味の素株式会社 / ユニット責任者(ブランド横断マーケティング)
ギャルママ施策
彼女たちは見た目はとても派手ですが、だからこそ「生活をきちんとしていきたい。料理もできると言われたい」という望みがあるのだといいます。 ギャルママたちは地元に友だちが少なく、遠隔地に住んでいる同志たちが『アイラブママ』のような媒体を通じてつながり、リアルのミーティングも開いてさかんに交流しています。たいへん面白いのは、このギャルママイベントを味の素株式会社が協賛しているということ。 この件について、味の素加工食品部(当時)の駒瀬元洋さんに話をうかがったことがあります。 味の素は昭和の昔は、「味の素」や「ほんだし」「ハイミー」「コンソメ」「中華あじ」などの基礎調味料が中心でした。でもこういう基礎調味料はだんだんと日本では売れなくなり、その後、中華料理がすぐにつくれる「クックドゥ」のような半調理品、それから冷凍食品へとだんだん移ってきました。料理をゼロからつくるよりは、冷凍食品でお手軽にしちゃおうという方向に日本の家庭料理は変わってきて、味の素のビジネスもそういう流れに沿ってきたということなんですね。 (ギャルママたちは)お金に余裕がないので、冷凍食品や半調理品とかは使いません。醤油や味噌、酢といった基礎調味料を使おうとするのも、ギャルママ料理の特徴です。 「普通の家庭の食事にかかる費用が平均月額6万円だとすれば、ギャルママたちは半分の3万円ぐらいです。でも子供たちのことを大切にしているので、たとえば洋服は自分で作って着せてあげるぐらい。お部屋のインテリアでも百円ショップで切り花のバラを買ってきたりとか、みんな工夫を楽しんでる。料理も安く上がるように工夫して、それを楽しんでるんですね。前に読者参加の企画で『一か月二万円で暮らそう』というのをやったら、自分でうどんを打ってみたり、砂糖で水飴を作ったりと、けっこう凄かったですよ。ちょうど時代の潮流が外食から家でごはんを食べるウチ食に変わってきている時に、それを体現してるのがギャルママかもしれません」(『アイラブママ』編集部) 「家めしこそ、最高のごちそうである」佐々木俊尚 著より抜粋