こんにちは。ぴたカフェ代表の平田です。
前回の記事では、幼児教室レクルンの立ち上げから現場の苦労、そして保育業界への新たな一歩についてご紹介しました。今回は、幼児教室から保育園への出張講座や教材提供といった事業展開、そして社会的な広がりについてお伝えします。
幼児教室から保育園へ――事業の転換点
私たちが幼児教室を運営する中で考えていたのは、「より多くの子どもたちに質の高い教育を届けたい」という想いでした。しかし、待機児童問題や共働き家庭の増加など、社会の変化に伴い、教室だけでは限界があることを痛感しました。
そこで私たちは、保育園への出張講座や教材提供という新たな事業展開に踏み出しました。これにより、教室に通うことが難しいご家庭や、より多くの子どもたちに私たちの教育理念やノウハウを届けるチャレンジを開始しました。
保育園向け出張講座「おやこレクプラス」
1つ目の取り組みが、保育園向け出張講座『おやこレクプラス』です。これは、保育園や幼稚園の現場に私たちの講師が出向き、親子で楽しめるレクリエーションや学びのプログラムを提供するものです。
主催する保育園・幼稚園は開催地を確保するだけで、高品質な親子イベントを「保育者負担なし」「新たに保育士を配置しない」形で実施できます。保育士不足が深刻化する中でも、従来保育士が担っていたイベント運営や企画を弊社が請け負うことで、現場の保育者の負担を大幅に軽減できる点が大きな特徴です。
2018年に開始したおやこレクプラスは、現在も少しずつ形を変えながら継続しています。現在は教室の講師ではなく、専属の講師と保育学生スタッフで運営しており、内容も科学実験を楽しむ「カガクレク」と、フェルトで子どもの作品を作る「クラフトレク」の2つのプログラムを中心に展開しています。
このおやこレクプラスを通じて多くの保育施設の方々と意見交換を重ねる中で、「0~2歳児向けの教材やおもちゃが少なく、保育士が手作りおもちゃを作っている」「レクルンの教材を販売してほしい。そうすれば保育士の負担なしで保育を充実させることができる」といった現場の声をいただきました。こうしたご要望を受け、2019年にはエデュトイプログラムの提供を開始しました。
『エデュトイプログラム』開発の背景と現場での広がり
こうして2019年に誕生した『エデュトイプログラム』は、まさに現場の課題を解決するためのサービスです。
保育士不足や未経験者の増加、手作りおもちゃの負担――そんな現場の悩みに応えるべく、幼児教室レクルンで開発した約1,000種類もの教材の中から現場に最適なものを厳選してお届けしています。
エデュトイ開発にあたっては、まず全ての教材を保育士の方々に実際に見ていただきました。
レクルンの教材は、子どもだけでなく保護者がそばにいて、難しい時は親がさりげなくサポートしながら、子どもにとって少し難しいことにチャレンジし、できることを増やしていく――そんな「できた!」の達成感を通じて自己肯定感や「次もやってみよう」という気持ちを育てたいという思いで作られています。
しかし、保育施設では親がいない環境で、保育士が複数の子どもたちと関わるため、どの教材が現場でも無理なく活用できるのか、全種類を保育士に見てもらい、一つずつ「保育施設で使えるかどうか」を判断してもらいました。
その経緯でピックアップされた教材を、①手先の運動、②道具・論理、③文字・数の3つの分け方でパッケージにし直しています。
また、新人保育士の研修が難しいという現場の声を受け、すべてのエデュトイには「準備」「見本の見せ方」「声かけ」などを丁寧に記載した保育案を付け、保育の5領域との関係性や子どもへの声掛け例も盛り込みました。
これにより、未経験の方でもすぐに実践でき、保育者の負担なく新しい教材を導入できるよう配慮しています。さらに、保育者が手作りする負担を減らすため、完成した手作りおもちゃを直接提供し、子どもたちが夢中になれる遊びと学びの時間をどの園でも実現できるようになりました。
現場の反響と新たな課題、そして次の挑戦
実際に導入いただいた園からは、「新人スタッフでも安心して保育に入れるようになった」「子どもたちが毎回楽しみにしている」といった声が届いています。
ところが、2019年5月に順調にスタートしたエデュトイプログラムでしたが、7月ごろから「今年の予算が取れるかわからないので年度末の3月まで導入を待ってほしい」との声が増えてきました。理由を伺うと、新人保育士の早期離職が発生し、人材紹介を活用して転職者を採用したため、今年度何人発生するかわからず予算が組めない、という現場の事情が明らかになりました。
この話から、保育士のミスマッチによる早期離職が、現場のおもちゃや教材の予算を圧迫している現実を知りました。
教育を届ける前に、まず採用コストを削減しなければならない。採用コストを削減するために自分たちにできることは何か――。こうした課題意識から、弊社は教育事業から保育士の採用支援事業へと事業の軸足を移していくことになります。
この続きは、次回のブログでご紹介します。
今後も現場の声を大切にしながら、保育の質向上と保育者の負担軽減に貢献していきます。
おわりに
私たちは、現場で培った幼児教育への情熱と経験を活かし、保育園や保育者の皆さまがより安心して働ける環境づくりに取り組んできました。エデュトイやおやこレクプラスといったサービスを通じて、子どもたちの「できた!」という達成感や、保育者の負担軽減に少しでも貢献できればと考えています。
今回のブログでは、幼児教室から保育園向けサービスへの展開、そして現場の声を受けて新たな課題に向き合うまでの歩みをご紹介しました。こうした挑戦の背景には、たくさんの保育者や保護者、そして子どもたちの笑顔があります。
このブログを読んでくださっているあなたにも、私たちの思いや現場での試行錯誤、そして新しい挑戦への決意が少しでも伝われば嬉しいです。もし、私たちの活動や想いに共感し、「一緒に新しい一歩を踏み出したい」と感じていただけたなら、ぜひ仲間として加わってほしい――そんな気持ちで日々活動しています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。現場での苦労や仲間との助け合い、そして新たな挑戦のきっかけとなった出来事を振り返ることで、改めて多くの方々に支えられてきたことを実感しています。
これからも、子どもたちや保護者、そして一緒に働く仲間とともに、より良い教育の場をつくっていきたいと思います。
次回の記事では、こうした経験を経てどのような新しい一歩を踏み出したのか、その後の展開についてご紹介します。
ご興味のある方は、ぜひ次回もご覧ください。