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「育休の取得こそ、妻への恩返し」と語るのは、古澤さん。BODでは、男性初の育休取得者です。“男性の育児休暇”については、段階的に法改正がなされ取得しやすい環境へと移りつつありますが、まだまだ取得をためらう風潮があるのも事実。古澤さん自身、申請するときには勇気がいったと話します。今回、育児休暇を取得した経緯や、実際に取得した感想について聞いてみました。
【プロフィール】古澤優来/大阪営業所 事務職 /お子様(女の子):2021年7月生まれ
育児休暇取得期間:2021年7月末~2022年1月末(6カ月間)
(インタビュー実施:2024年1月)
育児休暇の取得にいたる経緯とは
ーー半年間の育休は、妻からの提案で
私の場合、妻が里帰り出産から自宅へ戻るタイミングに合わせて、半年間の育児休暇を取得しました。育休は、子どもができたと分かった時点で取得しようと思っていましたが、自分としては1カ月くらいを想定していました。ただ、別の会社でフルタイム勤務をしていた妻の方から「せめて半年は育休を取ってほしい」と懇願されたことで、6カ月間の育休を申請することに決めました。
ーー上司への申し出には大きな勇気が…
育休取得を上長に申告する時の気持ちとして、当時はまだ、世間一般的には男性が育児休暇を取得する風潮になっていないと感じていたので、申請にはやはりすごく勇気が必要でした。自分よりもっと上の世代の方はどちらかというと男は仕事、女は家事育児をする、というような考えをお持ちの方も多いのかなとイメージしていたんです。なので、反対されたらどうしようか、嫌な反応をされたらどうしようという不安は強くありました。実際に上司に申し出てみると、ご理解いただけて自分が担当していた業務の後任も迅速に割り当ててもらえたので、すごく助かりました。当時インハウスとしてお客様先に在籍して勤務していましたが、育児休暇を取ることに対しては、BODのメンバーからもお客様先のメンバーからもポジティブな言葉をかけてもらえてうれしかったです。
ーー育休に入る前、業務引き継ぎの心掛け
育休に入る前の心掛けとしては、自分の抱えている問題を全て片付けることですね。マニュアルをしっかり用意して、自分が把握している情報は全て共有することを意識しました。ただ、当時は難題が重なっていた時期でもあり、後任の方には実務だけでなく、業務環境面でのフォローもお願いする形になってしまいました。大変な思いをさせてしまったことに申し訳ない気持ちが強かったです。
育児休暇中の過ごし方、その時感じたこと
ーー沐浴に緊張して、初めて腰痛を経験
育児休暇に入ってからの1日のスケジュールですが、生まれて間もない子どもとの生活は、数時間おきのミルク、おむつ替えはもちろんですが、合間には自分たちの食事の支度、洗濯や掃除、食材等の買い出し、入浴(沐浴)と、1日が目まぐるしく過ぎていきます。自由な時間が少ないようにも感じますが、思い返せば、自由にできる時間はスマホを片手に子どもの写真や動画をたくさん撮っていました。子どもの表情やしぐさはかわいいだけでなく、想像よりも面白いのでLINEスタンプを作ったりもしていました(笑)。
実際にお世話をしてみて大変だったことは、沐浴ですね。最初は耳とか鼻とか目に水が入らないように、すごく神経を使いながら腰を曲げてやっていたので、初めて腰が痛いという感覚を味わいました。身体的に一番きつかったかもしれないです。
ーーパパとママになるために一緒に成長できる
育休中は1日中、妻と子どもと3人で家にいるので、日々の成長を実際に生の目で、近くで見られることが良かったです。それに、私と妻にとっても育児の経験を通して、一緒にパパとママになるための成長ができる期間でした。ただ、子どもとばかり接するのも疲れてくるので、妻と私はお互いに自分の時間、趣味の時間をしっかり確保して、バランスを取ることを意識していました。おかげで本当に有意義な時間を過ごすことができたと感じています。
育休が終わり、いよいよ復職
ーー新たな気持ちで職場復帰
私の場合、復帰するタイミングで新しい業務に移行したので、新鮮な気持ちでスムーズに復帰できたと感じています。6カ月間仕事をしていないので、忘れていることも当然たくさんありました。ですが、復帰後すぐに難易度の高い業務を任せられることはなく、比較的難易度の低い業務から徐々に時間をかけて引き継ぎをしていただけたので、すごく助かりました。完全に職場復帰を実感できたのは、復職後1カ月経った頃でしょうか。ある程度続けていくと身体が思い出してきますよね。
