2022年8月23日(火)〜 2022年9月19日(月)の期間に掲載されたビズリーチ社特集記事の転載となります。
「人類の創造力を加速する」をミッションに掲げ、日本最大級のメタバースプラットフォーム「cluster」を展開するクラスター。2030年までに、10億人のユーザーに愛される「バーチャル経済圏のインフラ」をつくることを目指しており、サービスの基盤開発に携わるメンバーの採用を強化しています。クラスターが描く未来や組織の特徴について、代表取締役CEOの加藤直人氏とプロダクトマネージャーの東峰裕之氏にお話を伺いました。
制限なく「創造」できる社会をメタバースで実現する
代表取締役CEO/加藤 直人
──はじめに、「人類の創造力を加速する」というミッションに込められた思いから教えてください。
私は、「想像力」と「創造力」の掛け算によって人類の可能性が広がると思っています。実際、これまでも人間は想像したものを創造して形にすることで物事を生み出して歴史をつくってきました。子供の頃から今までに、宇宙を旅したり、過去に戻ったり、スーパーマンになったりといった想像をした人はたくさんいると思います。このように想像力の可能性は無限大です。
それに比べて、創造力にはさまざまな制限があります。例えば「空を飛びたい」「スーパーマンになりたい」と思っても、物質や肉体が障壁になり、可能性が狭まってしまうのです。クラスターは、この制限を取り払うことで人の創造力を加速させたい。そこで手段として使っているのが、メタバースの世界やバーチャルなインフラです。物質や肉体から解き放たれ、理想の世界や理想の自分を生み出せる世界づくりにコミットしています。
──クラスターが運営するメタバースプラットフォーム「cluster」とは、どのようなものですか。
「cluster」は、VR・スマートフォン・PCで遊べるメタバースプラットフォームです。特に、「人が集まって経済活動を行えるプラットフォーム」であることにこだわっており、バーチャルイベントの開催実績は世界トップクラスです。このcluster上で、私たちはBtoB向けのエンタープライズ事業とBtoC向けのプラットフォーム事業の2つを展開しています。
エンタープライズ事業においては、法人からイベントを受注して企画制作から、CG制作、イベント当日の配信・運営までをワンストップで提供しており、年間100件以上のイベントを手掛けています。このエンタープライズ事業での利益をしっかりとプラットフォーム事業に投資することで、クリエーターが経済活動を行えるようなバーチャル空間づくりを目指しています。具体的には、ユーザーがカフェやバーを運営したり、新聞のようなメディアを運営したり、宇宙空間で音楽イベントを開いたりと自由に活動をしていて、そのなかから新しいカルチャーや生活スタイルが生まれています。
──コロナ禍の影響によって、事業を取り巻く環境は変わりましたか。
新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年ごろから問い合わせの件数が急増し、ニーズの増大を実感しています。そもそもclusterを正式ローンチした2017年当時は、まだVTuberもほとんどいなかったため、プラットフォームのコンセプトを説明しても周りに理解されないことが多かったのです。
ただ、文明が発達する前から人間は火の周りに集まって自己表現をしていたように、「集まる」ことや「お祭りをする」ことは、人間の根本的な欲求としてDNAレベルで刻まれていると思っていたので、いつか時代の波が来るのではないかと考えていました。そうしたなかでカーボンニュートラルが叫ばれる社会になり、さらにコロナ禍の影響を受けたことで、リアルからバーチャルに移行する流れが10年から20年ほど早く到来しました。さらに「リアルで集まれないからバーチャルで」といった代替的な選択肢としてではなく、「バーチャル空間だからこそできる体験や表現」に目を向ける人も増えてきています。私は「技術の発展よりも人間のリテラシーの変化のほうが時間を要す」と考えていますが、コロナ禍の影響で一気に人の意識が変わったことで、事業に追い風が吹いているように感じています。
「ひきこもり」を楽しめる経済圏をつくる
