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AI全盛の時代、エンジニアはどのように社会に貢献していくべきなのか─── 。
タクシーアプリ『GO』を起点に、さまざまなプロダクトを立ち上げてきた取締役 開発本部 本部長の惠良和隆、副本部長の長谷歴に聞きました。
技術力と組織力で挑むGOのエンジニアリングの現在と未来。エンジニア組織の変遷からAI活用、そして社会にインパクトを与える仕事の面白さまで語っていただきます。
惠良 和隆 取締役 開発本部 本部長
株式会社フロム・ソフトウェアに入社後、家庭用ゲームソフト開発に従事。執行役員兼技術部部長として、PCやPS3、Xbox 360などをカバーするクロスプラットフォームフレームワーク開発や開発環境の整備を推し進め、後の世界的ヒットタイトルを生み出す土壌を築く。2013年よりDeNAへ入社し、モバイルゲームの基盤技術を構築。2018年よりオートモーティブ事業本部に異動し、翌年、タクシーアプリの開発責任者に。2020年4月よりGOに開発本部 本部長として転籍。2021年6月より現任。
長谷 歴 開発本部 副本部長
大学で半導体や太陽電池の研究の後、キャリア系SI企業にて銀行向けセキュリティソリューションなど担当。その後 ITコンサルティングベンチャーにて流通業界や電子マネー業界向けにインターネットEDIやPMO等のコンサルティングに携わる。事業会社や社会貢献への思いが強くなり、医療系ポータル運営会社にてサーバサイドエンジニア・エンジニアリングマネージャーを担当。スマホの席巻を体験し、自分が次の世代に残すものとして交通の変革に関わりたくなり2018年DeNAのオートモーティブ事業本部に入社、2020年4月よりGOに転籍。
エンジニア組織のマネージャーレイヤーをいかに育てるか
─── 前回のインタビューでは経営統合のドタバタ感もあって、「メンバーを信じて必死にやっていくしかない」というお話をされていたのが印象的でした。あれから3年近く経ったわけですが、振り返っていかがでしょうか。
惠良:前回は、ドタバタがようやく落ち着き始めたタイミングでしたね。メンバーの入れ替わりもあって、これから組織を大きくしていくためにやるべきことが山積みになっている状況だったことを覚えています。
当時と比べると、組織も事業も順調に成長してきています。イメージとしては何十倍という規模ですね。
長谷:この3年で私自身もGX(グリーントランスフォーメーション)事業のシステムを立ち上げるなどGOとしてもチャレンジは増えてきています。ある程度決まったことをしっかりやり遂げるだけではなく、新しいものをつくる案件に対応できるような組織になってきた実感はあります。
─── 組織の成長要因は何だと思いますか?
長谷:いろいろ重なっていますが、一番わかりやすいのはマネジメント層が厚くなったことです。
以前は惠良さんがすべて管理しているような状況でしたが、しっかりやってくれるミドルマネージャーレイヤーが増えてきた。だから、メンバーもやるべきことを認識できて、自走できるようになってきているのではないでしょうか。
─── マネージャー層がレベルアップできた要因は?
惠良:こちらも同じくいろいろな要因が考えられるのですが、ひとつ言えることはみんなマネージャーという役割を任されて本気で向き合うようになるんですよね。マネージャーではないのにマネージャー視点を持っている人は相当レアだし、最初からマネージャーの素養がある人なんてそうそういない。役割を任されて初めて、本気で組織全体を見るようになります。
だから、基本的には時間をかけて育てていくしかない。結局は「経験の積み重ね」が人を育てると思うので、私たちは時間をかけて向き合うことを大切にしています。研修などの場は設けていますが、現場で試行錯誤する経験に勝るものはないように思いますね。
長谷:大きかったのは、HRBPが関わってくれたことです。惠良さんと私とHRBPでチームマネジメントしているような感覚というか。
たとえばグループマネージャーを任せる際にも、自チームのメンバーだと「いいところもあるけど改善してほしいところもあるので引き上げにくい」ということがあるわけです。しかし、惠良さんやHRBPから「絶対に任せたほうがいい」と助言されると、意思決定もしやすくなる。自分以外の視点を取り入れながらチームマネジメントできたことはよかったです。
「できるところから始める」がチームを強くした
─── 変化著しいGOという組織においてエンジニアの役割はどのように変わってきていますか?
