【代表インタビュー】「才能の架け橋を世界に」日本の人手不足と、世界の機会不足に挑戦するヒトキワの軌跡
「『ありがとう』という言葉は、何回言われても嫌な気持ちにならない。その言葉が、僕のビジネスのすべての原動力です。」
そう語るのは、株式会社ヒトキワの代表取締役、金子拓也。彼のキャリアは、日本の“当たり前”のレールからは少し外れた場所から始まった。学歴や経歴というフィルターを、自らの行動力で壊してきた若きリーダーは、なぜ「外国籍人材支援」という事業にたどり着いたのか。その軌跡と、ヒトキワが目指す未来に迫ります。
金子 拓也 / 株式会社ヒトキワ 代表取締役
1995年、兵庫県出身。高校卒業後、オーストラリアへ3年半留学。現地で日本人留学生を支援するエージェント業務などに携わる。帰国後、複数の事業を経験し、株式会社ヒトキワを共同創業。自身の海外経験を元に、国籍という垣根を越え、誰もが挑戦できる社会の実現を目指す。
原点は、海外で知った“助けられる”喜びと、ビジネスの面白さ
ーーまず、金子代表のキャリアの原点についてお伺いしたいです。
学生時代はずっとサッカーに打ち込んでいて、海外サッカーが好きだった影響で、自然と「海外」や「英語」に興味を持つようになりました。ただ、当時は明確にやりたいことがあった訳ではありません。周りの友人たちが日本の大学を目指す中で、「みんなと違う選択肢を取りたい。」という気持ちがあり、学生ビザで働きながら学べるオーストラリアへ行くことを決めました。
ーーオーストラリアでの3年半は、どのような経験でしたか?
最初の1年は、正直かなり苦労しました。裕福な家庭ではなかったので、周りの日本人留学生との生活水準の差は歴然で…。一日500円で暮らすような節約をしながら、「このままでは生活できない、自分で稼がないと。」と懸命に工夫する毎日でした。この経験が、自分の力で道を切り拓くことの大切さを教えてくれました。
ーーそのご経験が、今の事業の原点になっているのでしょうか。
まさにそうです。その頃、留学エージェントを経営する日本人社長と出会い、彼のもとで、ワーキングホリデーで来たばかりの日本人をサポートする仕事を手伝うようになったんです。携帯電話の契約から、ホームステイ先の斡旋、仕事の紹介まで。異国の地で困っている人を助け、彼らから「ありがとう。」と言われることに、大きなやりがいを感じました。
「誰も損しない」ビジネスモデルで、日本の“当たり前”に挑む
ーー帰国後、すぐに現在の事業を始められたのですか?
いえ、帰国後は自らもインバウンド関連のビジネスなどを手掛け、起業家としての経験を積んでいました。そして、共通の知人を介して、現在の共同創業者である兼松と出会ったんです。そして、彼がすでに外国籍人材の紹介事業を手掛けていることを知りました。それは、まさに日本の社会課題である「人材不足」を解決に導く、大きな成長可能性がある市場でした。
事業について調べる中で、特に僕が注目したのは、東南アジアの若者たちが持つ「日本で働きたい」という強い熱意の根源です。実際に現地を訪れて目の当たりにしたのは、現地の月収と日本で得られる収入の圧倒的な差、そして彼らが家族を支えるために抱く切実な想いでした。その想いと、この成長市場を掛け合わせることで、大きな事業を創れると確信したんです。まずは僕が彼のもとで子会社を立ち上げ、半年後に事業を統合する形で、ヒトキワを本格的に始動させました。
ーーその想いを実現するために、ヒトキワではどのような事業を展開されているのでしょうか?
私たちの事業の根幹は、「国際人材向け教育事業」と「人材紹介事業」です。まず、オンラインの教育サービスを通じて、海外にいる候補者の方に、日本のビジネスマナーや面接の仕方を教えます。そして、その教育課程を修了した優秀な人材を、人手不足に悩む日本企業様にご紹介する、という流れです。
ーー多くの人材会社がある中で、ヒトキワのビジネスモデルには、どのような独自性があるのでしょうか。
最大の特徴は、企業様からは費用を一切いただかず、日本での就職を目指す候補者の方に教育サービスを提供し、その対価として費用をいただく形になっていることです。僕自身が異国で働く難しさを経験したからこそ、日本の企業様が抱える「コスト」や「言語」といったハードルを可能な限り取り払い、まずは一度会って、彼らの本当のポテンシャルを知ってほしい。その一心で、このモデルを創りました。
ーー他社が簡単に真似できない、このモデルの強みはどこにあるのでしょうか?
海外現地の日本語学校と、中間業者を介さず直接提携している点です。他社のように、人材の「仕入れ」にコストがかからないため、企業様への無料紹介が実現できています。また、大手企業が参入しにくい「日本語レベルがゼロに近い層」から、独自の教育システムで育成することで、他社にはない広大なポテンシャル層にアプローチできています。これが、私たちの競争力の源泉です。
ーーそのユニークなビジネスモデルを通じて、ヒトキワはどのような未来や社会を実現したいとお考えですか?
はい。私たちのパーパス(存在意義)は、「才能の架け橋を世界に」です。日本がまだ知らない才能、そして日本のことをまだ知らない才能。その間に確かな架け橋を作り、新しい価値を創造したい。そして、その根底にあるのが「世のため人のために、常識を破壊し才能を届ける」というミッションです。
企業様にとっては採用コストのハードルが下がり、候補者にとっては日本で働くための質の高い教育と仕事を得られる。そして、その出会いを通じて、私たちは社会課題の解決に貢献できる。この三方よしのビジネスモデルこそが、日本の採用の“当たり前”を変えていくと信じています。
多様な仲間と共に、会社を創る。ヒトキワの組織とカルチャー
ーー現在のヒトキワには、どのようなメンバーが集まっていますか?