──クラスターの組織としての特徴や強みはどのようなものでしょうか。
組織としての特徴は、「技術ドリブン」であることです。私も共同創業者もエンジニアであり、社内で一番多い職種もエンジニアです。エンジニア比率が高いだけではなく、GAFAをはじめとするビッグテックに負けないほど優秀なエンジニアが集まっていると自負しています。
カルチャーも当社の大きな強みで、特に「加速」「チャレンジ」「リスペクト」という3つのバリューの実践に努めています。小さな組織で世の中を変革していくようなサービスをつくろうとすると、迷ったときにはアクセルを踏まなくてはなりません。かつ、チャレンジを褒めたたえ、社内のメンバー同士はもちろん、クライアントやユーザーに対してもリスペクトの心を持って、一緒にサービスを成長させていくことも重要です。こうした思いを込めたバリューを、真面目に実践しています。特に「加速」は、clusterのユーザーも口にするほど浸透しています。
──今後の戦略や展望を教えてください。
直近では、「経済圏」の構築に注力しています。具体的には、デジタルアイテムを売買するストアなど、clusterでつくったものを販売できる機能を実装することで、クリエーターが対価を得られる基盤をつくろうとしています。こちらは2022年の下半期にリリース予定です。
もう一つ、注力しているのが「グローバル」です。バーチャルイベントの開催実績が世界一といっても、現状は日本国内の案件がほとんどです。ローカル性が低く、土地に縛られずにクリエーティブな活動をできるのがclusterの理想だからこそ、グローバル進出は必須事項です。すでに「Fate/Grand Order」(北米地域向け英語版)の5周年を記念してclusterの上にスペシャルワールドを構築するなど、グローバル向けのチャレンジを始めています。
中期目標としては、2030年までに10億人のユーザーが利用するサービスをつくり、そのサービスのなかでさまざまなことが完結できるようにしたいと思っています。私はかつて家から出ずに日常を楽しんでいた時代がありましたが、「ひきこもり」はポジティブなものだと捉えています。効率よく情報を取得できますし、クリエーティブなこともできますから。ただ、人との接点がないのは孤独なので、clusterのようなプラットフォームをつくることで、ひきこもっていても人とつながることができ、自分の得意なことで経済活動を行えるような社会をつくれたらと思っています。
「インターネット×ゲーム」の波に乗って、時代の先駆者となる
──今回の採用背景を教えてください。
clusterのプラットフォーム強化のためです。エンタープライズ事業で行うバーチャル空間上でのイベントが利益の源泉ではありますが、clusterの一番のコアはそれらを支えるプラットフォームであり、このインフラにもっと投資をしていかなければなりません。世の中を変えるようなサービスをつくるためには、最終的に数千人規模のエンジニアが必要になると思っています。もちろんプロダクトマネージャー(PdM)やデザイナーの存在も欠かせません。こうした背景から、採用強化に踏み切りました。
──どのような経験やマインドを持つ人材を求めていますか。
メタバースの業界自体の歴史がとても浅いため、メタバースに携わった経験は不要です。実際にメタバースの重要な要素は、ゲーム、Web、アプリなどのさまざまな技術がハイブリッドに使用されているため、そうした業界経験のある方には活躍の機会があります。他にも建築業界や映像業界出身のメンバーが当社で活躍しており、バックグラウンドはさまざまです。今の業界でしっかりと経験を積んでおり、かつその業界で得た知識を転換してメタバースに生かしたいという方に来ていただきたいです。
メタバースの世界では、まだルールが決まっていないことや未整備のことがたくさんあります。だからこそ、自分の手でルールをつくっていきたい方に向いていると思います。また、クラスターが担う役割は、特定のコンテンツをつくって人々を感動させることではなく、感動的なコンテンツが生まれるようなインフラをつくることです。そのため、縁の下の力持ち的な存在として、新しく生活のインフラとなるようなものをつくりたいという方に合っていると思います。こうしたマインドに加えて、迷ったときにアクセルを踏める方、失敗を恐れずにチャレンジをしてそこで学んだことを次につなげられる方、相手に尊敬の念を持ってコミュニケーションを取れる方といった、当社のバリューに沿った方を求めています。
