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現在、ANDPADを既に導入いただいているエンタープライズ企業を筆頭に、業務DX支援のニーズが多数当社に寄せられています。建築・建設業界におけるDXの現状や、当社への引き合いが増えている理由などについて、プロジェクト企画部で業務コンサルを担当している市丸に話を聞きました。
市丸侃樹 DXコンサルタント
大学卒業後、国内大手金融機関を経てアンドパッドに入社。フィールドセールスとして専門工事領域の新規営業活動に従事。その後、外資系総合コンサルに転職し、全社DX戦略の立案、システム刷新や業務改革の実行に従事。2025年アンドパッドに再入社後、エンタープライズを中心とした顧客向けのコンサルティング業務に注力、業務改革の立案から実行までを支援。
時代の機運が高まり、ANDPADを活用したDXニーズが顕在化している
――まず建築・建設業界におけるDXの現状、ニーズについて教えてください。
ここ10年でよく耳にするようになったDXは、政府の取り組みやコロナ禍の影響で、DXの必要性が高まっていますし、推進スピードは年々加速しています。限りあるリソースの中で効率よく業務を遂行するには、DXは避けて通れません。また、業務のデジタル化と経営のデジタル化が叫ばれているように、継続した事業成長を実現するためにも企業のDXは、経営課題であり必須事項となっています。建築・建設業界は昨今、深刻な人手不足に直面しており、DXの必要性が高まっていますが、他業界と比べると遅れているのが現状です。理由は多岐にわたります。例えば、建築物であるビルの建設は、都度異なる土地になりますし、一棟一棟設計が異なるため、建設の材料や予算も大小異なります。加えて現地・現物の確認が必須かつ、複数の会社で一時的な混合チームを組んで建設を行う商流のため、複雑性が高いからです。
また、稼働やパフォーマンスレベルなどのデータを、どのように集めて構築していくかが非常に重要です。しかしながら多重請負構造の商慣習が要因となり、協力会社や他社のデータを集めるとなると非常に困難なのが実情です。さらに、経営陣と現場の意識の乖離も挙げられます。経営陣はDXの重要性を認識していますが、現場はDXを実現しようとするとワークフローの変更など業務負荷が想定され、なかなか浸透しにくい現状があります。
――ニーズは高くとも、すんなりといかないのが現状だと。しかしながら多くのエンタープライズ企業では既に大規模な自社システムを構築し運用しているかと思います。
そうですね。まさに今お問い合わせいただいている数千億円、数兆円などの売上げ規模をほこるエンタープライズ企業各社は、自前のシステムを所有しているケースがほとんどです。しかし、実際に既存システムを見直すタイミングになりよくよく話を聞くと、実は現場が使いにくい、もしくは使っていないシステムが乱立しているケースもあるようです。というのも、技術の進化は速く、システム開発の計画時は最新の設計だったものが、3年後の完成時には陳腐化していたり、業務改善に関する経営テーマも年々変化していたりするためです。大概の基幹システムは、経営企画や事業企画といった経営に近い部署が、適切な経営判断を実行するための材料としてデータを収集する設計をしていますが、UI・UXが整備されていなかったり、特定の機能が使えなかったり、現場で使いにくいシステムになってしまっています。結局システムを使わずに、別の方法で代替されたり、しかたなく紙や口頭でやりとりされているケースもあります。とはいえ、昨今ではもはや、DXに疑問を抱く経営者はいません。内需が拡大する未来が見えにくい中で、DXを活用しないという判断は基本的にはないと思います。
――DXへの関心は高まる一方ですね。当社にDX推進支援の依頼が寄せられる理由は何でしょうか?
