1
/
5

コロナ禍でも契約継続率99.0%を実現したUPWARD CS戦略 -第2回 実行施策の策定に向けたChurnと既存顧客状況の分析

目次

  • このストーリーについて
  • 現状の把握・分析として行ったこと
  • 分析項目
  • 分析1:過去の5か年のChurn分析
  • 分析2:プロダクトの利用状況
  • 分析3:コロナ禍における既存顧客の動向、方針
  • 分析結果のPoint
  • 1.最注力Pointはオンボーディングの強化
  • 2.現行のプロダクト自体の価値とニーズは確実だが既存顧客の定着化、Churn阻止が優先
  • 3.提案内容は顧客状況や情勢に即した内容にマイナーチェンジすべき
  • さいごに

このストーリーについて

UPWARD CCO (Chief Customer Officer/最高顧客責任者)の剣持と申します。このストーリーではUPWARD Customer Successの戦略を複数回にわたって公開していきます。
なぜこのストーリーを書いているのか、そもそも私がどんな人間なのかという点はぜひ前回(第1回)をご参照いただければと思います。

前回ストーリー
コロナ禍でも契約継続率99.0%を実現したUPWARD CS戦略 -第1回 組織立上げの軌跡-

前回、第1回ということで責任者である私について、CS組織構築の根底にある思い、ならびに、現在のUPAWRD CSチームの立ち上げの歴史を紹介させていただきました。その中で、コロナショックを機に既存顧客の収益を守るため、不安定な情勢における顧客の状況、ニーズを会社として解像度高く理解するためにCSへのリソースシフトとチームリビルドを実施した経緯について書かせていただきました。

一般的なプロセスですが、戦略策定していくにあたり、まずは現状の把握・分析を行いました。今回のストーリーでは、この現状分析としてどのようなことを実施したのか、それを受けてどのような施策を打っていったかについて書かせていただきます。

現状の把握・分析として行ったこと

現状分析、把握は以下の項目に対して行っていきました。以降の章で一つ一つの分析プロセスやその結果、それを受けて実際に行った対策について記載していきます。それぞれの対策に関しては、今回は概要レベルの記載にとどめさせていただき、詳細に関しては次回以降のnoteで順次公開させていただきます。

分析項目

  • 過去の5か年のChurnの再分析
  • プロダクトの利用状況
  • コロナ禍における既存顧客の動向、方針

分析1:過去の5か年のChurn分析

Churn分析は戦略策定する上で最も重要視しました。Churnを最小化するためには、Churnが発生しやすい顧客や状況の特徴を把握し、限られたCSのリソースを対策可能かつ、対策効果が大きい箇所に対して投下を行うということが重要だからです。
具体的な方法としては、過去5か年の全契約更新商談数千件を顧客属性軸、契約内容軸といった複数観点で集計、分析していきました。

傾向①
解約原因で最も多かったのが「初期定着(オンボーディング)の失敗」という理由での解約で全解約理由の1/4程度でした。いくつかの実ケースを確認したところ、大部分がニーズ自体はマッチしているにもかかわらず、受注後のオンボーディングを顧客または構築業者(インプリパートナー)に任せきり(俗にいう売りっぱなし)になっておりました。結果的にオンボーディング活動が十分に行われず、十分に活用されず解約のご判断をされていました。
これらの原因は適切な対策をとることにより一定の改善が見込めるため「対策可能な原因が最も比率が高かった」という結果はある意味、対策がわかりやすく、ポジティブな結果でした。そのほかの原因として多かったのは「顧客の体制変更」「推進者不在(異動や退職)」「営業戦略の変更」「ニーズと合わない」といったものでした。これらも一定の対策により削減できるものではありますが、顧客側の事情、都合に多分に依存するもので劇的な改善は難しい可能性が高いためです。

対策①
オンボーディングプロセスの徹底的な改善を行いました。具体的には、オンボーディングに特化したチームを切り出すことと、そのチームにてナレッジの蓄積や仕組み化を行い品質の底上げを行うことに取り組みました。この点に関しても詳細は次回以降の記事に譲ります。

傾向②
新規開拓営業の効率化目的で導入した顧客が2~3年目でChurnしている傾向が高い。一定の新規開拓営業をやり切った際に利用用途がないと判断されて解約している。既存顧客営業向けの利用方法にシフトしていただく提案をすることでChurnを阻止できた可能性があったが、そもそもその変化をキャッチできていないため適切なタイミングで提案ができていない。