長谷:会社が掲げるバリューにもある「無いから挑む。」の重要性は上がってきています。
単に「ゼロイチでアイデアを形にしていく能力が必要」という話ではなくて、「こういうものなら悪くないんじゃない?」「こういうやり方だったら早くできるよ」とプロセス含めて“いい感じのたたき台”をつくれるような能力ですね。
これまでは案件の方向性はプロダクトマネージャーが決めて、進捗はプロジェクトマネージャーが管理していたのですが、みんなが少しずつできるようになってきています。
─── ターニングポイントがあったのでしょうか?
長谷:やはり、2024年春に始まった日本版ライドシェアへの対応です。
惠良:そうですね。日本版ライドシェアの話が出たときは、世の中のルール含めて何も仕様が決まっていない状況でしたが、私たちは不確実性を前提に着手する必要がありました。
プロダクトマネージャーですら手探りでしたが、エンジニアサイドで「データ構造はこうしましょう」「情報管理はこうしましょう」と決められるところから決めていって、「多少は変更がきくから、まずはこれで始めてみましょう」というところからスタートしました。
実質3ヶ月ほどの開発期間でつくったのですが、もし仕様が決まるのを待っていたら、2ヶ月は何も進まなかったでしょう。社会的にも注目度の高いテーマだからこそ、「まずはやってみる」スピード感が求められた案件でした。結果的に、エンジニアが主体的に動くブレイクスルーになったと思います。
長谷:時間的な制約もあって「世の中で注目されている案件を自分たちがつくるんだ」という意識がメンバーに浸透していましたよね。
あと、個人的には惠良さんが自ら手を動かして背中を見せていたことも大きいと思っています。ただ、「やれ」と言われるよりも説得力が増しますし、「やらなきゃ」という意識は醸成されていくので。「ゼロイチでつくるってこういうことなんだ」と学べる機会になったのではないでしょうか。
─── その後、メンバーのみなさんの成長を感じる場面はありましたか?
惠良:プロダクトをきちんと理解したうえで、自分の得意領域を掛け合わせて「そこに関しては自分が一番詳しいから自分がしっかりやっていくんだ」というマインドで働くメンバーが増えてきました。彼らがチームの柱になっているから、それぞれがうまく回るようになってきていて。3年前からは考えられないような状況で、非常に心強く感じます。
長谷:タクシーアプリ『GO』という大きなサービスを抱えながら、その中や周辺にあるゼロイチを形にしていけることのおもしろさ、同時に難しさを感じている様子が見られます。GOだからこそ学べることはあるので、今後のアウトプットが楽しみです。
GOで活躍するエンジニアの共通項は?
─── 変化が多い環境で、お二人がブレずにやってきたことがあったら教えてください。
惠良:事業に対する姿勢、社会に対する責任を含めて、考え方は最初の頃からずっと変わっていません。そういう意味では、非常に真摯に世の中と向き合っている会社です。「全方よし。」というバリューに基づいて、自分たちの利益だけではなく世の中に目を向けているところはこれからも大切にしたいスタンスです。
長谷:「ちゃんとつくって、みんなに喜んでもらいたい」と真剣に考えているエンジニアばかり。誠実に世の中の課題と向き合っている姿勢は、ブレていないところです。「意識して守ってきた」というよりも、「自然にできる人たちが集まってきた」と表現するほうが正しいのかもしれません。
特にGOのエンジニアは、技術への興味関心がベースにありつつ、事業が好きな人が多い。だから、技術の追求に没頭するのではなく、事業に目を向けられる。「技術を通じて必要なものを提供する」というスタンスを自然に取れているメンバーが多いです。
─── どうしたらそういうエンジニアが集まるのでしょうか?
