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※掲載内容は2025年9月時点の情報です。
「『GO』は未完成なんです」
そう口にするのは、タクシーアプリ『GO』を開発するユーザーシステム開発部・部長の初野とグループマネージャーの今入、高柳、日浅。3,000万ダウンロードを誇るアプリが“未完成”とはどういうことなのか。エンジニア組織の最前線に迫るとともに、4人が語った言葉の真意に迫ってみたい。
開発本部 ソフトウェア開発統括部 ユーザーシステム開発部 部長
初野 大佑
Androidエンジニアとしてキャリアを積み、多様なサービス開発を経験。株式会社スタメンではシニアエンジニア兼マネージャーとして組織づくりやプロセス改善を推進。2024年にGOへ入社し、現在はユーザーシステム開発部を率いて組織開発とプロダクト成長の両輪を担っている。
開発本部 ソフトウェア開発統括部 ユーザーシステム開発部 ユーザーシステム1グループ GM
今入 庸介
新卒で大手IT企業に入社後、新規WebサービスやiOS/Androidアプリの立ち上げを経験。 スマートフォンとモビリティ分野の相性の良さに惹かれ、2017年5月に JapanTaxi に入社。 相乗りタクシーアプリをリリース後、『JapanTaxi』のiOSアプリ開発に携わる。 2020年4月からタクシーアプリ『GO』のiOSアプリ開発をメインに担当。
開発本部 ソフトウェア開発統括部 ユーザーシステム開発部 ユーザーシステム2グループ GM
高柳 翔
ホテル業界から転身後、受託開発を経て2019年にDeNAへ入社し『MOV』を担当。事業統合を経て現職へ。10年以上のAndroidエンジニア経験を持ち、心理的安全性を大切にした組織づくりと新技術導入に挑戦している。
開発本部 ソフトウェア開発統括部 ユーザーシステム開発部 ユーザーシステム3グループ GM
日浅 貴啓
大手IT企業で複数の新規サービスの立ち上げを行った後、2018年9月に前身となるJapanTaxiに入社。 現在は、GOでタクシーアプリ『GO』のアプリ開発グループのマネージャーとして、アプリ開発、組織改革、採用活動を行っている。
目次
- タクシーアプリ『GO』を手がけるユーザーシステム開発部
- ユーザーシステム開発部で活躍しているエンジニアとは?
- タクシーアプリ『GO』は未完成?
- 課題先行ではなく、技術先行ならではの開発アプローチ
- ユーザーシステム開発部の行く先は?
- 採用情報
タクシーアプリ『GO』を手がけるユーザーシステム開発部
写真左から今入、初野、日浅、高柳
─── まず、ユーザーシステム開発部の役割について教えてください。
初野:タクシーアプリ『GO』を開発している部署です。AndroidとiOSのエンジニアがそれぞれ在籍していて、人数は20名弱。iOS担当の1グループ(1G)のグループマネージャー(以下、GM)が今入、Android担当の2グループ(2G)のGMが高柳、両プラットフォーム混成の3グループ(3G)のGMが日浅で、3つのグループを束ねる部長として私がいます。では、GMにグループの雰囲気を教えてもらいましょう。
今入:1Gは、和気あいあいとした雰囲気のグループです。部署としては基本的にリモートワークで、週に1回定例で集まることがありますが、それ以外の時間も議論や雑談することは多く、ちょっとした相談もしやすい空気感はあります。
高柳:2Gも雰囲気は近いですね。ユーザーシステム開発部は社内のエンジニア組織のなかで一番明るい印象があります。GMがピリピリしながら働いていると雰囲気も悪くなってしまうので、ファシリテーションの際などは気をつけています。
日浅:3Gは、30代以上のエンジニアが多いので、雰囲気としては落ち着いています。『GO』アプリは機能開発の難易度が高く、それぞれが冷静に判断しながら実現に向けていくことをミッションに掲げています。
─── 3GはAndroidとiOSの混合グループとのことですが、どういう狙いがあるのでしょうか?
日浅:ユーザーシステム開発部のグループは、プラットフォームで固定しているわけではありません。
半期ごとに目標を設定し、達成できるようにマネージャーがサポートしていくことで、部としてミッションをクリアできるように内部設計をしています。1Gと2Gはプラットフォームごとのグループ分けになっていますが、あくまでも結果論というか。
─── プラットフォームごとのグループの方がシナジーが生まれやすそうな印象がありますが……。
初野:一見そう感じるかもしれませんが、私たちが重視しているのは、「ソフトウェアの目指すべき姿」を部全体で共有できていることです。
『GO』アプリに限った話ではないかもしれませんが、開発していてそれぞれのプラットフォームを意識することはありません。「ひとつのプロダクトを2つのプラットフォームで出す」という事実と向き合うだけです。
むしろ、設計段階ではある程度の意識合わせが必要です。その点、上流工程を担う3Gは混成グループ内での会話が大切になってきます。また、私とGMもAndroidエンジニア2名、iOSエンジニア2名の体制にすることで、それぞれが異なる属性ながらも同じ方向へ進んでいくための意見交換や意思決定はしやすくしています。
日浅:実際、3G内でのコミュニケーションはうまくいっているという手応えはあります。
ユーザーシステム開発部で活躍しているエンジニアとは?