対策②
顧客との定期接点をCSMのアクティビティKPIとし、定期接点の中で顧客のビジネス変化を速やか検知できる仕組みを構築しました。

傾向③
自社で設計していたヘルススコアとChurn可能性に一定の相関性あることがわかりました。ヘルススコアが良いほどChurn Rateが低い、つまり、設計済みのヘルススコアが一定レベルでワークしていることがわかりました。

対策③(これは対策ではないですが)
現状のヘルススコアをよりどころにしたオペレーションが実施可能。ヘルススコアをChurnリスク把握の根拠に利用すること、各顧客に対する対応プランを検討する際の中間目標としてヘルススコアのアップを設定することが一定の効果があることが確認できました。

ちなみに、余談になるのですが、この分析において大変幸いだったのが、過去の全更新商談の状況および既存顧客情報が一定程度自社のSalesforce環境にかなり正確に記録されていた点です。これにより、今あるデータをたいそうなクレンジングなどをすることなく、信ぴょう性のある分析が行えました。これまでのCSの方々が限られたリソースの中、オペレーションルールを守りSalesforce上のデータを保全してくれていたことに感謝しつつ、今後に関しても、自社内のオペレーションルールの徹底、データの保全に関しては強い意志を持って推進していこうと実感した事象でした。

分析2:プロダクトの利用状況

次に分析したのがプロダクトの利用状況です。主な分析目的は、コロナがプロダクトの利用状況にどの程度影響が出ているのかを確認することでした。利用状況が悪化したまま改善傾向がみられないようであれば、CS活動による対策だけでなく、プロダクト開発の大幅な方針転換などが必要だと考えておりました。

結果としては弊社にとってはポジティブなもので、1回目の緊急事態宣言時には大幅な利用率、利用状況の悪化傾向がみられましたが、それ以降は改善傾向が続き、コロナ前と大きな差異ない利用率に回復しておりました。つまり、弊社がサービス提供している対面営業を主体とした営業をおこなう企業の場合、完全にオンライン営業にシフトすることはやはり困難であり、一定のオフラインでの顧客接点が必要であるということがデータとしても明確になったと思います。

もちろん、個別ケースで見ると一定数、完全にオンラインの営業にシフトし完全にUPWARDの利用を取りやめたケースもありますが、それは限定的なケースで、全体的な傾向としては上記の通りでした。

分析3:コロナ禍における既存顧客の動向、方針

分析2で定量的な顧客状況を把握したことと併せ、定性的な情報収集を行うべく、既存顧客に対する一斉サーベイを行いました。アンケートフォームへの回答依頼と個別ヒアリングの合わせ技でヒアリングを行い、結果的に大変ありがたいことに、既存顧客のうち60%以上にご協力をいただき回答をいただきました。特筆すべき傾向と、それに対する気づきと対策は以下の通りでした。

傾向①
大企業と中小企業でコロナの影響が大きく異なっていることがわかりました。大企業においては早急にリモートワークが可能な社内インフラの整備が速やかに進み、リモートワークを前提とした営業プロセスの構築が比較的進んでいました。一方で企業規模が小さくなるほど従来通りの勤務形態、営業形態を継続していました。

気づきと対策①
考えてみれば当然なのですが、企業によってリモートワークへの対応状況が異なるという前提で提案、ご支援をする必要があることに気づけた点が大きな収穫でした。従来は企業によってそもそも前提となる勤務環境や営業プロセスが根本から大きく異なるということはなかったのですが、コロナ禍という状況で各企業が働き方を見直す過渡期であるため、企業ごとの前提に沿った提案を行う必要があるという意識づけが行えたことが重要でした。それに加えて、大企業と中小企業でその状況が大きく異なることに気づけたので、これらの点を意識しながら顧客対応を行っていくようにしました。

傾向②
多くの顧客において訪問ニーズ自体は大きな減少はないものの営業プロセスについてはいくつか変化がありました。具体的には、想定はしていた通りですが、「アポなしの飛び込み訪問」を行う企業は大幅に減り、「アポをとった上での訪問」が主流になっていること、オフィスに帰社せず、直行直帰するようにしている企業がやはり多いことがわかりました。

気づきと対策②
これらの全般的な営業プロセスの変化傾向を受けた提案パターンをアセット化していきました。具体的には飛び込み訪問を主体としていたお客様に対し、アポをとったうえで訪問するようなUPWARDの使い方や、直行直帰を前提とした営業を行う上でUPWARDが有効であるということを説明・訴求するための提案資料、提案シナリオを整備していきました。