理由は、2つあります。まず一つ目は、社内・社外を含めたユーザーの多いプロダクトを有しているためです。先ほどもお伝えしました通り、多くの企業が自社システムを構築する過程において、コンサルティング会社の協力を得て、自社の業務に合わせた独自システムを開発していたものの全てのシステムが最大限活用されているわけではありませんでした。一方、ANDPADは現在、23.3万社、68.4万人に利用されるサービスに成長しました。業務に合わせたシステムを作るのではなく、多くの企業で採用されているシステムに、業務を最適化させていく「Fit to Standard」(フィット・トゥ・スタンダード)という価値観が一般化する中で、利用者数の多いサービスを選ばない手はないと、お客様に感じていただけ始めたのだと思います。ANDPADはお客様のニーズやペインを解消するため幾度となくバージョンアップや新機能・新プロダクトを開発してきたサービスだからです。
――建築・建設業界の多くの顧客に使われているANDPADを活用することで、DXをトップ水準に持っていける心理的な安全性もありますよね。
そうですね。またコロナ禍をきっかけに、クラウドサービスの価値体験をお客様自身が蓄積されるようになりました。SaaSの種類も拡大する中で、クラウドのセキュリティレベルも日に日に進化しており、世の中がクラウド・SaaSフレンドリーになっている背景も大きな要因だと思います。
――スマホやタブレットの台頭も大きいようですね。
その通りです。ビルや家を建設する際、製造そのものは現場で行われるので、設備投資としてPCや通信を導入するのは、コストに見合わないだけでなく屋外での使用にも向いていないと考えられていました。スマートフォンやタブレットをビジネスで活用する機運が高まってきたのが、ここ10年の変遷です。また企業がBYOD (Bring Your Own Device)といって、個人所有の端末でアプリをダウンロードして業務で使用する取り組みを始めたのも大きなきっかけです。個人の端末であっても、ある程度のセキュリティを担保した形でシステムを利用できる環境が、ここ数年で大きく進化してきました。
自社システムを持つことが当たり前だったフェーズから、「この領域に関しては外部のSaaSに依頼しよう」「この領域は自社で開発しよう」ということを鮮やかに分けられるようになってきたトレンドが、追い風になっているのかもしれません。
――DXの依頼が増えている、もう一つの理由は何でしょうか?
二つ目の理由は、経営陣・現場・社外、三者の“痛み”を理解しているからです。私たちは年間10,800回ほど、ANDPAD導入の説明会やオンボーディングを実施し、経営陣や現場の方と会話しながら細かい改善を続けてきました。お客様が手掛ける業務だけでなく、役員や本部長といったレイヤーの方々から、現場の方々、そして社外の協力会社さんが抱える“痛み”、つまりそれぞれの課題への深い理解があります。現場とIT、両方の知見を持ち合わせている、それが当社の圧倒的な強みであり、お客様が信頼を寄せてくださる理由だと思っています。
どの企業においても、現場が一番の肝であり、課題です。DXのカギは、社外の協力会社を含めた全員が利用できるシステムを作れるかどうか。SaaSを提供している私たちは、利用者の満足度が上がらないと、利用者数も利用度も上がりません。そこにシビアに向き合ってきたからこそ、当社にお声掛けいただける機会が増えているのだと思います。
現場DXを実現してきた数々のストーリーが信頼につながっている
――お客様からはどのような依頼があるのでしょうか?また、アンドパッドが業務コンサルティングを担い、提案実行を実現できるのはなぜですか?
お客様からは、業務上の課題把握、システムの刷新・リプレイスなどのご依頼をいただいています。私たちがDXコンサルティングを担える理由は2点あります。まず1点目が、圧倒的な情報量です。業界の10%以上の方に利用いただいているプラットフォームがある、つまり業界の標準的なモノサシとなるデータがすでにANDPADに蓄積されているわけです。その中には、現場のDXストーリーが数多く存在します。私たちは10年前から今に至るまで、何百、何千社ものお客様の業務標準化を手掛けており、業務を「Fit to Standard」にするノウハウがあります。
――例えばどのようなことですか?
