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「意識高いは無意味になる時代」ゼノデータCEOが考える経済予測で変える未来とは

北口(広報):みなさん、こんにちは!ゼノデータ・ラボ広報の北口です。長く研究&開発していたプロダクトもできはじめ、会社としても拡大期に入ってきているこのタイミングで、弊社の代表である関に、創業の経緯から会社の方向性や事業、組織で大事にしていることを聞いてみました!

<創業の経緯について>

公認会計士から経済データを扱う30人規模のITベンチャーへ

ーーまず改めて創業の経緯から聞かせてください。会計士のベンチャー移籍は異色のように思えますが、創業前はどんなことをしていたか教えてください!

関:大学2年の後半からはずっと公認会計士試験の勉強に時間を費やしていました。創業の大変さが苦にならないほど辛い日々でしたが、なんとか4年の時に合格し、無事大手監査法人に入社することができましたが、合格と同時に私の会計熱は冷めてしまい、なんとか監査を通じてITの素養を付けたいと思っていました。そこで、会計士としては非常に珍しいIT監査やデータ監査の部門を志願し、元エンジニア集団の中でIT関連の仕事をしていました。その時、財務とITの親和性の高さを強く感じ、何かビジネスをしたいと思うようになり、縁があってユーザベースという財務とITを基にしたビジネスを展開している会社に転職することになりました。

天職、仕様策定。ひたすら仕様策定の日々。

――なるほど、関さんの財務×ITの経歴はIT監査やデータ監査から始まったのですね!転職先のユーザベースではどのようなことをしていたのでしょうか?

関:当時はまだ30~40人くらいしかいなかったので、色々とやらせていただきました。その中で最も心血を注いだ業務は、経済情報サービスSPEEDAの仕様設計、開発、プロマネ、テストなどのプロダクトサイドで非エンジニアが行うようなことを全部やらせてもらってました。その中でも、仕様ですね。仕様、仕様、仕様、、、仕様という言葉が自分の専売特許に思えるほど仕様を書きました。人数も少なく、本当に大変でしたが、新しいサービスを作るための原点となるような経験ですし、貴重な経験をさせていただいたと思っています。今考えたら、20代で天職を見つけられたので、本当に幸せなことだなと思います。

北口:関さんの書く仕様書をゼノで何度も見ていますが、本物のサービス画面を切り取ったかのような綺麗さとわかりやすさでいつも感動しています!

米国AIベンチャーに衝撃、次の経済情報サービスは予測の時代と直感。

ーーそれでは創業の経緯を聞かせてください。どうして、予測という分野に行きついたんですか?

関:たくさんの顧客要望を読み漁ったり、セールス担当と話したり、実際に顧客と話す中で、事実情報の整理だけではなく、結局今後どうなるの?という将来のインサイトを顧客が求めているということを感じるようになりました。ソニーの30年分のニュースや財務を見たい人って、来年の業績を知りたいと思う人が大半で、それを知るために経済情報の整理収集をしている。考えてみれば、そりゃそうだよねという話で、自分だけが見つけた課題というわけではないんですが、そんなものどうすれば作れるんだろうと思っているだけで時間が過ぎてました。

ーーどうやって予測の実現方法を思いついたのですか?

関:そんな中、アメリカでKenshoという会社をニュースで知ることになりました。彼らは今でこそ日本でもおなじみのAIというジャンルの技術で未来志向の情報提供を開始していました。これには本当に衝撃を受けました。やってる会社あるじゃん、と。そして、キーワードはAIだ、と。実はたまたま同じ時期に、社内で機械学習や自然言語処理を使ったプロジェクトをデータサイエンティストと2人で進めており、機械学習という分野の可能性に度肝を抜かれているところでした。今考えれば当時やっていたことは初歩の初歩ですが、それでもAIによって世の中どうにかならないわけがないということを確信できるのには十分な衝撃でした。幸運なことにちょうどいいタイミングで、機械学習や自然言語処理×経済データで何ができて何ができないということを肌で体験することになり、今のxenoBrainの根幹のアイデアを思いつき、可能であると確信しました。あとは、これを生涯を賭した事業としてやる価値がある、それは自分だけにしかできないと信じ込み、創業に踏み切ることになります。


<ミッションについて>

経済予測の価値は投機の成功ではなく、世界中の挑戦を支えることにある

―― xenoは『経済予測で世界を変える』というミッションを掲げています。実際には経済予測でどのように世界が変わるのでしょうか?