長谷:事業の説明はとことんやります。説明のなかで「この事業のこういう技術要素がおもしろいんですよ」という話もしつつ、「単に技術が好きなだけではマッチしないかもしれません」という話も正直に伝えています。
惠良:若いエンジニアだったら「とにかく技術が好き!」でもいいですが、ある程度キャリアを積んできたら、手段ではなく目的に目を向けられることが大事ですからね。
とはいえ、最初から事業に興味を持っている人はそうそういないので、考え方や性格を含めて、組織のなかでポジティブな変化をもたらせられたり、足りないところを補って高め合えたりできるマインド面も見るようにしています。
─── 活躍しているエンジニアの共通項はありますか?
長谷:共通するのはやはり「自走力」です。やるべきことを自分で見つけ、どんどんやり切り、また次の課題を探しにいく。その循環を自然に回せる人は、世代問わず活躍しています。GOでは「技術を事業や社会の課題解決につなげたい」という意志を持つ人ほど、自走力が発揮されやすい印象です。
惠良:あとは、行き詰まったときのためのコミュニケーション能力ですね。周囲と調整して、地ならしして、かつ自分の意思も伝えられる。すると、マネージャーは「チャレンジさせたい」と思うようになる。そうすると、ビッグチャンスも舞い込んでくるわけです。
長谷:そういう意味では、難所はミドル〜シニアが切り拓き、ジュニアは隣で実装しながら自走力を鍛えられるというのが今のフェーズかもしれません。
たとえば、認証、会員登録の動線、個人情報の安全管理など、GOに必要な技術の引き出しを身につけられる環境があることがポイントです。
もうひとつは、周りを巻き込んで、自信を持って自分がつくりたいものをつくっていく度胸。どうしても経験に裏付けられる部分になってしまうのですが、「自分がつくるものはいいものなんだから、一緒にやろう」というマインドのメンバーが少しずつ増えてきています。
GOのAI活用最前線
─── GOでのAI活用についても教えてください。
長谷:実は、GOではだいぶ前から見えないところで様々なAIを使っています。例えば『GO』アプリでタクシーを呼んだときに「何時何分 到着予定」と表示される機能もAIを活用しています。
フルにAIを活用してプロダクトをつくるというよりも、プロダクトの各機能を、必要に応じてAI技術を盛り込みながらつくっているイメージです。AIを活用した機能開発とサービスへ組み込むことをミッションとするAI専門部隊があります。
最近ではGPTシリーズやGemini、Claudeのような大規模言語モデルをサービスに組み込むことが始まっています。たとえば、グループ会社のGOジョブ株式会社で展開する人材採用プラットフォーム『GOジョブ』の開発も行っていますが、そこではAIチャットとの会話をもとに自己PR文を自動生成する機能も始めていて、将来的にはもっといろいろなところで使えそうなビジョンを描いています。
あとは、日々の業務での活用ですよね。単に積極的に導入するだけではなく、生成AIを通じて秘匿性の高い情報が漏洩するような事故が起きないように、新規に推進チームをつくって安全に活用する方法を検討しています。少し前だとCursor、最近はClaude Codeが、いち早く展開できるような活動を進めているところです。
惠良:ChatGPTに代表されるような大規模言語モデルを使わないと、自分たちの仕事のスピードが見劣りしてしまいますからね。競合ありきのビジネスなので、自分たちの強みを維持し続けるためには、最新の技術を使いこなす必要がありますね。
─── エンジニアとしてAIとはどのように付き合っていくべきだと考えていますか?
