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【セミナーレポート】外国人社員の採用から離職防止・活躍へと導く3つのポイント

目次

  1. ■セミナー
  2. ■なぜ日本で働きたいのか?
    1. ・目的の多くは「日本に住みたい」
    2. ・「新卒採用」という稀有な採用スタイル
  3. ■よくある面接時のミスマッチ
    1. ・就活に関する情報が不足している海外大生
  4. ■外国人社員が日本企業入社後に抱く苦労とは?
    1. ・入社後に抱える違和感や苦労
    2. ・入社後に直面する最も重要な問題
    3. ・外国籍社員がパフォーマンス不全に陥る落とし穴
    4. ・同化政策は避けるべき
  5. ■働きやすい環境とは?
  6. ■質疑応答の紹介
    1. Q1:受け入れ体制が整っていない場合は外国人の受け入れられない?
    2. Q2:外国人採用のメリットとは?
    3. Q3:外国人採用が向く会社・職種、向かない会社・職種とは?
    4. Q4:外国人採用の注意点とは?
    5. Q5:外国人社員の採用から離職防止・活躍へと導くポイントとは?
  7. まとめ


ASIA to JAPANは、beyondグループ様と共催webセミナー【外国人社員の採用から離職防止・活躍へと導く3つのポイント】を10月16日に開催しました。

日本企業における外国人材採用は、ビジネスのグローバル化に伴い急速に進んでいますが、その一方で、文化的な違いや言語面でのコミュニケーションが障壁となり、「入社後どのような対策をすれば活躍してもらえるのか?」「外国人社員の定着率を高められるのか?」等、情報収集している方も多いのではないでしょうか。

セミナーでは、外国人材採用から組織定着までの一連のプロセスと実際の事例紹介を通じて、これらの課題に対する解決策についてお話ししました。
この記事では内容の一部を抜粋してご紹介します。

■セミナー

●トークテーマ

外国人社員の採用から離職防止・活躍へと導く3つのポイント

●登壇者

beyond global group(以下:beyond)
President & CEO 森田 英一 様

株式会社ASIA to JAPAN(以下:ASIA to JAPAN)
代表取締役社長 三瓶 雅人

 

 ■なぜ日本で働きたいのか?

・目的の多くは「日本に住みたい」

三瓶:よく外国人材に対し「なぜ日本で働きたいの?」という問いを耳にしますが、まず「日本に住みたい」という前提があって日本就職を希望する方が多くいます。

以前ASIA to JAPANが理系の外国人材に「日本で働きたい理由」について行ったアンケートでは、「文化を学びたい」「文化に魅力を感じる」といった理由がトップとなる結果が出ました。

 

・「新卒採用」という稀有な採用スタイル

三瓶:G7各国とOECD加盟国の若者の失業率について見てみると、日本は最も数値が低いことがわかります。

近年では、実績を持たない新卒に対してVISAを発行する先進国はほとんどありません。

日本は新卒に対してVISAを発行している稀有な国であり、海外就職を目指すアジアの国々の方にとって門戸が開かれている限られた先進国と言っても過言ではありません。

 

■よくある面接時のミスマッチ

・就活に関する情報が不足している海外大生

三瓶:冗談のように思われるかもしれませんが、実際に面接時に起きている問題を紹介します。

日本の場合だと会社への「就“社”(メンバーシップ型)」を希望する人材を採用しますが、外国人材はどんな仕事ができるのかという「就“職”(ジョブ型)」を求めて企業を探しています。

そのため「当社で何をしたいですか?」という日本企業にとって一般的な質問に対して、外国人材は求める職種に対して“自分ができること”をアピールする回答が多く、質疑応答がチグハグになってしまうことが多々あります。

また、お互いの採用に対する考え方の違いから、よくズレが生じる質問として「どうして当社に応募したのか?」が挙げられます。

応募者が抱く会社に対する熱意を知るために投げる基本的な問いですが、外国人材が企業選びをする時「自分のスキルが求められているかどうか」が前提となるため、彼らは「募集要項に該当するスキルを持っているから」という回答をしてしまい、企業が期待する回答にならないケースがあるのです。

過ごしてきた環境が違うため、外国人材の考え方は日本人と全く異なります。このミスマッチをなくすためには、外国人採用を専門とする人材を育てることをオススメします。

 

■外国人社員が日本企業入社後に抱く苦労とは?

