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【社員インタビュー】シェフの舌は、最高の武器になる。ミシュランシェフ、大手飲食チェーン、そしてスタートアップへ。異色の「味の翻訳家」が語る、開発の最前線

「正直、辞める気はないんですよ。なぜなら、面白いから。この会社が、仲間たちが、どこまで行くのかを自分も一緒に見てみたいんです」

迷いなくそう語るのは、株式会社シコメルフードテック(以下、シコメル)の企画開発部で活躍する高政さん。

ドイツのミシュラン掲載店で料理長を務め、帰国後は大手外食チェーンで商品開発を担当。まさに「食のプロ」が、その経験を「武器」に変え、シコメルで前例のない開発に挑む。その醍醐味について、深く、熱く、語ってもらいました。


高政 克昌 / 企画開発部 

実家の居酒屋をきっかけに料理の道へ。辻学園調理・製菓専門学校を卒業後、ドイツへ渡る。現地のレストランで腕を磨き、料理長としてミシュランプレート掲載に貢献。コロナ禍を機に日本へ帰国し、最大手外食チェーンで商品開発を経験。2022年、シコメルフードテック株式会社に参画。シェフとしての深い知見と味覚を武器に、お客様のレシピを工場生産用に「翻訳」する、唯一無二の開発スタイルを確立。趣味は古民家再生レベルの本格的なDIY。

ミシュランへの道と、キャリアの転機。すべては「守るべき人」のために。

ーー高政さんのキャリアはドイツのミシュラン掲載店から始まっているのが非常に印象的です。まず、料理人としての原点と、そこに至るまでの経緯を教えていただけますか?

最初のきっかけは、実家が居酒屋だったことです。ごく自然な流れで、いずれは店を継ぐのかなと考え、大阪の調理師専門学校へ進みました。卒業後は一度修行のためにドイツへ渡り、実家に戻ったのですが、自分のやりたいモダンな料理と、昔ながらの居酒屋のお客様層との間にギャップを感じてしまって。悩んだ末に、親に頭を下げて「自分の道で生きていきたい」と伝え、もう一度ドイツへ渡りました。

ただ、当時はまだ若くて、正直に言うと「海外で楽しくやっていこう」くらいの気持ちでしたね(笑)。本気でスイッチが入ったのは、結婚がきっかけです。

ーーご結婚が大きな転機だったのですね。

はい。「家族をしっかり養っていかないと」と、自分の中で覚悟が決まりました。そこから明確に「料理長になる」「ミシュランを獲る」という目標を立てて、当時親しくなった「THE SAKAI Frankfurt」のオーナーシェフが「一緒にミシュランを獲ろうぜ」という情熱的な人だったので、彼と一緒に働くことにしました。二人三脚でがむしゃらに働き、星には届きませんでしたが、ミシュランプレートに掲載されたときは本当に嬉しかったですね。

そのままドイツで永住権も取得し、キャリアを積んでいく未来を描いていました。ですが、次の大きな転機はコロナ禍でした。当時、アジア人への風当たりが強くなったこともあり、家族を危険な目に遭わせるわけにはいかない。そう考えて、日本へ帰国することを決意しました。

レシピを“翻訳”する。料理人でも、開発担当でもない、唯一無二の役割。

ーー帰国後は大手外食チェーンで商品開発を経験されています。レストランの厨房から、企業の開発部門へ。これは大きなキャリアチェンジだったのでは?

やったことのない仕事だったので、不安よりもワクワクのほうが大きかったです。レストランでは多くても一日に数十人のお客様にしか料理を提供できませんが、商品開発なら、自分の関わったものが何万人、何十万人の口に届く。そのスケールの大きさに魅力を感じました。

「某大手寿司チェーン」の和牛フェアなどを担当し、初めて工場の製造ラインを見て、自分の作ったレシピがトン単位で生産されていく光景には大きなやりがいを感じました。ただ、一方で大手ならではの難しさも痛感しました。

特に印象的だったのは、大手牛どんチェーン店のフィリピン担当として開発をしていた時です。現地で何か問題が起きてフィードバックを返すのに、また時間がかかる。現場との距離感や、大手ならではの難しさが、自分には合わないと感じるようになりました。

ーーその経験が、スタートアップであるシコメルへの転職に繋がるのですね。シコメルでは、どのような役割を担っているのでしょうか?

僕の仕事は、大きく言うと「レシピの“翻訳家”」ですね。お客様である飲食店さんからお預かりしたレシピを、そのまま工場に持っていっても、同じ味は再現できません。使う機材も、火の入り方も、調理スケールも全く違うからです。そこで僕たちが間に入り、シェフの意図を汲み取りながら、工場で生産できる「言葉(=レシピ)」に翻訳し直す。この工程こそが、最も重要で面白い部分です。

時には、お客様から商品サンプルだけをいただいて、「これを再現してほしい」とゼロからレシピを書き起こすこともあります。パッケージの裏面を見たり、自分の舌と経験を頼りに味を組み立てたり。まさに、料理人としての経験がダイレクトに活きる瞬間ですね。

