アクトビは2025年にTOKYO PRO Marketへの上場を果たし、技術を手段として顧客の事業課題を本質的に解決するコンサルティング会社へと成長を続けています。
「Purpose Driven Tech-Integrator(目的駆動型のテクノロジー専門家集団)」という在り方を掲げ、テクノロジーの専門家の価値を高める「職域の再定義」を推進する中、その思想の可視化を目的としてコーポレートサイトのリニューアルを実施しました。
このたび、同コーポレートサイトが国際的なWebデザインアワード「Awwwards」にて「Honorable Mention」を、「CSS Winner」にて「STAR」をダブル受賞。今回は代表の藤原とUX/UIデザイナーの和田に、アワード受賞の裏側とアクトビの「言語化するデザイン」について語ってもらいました。
目次
【インタビュイー紹介】
藤原 良輔 / ACTBE Inc. 代表取締役社長 兼 CEO
1987年9月22日 大阪生まれ。自動車整備の専門学校を卒業後、メルセデス・ベンツ正規ディーラーにてメカニックとして勤務。退職後、個人でダイニングバーを開業。その後、プログラマを志し東京のSIer企業へ転職。iOS/Androidアプリ開発やIoTサービスの立ち上げを経験。コンサルティングベンチャー、フリーランスエンジニアを経て、2018年2月 ACTBE Inc. を設立。
和田 莉子 / ACTBE Inc. Experience Unit /Unit Manager
UX/UIデザイナーとしては8年目。アクトビではExperience Unitのマネージャーとして、抽象的な概念や言葉・課題を具体化し、システム開発におけるUX/UIデザイン、言語化を軸にしたブランディングに従事している。
デザインアワード受賞の概要と、抽象的な要望を具現化したプロセス
スペイン・バルセロナに拠点を置く「Awwwards」は、世界中の優れたWebデザイン、技術、創造性、ユーザビリティを審査・表彰する最大級の国際的なWebデザインアワードプラットフォームです。また「CSS Winner」は、世界中の革新的なWebデザインや機能性、ユーザー体験(UX)に優れたWebサイトを表彰する国際的なアワードとして知られています。
──デザイナーの視点から見て、「Awwwards」や「CSS Winner」はどれほど権威のある賞なのでしょうか。
和田:トレンドに敏感なWebデザイナーなら必ずチェックしていると言って良いほど、知名度と権威のある賞です。ただ、私自身はこれまで賞を取るためだけにデザインをしてきたわけではないので、デザイナーとしては「結果的に受賞できたらいいな」という憧れのような存在でした。
──世界上位数%と言われる「Honorable Mention」と、技術的完成度を示す「STAR」をダブル受賞した意義をどう捉えていますか。
和田:デザインと技術力の双方で評価されたことに大きな意義があると感じています。表層的なデザインの美しさだけでなく、それを体現する技術がなければ獲得できない賞です。
藤原:和田さんの言う通り、ただデザインが素晴らしいだけでなく、デザインをスタイルに落とし込んで表現していく技術力も高く評価されたのだと思います。アクトビではエンジニアとデザイナーが分断されず、一緒になってモノづくりに取り組む文化が根付いています。両者が高いレベルで融合し、上手く連携しながら表現できていることが、今回のダブル受賞という形で証明されたのだと感じています。
──2030年の中期ビジョンに「アワード受賞」を掲げていましたが、なぜこのタイミングで勝負を仕掛けたのでしょうか。
藤原:こういった世界的にも権威ある賞を受賞できれば、アクトビがやっていることが正しいという「証明」になると思ったからです。今回のサイトリニューアルにあたり、もし受賞できなかったとしても、アワードの基準に合わせて自分たちの軸を曲げるつもりは全くありませんでした。受賞できなかったとしても「アワードの基準と私たちのスタイルが合わなかっただけ」と割り切るくらいの姿勢で、あくまで自分たちが正しいと信じるものを貫いて挑戦しました。結果として、自分たちの信念を貫いた上で高く評価されたことが、何よりの証明になったと感じています。
──藤原さんはリニューアルの際、あえて細かな指示は出さなかったと伺いました。にも関わらず、ここまでの成果を出せたのはなぜでしょうか。
和田:普段から抽象的な要望や概念をワークショップで対話を重ね深掘りし、具体化していくプロセスを重視しています。
今回のリニューアルでもワークショップを実施し、まずは自分たちの解釈で「アクトビの現在地」「目指す先」「差別化ポイント」を洗い出しました。その上で、藤原やCTOの石村が見えている景色との差分を埋めるすり合わせを行いました。
