Beer and Tech 代表の森田です。
資金調達のニュースだけ出て、その後が見えない会社。そう思われていたとしたら、その通りです。
2021年以来、プレスリリースは出すものの、会社としての発信がほぼ止まっていました。会社の動きが止まっていたわけではありません。でも外から見たら、そう映っていたはずです。それは率直に認めます。
リファラルを中心にしてきた社員採用を、久しぶりに本格的に再開するにあたって、まずこの5年間を正直に振り返ろうと思います。格好いい話だけではありません。
目次
① 壊れかけた時期があった
② まず、自分を立て直すことから始めた
③ 事業運営に規律を作った
④ これからの10年で、何をやるか
これから一緒にやる人へ
① 壊れかけた時期があった
コロナ禍、追い風を受けて事業は急成長しました。事業によっては700%を超える成長をしていた時期もありました。その勢いでIPO準備を進め、2021年に5億円の資金調達も完了しました。
でも、コロナが終わると成長は鈍化しました。他のEC企業と同じです。私自身、急成長が長く続くと見込んでいたことが、経営判断としての誤りでした。その見込み違いの結果として、組織・システム・オペレーション・マーケティングのいずれもが成長のスピードに追いつかないまま積み上がり、成長が鈍化した途端に一気に重しになってしまいました。
「IPOに向けて走るぞ」と旗を立て、証券会社も監査法人も契約し、N-2に入るタイミングで、IPO準備の中止を決めました。
走り出した列車の急ブレーキは、組織の歯車を狂わせます。
結果、毎週のように退職相談が発生していた時期がありました。
土日に家族と出かけていても、スマホが鳴ればSlackの退職DMが届き、僕の顔つきが変わる。まさに心ここにあらず、どうやって退職により発生する問題に対処するかが頭の中を駆け巡っていました。
妻には、
「ぜんぜん、私の話も子どもの話も聞いていないじゃん。もう、帰ろう」
「そんな状態で車の運転されても怖いだけだから、運転を変わろうか」
とよく言われました。経営者としての信頼の失墜が、家庭にも影響が出始めていました。
② まず、自分を立て直すことから始めた
正直、やったことは経営のセオリー通り、当たり前のことです。
ただ、組織が崩壊しかけている局面では、経営者がいくら発信しても言葉通りには受け取ってもらえません。何をやってもうまくいかず、急に袋小路に入ってしまったような感覚の中で、自己効力感はどんどん削られ、思考が縮こまっていきました。
変革をリードする経営者の思考が前を向かなければ、どうにもならない。
まずは体から変えるしかないと思って夜中のランニングを始めました。
速くもなんともないペースから。でも毎週続けた。着実に距離が伸び、タイムが縮み、体力がついてきた。小さな「できた」の積み重ねが、削られていた自己効力感を少しずつ取り戻させてくれました。
③ 事業運営に規律を作った
ランニングを続けながら、そのような状況の中でも会社に残り、事業と真摯に向き合い続けてくれたメンバーと一緒に取り組んだこと。
それは一言で言えば、事業運営に規律を作ることでした。
急成長の時期は、成長さえすれば帳尻が合うはずという楽観的な期待により、しっかりハンドルを握っていなくても組織は同じ方向に走ることができます。でも成長が鈍化しはじめた途端、その曖昧さが一気に露わになる。
仕組みが成長のスピードに追いつかなかったのは経営の判断ミスであり、そのしわ寄せをメンバーに負わせてしまいました。何がドライバーで、何がグリップポイントなのか。目標数字を決め、見える化し、一つひとつメンバーと話し合いながら言語化していきました。
ただ、規律作りは総論賛成・各論反対になりがちです。
例えば、オペレーションの規律を機能させるには商品点数を絞りたい。でも売上を伸ばすためには商品点数を増やしたい。規律を導入しようとするたびに、こういう対立がありました。その対立を解消するために主にやったことは以下の3つです。
ビジネスモデルのチューニング
自社出荷にこだわってきたモデルから、古い産業の未来をつくるというミッションに立ち返り、産地と顧客を直接つなぐ産地直送の仕組みと自社出荷を組み合わせたハイブリッド出荷モデルへ転換しました。Amazonが自社出荷とマーケットプレイスを両立しているように、自社出荷オペレーションと産地出荷を並列させることで、ラインナップの拡充とオペレーション規律を現実的に両立させる構造を作りました。規律化の障壁だった対立構造そのものを解消しました。今では両者が支え合い、産地直送の出荷パートナーも50産地を超えるほど成長しています。
組織構造の転換