・入社後に抱える違和感や苦労

森田様:経済産業省が過去に調査された「平成27年度アジア産業基盤強化等事業 (「内なる国際化」を進めるための調査研究)報告書」の結果を見てみると、外国籍社員からの日本企業に対する不満のトップ3は「昇進する見込みが感じられない」「希望する仕事に就けない」「給与が低い、給与がなかなか増えない」でした。

「希望する仕事に就けない」は先ほどお話があったように、ジョブ型採用が一般的な外国人材との考え方が異なることから発生する問題です。

海外では一般的な、スキルや能力を求められるジョブ型採用と違い、日本企業の多くは、入社後に配属先が決まるメンバーシップ型を取っているため、外国人材は違和感を抱いてしまうそうです。

給与に関しては、どんなに結果を出しても外資系と比べて給与がなかなか上がっていかないことに不満を抱くそうです。

そのほかにも「能力や成果に応じた評価がされない」というのもありました。

実際によく耳にしますが、日本では未だ年功序列であったり、日本人を優遇する傾向にあったりなど、もちろん企業によって異なりますがそういった現状が外国人材の不満を増幅させてしまう要因となっています。

 

・入社後に直面する最も重要な問題

森田様:外国人材が抱える問題として、長時間労働について55.8%が問題であると回答しています。

さらに気になることは54.7%の方が「外国人差別」を感じているという問題です。実に回答者の半分以上が外国人差別を体感しているということです。

私は学生時代に外国人との交流を目的としたサークルを立ち上げた経験があるのですが、立ち上げの際に目にした記事を今でも覚えています。

その内容は、親日感情を抱き日本に留学をしていた学生のうち、約92%の方が“反日感情”を抱いて帰国をしていたというものでした。

こちらは20年以上も前の話ではありますが、時が経った今でも未だに一部の日本企業では外国人差別がされているという事実に残念に思いました。

 

・外国籍社員がパフォーマンス不全に陥る落とし穴

森田様:外国籍社員がパフォーマンス不全に陥る落とし穴は全部で4つあると考えています。

一つ目が、先ほどの差別に当たりますが「異文化・外国人に対する態度」です。これは社内だけでなく顧客からの外国人不信感も関係します。

サービス業の場合一般のお客様とやり取りする機会も多いかと思いますが、なんの不手際もないのに外国人であるがためにお客様から日本人に変わるよう指示されることもあります。

心理的な問題が発生することがあるためケアが必要となります。

 

二つ目が「不明瞭な評価とキャリアパス」です。

評価基準が曖昧で、実績を出しても正当な評価を受けづらい、そして外国人材が思っているよりもスピードが遅いキャリアパスに対し、疑問を抱く傾向が強くなっています。

これは何度も出ている採用スタイルの違いから生じる違和感になります。

外国人材は終身雇用の考え方がなく、さらに外国人差別などの要因が相まって自分は日本人に比べて不利なのではと考えています。

 

三つ目が「日本式の仕事文化に対する戸惑い」です。

日本人は無意識のうちに阿吽の呼吸でやり取りができますが、外国人材は明確ではない曖昧な指示を受けただけでは的確に動くことはできません。

その他にも、仕事とプライベートのバランスが取りづらい

そして、上司や長期就労者が新しい意見に対してなかなか聞き入れてくれないなど、日本ならではの文化に戸惑うケースがあります。

 

