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【第1回】セガ データ分析チームのミッションとビジョン:データで創造する新たなゲーム体験

Photo by Carlos Muza on Unsplash

こんにちは! セガの戦略企画部ビジネスアナリティクスセクションでマネージャーをしている竹内です。

セガには事業部を横断してデータ分析を行う専門組織があります。今回は、その分析専門組織である戦略企画部ビジネスアナリティクスセクション(以下、データ分析チーム)の紹介をします。

はじめに:ゲーム業界の未来をデータで切り拓く

創造は生命 Creativity is GENESIS」というコーポレートバリューのもと、セガは常に革新を追い求めてきました。私たちのミッションは「感動体験を創造し続ける」ことであり、世界中のプレイヤーに驚きと感動を届ける新たなゲーム体験を提供することを目指しています。さらに、セガは多くのゲームスタジオを抱え、開発に力を入れている会社です。

データ分析チームは、そのミッションを支える重要な役割を担っています。セガの事業本部に直轄組織として編成されており、各ゲームを開発している事業部に横断的に分析機能を提供しています。

データ分析チームの使命:データで創造を支える

データ分析チームの使命は、単なるデータ解析にとどまらず、ゲーム開発や運営における頼れるパートナーとして機能することです。スマートフォンゲーム、PCオンラインゲーム、コンシューマーゲームなど様々なジャンルで分析を担当しています。ゲームプロデューサーの右腕として、データ分析支援と戦略立案を行い、データと論理力、データサイエンス力を駆使してタイトルの課題解決に取り組んでいます。

組織の構成と連携

戦略企画部はデータ分析を担う「ビジネスアナリティクスセクション」と、データ基盤の維持管理・発展を担う「データエンジニアリングセクション」の2つで構成されています。これらのセクションが連携し、それぞれの強みを活かしながらデータを用いた意思決定に貢献しています。

ビジネスアナリストとデータサイエンティストの違い

セガのデータ分析チームには、ビジネスアナリストデータサイエンティストの2つの主要な役割があります。それぞれの専門性を生かし、相互に協力しながらプロジェクトを進めています。

  • ビジネスアナリスト
    ビジネスアナリスト(以下、アナリスト)は、ゲーム知識、論理力、データ可視化、データ分析力を駆使し、プロデューサーの右腕としてデータに基づく意思決定を支える重要な役割を担います。
    プロデューサーや事業部が抱える疑問や仮説に応じて、さまざまなデータを活用し、課題の本質を明らかにします。さらに、自ら課題を見つけ出し、仮説を立てて検証することで、迅速かつ実践的に問題解決へと導きます。プロジェクトの現場に密接した視点を持ちながら、説明力を高める分析と提案を行う姿勢が求められます。
  • データサイエンティスト
    一方で、データサイエンティストは高度な統計知識やデータサイエンスを駆使し、アナリストでは対応が難しい課題に取り組みます。例えば、不正検知や売上予測といったモデルの構築、そしてその実装を担います。
    データサイエンティストは、アナリストと連携しながら、これらの技術を活用してビジネスに直接貢献します。

扱うデータについて

データ分析チームは、各ゲームサーバーに蓄積されたデータやアプリから送信される行動データ、ユーザーのアンケートデータなど、社内にあるすべてのデータを分析対象としています。また、ユーザーの口コミを分析するためにSNSやユーザーレビューといった社外のデータもスクレイピングして収集し、タイトルが抱える問題に合わせて柔軟にデータ収集を行います。気になる扱うツールや環境、分析基盤の詳細は別記事にて紹介させていただきます。

データ分析チームの特徴

プロデューサーの右腕として、課題解決にデータと論理力を駆使して取り組む

データ分析チームは、アナリストやデータサイエンティストが一体となり、ゲームプロデューサーにとって信頼できるパートナーとして機能します。また、ディレクターやプランナーの相談役としても重要な役割を担います。ゲームが直面する問題や課題を仮説に基づいて特定し、データと論理的思考を駆使して解決策を提案します。これにより、ゲームの質を向上させ、プレイヤーにより良い体験を提供することを目指しています。

