「この人は仕事ができるから。」
そんな理由で、新しい仕事を任せたことはありませんか。
確かに、能力の高い人は多くの仕事をこなせます。
覚えるのも早い。
対応も早い。
周りからの信頼も厚い。
だから気が付くと、その人に仕事が集中していきます。
しかし、それは本当に適材適所なのでしょうか。
私は、適材適所とは「能力が高い人へ仕事を集めること」ではないと考えています。
能力と特性は違います
まず、能力と特性は分けて考える必要があります。
能力やスキルは、努力によって身につけるものです。
営業を学ぶ。
経理を覚える。
プレゼンを練習する。
接客を経験する。
誰でも時間をかければ伸ばすことができます。
だからこそ価値があります。
一方で、その努力にはエネルギーが必要です。
得意ではないことでも頑張れば成果は出せます。
でも、その頑張りを何年も続けることは簡単ではありません。
特性は、自然とできること
特性や強みは少し違います。
人の話を聞くことが苦にならない人。
細かな違和感に気づく人。
物事を整理することが好きな人。
全体を俯瞰して考えることが得意な人。
本人は「普通にやっているだけ」と感じていても、周りから見ると強みになっていることがあります。
そこには無理がありません。
頑張らなくても自然にできる。
だから長く続けることができます。
私は、この「自然にできること」こそが、適材適所を考える上で大切な視点だと思っています。
「できる人」に仕事を集める組織
多くの組織では、
仕事ができる人ほど忙しくなります。
「あの人なら安心。」
「あの人なら任せられる。」
「あの人なら何とかしてくれる。」
その結果、
問い合わせも。
判断も。
調整も。
教育も。
どんどん一人へ集まっていきます。
本人は能力が高いので、最初はこなせます。
でも、それは能力で乗り切っているだけかもしれません。
特性に合わない仕事を能力だけで続けていると、少しずつ疲れが蓄積していきます。
そしてある日、
限界を迎えます。
長く活躍できる人員配置とは
私は、人員配置を考えるとき、
「この人は何ができるか。」
よりも、
「この人は何を自然に続けられるか。」
を考えるようにしています。
例えば、
人と話すことが好きな人は、お客様対応が苦にならないかもしれません。
細かな確認が好きな人は、経理や事務が向いているかもしれません。
全体を見ることが得意な人は、統括や管理が向いているかもしれません。
逆に、
能力は高くても、
毎日人前に立つことが苦痛な人へ営業を任せ続ければ、
成果は出ても長続きしない可能性があります。
組織に必要なのは、
短期間で成果を出すことだけではありません。
何年も無理なく力を発揮できることです。
人は「向いている場所」で伸びる
適材適所とは、
苦手を克服させることではありません。
もちろん、新しい挑戦は必要です。
経験によって能力は伸びます。
できることも増えていきます。
でも、最終的にその人が最も力を発揮できるのは、
自分の特性が活かせる場所です。
そこでは頑張りすぎなくても成果が出ます。
続けても疲れにくい。
だから成長も続きます。
組織としても、
無理に頑張る人を増やすより、
自然に力を発揮できる人を増やすほうが、
持続可能です。
適材適所は、人を見ることから始まる
人員配置とは、
空いている席を埋めることではありません。
「この仕事ができる人」を探すことでもありません。
その人は、
どんな仕事なら自然と力を発揮できるのか。
どんな場面で周りから感謝されているのか。
どんな役割なら疲れにくく、長く続けられるのか。
そこまで見て初めて、本当の意味での適材適所になります。
組織は、人によって成り立っています。
だからこそ、人を能力だけで判断するのではなく、
その人らしさまで含めて役割を考えることが大切です。
能力は、努力によって身につけることができます。
でも、特性は、その人がもともと持っている強みです。
私は、適材適所とは「一番仕事ができる人」を選ぶことではなく、
その人が無理なく、長く力を発揮できる場所をつくることだと考えています。