そして四つ目が「自分の存在意義を感じない」です。

近年日本人の労働力不足という社会課題が発生しています。

この足りない人材を外国人材で補うという考えがありますが、その文脈だけで外国人材を採用すると日本人の代わりであり「日本人と比べて」という物差しで測るようになります。

そのため言葉遣いコミュニケーションのスムーズさなど“日本人に比べて”できるかどうかと考えられてしまいます。

外国人材は日本人にはなれませんし、日本文化を習得しきれません。

しかし彼らは各々の個性や違った文化を持ち合わせています。その個性を見てもらえなければ彼らが企業に抱く不信感は強いものとなるでしょう。

 

・同化政策は避けるべき

森田様:紹介した4つの落とし穴に共通する背景は「同化政策」の考えです

“郷に入っては郷に従う”というように現地の都合に合わせなければならないという考え方が今までは普通でした。

しかし今、日本は日本人だけでは労働力を賄いきれないという状況に置かれています。

またグローバル化を進めている日本企業も増えてきています。今までのように日本の企業文化に合わせすぎるのは得策ではありません。

十年ほど前までであれば通用していましたが、外国人材が増えつつあるなかで企業伝統を重んじ押し付けるという行為は、外国人材にとって働きづらい環境であると言えます。

この考え方を変えない限り、海外の優秀な人材の採用は難しいと考えています。

 

■働きやすい環境とは?

森田様:日本企業が取り組むべきは、「期待される役割の明確化」「キャリアパスの明示」「昇進・昇格・昇給スピードを上げる」「能力・成果評価」です。

今までは日本人をベースとした条件下での評価が一般的でしたが、今後は結果を平等に評価することをオススメします。

この場合、外国人材ならではの発想や機転により、日本人が出せないような結果を出す可能性があります。

この考え方は外国人だけでなく今の若者の考え方と類似している点が多くあります。

 

■質疑応答の紹介

Q1:受け入れ体制が整っていない場合は外国人の受け入れられない?

三瓶:当然整っていることに越したことはありませんが、実際は整えきるのは難しいと考えています。

そのため、その環境下でも入社してくれる人材を採用することからスタートすることが大事だと考えます。

初めは日本人と同じ制度で走り出し状況を把握していき、徐々に受け入れ体制を整えていくのが実情であると思います。

 

森田様:確かに完璧に体制を整えてから動き出そうとすると、なかなかスタートを切れないケースも多いですからね。

 

Q2:外国人採用のメリットとは?

三瓶:採用の恩恵として採用した外国人材がさらに友人や後輩など優秀な人材を連れてきれくれるという場合が多いということです。

お取引先の大手企業に伺ったところ、社員の約1割が外国人材になっており、その多くが就労する外国人社員からの紹介だったととのことでした。

 

森田様:それはいいですね。自社を紹介してくれるということは、就労する外国人社員が企業に好意を示してくれていることの表れですし、同郷の人が増えれば外国人社員が働きやすい環境がより整っていきますからね。

そういった環境が作られていくと、離職されにくくなりますね。

 

Q3:外国人採用が向く会社・職種、向かない会社・職種とは?

三瓶:留学経験があったり、海外就労経験があるなど海外に接点がある方が経営層にいる会社は向いています。

もちろん英語を使う職場や環境がある企業は向いています。一方で、日本語で専門用語や難しい単語などを使った資料やデータを扱う企業は向かないと思います。

理由としては、それらの情報を全て英語に置き換えることは困難かつ、理解・暗記させる労力は果てしないものとなるからです。

 

森田様:そうですね。よくあるのが、とりあえず議事録役として会議に参加させられた結果、難しい単語や漢字が多くて出来上がった原稿をダメ出しされてしまう、などですね。

何を外国人材に任せ、強みを活かしてもらえるのかを考える必要がありますね。

 

Q4:外国人採用の注意点とは?

