こんにちは。認定NPO法人CLACKの理事長の平井大輝です。
今日は、僕がなぜCLACKを立ち上げたのか、今何ができるようになり、これから何をしてどういう社会を作っていくのかをお話したいと思います。
CLACKの立ち上げ
僕がCLACKを立ち上げたのは自分自身の経験があったからです。
僕が中学の時、親の自営業の廃業や離婚があり、そのせいで高校時代にはお金が理由で様々なことを諦めないといけませんでした。自分の家にお金がないこと、ひとり親家庭でしんどい思いをしたことを相談できる人もいませんでした。
それでも、なんとか国公立大学に進学でき、給付型奨学金などをもらえたことで、今までできなかった様々なことにチャレンジしてきました。
特に「自分と同じような境遇で今しんどい思いをしている子どもに対しできることはないか」という想いを持って始めたのが「ひとり親家庭の子どもへの学習支援」でした。活動の中で、生活困窮、虐待、発達障害、いじめ、大人への不信感で苦しむ中高生たちと出会い、少しでも彼ら・彼女らが将来に希望が持てるようになるための手助けをできないかと試行錯誤していました。
そうして2018年当時に辿り着いたのが、デジタル教育とキャリア教育という手段を通した支援「Tech Runway」です。
3ヶ月間週2回、完全無料で継続的に寄り添いながら、デジタルスキルを学ぶ機会を提供する。学び方を学びながら、成功体験を積み重ね、デジタルスキルも身につけていく。そして、自分の人生を切り拓いていくための土台をつくっていく、Tech Runwayはそんなプログラムとなっています。
僕は先日30歳になったのですが、20歳のときの2015年と比べて、子どもの貧困問題の認知は広がり、子ども支援や学習支援、居場所支援なども増えてきました。孤独孤立対策のために、こども家庭庁や日本財団などの働きかけによって、子どもたちのセーフティネットは以前よりも(まだまだ足りないとはいえ)増えています。
CLACKでも中高生が自由にいつでも3Dプリンターやレーザーカッター、ゲーミングPCに触れられ、プログラミングでも、動画編集でも、電子工作でも自由にできるクリエイティブハブ拠点として、東京都中野区で「テクリエさぎのみや」、大阪市淀川区で「よどがわベース」を運営しています。
「学習支援」から「自立支援」へ
一方で、なんとか支援に繋がった子どもたちが成人した後の出口(社会との接続)は問題となってきています。
生まれ育った環境や本人の特性から、社会に出て「働く」ということのハードルが高い子たち、将来的に望まぬ非正規雇用、無業状態になってしまう可能性が少なくない子どもたちが、いかに、本人が納得のいく働き方ができる”いい仕事”につけるようにしていくか。
CLACKではその出口支援に2024年ごろから、力を入れてきています。そこで取り組んでいるのがTech Runwayを修了した高校生が実際のIT案件に関わり、実践経験を積む、ITソーシング事業の「クエスト」です。また、SalesforceやサイバーセキュリティといったIT分野の中でも特化したスキルを身につけインターンまで実施する「Be Pro」という事業も大手企業と連携し進めています。
そして、ChatGPTを始めとした生成AIが普及している中で、高校生を支援する学校教員の方にAI研修を行う事業「mirAI for Japan」も日本マイクロソフト社の協力の下、展開しています。
「変化の激しい世界の中で、自分で人生を選べる子どもたちを増やしていく」
生成AIやエージェントAIは急速に発展し、”いい仕事”の形は変わっていくことが予想されます。
少子高齢化が進む日本では、2040年には1,100万人の働き手不足が進むと言われています(リクルートワークス研究所調べ)。特に、エッセンシャルワーカー(介護や医療、製造業、サービス業などの現場・対人仕事)の需要がむしろ高まっていくと言われています。
そんな中でも、AI・デジタルはこれからますます、現代の読み書きソロバンになっていきます。とはいえ、ITスキル”だけ”では食べていくのが難しい時代になってきているとも感じます。なので、CLACKではITスキルを身につけることに加え、実際に2030年以降の社会で”食べていける”ようになるための事業を今後も作り続けていこうとしています。
2025年度現在では、年間300名以上の困難を抱える高校生にプログラムを提供できるようになりましたが、ここから2030年に向けて、質を担保しつつ、届けられる人数の桁を一つ変えていくフェーズです。
AIによって急速に変化していく社会の中で、生きづらさを抱える子ども・若者にとって、より良い選択肢を本気でつくっていく。
CLACKでは大きな理想を掲げて、その実装に向けて地道に粛々と事業を進めていける、そんな仲間を募集しています。一緒に、「学ぶ」と「働く」の未来の当たり前を創っていきましょう。