機能別組織から事業部制へ移行しました。機能別組織では各商品カテゴリを横断してマネージャーが関わるためリソースが分散し、オペレーションとマーケティングの要望が噛み合わないときの意思決定者が不明確なまま、双方の本部長は調整に時間が取られていました。問題の解決に時間がかかってしまうと現場からの信頼はどんどんなくなっていきます。各事業部長に権限を移し、事業ごとに素早く判断できる構造にしたことで、規律を機能させるスピードが一気に上がりました。
制度の整備
働き方のルールの明文化から始め、Valueを再策定し、評価制度に紐づけるところまでやりました。ルールが決まっていないことは、事業の成果以外のところで摩擦を生みます。リモート勤務の方が勤務時間中に出荷拠点から自宅へ戻って作業するのはOKなのか、NGなのか。そういうことを一つひとつ明文化して、摩擦を減らしていきました。その上でマネージャーがメンバーに繰り返し求めている行動をValueとして言語化し、評価制度に連動させました。「何をすれば評価されるか」が全員に見える状態が、規律の土台になりました。
こうした変化の中で、リファラルで新しいメンバーがジョインしてくれるようになりました。自分の友人を紹介したくなる組織に変わったことの、一つの答えだったと思っています。
そしてこうした当たり前のことを積み重ねていったころ、創業10周年のパーティーがありました。取引先や株主の皆さんから、これまでの感謝と、これからの期待をもらいました。いろいろな失敗をしながらも、この産業を変えようとみんなで挑戦してきた10年の尊さを、改めて感じました。「花き業界にこんなチームを作れる会社は他にない。業界を変えられるのは僕らだ」と、久しぶりに腹の底から思えた夜でした。
そしてその日、これから10年で取り組む挑戦を発表しました。
それが次に話すことです。
④ これからの10年で、何をやるか
花き産業は今、大きな転換期を迎えています。
私たちが注力してきた花きEC市場は、今後10年で約1,000億円規模への成長が見込まれています。生産量の減少、人件費の高騰、街の花屋の減少——これらの変化が重なる中で、オンライン花屋の必要性はますます高まり、サプライチェーン全体が再構築されていきます。この変革を担うのはオンライン花屋だと確信しています。
私たちはこの10年で、花きECのリーディングカンパニーになりました。産地直送パートナー50社超、通期での黒字化、三菱地所のCVCをはじめとする新たな株主との連携——これらは、その証です。
次の10年でやることは、さらに大きい。
オンラインで培った集客力・販売力を梃子に、オフライン領域の空間緑化・法人サービスを立ち上げています。三菱地所さんを株主に迎えたのも、大手不動産デベロッパーのアセットを活用しながらこの領域を加速させるためです。さらにAIを活用した業態の再構築と、M&Aも戦略的に推進していきます。
フィジカルとデジタルの両軸で圧倒的な競争力を持ち、アパレル業界におけるユニクロのような強固なサプライチェーンを花き業界で構築する——それが、これからの私たちの目指す姿です。
これから一緒にやる人へ
事業成長をリードしたい中途の方へ
IT業界の成熟が進む今、グローバルで戦えるAI企業以外の成長機会は、成熟産業とテクノロジーを掛け合わせるところに移っています。私たちはビジネスとテクノロジーの力で、花き産業の中に自ら成長機会を生み出してきました。
その機会を活かすために、事業部制へ移行し、各領域の責任者が大きな裁量を持って意思決定できる構造を整えています。新事業の立ち上げ、M&A、サプライチェーンの再構築——これらは今まさに動き始めているテーマです。「10年・20年後に、花き産業を持続可能なかたちへと構造から変えた」と誇りを持って言える仕事に、リアルに関われる環境があります。
新卒・第二新卒の方へ
花や植物は、ただ消費される「モノ」ではありません。人と自然のつながりを生み、人生に彩りをもたらす存在です。私たちはその価値をさらに高め、社会が本質的な豊かさに立ち戻るきっかけをつくっていけると思っています。
最後に
AIコンテンツがあふれるバーチャルな世界で「いいね」を集めるよりも、目の前の人に花束を持って想いを伝えることの価値が、これからもっともっと高くなると思っています。
時代が変わっても消えない、本質的な価値を持った事業領域で、長期で追いかける価値のあるテーマを優秀なメンバーと徹底的に考え抜いてサービスを生み出し、実践を通して磨き上げる。そういう会社を作りたい。少しでも興味を持ってくれた方、まずカジュアルに話しましょう。
Beer and Tech 代表 森田
/assets/images/32223/original/7e8f6d4a-b0d6-458d-98e8-b9e4a99e2c0d.png?1408796529)