以前、工程表作成の標準化を行ったある企業のケースです。これまで全国100ヵ所ある営業所では、それぞれにカスタマイズされた表計算ソフトが使われていました。そこで私たちは全ての営業所を周って工程表の表計算シートを回収し、内容をまとめて分析しました。各営業所のニーズにも応えられるようANDPADの機能を微調整しながら、工程管理のWeb化を実施したところ、スムーズに導入ができ、効率化につながった例があります。
――こういった現場のDX事例ストーリーは社内に山ほどあると。
はい。お客様からするとDXはどこから手を付けるべきかが難所でもありますが、アンドパッドが培ってきた実績によって早期に理解・信頼いただきやすく、期待されているポイントにもなっていると思います。
2点目が、業界の発展に対する情熱です。これまで私たちは、ANDPADを通じて、業界の発展に情熱を注いできました。我々はSaaS企業だからこそ、建築・建設業界のみなさんの仕事の手間を無くし、効率的に進められるサービス・プロダクトを追求し続けなければいけません。そのため自社の収益を第一に追うのではなく、お客様の事業成功を第一に見据えています。そこから逃げてしまうと建設DXでサービスを手掛ける価値はないと考えています。
私たちは昔から“現場に染み渡るようなITサービス”を目指してきました。必要とされる場所に自然と広がっていくような、世の中が渇望するサービスです。そのスタンスがあるからこそ、DXコンサルタントも理想像を描くだけでなく、現場に踏み込んで、効率化を推し進めていく姿勢を貫いています。
アンドパッドのコンサルティングはトレンドの模倣や空論の提案ではありません。実態や課題に即したソリューションの提案です。その実現性が高いのもANDPADで常に利用度が分かるので、改めて実行具合や満足度をお客様に伺い、アンケートやデータ解析を改めて出さずとも、課題とこれからやるべきことの仮説が立てられますから、提案がスピーディーです。この差は大きいと思っています。
――アンドパッドは企業の成り立ち、扱うプロダクト、企業理念を含め、唯一無二の自信があると。
建築・建設業界の10人に1人が使うANDPADは、まさに今、山の一合目に足が掛かったところです。ほとんどの会社はまだ足が掛かっていない、もしくはイチから山を作るフェーズにいます。アンドパッドはおそらく日本で一番難易度が高い建築・建設業界のDXチャレンジの挑戦権を得た、唯一の会社と言っても過言ではないでしょう。ANDPADはヒト・モノ・カネの全情報が溜まる設計になっており、現場の情報が一気通貫で集められるプロダクトは強いと思います。
徹底的な顧客志向のもと、現場DXをやりきる伴走力・実行力が強み
――次に、DXコンサルタントが手掛ける具体的な業務について教えてください。
DXコンサルタントの業務パターンは現状だと2つあります。1つ目は、お客様が業務課題を具体化されていない場合。そして2つ目は、システムの刷新を要望されている場合です。
まず1つ目の業務の流れをご説明すると、まず現場担当者に現状業務についてヒアリングし、フロー図に書き起こしながら、課題を識別していきます。実際に建築・建設現場に帯同して、自分の目で課題を発見しに行く場合もあります。
以前、職人さんの差配状況に課題があった企業様の事例をお話します。東京と中部に支社があり、各支社で管理の仕方が異なっていました。東京は数百人規模を取りまとめているため、非常に複雑な計算式を盛り込んだ表計算ソフトを使って、職人さんの空き状況やパフォーマンスレベルを管理していました。一方、中部支社は数十人規模のため、表計算ソフトを使わず差配担当者の頭の中で管理されていました。東京は人数が多くて管理が大変ですし、中部支社は職人のレベルやリソースをしっかり認識できていない可能性もあり属人的な業務管理です。そこで、部分最適になっていた全支店の差配状況が一覧で見え、誰が見ても瞬時に理解できる状況を作るため、どういう基盤でシステムを構築していくか、それをどうデータとつなげていくかといったハード面を考えました。
――設計して終わるのではなく、現場に足を運んで状況を把握し、自分で課題を発見していく姿勢が大切なんですね。
そうですね。一般的にコンサルティングというと、大きな絵図を描いて、重厚な設計書提案書を提案し、現場に実行を任せるスタンスが多いかと思いますが、アンドパッドは設計し実行に至るまでを手掛けます。現場に新しいワークフローが根付き、システムを業務で使うことが当たり前になるまで、現場と伴走しながらやりきる体制が取れる点が強みです。
2つ目のシステム刷新の流れに関しては、まず現状システムのヒアリングを通じ、システム要件を決め、ANDPADでどこまで対応できるかを判断するところから始まります。その後は、現場部署の担当者、IT関連部署の担当者と共に、論点を切り出してディスカッションしていきます。今の基幹システムとANDPADをつなぎながら、新しい基幹システムとANDPADのあるべき姿を考えて、生み出していきます。
――業務上で壁にぶつかることはありますか?