事業本部直轄組織で横断的に独立性を持った動きができる

チームは事業本部の直接の組織であり、特定の部署やプロジェクトに縛られずに活動できます。そのため、さまざまなゲームや部門をサポートし、必要に応じて柔軟に動くことができます。この独立性が、より広い視野での課題解決を可能にしています。

新しい挑戦を推奨し、ボトムアップ・トップダウンのバランスが良い

チーム内では、技術的な支援や学びの機会が豊富にあります。メンバー同士で知識や成功事例を共有し、お互いのスキルアップを図っています。特に最近では、生成AIはもちろん、ベイズ推定や機械学習などのデータサイエンスの活用も増えており、最新の技術や方法を取り入れながら常に成長し続けることができます。

3つの戦略的アプローチ

データドリブンな意思決定支援

ゲームの開発や運営において生じる様々な課題に対し、データに基づいた解決策を提供し、スムーズな意思決定を支援しています。アナリストがプロデューサーやディレクターと直接対話し、プロジェクトの成功に向けた適切な意思決定を支えるため、迅速な行動が可能です。

グローバルなデータ基盤の構築と統合

セガのゲームは世界中でプレイされており、Databricksを中心としたグローバルなデータ基盤を活用することで、国内外のプレイヤーのデータを一元管理し、効率的な分析を可能にしています。また、海外のスタジオやRovio社との連携を通じて、統合されたデータから各地域に適したゲーム体験を提供しています。

クリエイティブな発想を引き出すデータ可視化

ゲームの運営時には、素早い対応と的確な意思決定が求められます。そのため、QlikなどのBIツールを用いて定型レポートを自動化し、クリエイターや運営メンバーがインスピレーションを得やすいデータのビジュアライゼーションを工夫しています。複雑なデータでも直感的に理解できる可視化により、新しいアイデアの創出をサポートし、迅速な行動を促します。

データ活用の実績例

1. 不正検知システムでユーザー体験を守る

市販には多くのチート対策ソフトが存在しますが、セガはそれだけに頼るのではなく、独自の不正検知モデルを開発しました。これにより、市販のソフトウェアでは発見できなかった不正プレイヤーの検知が可能になりました。この仕組みが完成したことで不正ユーザーの監視工数を大幅に短縮し、今まで手が出せなかった不正ユーザーへの対応も可能になりました。結果として、ゲームバランスを保ち、他のプレイヤーにとってもより良いゲーム環境を提供しています。

2. Rovio社とのグローバルプロジェクト

フィンランドに拠点を置くRovio社と連携し、グローバル市場でのデータ統合と分析を行っています。異なる文化や市場のプレイヤーがどのようにゲームを楽しむのかを理解し、その知見をもとにゲームデザインや運営戦略を立案しています。これは、異なる文化間のプレイヤーの行動データを融合させ、グローバルな視点での戦略的意思決定を可能にした事例です。

3. ゲームキャラクターの強さ可視化プロジェクト

ゲーム開発において、新しいキャラクターやアイテムの強さや販売方法は非常に重要な要素です。しかし、強すぎてゲームバランスが崩れると、長期的なユーザープレイ体験を損なう可能性があります。そこで、強さと売上の関係や各パラメータがどのように売上に影響しているかをモデル化し、ベイズ推定などの統計モデルを活用して商材の強さを可視化しました。これにより、感覚に頼っていた領域を数式化し、バランスの良いキャラクターやアイテムの開発が可能になりました。

挑戦者求む!

セガのデータ分析チームは、クリエイティブなアイデアとロジカルな分析力を兼ね備え、ゲーム作りに新たな風を吹き込む次世代の挑戦者を求めています。

私たちはゲームが好きで、ただプレイするだけでなく、ゲーム開発・ゲーム分析を通じてお客様に感動や楽しさを届けたいと考えている方を歓迎します。世界初の新しいことに挑戦するのが好きで、常日頃から様々なものに対して洞察を得ながら「理想は何か、そのためには何が足りないのか」を考えて行動できる人を求めています。

「データ分析力で、世界中のプレイヤーに感動を届けませんか?」 セガではデータの可能性を信じ、共に未来を創る仲間をお待ちしています。

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