関:経済の未来を懐中電灯のように正確に照らすことができれば、それに基づいた判断をして経済的な利益を生むことはもちろん、今まで未来がわからず踏み出せなかったことにチャレンジする勇気を与えるという形でも世界に貢献できると思っています。

例えば企業で言うと、なんとなく市場が盛り上がっているので設備投資をして生産キャパシティーを上げた方が良いものの、いつ、どのくらい需要が上がるのかなかなか判断できないという状況でも、市場需要を正確に捉えることができれば適切なタイミングで投資判断をすることも可能になりますし、個人で言えば、やりがいのある職場を思い切って選びたいものの将来が不安で給料が高いところに惹かれてしまい動けないという状況でも、経済予測にもとづいてしっかり資産運用をしておけば、より将来に安心感をもつことができそのチャレンジに勇気を与えることも可能になります。

経済予測というと、株価を当てて大儲けのようなイメージがつきやすいですが、私は経済予測の価値は意思決定に安心感を与え、人々のチャレンジを支えていくことの方が役割として大きいと思っています。もちろん、ビジネスとしては両方を実現していきますが、自分たちが儲かったらそれでよいというビジョンはありません。

人の代替をするAIから、人を超えたAIへ

――経済予測がサービスとして提供する本質的な価値は、予測分析時間の短縮ということですか?

関:いいえ。そこは明確に違います。
確かに、プロダクトの進捗が浅い時期は人ができることの自動化の面で価値を感じやすいですが、目指しているところはそこではないです。AIは辞書や学習データ、モデルの改善等々により時に飛躍的に精度が向上していきます。その過程で、まずは人ができる面倒な作業を効率化するというところがあり、その次に、人では到底できない発想や精度によるものが生み出されるというプロセスをたどります。我々が目指す経済予測はその領域にあり、実際我々のプロダクトでもいくつかの分野では、人が何百時間かけても出せない精度の予測を出しており、統計データの予測などでは既に実現しているところもあります。


『意識高い』を無意味にする。人間的幸福度の高い時間を創出

――『人を超える経済予測AI』が浸透すると、人々の暮らしはどう良くなるでしょうか?

関:語弊を恐れず言うと、意識なんて高くなくてもいい世界の実現です。『意識高い系』の定義によるので、最初に定義しておくと、自分の仕事のパフォーマンスを上げて給料を上げる、資産運用で資産を増やす等の経済的利益のために、経済知識を習得したり、毎日それなりの時間を使ってニュースを読んで情報収集や勉強に勤しんでいる人とします。(※経済的利益が無くてもこういった時間を費やすことに幸せを感じる方は除外します)

個人資産の話が分かりやすいと思いますが、例えば米国株やインデックス、金利や為替についてたくさん勉強しても、AIに任せた方がはるかにパフォーマンスが良ければ誰も勉強なんてしないですよね。これがビジネスでも実現できれば、意識高くニュースをたくさん読んで情報収集に時間を費やしても、費やさない人がAIを使って判断する結果と変わらなければそこに時間を費やす人はいなくなる。

これまで、いい仕事をするために必要であるという強迫観念的に費やしてきた経済的利益のための膨大な時間が不要となれば、例えば家族や大切な人との時間を増やしたり、趣味やボランティア、健康な体を作る時間など、人間的幸福度の高い時間にもっと時間を費やすことができるような社会を実現できます。

これまでのテクノロジーの進化は、結果的には進化したプロダクトを使ってあくせく働くことは変わりませんでしたが(そろばん→電卓→Excelと進化しても、残業は減らない)、AIというテクノロジーの進化は、これまでの進化とは次元が異なる話だと思っています。

意識高くても低くても、経済的利益があまり変わらないという社会を実現することは、人間の幸福度に直結する時間の創出という意味で、社会に大きなインパクトを生む事業だと思っています。

<事業について>

巨額なIT投資無く、SaaSで手軽にAIの発展を享受できる世界を目指す

――現在の事業である『xenoBrain』についてご説明お願いします!

関:『xenoBrain』は、企業向けの経済予測分析プラットフォーム(SaaSサービス)です。ニュースや統計、開示資料などの膨大な経済データを独自のディープラーニングや自然言語処理などのエンジンを用いて、40万社の企業業績の長期予測、15,000業界の産業動向の長期予測、3万統計の短期予測など、様々な種類の予測結果を提供しています。

――この分野を受託開発ではなく、SaaSで事業展開する狙いは何ですか?