「訪問者にどういう印象を与えたいか」「なぜこのタイミングでリニューアルするのか」「いまのサイトで訴求できていないものは何か」――。これらを徹底的に深め、意図や目的を理解した上で挑みました。
アクトビでは表面化していない深い課題や本来の目的といった“本質”の理解を大切にしています。もちろん表層のデザインも、人に何かを伝えたり印象を与えたりする上で重要な要素です。だからこそ、その両方に妥協せず向き合った結果だと思っています。
「会社の信用」から「思想の可視化」へ。リニューアルの背景
──以前のサイトから、具体的にどのような刷新をしたかったのでしょうか。
藤原:ものを作る開発会社というより、「クライアントに徹底的に伴走する、テクノロジーの専門家集団」へと見せ方を変え、アクトビの思想を可視化したかったのです。これまでのサイトは、「私たちがどのような開発ができるのか」という会社の信用を勝ち取るフェーズのものでした。しかし上場を見据えてIRページを作成する必要がでてきたり、私たちが提供している本質的な価値や思想を言語化するフェーズに移っていったと考えています。そのため、技術を手段として課題を解決する、パートナーとして伴走する存在であることを伝えたいと考えました。
──会社としての在り方をデザインに落とし込む際、具体的に意識したポイントを教えてください。
和田:作ったもの(システム)ではなく、関わった「人」にフォーカスを当てた点です。これまでの実績ページでは開発したものを魅せていましたが、今回のリニューアルでは関わっているお客様の写真に変更。私たちが関わると、クライアントのビジネスがどのように変化するるのかという「関わり方」をアピールする構成にしました。
──アクトビらしさや大事にしている価値観は、どのようにビジュアルへ落とし込んだのでしょうか。
和田:抽象的な概念をビジュアル化して見せることはアートに近い領域だと思っています。表層のデザインも重要としている上で、アート的な思考も絶対に必要ですが、普段私たちは課題解決のためのデザインをしているので、抽象的なものをわかりやすく直接的にビジュアルに落とし込んだというより、誰が見ても解釈がブレない"言葉"で伝えることをより重視しました。
市場ニーズの解像度を上げる。プロジェクトのプロセスと取り組み
──アワードでは4つの基準(Design, Usability, Creativity, Content)で審査されますが、どこが特に評価されたと感じていますか。
和田:評価点数からの解釈でしかないのですが、結果を見るとすべての項目がほぼ均等だったので、バランスかなと思います。
どれか1つずば抜けてても、全体のバランスが取れていなかったら、ユーザーが受け取りづらいものになると思うので、総合的にバランスが取れていたのかなと思います。
──今回のサイトリニューアルにおいて、デザインを考える際、一番難しかったポイントは何でしたか。
和田:ビジュアルの表現そのものよりも、市場やお客様のニーズに対する解像度を上げ、それをデザインに落とし込むことでした。先ほどもお話しした通り、これまでの「こういう技術を持っています・こういうシステムをつくれます」という開発会社としての見せ方から、組織の成長に伴って、つくる技術を持っているエンジニア・デザイナーがビジネス視点で市場の流れを見据え、現場のリアルな課題までを汲み取り、プロジェクトを牽引していく集団であるという見せ方をする必要がありました。
当時は、市場が持つニーズを言葉の意味としては理解できるが、本当に腹落ちして自分ごと化できているかというとそうでない部分が多かったと思います。
そのニーズに対してどういう言葉や言い回しが見た人が共感できるのかを根本から理解した上で、それをアウトプットに変換していくことに、一番苦労しました。
いまでも解像度を上げるためのインプットとして、デザインの枠を超え、案件化する前のお客様との商談に同席したり、提案書を作成したりする機会と向き合っています。お客様が抱える実際の課題やそこに関わる人たちの思考の過程に直接触れ、デザイン以外のことを考える時間から得られる思考が、デザインのアウトプットに繋がっています。
藤原:実際、上がってきた言葉やデザインを見たときはしびれましたね。「こんな感じで見せたい」という大枠のキーワードしか伝えられていませんでしたが、彼女たちが顧客視点の解像度を自ら高め、アクトビの思想を見事に形にしてくれました。自分にはできない領域だからこそ、改めてうちのデザイナー陣は本当にすごいなと感じました。
──リニューアルの期間はどれくらいかかりましたか。また、ブラッシュアップはどの程度の頻度で行ったのでしょうか。