また、シコメルには「シコメルキッチン」という自社キッチンがあり、工場では50kg未満の小ロット生産を、私と他のメンバーで担当することもあります。この小回りの利く柔軟さと、工場との太いパイプの両方を持っているのが、シコメルの強みだと思います。

サンプルなし、言語の壁。ゼロから挑んだ、万博チェコ料理開発秘話。

ーーこれまでで最も印象に残っている開発案件について教えてください。

間違いなく、大阪・関西万博のチェコパビリオンで提供する料理の開発ですね。これは本当にすべてが手探りでした。

依頼があったとき、僕たちの手元にあったのはチェコ語で書かれたレシピだけ。完成形のサンプルも、写真すらなかったんです。僕自身、チェコには行ったことがありましたが、もちろんチェコ料理を専門に作ってきたわけではありません。

ーーサンプルなしで、未知の料理を開発する。想像を絶する難しさですね。

はい。まずはチェコ語のレシピを翻訳ツールにかけ、YouTubeで現地の調理動画を探すところから始めました。日本で手に入る食材でどう再現するか、自分の知識を総動員して一度レシピを起こし、試作してみる。でも、作ってみても「これが本当に正解なのか?」が分からない。本当に大変でしたね(笑)。

特に苦労したのは、工場への落とし込みです。この案件に協力してくれたのは、普段は中華の肉まんなどを作っている工場さんでした。当然、チェコ料理のノウハウはありません。そこで、工場の開発担当の方にシコメルのキッチンまで来てもらって、二人で一緒に試作を重ねました。「このスパイスの感じはどうですかね?」「この煮込み時間でいってみましょうか」と、顔を突き合わせて一つのゴールに向かっていく。このプロセスがあったからこそ、最終的に工場での安定生産に繋げることができました。

レシピを起こすのも、試作するのも、工場に落とし込むのも、すべてが苦労の連続でした。でも、だからこそ、無事に完成してお客様に届けられた時の達成感は、今までで一番大きかったかもしれません。

▼チェコパビリオンで提供している料理の一つ

「素直であれば、いい」。元・頑固な料理人が、チームと未来に懸ける想い。

ーーシェフの世界は「職人気質で頑固」というイメージもありますが、高政さんからはチームでの連携を非常に大切にされている印象を受けます。

昔は僕も、そういう頑固な料理人になりかけた時期があったんですよ。「俺がやってやる」と一人で全部抱え込んで、周りを頼ろうとしなかった。でも、そういう時って決まってうまくいかないんですよね。人は辞めていくし、料理の質も上がらない。

印象的だったのは、あるスタッフにデザートづくりを任せてみたときのことです。普段は口数の少ないタイプだったのに、「こんなデザートを作ってみたい」と自分からアイデアを出してくれて、どんどんイキイキしていったんです。仕上がったデザートは、お客様にも好評で、僕も驚くくらい完成度が高かった。

その経験から、一人でやれることには限界があるし、それぞれの得意なことを持ち寄ったほうが、絶対に良いものが生まれると学びました。シコメルには、元飲食チェーンの料理長や、問屋さん出身のメンバーなど、様々なバックグラウンドを持つプロがいます。僕は料理のことは教えられますが、PCスキルや購買の知識では彼らに敵わない。お互いにリスペクトし、教え合いながら、チームとして動くことを常に意識しています。

ーーそんな高政さんが、これから一緒に働きたいと思うのはどんな人物ですか?

一番は「素直な人」ですね。スキルや経験は、後からいくらでも教えられます。現に、シコメルキッチンで一緒に働いてくれているメンバーも、ほとんどが未経験からスタートしていますが、今では僕が安心して任せられるくらいに成長してくれています。

分からないことを「分からない」と言える。人の意見を素直に聞いて、まずはやってみようと思える。そういう前向きな姿勢さえあれば、きっとどこまでも伸びていけるはずです。

正直、最初は「スタートアップってピリピリした雰囲気で、尖った人ばかりなのかな」と思っていたんですよ。でも、実際に入ってみると全くそんなことはなくて。うちは「素直でいい」「まずやってみよう」と背中を押してくれる会社なんです。だからこそ、素直な人ほど、ここでのびのびと成長していけると感じています。

ーー最後に、この記事を読んでいる未来の仲間にメッセージをお願いします。

もしあなたが、今の仕事に「もっとスピード感が欲しい」「自分の力を試したい」と感じているなら、シコメルは最高の環境です。大手企業のような歯痒さはありません。お客様や工場の担当者と直接向き合い、自分の判断とスピードで、物事を動かしていく実感を得られます。

レストランのシェフ経験者の方には、「自分の料理経験が、こんなにも広く、深く、人の役に立つのか」という新しい発見が待っています。お店の仕込みの苦労を知っているからこそ、お客様の課題を解決できた時の喜びは格別です。

僕自身、この会社がどこまで大きくなっていくのか、どんな面白い未来を見せてくれるのか、楽しみで仕方ありません。あなたの経験は、ここで間違いなく「武器」になります。僕たちと一緒に、飲食業界の未来を変える、面白くてやりがいのある挑戦をしませんか。


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