答えを教える前に、その人から教えてもらう
「人を支援する仕事」と聞くと、専門的な知識を使って、相手に答えや助言を与える仕事を思い浮かべるかもしれません。
けれども、本当にその人を理解しようとするなら、まず必要なのは、その人の世界について、その人自身から教えてもらうことではないでしょうか。
松尾芭蕉の教えを記した『三冊子』には、
「松のことは松に習へ、竹のことは竹に習へ」
という言葉があります。
松について知っていることを外側から並べるのではなく、松そのものに向き合い、松から学ぶ。同じことは、人と関わる場面にもいえます。
「この人はこういう人だ」
「きっと、こうすればうまくいく」
「自分の経験から考えると、答えはこれだ」
そうした理解や善意が、かえって相手の世界を見えにくくしてしまうことがあります。
これは、キャリアコンサルタントやカウンセラーだけの話ではありません。人事、教育、マネジメント、地域活動、友人との対話など、誰かの人生や仕事に関わるすべての人に通じる問いです。
理論を学ぶことと、目の前の人から学ぶことは両立するのか。自分の思い込みをいったん脇に置き、その人の世界に近づくには、何が必要なのか。
約300年前の『三冊子』の言葉を手がかりに、現代の対人支援について考えました。
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