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Vol.2 自然と共に生きる、私たちの環境問題への価値観

Text by 水谷彩 , Head of PR & Creative Leader

「馴染みの中華食堂には潰れてほしくない」というだけのシンプルなはなし

ーなぜSANUは「自然の中へ繰り返し通い、生活を営む」新しいライフスタイルを提案しているのか?

それは、至ってシンプルなことです。

例えば、あなたの馴染みの中華食堂が経営不振で閉店しそうになっていたら。

きっとあなたは、仲間を誘って足繁く店に通うでしょう。まだその店に行ったことがない友人には、おすすめのメニューを提案するでしょう。そのお店を好きになって、直面する危機を共に救ってくれる仲間を1人でも増やすために。


この「あなた」をSANUに、「中華食堂」を自然に、「仲間や友人」を会員のみなさんに置き換えると、SANUが目指していることがいかに単純明快であるか、おわかりいただけると思います。

「環境問題」という言葉の周辺には、「○○をしてはいけない」「XXをするべきだ」と、目の前に正義の剣を突きつけられるような、強いメッセージが溢れています。どれもこれも、正しい主張であるはずなのに、私たちの意識をするりとすり抜けていってしまう。

私たちの仮説はこうです。

自然の中へ繰り返し通うきっかけさえ作れば、自然の美しさや圧倒的な存在感に、きっと心を動かされ、好きになる。(あのレバニラ定食や青椒肉絲の美味しさに心を動かされたように。)

人間は、好意を行動で表す生き物です。多くの人が繰り返し自然の中へと通い、自然を好きになれば、きっと自然を大切にするために日々の行動が変容していく。それはやがて習慣になり、必ずや大きなムーブメントになる。

そんな願いを出発点に、月額制で自然の中にもう一つの家を持つ「SANU 2nd Home」が生まれました。

キャビンのライフサイクルを包括的に捉えた設計

SANU 2nd Homeに登録すると、都市にあるご自身のファーストホームに加えて、都心からアクセスのいい各地の自然立地に建つオリジナルの「SANU CABIN」をセカンドホームとして利用することができます。(※2022年4月現在、八ヶ岳に1棟だけ「SANU CABIN」と異なるリノベーションモデルのキャビンがあります。)

設計・施工パートナーであるADX社と共に「SANU CABIN」を独自開発する中で、旧来型観光開発の課題(= 開発の環境負荷が相当高い上に、解体にも莫大なコストがかかるため手が付けられない)を根本から解決するため、原料調達、建設、運用、解体と4ステップにわたる包括的なサーキュラー建築(※1)を模索してきました。

※1 サーキュラー建築: 資源の価値を減らすことなく再生・再利用し続ける仕組みづくりを軸に据えた循環型の建築設計のこと

原料調達:国産材を100%使用、木のFarm to Tableを実現

SANU CABINに使用する木材は、持続可能な森づくりに取り組む釜石地方森林組合から直接調達し、国産材を100%使用しています。また、製造過程で多量のCO2排出を伴うコンクリート・鉄の材料使用量を80%削減しています。

建設: 木を切らない開発と風を止めない建築

キャビンを建てるときはまず敷地内の木の本数や樹形を全て特定します。伐採する木の本数を最小化できるようキャビンを配置し、生態系への負荷を最小化しています。

また、SANU CABINは(日本古来の高床式建築のように、)地面に打ち込んだ6本の杭の上にキャビンを建てています。コンクリートを大量に使用する一般的なべた基礎工法に比べて土壌への負荷が小さく、風や水の流れを止めません。

さらに、部材ひとつひとつをコンピューターで管理し、パーツを工場で作って現場で組み立てるプレハブ方式を採用しています。部材交換やメンテナンスが容易になることでキャビンの耐久性を高めることに加え、工期短縮によって工事に伴う環境負荷とCO2を削減しています。

運用:再生可能エネルギーや自然エネルギーを最大限活用


キャビン内の電力は、再生可能エネルギー(※1)を利用しています。また、大きな窓が持つ採光や断熱性能、環境負荷の少ないペレットストーブなど、自然エネルギーを最大限活用しています。

※1 非化石証書(再エネ指定)付実質再生可能エネルギー100%の電力を利用しています。

解体:最終的な木材の分解と再利用を見越した建設


建設時の釘やビスの使用を最小化しています。それによりほぼすべての部品を分解できるため、キャビン解体後も木材を資源として再利用することが可能です。

こうした数々の試みが果たして一体どれくらいの効果があるのか、サーキュラー建築先進国であるデンマークの環境建築コンサルティング会社と共に、SANU CABINの建設にかかる環境負荷を調査したところ、1棟あたり約13tのCO2を排出する一方で、木の炭素固定効果(※1)を含めて1棟あたり11tのCO2を吸収・固定化しているという結論に至りました。

※1 木材の炭素固定効果とは、大気中から樹木に吸収された二酸化炭素が、伐採されて木材・木製品に加工された後も木材に固定されたままでいる機能を指します。

収益の一部を植林活動に充てる独自プログラム

SANU 2nd Homeの開発や建築に関わる工夫に加え、SANU全体としても、収益の一部を活用した植林計画を進めています。2022年夏までに、SANU CABIN 初期50棟分に相当する7500本の木を東北・釜石地方の森林に植える予定です。スギなど単一の針葉樹だけで構成される経済林とは異なり、ナラなどの広葉樹を交えた植林を行うことで、天然林に近い豊かな森づくりを目指します。

SANU CABINを50棟建設するのにかかるCO2排出量 650t(13t x 50棟)に対し、植林する7,500本の木が50年間で吸収するCO2の量は5,250t(0.7t x 7500本)。吸収量が排出量を大きく上回り、実質的に4600tのCO2が吸収されるカーボンネガティブを実現します。

わたしたちのこれから

ここまで、SANU 2nd Homeにおける環境への取り組みについてお話をしてきましたが、もちろんまだまだ取り組まなければいけない課題が残っています。

例えば、キャビンの建設や利用時に発生する廃棄物、SANUスタッフや利用者の移動時に発生するCO2、さらにキャビン一つでエネルギーを自給自足するオフグリッド化・・・。そして、そういった課題をSANUスタッフや会員のみなさん、ステークホルダーの方々と一緒に考え、解決策を模索していく「わくわくする場」を作ること。

こうした課題を解決し、SANUをさらに広げていくには、もっとたくさんの仲間の知恵と行動とアイディアとユーモアが必要です。

ぜひ私たちと一緒に、(あのレバニラ定食と青椒肉絲の味を絶やさぬよう)食堂を閉店の危機から救って、こころ健やかな「おいしい生活」を続けていきましょう!

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