失敗が許容される文化を"戦略的に"つくる | 合同会社aciass
こんにちは、aciassの東です。「失敗を恐れずに挑戦しよう」「チャレンジが称賛される文化です」ベンチャーやスタートアップの求人でよく目にする言葉ですよね。でも、実際に入社してみるとちょっとミス...
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こんにちは。aciassの東です。
前回は「失敗が許容される文化を”戦略的に”つくる」
というテーマで、チームビルディングについてのお話をしました。
それにも関連するトピックとして、今回は「対話」をテーマとして
会社運営と絡めてお話をできればと思います。
最近、SNSを眺めていると、あることに強い違和感を覚えます。
それは「発言の二極化」です。
あるテーマや問いが浮上したとき、タイムラインを占めるのは、
「極端な意見」と「極端な反対意見」。
その間に存在する、静かで冷静な多数派の声は、ほとんど見えません。
目立つのはいつも、声が大きく、断定的な発言です。
センセーショナルな見出しや刺激的な主張は拡散され、
アルゴリズムはそれをさらに押し上げてしまいます。
結果として、両極端の間にある豊かな中間地帯は、
「退屈なもの」として扱われてしまう。
ですが、本当に退屈なのは、
声を失った世界そのものではないでしょうか。
SNSの誕生当初は、誰もが気軽に意見を言える場として期待されました。
しかしいまや、多くの人が「発信する」ことに疲れ、沈黙を選んでいるように思えます。
なぜなら、何を言っても、誰かを怒らせてしまう可能性があるからです。
そんな空気の中で、「発言すること」自体がリスクになりました。
そしてリスクを避けるほど、声の大きい人の意見だけが可視化されていきます。
この構造が社会全体を窮屈にしているのではないかと思います。
これを逆手にとって炎上商法を仕掛ける人もいますが、正直見ていて気持ち良くはありません。
本来のコミュニケーションは、
相手を変えるためではなく、理解を深めるためにあります。
でも、SNSの空気は「議論して勝つこと」がゴールになってしまっているように思えてなりません。
そもそも勝ち負けなどないのに、です。
その結果、発信はあっても対話がない。
これが今の大きな問題だと思います。
おそらく、多くの人は過激でも冷笑的でもなく、
静かに自分の考えを持っているでしょう。
ただ、その声が可視化される機会がないだけです。
「面白くない」「バズらない」「炎上しない」。
そんな理由で埋もれてしまいます。
そして、いつの間にか「世界は分断している」と錯覚してしまう。
実際はそうではないはずです。
ほとんどの人は中間にいます。
ただ、中間が沈黙しているだけです。
そしてこの構造は、社会だけでなく、会社組織の中にもあります。
会社の中にも、似たような現象が起きていないでしょうか。
意思決定の場でも同じことが起きます。
「強く主張できる人」が採用され、
「考えているけど言葉にしない人」が置き去りになっていく。
その結果、チームの思考が偏り、組織の多様性が失われる。
そして気づかないうちに、会社も“二極化”していく…。
経営者として思うのは、
この「中間の声」をどう拾うかが、経営の本質だということです。
経営とは、意思決定をすることです。
でも意思決定のためには、まず「聞く」ことが必要です。
強い意見に引っ張られず、
まだ言語化されていない違和感や小さな気づきを拾うこと。
なぜなら、その「まだ言葉になっていないもの」にこそ、
組織の未来を変えるヒントが眠っていると思えるからです。
対話には、「効率」がありません。
話す時間もかかるし、すぐに結論も出ません。
でも、対話のない組織は、
いつの間にか正しさを競うだけの場になってしまいます。
正しいことを言う人はたくさんいます。
だが、「何が正しいか」を決める前に、
「なぜそう考えるか」を理解し合える関係が必要です。
SNSで失われているのは、まさにこの“理解のプロセス”だと思います。
発言が「勝負」になった瞬間に、
人は相手の背景を聞かなくなります。
会社を運営する上で大切なのは、
「対話が自然に生まれる構造をつくること」だと思います。
たとえば、aciassでは次のようなことを意識しています。
この「保留」が実は重要で、
意見の優劣をつける前に「なぜそう思うか」を聞くと、
多くの場合、共通している目的が見えてきます。
つまり、対話は摩擦を減らすためのものではなく、
摩擦を価値に変えるための仕組みなのだと思っています。
経営はしばしば「決断力」や「スピード」が求められます。
けれど、これからの時代に必要なのは、
対話できる経営だと思います。
経営がこの姿勢を見せると、
チーム全体の会話の質が変わっていくと思います。
安心して意見を言えるようになる。
中間の声が戻ってくる。
SNSの二極化が示しているのは、
「声が大きい人が勝つ社会」の脆さだと思います。
一方で、会社という小さな社会は、
その反対を選べる場所であっていいのです。
経営者も社員も、
強い意見をぶつけ合うより、
お互いを理解し合う時間を増やしたほうが、
結果として意思決定の精度も上がります。
「沈黙している人」に話を聞くこと。
それが、これからの経営の基礎体力になると思います。
対話には時間がかかります。
でもそれは、衝突を防ぐためのコストではなく、
未来をつくるための投資です。
SNSがどれだけ速くても、
会社の成長は「会話の速度」では決まりません。
理解の深さで決まるのです。
だからこそ、aciassは
「静かな対話」を大切にしていきたい。
声の大きい世界の中で、
小さな声に耳を傾けること。
それが、健全な組織をつくる第一歩なのだと思います。
SNSでは、極端な意見が目立ち、
中間の声が沈黙しています。
会社もまた同じ構造に陥る危険があると思っています。
だからこそ、aciassでは「対話のデザイン」を大切にしています。
対話は、スピードを落とすことではなく、正しく前に進むための、
いちばん確かな方法だと考えています。
そして、本当に組織を強くするのは、
沈黙している“中間の声”だということを信じています。
派手ではないけれど、物事を多面的に見て、
静かに支える人たちの存在こそが、会社の価値なのだと思います。
そんな「静かな強さ」を大切にしたいと考える方と、
一緒に働けたら嬉しいです。