惠良:今のAI活用としては、業務スピードをブーストする使い方が大多数です。エンジニア界隈ではAIにコードを書かせて開発を速める、というのも一つの使い方ですが、それだけでは単に「効率化」にとどまります。
個人的には、できなかったことをできるようにしたいし、そういう使い方を編み出したい。私たちが目指すのは「AIがあって初めて実現できたサービス」や「社会に新しい価値をもたらす機能」です。AIを活用することで自身の限界を超えたものを作り上げる、そういうチャレンジができてこそ、本当の意味でAIを使いこなしていると言えると思います。
長谷:「AI惠良」「AI江川」のようなものをつくってみたいという話をしたことがあります。今のGOは仕様が非常に大きく、ゼロイチをつくるときに整合性をとらないとエラーが起きてしまうのですが、惠良さんやGOアプリ事業本部 本部長の江川さんは頭に入っているんですよね。だから、「ここ大丈夫?」とアラートを出してくれる。
これってとてもAIっぽいと思っていて。膨大な知識をAIにラーニングさせて、「AI惠良」「AI江川」をつくって、自分が好きなときに壁打ちできるような世界っておもしろいと思いませんか? 近い将来できる気がしていて、機運が高まっているところです。
惠良:スーパー社員の能力をAIにラーニングさせる事例は他社でもありますからね。AIにコピーした価値観と自分を比べるだけでも、磨かれることは多そうですし。
個人的には「AI惠良」で成長したら、さらに「AI惠良」が持っていない知識や技術を習得してほしいと思っています。AIがない時代は先輩社員にくっついて、ナレッジを吸収するだけではなく、失敗談も聞いてさまざまな角度から知識を自分のものにしていました。しかし、AIがあればキャッチアップのスピードを上げられる。さらなる成長の起爆剤にはなり得ると考えています。「AI惠良」という名称は、要検討ですが(笑)。
事業を動かし、社会にインパクトを与えるエンジニアへ
─── 今後、どのようなエンジニア組織をつくっていきたいと考えていますか?
長谷:自動運転の波がすぐそこまで来ています。「じゃあ、自動運転に対応する仕組み全部つくって」と言われたときに「はい、つくれます」と受けとめられるような組織でありたいですね。
要は先ほどお伝えしたように「課題を自ら紐解いて、やるべきことを見つけていく」というスタンスをとれるかどうか。」本当に、自動運転の開発に一緒に取り組んでくれる人に来てほしいんですよ。何も決まっていないところから考えられる人と一緒につくっていきたい。採用もしたいし、既存のメンバーからもどんどん育てていきたいと考えています。
惠良:結局は想像力なんですよね。新しい事業がスタートしたときにエンジニアは想像力を働かせなければいけない。今の時代、開発手法も組織のあり方も「これが正解です」というものはありません。
事業や会社の状況に合わせて、ベストな形を見出していかなければいけないわけです。だから、マネージャー層から自発的に「今の形、ちょっと厳しいので変えません?」と提案が出るような組織になっていったら嬉しいですね。そういう機会が増えてきたら、世代交代も進んでいくはずです。
─── 先ほどミドル〜シニア層のエンジニア向けの話がありました。ジュニア層のエンジニアがGOに入社する魅力も教えてください。
長谷:これまで何社か経験していますが、GOは非常に透明性の高い組織なので、キャリア関係なく、経営者の視座を感じることができます。特にGOのエンジニアにとっては欠かせない部分を若いうちに学べるのは、大きなアドバンテージになるはずです。
惠良:エンジニアで「ビジネスのことはわかりません」だといずれキャリアは頭打ちしてしまうんですよね。そのためにはビジネスサイドの視点をインプットする必要があるのですが、当然素地がないと鍛えられない。
しかし、GOはフラットだし、キャリアに関係なく、週に1回私たち経営陣に「この設計、どう思います?」と持ち込める『よろず相談会』という会議体もある。単に技術の話にとどまらずに、ビジネス視点でフィードバックしています。
私たちも会社の状況や考え方はできる限り全員に伝えていくので、さまざまな機会を有効活用できれば成長スピードも速くなるはずです。
技術を武器に事業を動かし、社会課題を解決していく。そんな「社会にインパクトを与えるエンジニア」を、GOで一緒に目指してほしいですね。技術を磨くだけではなく、その技術を社会課題解決に活かせることが、GOで働く一番の面白さだと思います。