本当に多様な経歴を持つ、面白いメンバーばかりですね。元子役、元セブン-イレブンの店員、プロポーカープレイヤーを目指していた人…。私自身もそうですが、学歴や過去の経歴は一切気にしません。私たちが大切にしているのは、スキルよりも人間性です。「嘘をつかないこと」「決めたことをやりきること」、それさえあれば、誰でも活躍できます。
ーー創業期から、リファラルで多くの魅力的な方が集まっています。なぜ、「金子代表についていきたい」と思われるのでしょうか。
ありがたいことですね。僕自身が特別な何かを持っているというよりは、ヒトキワが掲げるミッションや、これから創り上げていく未来に、彼らが自身の可能性を重ねてくれているのだと思います。僕も、彼らの成長に全力でコミットする。その信頼関係が、すべてですね。
ーー現在のメンバーのほとんどが営業未経験からのスタートだそうですね。
はい。私たちの採用基準は、学歴や職歴といった表面的なフィルターではなく、その方の持つ人間的な魅力やポテンシャルを重視しています。スキルや経験は、入社後にいくらでも身につけられるからです。
もちろん、ただ現場に送り出すわけではありません。入社後、まずは半日かけてビザの知識など、業務の基礎を学ぶ研修があります。その後は、担当のリーダーがメンターとして付き、OJTで実践的に学んでいく。月に一度の知識研修や、週一回のワークシート提出など、未経験からでも安心して成長できる仕組みは整っています。
ーーその育成方針によって、実際にメンバーはどのように成長されているのでしょうか。
素晴らしい成長を遂げているメンバーばかりです。例えば、医療や福祉といった全くの異業種から挑戦してきたメンバーが、入社から1年足らずでチームのトップセールスになったり、リーダーとして役職を任されたりするケースも珍しくありません。
また、私や役員との距離が非常に近く、日常的に経営の視点や思考法を直接吸収できる環境があります。意欲さえあれば、私たちが持つ知識や経験、人脈さえも惜しみなく提供する。本人がどうなりたいかを共に考え、そのための「挑戦の機会」は、どこよりも多く提供できると自負しています。
ーー個人の成長を支える、チーム全体の雰囲気についてもお聞かせください。
平均年齢が27歳と若く、外国籍の社員もいるので、非常に活気があり、風通しは良いですね。みんな本当に仲が良く、仕事終わりに飲みに行ったり、休日には社員旅行やフットサルなどのイベントで集まったりと、プライベートでもよく交流しています。
営業会社にありがちな、個人成績を競い合うギスギスした雰囲気は全くありません。それは、先ほどお話しした「三方よし」のビジネスモデルだからこそ、誰もが胸を張って、チームで協力しながら仕事に取り組めているからだと思います。
「才能の架け橋を世界に」ヒトキワが目指す、誰もが輝ける世界
ーー外国籍人材の支援には、大きな社会的意義があると感じます。
そうですね。私たちが向き合っているのは、単なる人材不足の解消だけではありません。日本、特に地方に残る、外国籍の方々への偏見をなくしていくことも、重要なミッションです。僕自身がオーストラリアで「アジア人だから」という理由で悔しい思いをしたからこそ、日本で働く彼らには、そんな思いをしてほしくない。私たちの仕事を通じて、一人でも多くの企業様に外国籍人材の本当の価値を知っていただき、彼らが正当に評価され、輝ける社会を創りたいんです。
ーー今後の展望についてお聞かせください。まず、短期的な目標は何でしょうか。
創業時から「スピード感」は何よりも重視してきましたが、今後もそのスピードは一切落とさず、むしろAIの活用やDX化を積極的に進めることで、事業の拡大をさらに加速させていきたいと考えています。
その上で、具体的な事業目標として、国内外にヒトキワ独自の日本語学校を設立することを目指しています。現在はオンラインが中心ですが、物理的な学校という「場」があることで、ブランドとしての信頼性が高まり、より多くの人に来日のチャンスを提供できる。そして、テクノロジーで効率を最大化しつつ、リアルの場では人の繋がりを創出する。この両輪で、事業を次のフェーズへと進めていきます。
ーーその先の、中長期的なビジョンについても教えてください。
最終的には、「外国人採用といえばヒトキワ」と、誰もが想起するような存在になりたい。そのために、支店を全国に展開し、海外支社も拡大していきたいです。そして、将来的には、日本に「ベトナム村」や「ネパール村」のような、国ごとのコミュニティを創りたい。私がオーストラリアで日本人コミュニティに助けられたように、彼らが安心して集い、支え合える場所を作る。それが、彼らの日本での人生を、もっと豊かにすると信じています。
ーー最後に、この記事を読んでいる候補者の方へメッセージをお願いします。
私たちが求めているのは、実はとてもシンプルです。特別な学歴や経験ではありません。まず「嘘をつかないこと」。そして「自分で決めたことを、最後までやりきること」。この二つを、何よりも大切にしています。
もちろん、その上で私たちの「外国籍人材を支援したい」という想いに共感してくれる方なら最高ですね。ヒトキワは、まだまだ成長途中のベンチャー企業です。だからこそ、年齢や過去の経歴は一切関係ありません。成果を出した人、挑戦した人がどんどん報われる、そんな正直な会社です。私たちの仕事は、誰かの人生の大きな一歩に繋がっている。そのやりがいを、ぜひ一緒に味わいませんか?