─── どのようなタイプのエンジニアが多いのでしょうか?
今入:1Gはフットワークが軽くて、「誰かの役に立ちたい」という利他的な意志を持っている人が多いです。どこかで課題があったら「すぐに対応します」と動いてくれるし、受け身ではなく自分から積極的に突っ込んでいくようなスタイルのエンジニアばかりですね。
積極的なエンジニアだと楽しめるような環境も整っていて、「やりたい」と手を挙げたら否定されずに受け入れられることはもちろん、実現できることも多いです。
初野:確かに、「やりたい」という声に対して、「そんなことやる必要ない」と言う人は見たことがありません。基本的には同意してくれる人が多い。
ただ、『GO』アプリの規模は大きいため、実際にやるまでの時間は長くなりがちです。たとえば、1〜2ヶ月で着手できることはほとんどなくて、半年〜1年かかることも。それでも粘り強く旗を振りながら自分でやっていく意志がないと通用しません。しかし、粘り強く向き合う姿勢があれば、基本的には成し遂げられます。
─── 2G、3Gについても教えてください。
高柳:TVCMの効果かもしれませんが「これまでtoBだったが、toCのサービスに挑戦したい」という人や、スマホのアプリとリアルな世界の街を走るタクシーが連動していること、複雑化している『GO』アプリを安定運用する難しさに面白さややり甲斐を感じてくれている人が多いですね。
日浅:3Gは、「前職までである程度やり切ったから、次は社会的に意義のあることにチャレンジしてみたい」というキャリアが一周したエンジニアが多いですね。
あと、『GO』アプリの開発を通じて、いろいろなネイティブの機能を経験できることに魅力を感じているエンジニアも多いです。『GO』ってアプリ自体がOSの機能をかなり活用していることがポイントです。たとえば、通話機能、カメラ、マイク、プッシュ通知、GPS……本当に挙げればキリがないのですが、これほどまでにOSの機能をフル活用しているアプリはなかなかありませんからね。
タクシーアプリ『GO』は未完成?
─── 「『GO』は未完成」というお話について詳しく教えてください。
初野:外部の方から「『GO』って完成されたアプリだよね」と言われることが多いと聞きます。ただ、私自身はそんなことは思っていません。相乗りサービス『GOシャトル』もリリースしましたし、まだお伝えできないプロジェクトがたくさん動いています。
『GO』が「タクシーを呼べるアプリ」とだけ認識されがちですが、社内では「移動のプラットフォーム」を冠している以上やらないといけないことが山ほどあります。基本的に「完成しない」と言われています。
日浅:ありがたいことに『GO』アプリは収益の柱となっていますが「タクシーを呼ぶ」ことだけが僕らがやりたいことの本質ではないんですよね。
ミッションはあくまでも「移動で人を幸せに。」。ラストワンマイルを埋め、移動にまつわる課題を解決していくことが目標なので、まだまだ実現したい移動体験はたくさんあるわけです。『GOシャトル』に関しても現在は都内湾岸エリア・渋谷エリアとなっていますが、都心部の他エリアはもちろん、地方部へのアプローチなどやれることはたくさんあると思っています。
先日、メンバーから「面接のときに日浅さんから『思っているよりも、やることはたくさんありますよ』と言われたんですけど、入社して2年ぐらい経って想像以上だとわかりました」と言われました。「言ったでしょ?」って(笑)
初野:GOとしてのスコープは「移動」ですからね。そういえば、社内の雑談で海上の移動について話題に上がったこともありました(笑)
─── 新しいチャレンジの方向性はどのように決まっていくのでしょうか?
