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プロダクトが圧倒的成長を遂げるには、プロダクトマネージャ (PdM) は欠かせない存在となりました。 一方で、プロダクトは千差万別であり、プロダクトの成長フェーズも様々あるため、一度成功した施策が当たるとは限りません。
そんな中、 ANDPAD の中でも最もユーザーの多い施工管理を担当し、社内でも MVP として表彰されたのがプロダクト本部の PdM 柳川 剛教 です。 どのようにして ANDPAD というインダストリー特化という特異な領域でプロダクトを成長させることができたのか、プロダクト本部長である 福田 悟志 が迫りました !
アンドパッドでの「狙って当てる」という独特な PdM 手法や、それを実現するのに必要なスキルを解剖しています。 ぜひご覧ください 。
柳川 剛教
プロダクト本部 プロダクトマネージャ
学生時代にマーケティングを専攻していたことから Web サービス企業で Web マーケティングを担当。 プロダクトを動かすポジションに携わるべく、同社で開発ディレクターの経験を積み、 PdM に転向。分野の違ったプロダクトに挑戦すべく、アンドパッドに PdM として入社。
福田 悟志
執行役員 プロダクト本部長
IT ベンダー、通信キャリアと IT エンジニアとして活躍後、受託企業でプロジェクトマネージャなどを務め、 2021 年にアンドパッドに PdM をまとめるプロダクト本部の部長として入社。現職に至る。
アンドパッドに入社してわかった to C 向けのプロダクトマネジメントとの違い
福田: 柳川さんが PdM になるまでのキャリアから聞いていきましょう。
柳川: 学生時代からなんらかの Web サービス、プロダクトの全体に携わりたいと思っていました。専攻ではマーケティングを学んでいたので、 to C 向けの Web サービスを運営する企業で Web マーケティングからキャリアをスタートしました。 そこで "どうするとユーザを増やせるか" ということがわかってきたところで、次に "どう作るのか" ということもプロダクト全体に携わるには必要だと考え、開発ディレクションが行えるポジションに異動しました。
この 2 つの職種で "ユーザーを知ること" "どう作るのか" というスキルが身につけられたので、いよいよ最終的な目標としていたプロダクト全体に携わることができる "何を作るのか" を決める PdM に転向しました。
福田: PdM になってどうでしたか?
柳川: プロダクトを動かせる存在になったという責任感が湧き、その重責がある分、上手く行ったときには楽しさが増し、成長も感じられました。
福田: PdM の醍醐味ですね。 その前職の PdM からアンドパッドの PdM になるまでのストーリーを聞かせてください。
柳川: 前職の PdM では to C 向けのプロダクトだったのですが、もっと別の領域のプロダクトをやりたいと考えて、 to B 向けの PdM ができる企業に転職しました。 その企業のビジネスモデルがリフォーム会社とリフォーム希望者をマッチングするもので、自ずとアンドパッドの存在を知り、成長性と領域の広さからアンドパッドの PdM になりました。
福田: それまでの to C 向けのプロダクトマネジメントとアンドパッドのプロダクトマネジメントの違いはありますか?
柳川: to C 向けでは確信が持ちにくい一方で、アンドパッドのような Vertical SaaS だと確信をもって開発できる、ということが一番大きな違いですね。
福田: to C でもデプスインタビュー (*) を行って、ある程度、確信が持てるようにはなりそうですが ... 。
柳川: おっしゃるとおり、デプスインタビューもありますが、ごく一部のセグメントのユーザーのインタビューになり課題がニッチになってしまうこともしばしばです。 アンドパッドの場合では、直接ユーザーに話を聞いたり、業務を聞いたりできる機会も作れるので、より確信性を高められます。
(*) ユーザーなどの対象者と 1対1 でインタビューし行動背景などを探る方法
(左が福田、右が柳川)
アンドパッドでは “狙って当てる”
福田: アンドパッドのように業界に特化している PdM の特徴がわかるので、詳しく話を聞かせてもらえますか。
柳川: アンドパッドでは "狙って当てる" ということをやっています。 作る前にプロトタイプでだいたい測ることができて、ユーザーの利用度合いなど狙って効果を出せています。
福田: to C では A/B テストなどたくさんのパターンを出して、それをもとにふりかえることが多いのですが、アンドパッドでは狙って当てる、つまり計画的にしっかりつくる、ということが求められますよね。
柳川: はい、 to C とは異なり、アンドパッドでは最初のパターンから当てることが求められます。
福田: あとは KPI やゴールの違いもありますね。
柳川: そうですね。 to C は KPI となるものがたくさんあり、コンバージョンの定義が明確です。 それに対して、アンドパッドはコンバージョンの定義が曖昧になりがちです。
福田: そう、アクションが曖昧なので、コンバージョンも曖昧になりますよね。
柳川: to C がビューやスクロール、クリックなどのアクションを最大化しようとするのに対して、 to B ではアクションの最小化、例えば、 1 日 1 回のクリックで業務が済むようにしないといけません。 つまり業務への効果を測ることが必要で、その業務がわかる環境にいないと、効果があったのか、つまりコンバージョンしたのか、というのがわからないのですよね。 アンドパッドにいると、それがわかるのが面白いところです。
福田: アンドパッドにきて PdM の面白さは変わりましたか?
柳川: to C は色々試して、ここが課題だろう、というのを見極めて、当ててはじめて面白くなります。 それまでの試行錯誤がある分、面白さもひとしおです。 ただ、 to C の場合ユーザーが Happy になっているかはわからないのですよね。 逆に、アンドパッドでは実際ユーザーが Happy になっていることがわかるので、とてもやりがいに感じます。
福田: 柳川さんは直接ユーザーからフィードバックをもらえたこともあったのですか?
