株式会社日本色材工業研究所 / 研究開発部 パウダーメイクチーム所属
会社初の繊維入りパウダーアイブロウの開発
【主な担当】 新製品のパウダーアイブロウの開発担当者として、営業・工場・法務・企画支援と連携し、製品化まで進めました。 【目標・課題】 ▼目標 ・マスカラに入っているものと同じ繊維を配合したパウダーアイブロウの開発、製品化をおこなう ▼課題 ①ダマになりやすい繊維をどのようにほぐし、配合するか ②実生産の限界がある中で、いかにクライアントの求めるクオリティを実現するか(ボリュームアップ、質感、密着感) ③研究で試作したサンプルと同じ品質のものを工場で生産できるか ④充填しやすい容器の検討ならびに充填時に使用する部品の開発 【目標・課題を達成するためにおこなったこと】 上記課題を解決するためにおこなったことを「研究」「工場」「営業」に分けて記載いたします。 ①ダマになりやすい繊維をどのようにほぐし、配合するか ---------------------------------------------------------------------------------- 「研究」 繊維を配合するタイミングを変えた手順書を4パターン作成し、ミニマムスケールで1パターンずつ試作して確認、ダマにならずに配合できる手順を見つけました。 「工場」 工場試作を依頼し現場に同席、研究でおこなった手順で無事にダマがほぐれたことを確認しました。 ②実生産の限界がある中で、いかにクライアントの求めるクオリティを実現するか (ボリュームアップ、質感、密着感) ---------------------------------------------------------------------------------- 「研究」 - ボリュームアップについて クライアントからは「なるだけ長い繊維をたくさん入れてボリュームアップしたい」との要望がありました。しかし繊維はダマになりやすく、長ければ長いほどその危険性は高まります。したがって長い繊維と短い繊維を配合し、短い繊維の配合量を多くすることでボリュームアップをはかりました。 - 質感、密着感について サンプルをクライアントに確認してもらったところ、「もっと肌に密着しつつ、質感はさらっとして欲しい」との要望がありました。肌に密着させるにはオイルの配合量を増やすのが最も簡単な方法ですが、すでにオイルの配合量が多く、工場に相談したところ実生産時の温度上昇が懸念されるとのことでした。 そこで他の方法を検討し、粉体原料の種類を変更することで対応しました。 「営業」 上記検討の経緯をまとめた資料を作成し、サンプルとともに営業担当者に提出、再度口頭にて説明し、営業担当者からクライアントへ伝えてもらい承諾を得ました。 クライアントとのやりとりは営業担当者がおこなうため、いかに営業担当者に理解してもらうか、誤解が生じないよう伝えられるかを意識していました。 ③研究で試作したサンプルと同じ品質のものを工場で生産できるか ---------------------------------------------------------------------------------- 「研究」 以下「工場」にて記載した温度上昇の課題を解決するため、再度工程を見直しサンプルを作製、確認しました。 修正した工程で再度工場試作を依頼し、現場に同席、問題ないことを確認しました。 「工場」 1回目の工場試作にて、製造中に製品が90度まで温度上昇することが発覚しました。 研究にて製造工程を見直し、再度工場試作をおこない温度上昇を50度まで抑えることに成功、品質も問題ないことを確認しました。 ④充填しやすい容器の検討ならびに充填時に使用する部品の開発 ---------------------------------------------------------------------------------- 「研究」 営業担当者が用意した容器サンプル3種に実際に充填し、より充填しやすい容器を検討しました。 工場にも容器を送り、実際に充填できるか確認してもらいました。 新たに充填用の部品を作る必要があると工場から連絡があったため、その旨を営業担当者に報告、予算に問題がないか確認しました。 「工場」 容器充填の検討ならびに新たな充填部品を作製してもらいました。 「営業」 充填用の部品を作っても予算に問題がないか確認してもらいました。 【成果】 ・会社としても初の試みである「繊維入りパウダーアイブロウ」を製品化まで進めることができました。 ・クライアントにもご満足いただき、実際に製品を使用した方からも「汗をかいても落ちなくて感動する」と評価いただきました。 ・2023年現在も主力商品の1つとして販売され続けています。 【学んだこと】 いくつもの課題が発生しても、妥協せず最後までやり抜くことでお客様の感動体験に繋がっていくことを学びました。また自分1人では解決できないことでも、周囲の協力を得ることで先に進めること、みんなで一つのものを作り上げていくことの楽しさも学びました。 この経験を通して「やると決めたら最後までやり抜く力」が私の強みであると確信できたので、Web開発でもこの強みを活かし、お客様の感動体験を生み出していきたいと思います。