Musubi Labが見つめる、「買う」という体験の向こう側
はじまりは、21通の「Yes」から。
お客様に少しお話を伺いたいと思っていました。
8人ほどにインタビューができれば十分だろうと考え、
80名ほどの方に段階的にご案内を送る予定でした。
最初の30名にメールを送ったところ、
想像を超える21名から「ぜひ話したい」とお返事をいただきました。
思わず、あわてて締め切る。
うれしい誤算でした。
オンラインでお話を伺う中で、
心に残った言葉がいくつもありました。
「落ち着く」「安心する」「静か」「穏やか」「やさしい」「誠実」「正直」「丁寧」「信じられる」「急がない感じがいい」「余白がある」「時間がゆっくり流れる」
印象的だったのは、
商品そのものよりも、私たちの“姿勢”に対する言葉が多かったこと。
その瞬間、ふと気づいたのです。
私たちは単なる「工芸の越境EC」ではなく、
文化を媒介する商社になりつつあるのかもしれないと。
商社という仕事、そして文化商社というあり方。
商社の仕事は幅広く、多面的です。
けれど、その根の部分にある本質は、きっとひとつ。
異なる土地で育まれた価値を、
必要とする人のもとへ、丁寧に結んでいくこと。
職人の手の温度や、文化の呼吸をそのままに、
新しい場所で再び息づかせること。
それが、私たちが感じている商社という仕事の本質です。
Musubi Labが歩んできた道のりも、
この考えの延長線上にあります。
ただ、私たちが扱うのは
モノそのものではなく、
文化や哲学、美意識といった、形のない価値です。
日本各地で育まれた工芸や思想を、
世界の暮らしや感性と結びつけていく。
そうした橋渡しを重ねるうちに、
いつの間にか「文化商社」という言葉が
自分たちの姿にしっくりと馴染んでいきました。
買い物は、文化を味わう小さなドラマ。
買い物は経済行為ですが、本質的にはエンターテイメントであり、
感性と記憶をたどる体験でもあると思っています。
何かに惹かれ、知りたくなり、
少しずつ自分の感性を重ねていく。
届くのを待つ時間。
手にしたときの静かな高揚。
誰かに語りたくなる瞬間。
私たちのブランド「MUSUBI KILN」がつくりたいのは、
そんな「文化としての買い物」です。
だから、私たちのコンテンツは
“買ってもらう”ためではなく、
“日本文化を楽しんでいただく”ためにある。
工芸は、美しい道具であると同時に、
文化を届けるための器なのだと思っています。
期待と、信頼のあいだに。
ものを買うという行為には、
いつも“期待”が宿っています。
その期待に応えられたとき、
その品は暮らしの一部となり、
静かに幸福を灯す。
けれど、もし期待と違うものが届いたら、
その“後味”は、心の中に長く残るかもしれません。
私たちは、その余韻まで含めて、
責任を持ちたいと考えています。
だからこそ、「期待に応える」ことを
偶然ではなく、姿勢として選ぶ。
それが、ブランドを形づくる根っこの部分だと感じています。
「知る」からはじまる、ものづくりの敬意。
私たちは全国を巡ります。
産地を訪ね、職人に会い、文献をひもとく。
一見、遠回りのようでいて、
それが一番確かな道だと思うのです。
目で見て、耳で聞き、
感じたことを自分たちの言葉にして伝える。
その根底には、
「工芸と思想のライブラリーをつくりたい」という想いがあります。
派手なニュースにはならないけれど、
時を経ても心に残るようなコンテンツを、
時間をかけて丁寧に紡いでいきたい。
もしかしたら、このブランドをいちばん楽しんでいるのは、
私たち自身かもしれません。
ブランドとは、静かに続く約束。
MUSUBI KILNを立ち上げたとき、
何度も考えました。
「ブランドとは、何だろう」と。
その答えは今もひとつではありませんが、
確かに感じていることがあります。
ブランドとは、
期待をデザインし、それを一貫して裏切らない約束。
それは大きな言葉ではなく、
日々の判断と誠実さの積み重ね。
まだ道の途中にいます。
けれど、この考え方だけは、
これからも大切にしていきたいと思っています。
もしあなたが商社で働きながら、
「もっと本質的な価値を届けたい」と感じているなら、
私たちは、きっと同じ方向を見ています。
モノを流すのではなく、
文化を紡ぎたい人へ。
Musubi Labは、静かに、誠実に、美しいものを届ける仕事を、
熱い想いで共に歩んでくれる仲間を探しています。