柳川: そうですね、 狙って当てにいったプロダクトがあって、リリースしたところ、実際、そのプロダクトで現場監督さんから「初めてリモートワークできるようになって、本当に助かった」という感謝の言葉をもらえたのは、とてもうれしかったですね。 そして、建築・建設業界の生産性向上という大きなミッションに貢献できた実感が持てました。
広く使われる機能に昇華するスキルが求められる
福田: アンドパッドの PdM の特徴がわかってきたので、どういうスキルが必要になるのか、それを明らかにしていきましょう。
柳川: アンドパッドで活躍している PdM を見ていると、大きくは 3 つあると思います。
- SaaS の開発ディレクション
- リアルなユーザー解像度があること
- 要求の背景まで整備できること
福田: それぞれを深堀りしたいのですが、まずは SaaS の開発ディレクションとはどのようなことでしょうか?
柳川: 要件に対してデザイナーやエンジニアと調整して、進行管理するのは当然として、それより前の要件定義が一番のポイントになります。 これは 3 つ目に挙げた "要求の整備" にも繋がりますが、いわゆる声が大きい、一部のお客様(企業)の要求だけを聞いているだけでは SaaS になりません。 もっと広く使っていただける機能に昇華させることが必要です。 ここが難しいところで、ときには一部のお客様でしか使われず、利用範囲が歩留まるケースもあります。
福田: まさしく "狙って当てる" の難しいところですね。 続いては、リアルなユーザー解像度について聞かせてください。
柳川: 建築・建設業界の業務に詳しいことが前提にあり、その知識をもとにユーザーにどう使われるのか、自分で知りに行く行動が求められます。 アンドパッドでは実際にユーザーの業務を見る機会もありますし、具体的に何を使って、業務をしているのかもわかります。 ここができていないと、作ろうとしているプロダクトによってユーザーの業務を改善できたかもわからなくなります。
福田: ユーザー解像度は柳川さんがこだわっているところでもありますよね。 最後に "要求を整備できる" とは何か、伺えますか?
柳川: ユーザーの解像度が高いので、ユーザーペインは分かるのですが、何を解決すると業務が変わるのか、それを探るのが難しいですね。
福田: お客様からいただく要求は、表層的なものであったり、整備された結果だったりするので、何を求められているのかがわからないときもありますね。
柳川: なので、それをそのまま受け取るのではなく、なぜ、その要求が生まれたのか、その背景まで探らなければなりません。 幸い、アンドパッドにはカスタマーエクスペリエンスやカスタマーサクセス、 PMM や CRE などお客様と接する多機能なポジションがあるので、その方々に話を聞いて、背景を探りやすい環境にあります。
福田: そして、その環境を活かして 1 を聞いておしまいではなく、さらに追加質問を繰り返して 10 まで理解を深めるスキルも重要ですね。
柳川: そうしないとプロダクトの要件は決まりませんものね。 私がこだわるようになったことは、プロダクトを作っている途中でも、その要件に立ち返ることです。 開発を進めていると、作るもののイメージはついてくるのですが、一方で視野が狭まってもいて、いま作ろうとしているもので本当に業務が改善するのか、というプロダクトの価値を見失いがちです。
ANDPAD はシェア No.1 だけど、まだまだ
福田: アンドパッドの PdM の仕事が解剖できたところで、 PdM からアンドパッドはどう見えているのか伺っていきましょう。
柳川: おかげさまで ANDPAD は 7 年連続シェア No.1 (*) となりましたが、まだまだ白地がたくさんあります。 建築・建設業界全体の改善を目指しているので、まだアプローチできていない業種・業態があります。 もっともっとプロダクトが必要ですし、それだけ PdM も必要になります。
福田: ドメインを深堀りすればするほど細分化されたニーズが見えてきますよね。
柳川: それだけ業界を改善できる余地があり、まだまだゴールも見えていないと思います。 道なき道を歩いているようにも感じます。
福田: まさしく「まだまだ」という実感がありますね。 では、最後に読者の方へのメッセージをいただきましょう。
柳川: アンドパッドでは大きな産業への貢献感が感じられます。 より大きな貢献を実感したい方にはうってつけです。 先ほど話したように、 ANDPAD はもっともっと成長でき、それだけ PdM にも成長機会が多くあります。そして、 PdM とチームを組むエンジニアやデザイナーなど様々な人も業界を改善したい、という共感があり、それが支えとなって建設的な議論ができる環境です。
ぜひ一緒に盛り上げていきましょう !
(*) 『建設業マネジメントクラウドサービス市場の動向とベンダシェア(ミックITリポート2024年12月号)』(デロイト トーマツ ミック経済研究所調べ)
プロダクトマネジメントは奥が深く、幅も広い、ということが改めてわかる対談でした。 それだけでなく、ユーザーやお客様との距離が近いアンドパッドだからこそ、建築・建設業界という日本で二番目に大きいフィールドで貢献できている実感が持てる、という話には、 PdM には堪らない喜びだろうなと容易に想像がつきます。
この記事で、 "どう作るか" から "何を作るか" というポジションにチャレンジしたい方、様々なプロダクトを体験してみたい PdM の方の参考になれば幸いです。また「興味がある !」と思った方は、ぜひカジュアル面談や選考にご応募ください。お待ちしております。