傾向③
多くの企業において、「今後はより効率的な方法で訪問営業を再開したい」という意向を持ちつつ、直近では「リモートワーク可能な環境整備」「インサイドセールスの強化」といったオンラインでの営業が可能な環境、プロセスの整備が優先テーマになっていました。

気づきと対策③
これは対策ではありませんが、多くの企業において対面営業の必要性の認識は低まっておらず、すなわちUPWARDのニーズはあり続ける点が確認できた点は安心材料でした。一方で想定していた通りですが、優先的な投資対象はUPWARDのようなサービスではなく、リモート、オンライン営業に関連する部分であることも確認できたため、直近の市況において新規売上を大幅に上げることは難しく、直近の既存顧客の契約の更新を確実に行い、足元の収益を守ることが重要であることを再認識しました。

分析結果のPoint

長々と分析内容と結果を書かせていただきましたが、改めて特に重要だったPointをまとめます

1.最注力Pointはオンボーディングの強化

前述した通り、直近数年、売りっぱなしによる「初期定着の失敗」がChurn理由の大多数を占めており、これは適切な対策で削減可能であることが見込まれるため、対策効果が大きいと判断し、要注力Pointと位置付けました。

2.現行のプロダクト自体の価値とニーズは確実だが既存顧客の定着化、
  Churn阻止が優先

コロナ、緊急事態宣言の影響で一時的にプロダクトの利用が落ち込んでいたものの、利用状況が復活傾向にあること、顧客にも今後も対面営業実施の意向があることが確認できたため、UPWARDのプロダクト自体は間違いなく今も、今後も現場でニーズがあるものだとわかりました。つまり、プロダクトは今のまま大幅な戦略変更をせずとも、自身をもって顧客に提案できるものであることが確認できました。
ただし、今は多くの顧客がUPWARDが対象にするフィールドセールス、サービスの領域に投資を行うコンディションではないため、現状のライセンスを確実に定着化させ、Churnを阻止することを最優先に考えるべきで、新規顧客の獲得やExpansionには取り組むものの、劇的な成長は見込めないこと思われました。つまり、実施しようとしている、営業組織全体としてのCS注力の戦略は適切であることが確認できました。

3.提案内容は顧客状況や情勢に即した内容にマイナーチェンジすべき

2.の通り現状のプロダクトの一定の価値、ニーズがあることが確認できた一方で、(ある程度わかっていたことですが)顧客側の働き方、営業プロセスはコロナをきっかけに大きく変化していることがわかりました。したがって、すくなくともこれまで顧客へ訴求、提案してきた内容をそのままやり続けることは適切でなく、分析で分かった状況の変化に沿ったものにマイナーチェンジしていく必要があることがわかりました。
加えて、弊社も、顧客も、今後の情勢がどうなるかわからない中、手探りで施策を打っているような不安定な状況であったため、常に顧客動向を解像度高く確認するべきであるということも改めて強く認識しました。

これらの分析を通し、優先度をつけながら実行施策を順次打っていきました。分析結果は、想定通りだったものも多かったですが、想定通りであることの裏どりができたこと含め定量、定性の両面で確認を行ったことが重要であったと考えており、非常に有効であったと考えております。

さいごに

次回以降のストーリーではこれらの内容を受け、実際にどのような実行施策を打っていったのかを具体的にご紹介させていただければと考えております。
ご興味頂いた方はぜひ「いいね」をお願いします。

また、採用も積極的に行っております。UPWARD CS(あるいはそれ以外の部門でも構いません)にご興味ある方、まずはカジュアルにwebでお話しすることも可能ですので、以下TwitterまたはLinkedInにてDMお待ちしております。

オフィスへのご来社も大歓迎です。2022年8月に、にさらなる事業成長に向けた拠点として、WeWork 日比谷FORT TOWERに移転いたしました。虎ノ門駅や新橋駅から徒歩圏内でありアクセスしやすい場所にありますので是非お気軽に遊びに来てください。

Twitter(UP_kenmochi)
フォローお待ちしております

Linkedin
つながり申請お待ちしています

note
是非ご覧ください

Invitation from UPWARD株式会社
If this story triggered your interest, have a chat with the team?
UPWARD株式会社's job postings
1 Likes
1 Likes

Weekly ranking

Show other rankings
Like Kenmochi Takuya's Story
Let Kenmochi Takuya's company know you're interested in their content