ーー仕事と育児の両立もスムーズに…
もともと子どもが生まれる前から、妻も私も両方で家事をするようにはしていました。家事の分担は「今日の洗濯は誰」という決め方はせず、妻が料理するなら、自分は洗濯する、とか。片方が何かをやっていたら、片方は別のやらなきゃいけないことをするのが、自然とできる関係性だったんです。だからどちらかに任せるのではなく、掃除や洗濯も一緒に協力してやる。休みの日には私が料理を作ったり、平日の仕事の日は妻の方が早いので、妻がご飯を作ったり。うまい具合に家事が偏らないようにしていますね。
男性が育休を取得するメリットとは
ーー「育休の取得こそ、妻への恩返し」
男性の育休取得は、夫婦がまた仕事に復帰して日常に戻った時に大きく影響を及ぼすと感じています。育児休暇期間には、育児の仕方を本当に細かいところまで妻と一緒に考えて、一緒にやっていました。大変な時にもお互いに愚痴をこぼしながらも支え合って、助け合いながら乗り越えたからこそ、育児に対する共通認識が生まれました。
これは職場復帰した後も、例えば片方が残業を余儀なくされたりとか、体調不良で寝込んでしまったりとか、突発的なことが起きたときに、お互いに何か指示をしなくても家事も育児も全て回るような仕組みになっているということです。そこはすごく良かったなと、育休取得のメリットとして感じています。
妻も命がけで子どもを産んでくれているわけですから、妻への恩返しという気持ちもあります。「お疲れ様」とか「ありがとう」といった言葉だけではなく、しっかり育児休暇を取って一緒に子育てをしていくこと。これが一番の恩返しだったのではないかと、今になって自信をもって言えますね。
育児休暇をとってみようと思う男性へメッセージ
ーー「育休取得の先には、円満な家族生活が…」
パートナーから「あなたは働くことに専念して」と言われない限りは、育児休暇の取得をおすすめします。実際に育児休暇をとって育児をしたから言えますが、1年は取りましょう。保険組合から2カ月に1度きちんと入金されますので、不安に思うことはないですよ。
子どもの0歳から1歳の成長は本当に一瞬で、写真を見返すと別人かと思うほど本当に変わります。子どもの貴重な成長の瞬間を動画ではなく、自分の目でパートナーと一緒に見届けて、一緒に喜んでほしいです。育休取得の先には、何のストレスもない円満な家族生活が待っていますよ。当然ですが、休暇を取るだけ取って育児をあまりしないのではなく、率先して育児を行うことが大前提にはなりますが…(笑)。
ーー男性も育休取得が当たり前になってほしい
女性だったら、子どもができたという申告があったら「休暇を取るんだな」と認識されると思いますが、男性って申告しない限りは、なかなかそうならないと思うんですよ。そうではなくて、上司に「子どもができました」と言ったタイミングで、「おめでとう。育児休暇はどうするの?」と、育休を推進する環境が定着していくと一番いいなと思いますね。もし第2子ができたら…、そのときも取ります!
※編集注)2022年4月施行「改正育児・介護休業法」により、企業は従業員からの妊娠・出産の申し出があった場合、男性育休を含む育児休業制度の通知・説明、取得促進のための意思確認が義務化されています。BODでも積極的に取り組んでいます。
古澤さんの奥様からもメッセージをいただきましたので、ご紹介いたします。
ーー【奥様からのメッセージ】
育休中は意思の疎通が図れない赤子とばかり毎日接することになります。
大人との会話がない日々は予想以上に孤独で精神的に参ってしまい、泣き止まない子どもに親の方が泣きたくなることも多々ありました。
しかし私の育休と夫の育休が重なっている間だけは夫と話ができるので、育児の相談ができたり、愚痴をこぼしあったりと、1人で過ごす育休期間に比べてかなりまともな精神状態で過ごすことができました。
0歳児育児のつらい時期をともに経験したからこそ、今私達は「あの時は大変だったよね、懐かしいね」と言い合える戦友になれました。
もし夫の育休が数週間や1カ月程度だったら、「私はあの時こんなにつらかった。でも、あなたには分からない」と恨みが積み重なり、一生消えない溝となっていたはずです。
育児「休暇」という名とは裏腹に、一息つく余裕も無くただひたすらに慣れないお世話をこなす日々。
育休期間をどれだけ長く一緒に過ごしたかで、その後の数十年に渡る夫婦関係が決まる…育休を終えた今、心からそう感じています。