三瓶:面接の時に文化や宗教など各個人がどれだけ重んじているのかを確認しておく必要があります。

もし体制が盤石でない企業が、これらを深く重んじている方を採用してしまうと、体制を一気に変える必要があります。

そうすると企業が抱える負担も多くなり、今後の外国人採用に踏み切れなくなる問題が発生します。

そのため、初めは文化や宗教への考えに対し臨機応変に対応いただける方の採用をオススメします。

もちろん同じ国の方でも深く重んじている度合いは変わってきますので、各個人に丁寧に伺うと良いでしょう。

 

森田様:とくに初めての採用であれば、なるべく日本の生活スタイルに近しい方を採用すると企業としても動きやすいですね。

宗教の話は特に繊細な部分で会社からの強制しづらいところでもあるので、面接時の確認は怠らない方がいいですね。

この質問はどのように行うと良いでしょうか。

 

三瓶:イスラム教ヒンドゥー教など日本に馴染みが少ないけど、多くの信仰者がいるような宗教はある程度制約について頭に入れておくと良いでしょう。

その上で質問すると、プライベートなところを質問しすぎることはないかと思います。

例えばイスラム教の場合1日5回お祈りがありますが、まず企業の就業方針を伝えた上で就業時間内のお祈りの回数や時間を聞く、その上でまとめて行うことはできるのかなどヒアリングすると良いと思います。

 

森田様:なるほど。業務上で支障をきたしそうなことを事前に擦り合わせるレベルで質問するということですね。

 

Q5:外国人社員の採用から離職防止・活躍へと導くポイントとは?

三瓶:ポイントは大きく3つあります。

一つ目は「経営者の決意」ですね。

仮に採用した方が早期離職された場合、会社として今後の採用を控える選択をとるかもしれません。

しかし、経営者が会社として外国人採用を持続する方針を曲げずに現場に伝えることで、結果を出すために現場サイドもしっかりと動いてくれ、それが自ずと外国人材採用を成功に導くようになります。

 

森田様:確かに、大手IT企業が社内言語を英語にすると決めたことで外国人社員が働きやすくなり、さらに他の企業も追随する形でその方針を真似るなど影響を与えていたりもしますね。

経営者が決意固く進めることは大事ですね。二つ目はいかがでしょうか。

 

三瓶:二つ目は「直属の部署でない方が定期的に話を聞く」ということです。特に“定期的”かつ“直属でない”というところがポイントになります。

理由は直属であると本音を伝えづらいという問題が発生しやすいからです。

例えば仮に退職してしまった場合、きちんとしたヒアリングができていないと原因を追求することが難しいです。

またヒアリングしてくれる方との信頼関係がないと、本当の原因を知れずに改善の手段も見つからないということになります。

そのため、定期的に話せる環境を作っておくことが大切です。

 

森田様:そうですね。1on1であったり、キャリア面談など仕組みとして作っておくことは大切ですね。

最後三つ目はいかがでしょうか。

 

三瓶:最後は「慣れるまではよく見守る」ということです。放置しないということが大切です。

特に初めの3ヶ月が重要です。

学生の場合だと社会人への変化、そして自国から離れた環境という国境の壁、そして母国語から日本語への言語の壁と、この3つのストレスと戦わなければなりません。

日本人であれば社会人への変化のみですが、その3倍のストレスとリスクがあります。

ただ、自国を離れて働くことを決めた強い意志がある方々なのでそこまで弱い精神の方は少ないとは思いますが、しっかり面倒見てあげリスク回避する必要があります。

 

森田様:外国人に関わらず新人を見守ることは大切なことだと思います。やはり孤立させないことは大事ですね。

▪️まとめ

今回のウェビナーでは、外国人社員の採用から離職防止・活躍へと導く3つのポイントについて紹介しました。

ASIA to JAPANではアジアを中心とした理系学生の日本語話者育成や、日本企業との面接の場、また外国人採用が未経験・採用経験はあるけどうまくいかなかったなど悩みや不安を持つ企業様の採用支援も行っています。

ご興味がある方、ぜひご応募お待ちしております!

 

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