建築・建設業界ではオフィスワーカーだけでなく、現場の職人さんもいらっしゃいますし、業界特有の理屈だけでは通らない世界があるので、提案の実行がスムーズに進まないこともあります。
ある企業様から、全社的な業務フローの改善のご相談を寄せられました。東京本社にはDXチームが存在し、iPadを使ったDXが進んでいる一方、関西の拠点ではiPadが全然使われていないという課題がありました。その場合、東京の業務フローを整理して、関西拠点でも整理されたフローを導入する方法が思いつきますが、一筋縄ではいきません。関西拠点はその拠点のやり方があり、iPadでANDPADを使うことで効率的に仕事が進められると肌で実感いただかないと、現場には浸透しません。東京本社のご担当者様もその難しさを認識していて、一緒に関西拠点に行って啓発してほしい、と相談を受けました。
――そういったケースもあるのですね。
これはITリテラシーの問題ではなく、ガバナンスや体制、評価の問題などとも関係があります。それは実際に現場でヒアリングをして、真相を伺ってみなければ分かりません。
また、課題解決のためには現状のANDPADでカバーしきれないケースもあり、新たなシステム開発の要望を受けることもあります。もちろん必要な場合は開発しますが、要望の根本を探っていくと、運用設計や業務設計など、運用面での改善で解決できるケースも往々にあります。プロダクトの限界を知りながら、プロダクトの可能性を広げていくのも、業務コンサルタントの特徴かもしれません。
――お話しを伺っていると、DXコンサルタントはDXの実現に向けて追求する意識が強く、現場が変わる手応えを肌で感じられる点が魅力だと感じました。
これまで現場DXをやりきってきた自負もありますし、これからもやりきる姿勢は変わりません。理想の姿を実現するための伴走力・実行力は、アンドパッドの強みだと思います。新しい運用が始まるとき、そしてシステムがリリースされた後も、何かあったら必ず現場に駆けつけるようにしています。現場に行って問題を把握するだけでなく、極端な話、「瞬間的に社員の業務を代替してもらえれば助かる」ということがあれば快く受けます。なぜなら、お客様が一番価値を感じられることに取り組むべきだと思っているからです。現場主義のスタンスは、建築・建設業界では特に大事だと思います。
――徹底した顧客志向ですね。
お客様の事業成功のために結果を出しきることが、DXコンサルタント、そしてアンドパッド全社員のゴールです。大事なのは、お客様に好かれることではなくて、お客様の成功です。DXコンサルタントは、営業、サクセス、プリセールスの領域にも幅広く踏み込んでおり、コンサルティングの型も決まっていません。アンドパッドには現場に裁量を与え、挑戦を良しとするカルチャーが根付いているので、ミッションを実現するためなら自由な提案ができるでしょう。建築・建設業界のコンサルティングは難易度が高いので、アンドパッドで実績を積めば、どこへ行っても活躍できると思います。
さらに、建築・建設業界の発展に寄与するという、アンドパッドが目指す世界線を一気に推し進めている実感も味わえます。ANDPADは日々進化しているので、今のANDPADと1年後のANDPADを比較すると、プロダクトは異次元に増えているはずです。SaaSと一緒に進化しながら、業界の発展を支えていく。そして、社内メンバーやお客様と一体感を持ちながら、課題解決を実現する達成感を味わいながら働けると思います。
――日々使命感を感じながら仕事に携われるのですね。ちなみに市丸さんは一度転職し、アンドパッドに戻ってきたとお聞きしましたが、その理由について教えてください。
一度、アンドパッドから転職したのは、営業としてやりきった実感があったためです。お客様へのアプローチが画一的になり、もっと課題を追求する力や、より優れた解決提案力を身に付けていくため、コンサルティング会社へ転職しました。業務内容には満足していましたが、顧客企業に入り込めば入り込むほど、お客様へのベクトルが物足りないことに違和感を覚えるようになりました。
そんなタイミングで、今の上司から「新規部署を立ち上げるので力を貸してほしい」とお声がけをもらいカムバックを決意。お客様のために動けるスタイルと、型が決まっていない自由度の高さは申し分ないと知っていたからです。アンドパッドは本気で顧客志向を貫いているので、アプローチ方法もどんどん変わっています。2年後には全然違うアプローチのコンサルティングをしている可能性もあり、そういった変化のある環境に改めて面白さを感じました。
――アンドパッドのDXコンサルタントは面白そうですね。最後にどんな方と一緒に働きたいですか。
建築・建設業界のDXを急速に推し進めていくフェーズに突入したばかりなので、正直なところ生半可な覚悟だと難しいと思います。非効率であっても、本質的なことに取り組みたい方、建築・建設業界の発展に貢献していきたい強い志のある方が活躍できるはずと信じています。