メタバース業界に参画するなら、タイミングはまさに「今」
──今このタイミングでクラスターに参画する魅力は何だと思われますか。
近年はYouTubeやTikTokなどの動画を中心とした「インターネット×動画」領域が市場をけん引してきましたが、これからの20年は「インターネット×ゲーム」や「インターネット×3D」の時代が確実に訪れるはずです。一般の高校生がTikTokに投稿した動画にものすごい数のアクセスがあるのと同じように、「プロではないユーザーがつくったデジタル空間のなかで、皆が遊ぶ」時代が来るに違いありません。だからこそクラスターでは、ユーザーがコンテンツをつくり、好みやコミュニティーでしっかりとゾーニングされて適切なものがサジェストされるような「インターネット×ゲーム」のサービスをつくり、10億人のユーザーに楽しんでもらうことを目指しています。世界を変えるような瞬間はタイミングでほとんど決まると思っているのですが、そのタイミングが今まさに訪れているのです。
これまでの歴史のなかで、パーソナルコンピューターの普及や検索エンジン、SNS、Eコマース、動画プラットフォームの普及に伴って、時代ごとにさまざまな企業がシェアを取り合う「激戦」を繰り広げてきました。これらの市場に、クラスターが今さら参戦することはできません。なぜなら私がその時代に存在すらしていなかったからです。「うらやましい。自分もこの市場でビジネスをしたかった」と思うことが何度もありました。
そして今、「インターネット×ゲーム」や「インターネット×3D」の大きな波が訪れています。間違いなく、この分野が中心地になるはずであり、ここを起点に人々の生活スタイルが変わっていくはずです。2022年を思い返した際に、「あのとき、メタバースの世界に飛び込んでおけばよかった」と後悔しないためにも、チャレンジするなら今しかありません。時代を変えるサービスをつくる気概のある方と一緒に働けることを楽しみにしています。
エンジニアやデザイナーと密に連携し、ものづくりの醍醐味を実感できる。
プロダクトマネージャー/東峰 裕之
──まず、東峰さんのキャリアについて教えてください。
大学時代のインターンから、一貫してWeb業界で経験を積んできました。新卒入社した会社では、デザイナーとしてUIデザインやマーケティング部でのクリエーティブを担当し、2社目ではデザイナーやPdMとして、デザインからマネジメントまで幅広く手掛けた後、2018年にクラスターに入社しました。もともとガジェット収集が趣味でVRデバイスも早い段階で購入しており、「次の10年はVR業界でキャリアを積みたい」という思いがあって、クラスターにひかれたのです。
──現在はPdMとして、どんな役割を担っていますか。
社長の加藤が描くビジョンを高い質でくみ取り、「何をやるべきか」や「どのように進めるべきか」を考え、エンジニアチームやデザインチームに伝えて構想を形にしていく役割を担っています。私はもともとデザイナーですし、インターン時代からエンジニアドリブンの企業でエンジニアとともにプロダクトをつくる経験をしてきました。プロダクトの将来性を考えて的確な意見をくれるエンジニアやデザイナーを信頼しているので、彼らが実現したいことを高水準で理解して、彼らがスムーズに働けるような環境整備を心掛けています。
──エンジニアやデザイナーとどのように連携し、開発を進められているのでしょうか。
クラスターでは、「バーチャル経済圏の立ち上げ」など注力する開発領域にテーマがあったうえで、epicという小さな管理体制を軸に開発を進めています。開発の流れとしては、まず経営陣とともに開発ロードマップのなかから優先順位を決定します。開発する機能が決まったら、PRD(製品要求仕様書)を作成して、エンジニアチームやデザインチームのチームリーダーからフィードバックを受けながら、内容を詰めていきます。完了したら、経営陣とのレビュー会でその内容を発表し、承認をもらいます。