和田:関与したデザイナーは私を含めて2名で、完成までに1年以上はかかりました。初めは1週間ごとに細かく進捗を共有し、認識のすり合わせを行っていましたね。社内のリソースを縫いながらの進行でしたが、自分たちの解釈と本来見せるべきものとの差分を埋めることを繰り返したことで妥協のないサイトを作り上げることができたと感じています。
──エンジニアとデザイナーが「縦割りを排除」して動く際、具体的にどのようなコミュニケーションを行っているのでしょうか。
和田:デザインの「意図」を必ず共有し、技術的に実現可能かをエンジニアに確認しています。「自分がこうしたいから」ではなく、ユーザーストーリーやユーザーのメンタルモデルを想像し、「ここでこの操作をしてほしいから、こういう動き・表示にしたい」と目的を伝えます。デザインはデザインツールで比較的簡単に変えられますが、開発は影響範囲の洗い出しから、設計の見直しなどデザインよりも重いコストが伴います。エンジニアが動くようにしてくれて初めてデザインは社会に実装され価値を発揮するため、そのコストを理解し、常にリスペクトを持って接することが大事だと考えています。
──エンジニアと意見が対立することはありますか。その場合、誰がどういう基準で決定するのでしょうか。
和田:対立というより、より良くするためのディスカッションを頻繁に行っています。エンジニアから「それならこちらの表現やUIの方が良いのではないか」と提案をもらうこともあります。私自身も見えていない部分があるため、技術的な知見から補ってくれるエンジニアの存在は非常に心強いです。お互いの専門性を尊重し合いながら、目的に対して最適な手段は何かを基準に判断しています。
藤原:ここでもアクトビが何より大切にする考え方である「目的駆動」が効いているのだと思います。エンジニアもデザイナーも「何のために作るのか」という目的が揃っているからこそ、対立ではなく職域の壁を越えた建設的な議論ができる。今回のプロジェクトは、まさにそのカルチャーが体現された結果ですね。
「Purpose Driven」の証明を武器に。アクトビが挑む次なる「職域の再定義」
──今回の受賞は、デザインを専門としないSalesforce UnitやDevelopment Unitのメンバーにどのような刺激を与えたと考えていますか。
藤原:アクトビのデザインが世界的な基準で選ばれたということは、社内に対して大きな影響があったと思います。他部門のメンバーはデザインの専門的な観点が分からないからこそ、客観的な証明があることで「自分たちの会社のデザインはすごいんだ」と誇りを持てる。また、すべての部門が「本質的な価値提供を行う」という同じ方向を向いている中で、デザインという領域でも妥協せず本質を追求し続ける姿勢を示すことができました。
▼アワード受賞を社内アナウンスした際の反応(スタンプ)
──この「正しさの証明」を武器に、2030年の「職域の再定義」に向けてどのようなアクションを起こしていきますか。
藤原:これからはAIの台頭によってデザインや技術の「証明の仕方」自体が変わっていくと考えています。テクノロジーの専門家である私たちの事業領域はさらに広がり、より上流の領域へと入り込んでいます。
だからこそ今後は、「格好良いデザインができる会社」という枠組みを越えなければなりません。私たちがデザインやテクノロジーを駆使して、クライアントの売上や事業成長にどれほどのインパクトを与えられたか。その本質的なビジネス価値の創出をもって、エンジニアやデザイナーの「職域の再定義」を体現していくつもりです。
──最後に、これからアクトビにジョインする方へメッセージをお願いします。
和田:正解の見えにくいデザインという領域において、迷いや葛藤は日常茶飯事です。結論を導き出すまでに多くの時間を要するからこそ、強い目的意識や壁から逃げ出さずにやり抜く力が不可欠だと考えています。
今回の受賞を知ったときは真っ先に「自分たちのデザインって間違っていなかったんだ」と心から思えました。
デザイナーを目指す方や、自身のデザインに迷いや不安を感じている方には、どんなに立ち止まりそうになっても、考え抜いて、試行錯誤を繰り返すことで、正解に辿り着けるということと、その過程にこそ価値があるということを伝えたいです。
AIの進化によって形にすることの価値が薄まりつつある今、「そもそも何のために作るのか」という、人にしかできない思考の深さがより問われています。アクトビはデザインスキルだけでなく、これから求められる思考の深さも鍛えられる環境です。そのような環境で自己成長を望む方のご応募をお待ちしています!
藤原:アクトビのメンバーには、他の会社で過ごす3年間よりも圧倒的に人を成長させる環境だと約束しています。今回の受賞も、私たちが信念を曲げずに本質を追求し続けた結果に過ぎません。ただの作業者で終わるつもりがない方、ビジネスの最前線で戦えるプロフェッショナルになりたい方。そんな覚悟を持った挑戦者からのエントリーを、心よりお待ちしています。