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展示「いまここで、よく生きる。」
『いまここで、よく生きる』展示会ステートメント 心身問題(Mind-body problem)の歴史は長い... 1649年のデカルトによる心身二元論 -心とは自由意志であり、身体とは機械的運動を行うもの- は多くの批判を受けながら、現在にまで続く議論の端緒としてよく知られている。ライプニッツは神を用いた「予定調和説」によって精神と身体が別個のものでありながら協働しているように見えることを精密な時計を例に説明し、メルロ・ポンティは身体を「意識と物質とが分かち難く受肉化した両義的存在」と捉え直すなど、多様に思想は展開してきた。現代では、心身問題は心脳問題へと新たな装いを持ち始めている。神経科学や認知科学といった領域が「脳」という新たな視座を持ち込み始めたからだ。最も物質主義的な立場に立てば、心は脳の機能の一部として物質的に理解できる。身体もまた脳(あるいは神経系)によって感覚され、運動する物質である。そんな物質としての私は、遺伝と環境の相互作用の産物だ。遺伝か環境かといった議論はもはや古びている。エピジェネティクスの研究が進み、遺伝子のどのような要素が個体に発現するかは、環境からの刺激によって変わると考えられるようになったからだ。