関:現在、AIの発展を享受できる企業の多くは、多くのデータサイエンティストを社内やプロジェクトで抱えられる巨額IT予算をもつ、超大手企業です。それ以外の企業は、データサイエンティストを社内で抱えることも、できるかどうかわからない研究開発投資に巨額IT投資を割くこともできず、AIの発展をこの分野で享受できていない企業が大半です。我々は、この状況を打破し、中小企業も含めたあらゆる企業が最先端のAIの進歩を享受し繫栄する世界を目指しており、それを最短で実現するためには、どうしてもSaaSのようにユーザー側の巨額なIT投資が不要なビジネスモデルを作る必要がありました。

――今後はどのような事業展開を考えていますか?

関:まずは企業向け経済予測サービスとしてより発展させることができるよう、予測対象を拡大していきます。事業会社向けでは、企業の自社製品の売上や物流量、在庫、さらには、月次PLなどの財務数値など、経営に重要なKPIをダイレクトに予測していきます。また、金融機関向けには上場企業の株価、四半期業績などのマーケット系データを予測することで事業を拡張させていきます。企業向けの事業がしっかりと確立したら、次はBtoC向け、海外向けと、さらに事業を拡張させていきます。

北口:ありとあらゆる経済事象をゼノが予測する未来、ワクワクしますね!!

<組織について>

最高の価値観を偶然ではなく再現させるため、バリューの議論を今年開始

――現在、いわゆるMVV文脈でいう『バリュー』はないですが、今後はどのように考えていますか?

関:ゼノデータでは、特徴的な文化がいくつかありますが、バリューのようなものは敢えて決めてきませんでした。世の中のGoodとされていることとはだいぶ違いますが、バリューに関しては創業者の願いや努力目標ではなく、既存のメンバーで自然に醸成された(=違和感なく順守できる)価値観やカルチャーを、偶然ではなく再現させ続けるために作りたいという考えだったことが大きいです。ただ、何があっても創業者はそれを浸透させ続けなければいけないので、創業者とのフィット感も重要です。創業者である私が、現状のメンバーから生み出される価値観を尊敬し、大好きでなければいけないので、タイミングは非常に重要でした。そんな中、今のゼノデータは、私が新卒で仕事を始めてから15年間で一番最高と思える職場であり、今のカルチャーや価値観を偶然の産物ではなく、後世まで続けていきたいと本気で思える状況が整っているので、正に機は熟したと思っています。事業の拡大期に入ったこともあり必要性も上がり、今年からゼノデータとはどんな価値観の会社で何を残すのか、という答えを決めていくプロセスを開始しようと思います。

――具体的に、既にある特徴的な文化とはどんなものがありますか?

関:そうですね、それを言語化していく作業を今後していくのだと思いますが、思い付く限りの私の語彙力で言うと、立場の違いを尊重できる、チームのための献身、業務に限らず誠実な人間性、メンバーだけでなくその家族へ配慮し合える、高いプロ意識、テクノロジーへの情熱、チーム開発への情熱、家族のように温かい雰囲気、当事者意識の高さ、議論が建設的、リモートのフィット感など、ぱっと思いつくところでもたくさんありますが、バリューを考えるときはこういういい面を並べるのではなく、何が会社としてダメかを決めることが重要だと考えていますので、それを今後丁寧に練り上げていこうと思います。その前提で、一つ特徴的なところを挙げるとしたら、エンジニアは30代の男性が中心、ビジネスサイドは8割が20代、8割が女性の組織であり、世代も性別も色々いる中で長く一緒に仕事できているのは、互いを尊重し合うコミュニケーションという点で成熟した人が多いからということが大きいと思います。ベンチャーって、コミュニケーションのところがぐちゃぐちゃになりがちですが、今の組織は本当にそこが優れているメンバーに恵まれています。

――今後の組織面で何かビジョンはありますか?

関:たくさんありますが、最も抽象的な次元で自分がこだわっているのは、最高のメンバーと仕事していると思える会社にすることです。どんな創業者でも目指すものですが、事業計画からの採用プレッシャーや色々なシチュエーションによってこのビジョンがぶれてしまうし、ぶれていなくても会社が大きくなると維持する難易度が格段に上がるため失敗してしまう、こんなことはベンチャーではあるあるです。

ゼノデータは、今日時点で奇跡的に最高の組織だと、創業者である私が思えていることはとても幸福な状況です。そう思える状況をずっと継続させるという強い覚悟と緻密な組織戦略で、ここからの拡大期を迎えなければいけないと思っています。

――最後に、この記事を読んでいただいた方にメッセージをお願いします!

これからゼノデータは拡大期を迎え、激動の時期を歩むことになります。そんな中で、働いているメンバーが最高と思える組織の土台を作ることを、当事者として一緒に進めていただける方を探しています。是非ご応募ください!

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