「NPOで働くなんて想像していなかった」
ーー今日はよろしくお願いします。川副さんはこの4月入社ですが、その時は転職活動をされていたんですか?
積極的に転職活動をしていた、というよりはなんとなく転職しても良いかなと思っていたタイミングでした。実は過去に自分たちで事業を創っていくようなオンラインのビジネススクールに行っていた時期があり、「私は絶対にNPOはないな。事業会社だな」と思っていたので、最初は「NPOへの就職」というのは全く浮かんでいなかったのですが、調べるうちにとてもおもしろいことをしているなと思ったのを覚えています。
ーー転職をうっすら考えていたのはどういう背景だったんですか?
40代をどう生きよう、というのが自分のテーマとして数年前からありました。20代は社会人として1人前になるのに必死でした。新卒の会社であるNTTデータジェトロニクス(現:NTTデータルウィーブ)では、アメリカでの大学生活で日本人らしさを忘れてきた私を多くの上長・先輩・同期が支えてくださいました。人生で初めての上司(岡村さん)とは今でも交流があり、娘のように気にかけてくれます。今、振り返ってみると人に恵まれた新人時代でしたし、当時小生意気な私を見捨てず育てていただいことに本当に感謝しています。30代は結婚と出産があり、20代とは生活が一変して家族にしっかり向き合う、という形で生きてきて、「40代をどう生きていくのか?仕事と家族のハイブリッドなのか?」とか色々考えているタイミングでした。ビジネススクールに通ったのもそのテーマがあったからです。
人生初めての上司岡村さんと
実は私には発達障害の息子がおり、困難がある子どもたちに何かできないかなというのはビジネススクールの時も思ってました。ただ自分は福祉寄りのことがやりたいわけではないよなと思う中で、ずっとIT畑で生きてきたこともあって、困難を抱える子どもたちの支援×ITというのはとても自分のバックグラウンドと合致するものでした。
ーーNPOは全く選択肢になさそうなところからの転職でしたが、不安とかなかったですか?
ゼロではなかったです。若い組織だなというのも話の中で感じていたので。ただ、少し前に入社されていた橋本さんの存在や、豊田さんの記事はとても安心材料になりました。
「共感」と「ビジネス」のバランス
ーー今はどんなお仕事をされているんですか?
「クエスト」という事業部で、渉外を中心に担当しています。「クエスト」はCLACKの支援モデルの中では後半のステップに位置する事業で、いわゆる受託開発・ITソーシングの形でCLACKが企業のコーポレートサイト制作などを請け負い、そこで発生する業務の一部を有償で高校生に依頼するということをしています。
CLACKの自走支援モデル(2025.09時点)
ーー最初のオファー時点では、もう少し広くパートナー連携としてのオファーだったと思いますが、NPOでそういう寄付や支援を募ったりする仕事というのをどう捉えていましたか?
難しそうだなというのも、面白そうだなというのもありました。CLACKのことを調べているときに、みなさんが知っているような大手企業やグローバルIT企業が並んでいて、「こんな大きくて有名な企業に対してNPOがどう信頼関係を築いて、支援してもらっているんだろう」というのは興味がありました。
ーーなるほど、実際にやってみる中でどう感じていますか?
クエストはこれまで私がやってきた営業と近い部分もあるといえばあるんですよね。これまでも要件定義して、ワイヤー作ってなどはしてきたので。NPOだからこその難しさみたいなところはまだ突破しきれていない部分もありますが、ビジネス的な部分は比較的早くキャッチできたかなと思います。
ーー高校生にとっての実践の場としての機能と、きちんとビジネスとしてやっていかなければいけないところとそのバランスが大変そうですよね。
クオリティの部分はプロの人たちが入ってくれているのできちんと妥協せずやりつつ、活動レポートとか見ながら「高校生こんなところで格闘していたんだな」と私も学んでいます。現場側では高校生がコーディングしやすいように工夫したりもしています。
あとはこれからのところで言うと、今はどうしてもご紹介だったりとか、すでに別の機会で接点がある企業様が多いので、完全新規ですでにお抱えの制作会社もいるような企業ともお付き合いができるようになっていったら事業のフェーズがさらに先に進むかなと思います。どうやって私たちの事業に価値づけをしていくか、それをどうお伝えしていくかというのがこれからのテーマかなと思います。高校生を助けたいという気持ちは共にしつつ、様々な価値観やバックボーンを持つ仲間たちと相談しながらやれているので、とても面白いです。
「世の中のためになることをしたい」と本気で思った
ーー川副さんにとって色々な要素が重なってのCLACK入社だと思いますが、実際入ってみてどうですか?
40代の転職って難しいところがあるのは事実だと思うので、良いチャレンジができているなと思っています。友人にも「転職したの!?」と驚かれました。
この前豊田さんとも話していたんですが、すごいシンプルに言うとやはり「良い事をしたくなった」んですよね。子育てとかも経験した中で、バリバリ稼がなくても良いからなんか幸せだったと自身を持って生涯を終えたいというか。
もともとずっと働いていたいというのがあって、70歳くらいまでは働くイメージを持ってます。今、父は72歳で母は70歳なんですけどまだ働いていて、「75歳になったら引退する」と言っています。自分もそんな両親を見ているのでギリギリまで働いていたいなというのを常に思っています。
そんな中で年齢を重ねると構造上管理する側に回っていくケースもあると思いますが、現場の手触り感を持ちながら、立場とか役職ではなく自分がやりたいことに向き合えているのはとても幸せだなと思います。
ーーCLACKは「ソーシャルスタートアップだ」というのは節々で言ってますけど、その点でもとても相性良いですね。
NPOであるからこそ子どもたちにとって必要なことを純度高く提供できますし、一方でちゃんと事業を成長させて社会にインパクトを出しに行をこともできるというところでは非常によいバランス感でやれているのかなと思います。
CLACKメンバーと
息子の応援を糧に、高校生たちに少しでも多くの機会提供を
ーー最後に、CLACKのメンバーとしての今後の展望や考えていることをお聞きしたいです。
組織人としては、何よりもクエストで引き受けられる案件を増やし、高校生たちの学びの先にある実践と挑戦の機会をできるだけ多く創りたい。これはプライオリティとしては一番高いものです。
あと個人的な想いとしては、CLACKで働いていることを私の息子が応援してくれていることが大きなモチベーションになっています。「困難を抱える子どもたちを支える会社に入ったんだよ」と話すと、「すごいじゃん!」と色々質問してくれたり、興味を持ってくれています。まだ小学生の息子ですが、彼が中高生になった時のために、私自身も「どうすれば一番良い支え方ができるのだろう」と模索していきたいです。高校生と関わる機会も意外と多いので、彼らへの接し方も含め、どうすれば子どもたちが喜んで前向きになってくれるのか、その方法を探し続けていきたいと思っています。
家族写真
ーーとても素敵な話ですね!クエスト事業のスケールとともに、より多くの子どもたちに実践と挑戦の機会が提供できることを私も楽しみにしています!ありがとうございました!