきます。たとえば「社長が最終決裁者に見えるけれど、実は〇〇取締役がイエスと言えば社長はノーと言わない」といった、インフォーマルな関係性が必ずあります。
営業というと、センスや根性といった属人的な話になりがちですが、私たちはそうしたやり方を排除しようとしています。相関図をもとに、どんなリスクがあるか、どこで話が止まりそうかを洗い出し、一つひとつ対策しています。
——そのプロセスが特に活きた事例を教えていただけますか。
印象に残っているのは、ある大手金融グループへの営業です。最初は担当者の方とのやり取りから始まり、課題は見えていたものの、なかなか次のステップに進むことができませんでした。ヒアリングを重ねていく中で、最終的な決裁に影響を持つキーパーソンが判明しました。ただ、その方は部長という立場で、通常のルートでは到底お会いできない存在でした。
そこでチーム全員で相関図を見ながら、どうすればその方にたどり着けるかを徹底的に議論しました。すると、当社の役員のひとりが別のルートでつながっている人物を知っていることがわかったんです。
そこから紹介いただくきっかけを丁寧に設計し、アプローチを行いました。お会いできた時点で、私たちはすでに課題を把握しており、初回の面談から本質的な議論ができました。その誠実さと準備の深さが信頼につながり、最終的には案件の突破口になりました。
——次のキーマンは社長ですね。
そうなんです。そこで、社長がその部長に普段どんなことを求めているのかといった、上司との関係性まで踏み込んでヒアリングを行います。
社長の期待が見えてくると、その期待に応えられる形で提案内容を再構成し、部長が上申しやすいきっかけを一緒に作っていきます。
また、相関図を見ながら、反対しそうな方はいないか、その方の懸念をどう取り除くかといった点を、営業担当だけでなくマネージャーや他のメンバーも交えて議論します。
営業担当一人の主観に頼らず、複数の視点からリスクを指摘し合うプロセスも、私たちの特徴です。
データやロジックだけでは人は動かない。最後は「信頼」が勝負になる
——「科学的なプロセス」の他に重視されていることはありますか?
どれだけ論理的に詰めても、最後には必ず感情の要素が関わってきます。特に私たちが向き合う人事部の方々は、社内の重要な仕組みを担う立場にあり、新しい取り組みを進めづらい状況に置かれていることが多いんです。
経営陣に「新しいことにチャレンジします」と上申しても、簡単には承認が得られません。だからこそ、私たちはお客様のパートナーとして、チャレンジではなく、組織の課題を解決するための最適な選択肢として一緒に形にしていきます。最終的には、どれだけ信頼してもらえるかが勝負になると考えています。
——営業として成果を上げるには、分析力と人との信頼関係を築く力の両方が必要だということですね。メンバーの育成はどのように行っているのでしょうか。
いわゆる「ボール拾い」のような下積み期間は不要だと考えていますので、未経験であっても最短で「バッターボックス」に立ってもらってます。
もちろん、ただ丸投げするわけではなく、商談前にマネージャーや先輩が壁打ち相手になり、細かくフィードバックしています。ですが、何よりも、1万名規模の企業の最前線に立つという「機会」そのものが成長に繋がると考えています。
「細部にこだわる姿勢」個人プレイではなく、チーム全体で突き詰める
——営業組織として、皆さんが大切にされている価値観やカルチャーがあれば教えてください。
細部まで手を抜かない姿勢を大切にしています。パトスロゴスには、まだ大きなブランドや豊富な実績があるわけではありません。だからこそ、資料の言い回しひとつ、ロープレでの間の取り方ひとつ取っても、「もっとうまく伝えられる方法があるはずだ」と、個人プレイではなくチーム全体で突き詰めています。そうした積み重ねが、お客様からの信頼や評価につながっていると思います。
——パトスロゴスでエンタープライズ営業を経験することは、キャリアにとってどんな価値がありますか?
今の時代、AIを活用したセールス手法も増えていますよね。ですが、高単価で多くの人が関わる商材は、データやロジックだけでは動かないことも多いです。最終的な意思決定には、必ず人の感情を動かす力が欠かせません。
例えば中小企業向けの営業は、確立されたプロセスを効率的に実行していく側面が強いかもしれません。しかし、エンタープライズセールスは全く別物です。そもそも案件の母数が少なく、関係者の調整も複雑で、本当に結果を出せる人は限られています。なので、この領域で成果を出せるスキルは、市場価値が非常に高くなると思っています。
——最後に、この記事を読んでいる方へメッセージをお願いします。
エンタープライズセールスという希少なスキルを本気で身につけたい方にとって、弊社は最高の環境だと自負しています。決して楽な道ではありませんが、難易度の高い商材、一筋縄ではいかない顧客、そして営業として切磋琢磨できる仲間と文化。この3つが揃った環境は、他にないと思っています。
営業としての力を本気で磨きたい方、実力でキャリアを切り拓きたい方に、ぜひ仲間として加わってほしいと思っています。