日浅:基本的には都度判断になりますが、業界のリーディングカンパニーとして社会的意義が大きいチャレンジはやっていきたいですね。
初野:『GOシャトル』もそうですよね。それこそ、統合以前から話があったほどですから。世の中が様変わりして、できそうな目処が立ったので実行しました。
日浅:やりたいことはずっと温めています。やれる状況になってきたら「じゃあ、今だ」と。
初野:エンジニアもそうですよね。「この技術を使ったら、こういうことができそうな気がする」という妄想を寝かせておいて、チャンスが来たら「実はこういうアイデアがあって……!」と手を挙げるという。
だから、GMでなくてもいいので、誰かにやりたいことを話しておくことって大切ですよね。私自身もそうでしたが、巡り巡って上司から「これやりたいって言ってたよね?」とチャレンジの機会を提供されることがあったので。やりたいことがなくても、普段から誰かと壁打ちしておくことが重要です。
課題先行ではなく、技術先行ならではの開発アプローチ
─── GOは、2週間業務を離れて新たな知識や技術の習得に充てる『Engineer Challenge Week』(以下、ECW)などエンジニアのスキルアップにも力を入れている印象です。
初野:ECWはイベントそのものよりも、「日頃から新たな知識や技術の習得に向けた活動をしよう」というメッセージを伝えるための施策でもあります。日頃から「コレ、できないかな」と考えるクセをつけるためというか。
ECW発案者の取締役・惠良さんとも「日常からそういうことができているなら、ECWにこだわる必要はないよね」という話をしていて。ただ、GOのエンジニアはほとんどがリモートで働いているので、一同が集まる機会に充ててもらっている側面もあります。そういえば、先日2Gはやっていましたよね。
高柳:そうですね。2Gでは、全員でECWを取って、2週間のうち2日を全員で集まる日に充てました。雑談するだけでも価値があるので、なるべく通常業務からは離れて会議室に集まって。課題を整理していたら「これ、今日パパッと直せるんじゃない?」みたいな話になって、実際に直して……みたいなかなり有意義な時間でしたね。
そういえば、過去にECWで「『GO』でタクシーを呼ぶときに地図を読めない人向けに、ARで『ここにタクシーが来る』っていう表示ができたら面白いんじゃない?」と言って、ARCoreというライブラリについて勉強したメンバーがいました。サンプルアプリをつくって、ブログも書いてくれて……結局リリースはしませんでしたが、いい機会になったのではないでしょうか。
日浅:まさに技術を温めているイメージですよね。いつか何かのプロダクトで花開くかもしれないし。
─── 月並みな言い方になってしまいますが、GOのエンジニアとして活躍するうえで知識や技術に対する意欲や主体性は必須かもしれませんね。
初野:エンジニアに限らず内発的に野望を抱えている方が仕事していて楽しいはずですからね。
日浅:iOSDCやDroidKaigiといったエンジニアカンファレンスのテーマも、エンジニア主体で決めていますからね。
初野:PdMも技術的な解決方法については深く知らないことが多いので、エンジニアから「これ意外とカンタンなんですよ」と提案があったら、チャンスは広がりますよね。
日浅:思考プロセスの逆転が起きていますよね。
一般的に課題先行で解決方法を考えるので、経験則のなかから選択肢を見つけるのですが、技術先行だと「この技術をGOでいかに提供するか」という発想になる。通常の課題解決プロセスではたどり着けないアプローチを見つけられるかもしれないわけです。
初野:そうなんですよね。結局、勉強が必要な理由は選択肢を広げるためですからね。
ユーザーシステム開発部の行く先は?
─── みなさんはGOへの入社で変化はありましたか?
今入:僕自身は、今がまさに成長の段階です。GMになって2年ほどですが、エンジニア時代と比べて考え方や動き方が全く違う。エンジニアのときは自分にフォーカスしていましたが、GMになってからはメンバーの成長や自分たち以外のチーム、組織全体について考える機会が格段に増えました。できないこともありますが、楽しみながらやっています。
初野:まさに「役割が人を育てる」ですね。
高柳:自分はまだまだですね。もともと周りのメンバーと協調して仕事を進めていけるタイプではなかったので(笑)
だから、今はせめてメンバーに心理的な負荷を与えないために苦しいときこそ明るく振る舞って、モチベーションを下げたり、スピードが落ちたりしないようにしています。なんとか1年後ぐらいに「成長したね」と言われるように頑張りたいです。
日浅:僕はGM歴5年ほどになりますが、就任当初思い描いていた形になってきている手応えを感じています。
僕はマネジメントするうえで「自分がいなくてもグループが問題なく稼働すること」を大事にしているのですが、先日半年間育休を取得して復帰した際にいろいろな人に「何か問題ありました?」と聞いたら「特に問題なかったよ」と。自分の仕事を切り分けてお願いした今入さんと高柳さんには感謝しかないのですが、僕個人としての目標は達成できました。
次の目標は、GMとして余白をつくっていくこと。新しい挑戦を促そうにもみんな忙しいので。だから、GM自ら体現して「日浅さんがここまでやっているなら、自分もここまでやって大丈夫だ」という雰囲気をつくっていきたいと考えています。
初野:私は特に変化はないのですが、GOは何かが起きても感情的に誰かを責める人はいなくて、物事に向き合って、真面目に話を聞ける人が多い。そのあたりの空気感が、チャレンジのしやすさにつながっているのかもしれません。
─── 最後にユーザーシステム開発部の今後の目標を教えてください。
初野:最終的には、全員が自立することが目標です。
日浅さんが話した「自分がいなくても〜」の究極形は、GMの仕事が必要ない状態です。そのためには、与えられた仕事だけではなく、長期的な視点で向き合ってやるべきことに取り組み、スピード感も緩めない。開発の裏で蓄積してしまった細かな問題点を日常のなかで一つずつクリアしていけたら、うまく回っていく気がしています。
ただ、意識的にできることではないので、自然発生的にできるようにしていくことが我々の役目。先ほどの余白の話もそうですが、そういう時間をつくり出していけるように働きかけていきたいですね。
GOでのエンジニアの仕事は、技術職としての人格を持ちながらプロダクト開発に向き合うことです。彼らが仕事を進めていくうえで問題がありそうなところに我々が向き合っていくことが、組織として健全なのではないでしょうか。