承認を得たら、エンジニアリングマネージャーが実装可能なエンジニアを集めます。エンジニアはモバイルアプリ、Unity、サーバーサイドといった職能を超えて集められます。機能を実現するために必要な人員がそろっているので、epicメンバーのミーティングだけでAPIの調整などのコミュニケーションを完結できます。1人で開発が可能な規模の機能でも必ず2人以上のエンジニアがアサインされ、相談役としてepicに参加します。そして、集められたエンジニアのなかから1人がepic ownerに指名され、以後epicの進行はこのepic ownerに任されます。プロジェクトによって、デザイナーが先に動くケースも、並行して動くケースもあります。epic ownerとやりとりしてさらに細かいところを詰めたら、開発に着手します。開発中も、変更点があれば都度デザイナーや社長に相談をしながら柔軟に対応し、リリースレビューのタイミングで社長からOKをもらえたらリリースサイクルに入ります。
──epicのプロジェクト期間はどれくらいですか。
2週間から1カ月程度を基本としています。例えば直近では、モバイル版のフレンド機能のUIにのみ改修を入れるといったケースが2週間弱で完了しました。一方で、モバイル版、デスクトップ版、VR版、Webサイトの各プラットフォームにそれぞれ実装が必要な機能開発や、直近で開発した「アバターがポーズを取れるようにする機能」のような、プラットフォーム側の開発以外にモーションデータ自体のデザインといったコンテンツ制作が必要になるケースでは、1カ月程度かかることもあります。
──クラスターの開発体制の特徴はありますか。
エンジニアの組織体制が非常にしっかりしていると感じます。レポートラインが明確ですし、業務が属人化しないような仕組みもつくり上げられていて、ある程度経験を積んだメンバーなら誰もがepic ownerを務められるようになっているのです。
また、月に1回「PdMを囲む会」を実施して、エンジニアやデザイナーから意見を聞いてディスカッションする場をつくったり、誰もが気軽に意見やフィードバックを投稿できるSlackチャンネルがあったりして、そこでの声を受けて開発の優先順位が上がるケースもあります。このようなメンバーの意見を聞く仕組みづくりは、現在も進めています。
機能追加などのリリースを出す際に、cluster上で直接ユーザーに発表しているのも面白いところだと思います。私もアバターを通してユーザーと交流し、新機能の説明をしたその場で使用感などを聞けるので、サービスをつくっている実感を強く持てています。
明確なビジョンのもと、スキルを生かして走り切れる環境がある
──エンジニアやデザイナーがクラスターで働く魅力は、何だと思われますか。
やはり一番は、社長のビジョンが明確でぶれないところでしょうか。それだけでもプロダクトが成功する確率は非常に高くなると思いますし、コアな技術を持っている方ややりたいことが明確な方にとって、ビジョンに向けて自身のスキルを生かしながら走り切れる環境があるのは恵まれていると思います。また、SFやアニメや漫画が好きな方は、理想の環境をつくっている「手触り感」が得られて楽しめるはずです。
スタートアップであるため、ビジョンに向けて進む組織の一体感は求められますが、一方でエンジニアやデザイナーの出社は月1回でOKだったり、夜型のメンバーでも働きやすいように曜日によってはコアタイムのないフレックスタイム制を導入したりと、ものづくりに携わるメンバーの働きやすさを重視する環境であることも大きな魅力です。
──最後に、この記事を読んでいる方に向けてメッセージをお願いします。
ベースとなるような情報技術に関する知見があって、VRに強い興味があったり大きな可能性を感じていたりする方であれば、これまでの経験は問いません。例えば、ゲームをはじめとするスマートフォンアプリの開発経験者や、ゲームやアバターのような3DCGにたけた方、多人数の同時接続を支えてきた経験のあるサーバーサイドエンジニア・バックエンドエンジニアの方、動画配信サービスに携わった経験のある方なら、大いに活躍のフィールドが広がっています。社内では、ゲームの有名タイトル制作に携わったメンバーや、VRMなど特定のジャンルに習熟したスペシャリストが多数活躍しています。ぜひあなたの経験を生かして、メタバース業界で働きませんか。