こんにちは、Wantedlyの仲です!本日、ここ4年ほどで最大のプロダクト「 Wantedly Hire (ウォンテッドリー・ハイアーと読みます)」という ATS (Applicant Tracking Systemの略で、候補者管理システム)をリリースするのですが、そのリリースに寄せて筆を執りました。
目次 なぜ今WantedlyがATSを?!
大規模開発や、採用ステップの設計に四苦八苦
顧客の声
世界を見据えて展開していく
おわりに
なぜ今WantedlyがATSを?! 遡ること2年前。私達は、大きな2つのトレンドを捉えていました。
第一に、 テクノロジーの民主化です。日々の生活で様々な消費者向けアプリを使いこなすデジタルネイティブ層が、今や働き手としても中堅となり、一昔前だと比較的テックサビーな人向けだったCRMツールなどをわりとナチュラルに、ネイティブのような形で利用するようになりました。気軽にデータ分析をしたり、顧客管理やニュースレターやソーシャルメディアを活用したマーケティングなど、現代の若手は息をするようにテクノロジーを使いこなす傾向がみられます。
第二に、 採用担当の仕事が「TA(Talent Acquistion = 人材獲得担当)」というものに様変わりしてきた点です。戦後長く続いた買い手市場では、文字とおり、「採用するかどうかをジャッジする」担当でした。しかし今は、もはや待っているだけでは優秀な人材は集まりません。消費者へのアプローチと同様、自ら潜在候補者にアプローチし、認知を高め、ファンになって貰い、転職を考えた瞬間には第一想起になっていることが必要です。また、リードタイム短くプロセスを最適化しながら、自社にマッチをした人材を見極める、という採用ならではの挑戦もあります。
▼Talent Acquisitionという単語の検索トレンド(Google Trend)
上記の2つのトレンドと共に、顧客から実際に要望が多かったことも決め手となり、新世代の採用担当や人事が成果を最大化できるような、次世代型の採用管理システムを作ろうと決めました。
大規模開発や、採用ステップの設計に四苦八苦 今回のプロジェクトは、ウォンテッドリー史上最長の開発規模となりました。これまでは、長くても半年程度の開発を経て、なるべくリーンにリリースをしてきました。しかし今回のATSは、基礎機能が多岐にわたります。また、世の中のデジタルリテラシーが高まる中で、消費者のプロダクトに対する期待値は高まっているように感じます。今一世風靡をしている Figma や Notion も、リリースまでに2年以上の歳月を要しており、一定の機能やクオリティが最初から求められる時代になり、Wantedlyとしてはそういった開発スタイルにはじめて取り組む挑戦となりました。
一方で、今回のように「リーンにリリースして、顧客の声を取り入れながら改善していく」ができない分、顧客に対する課題解決の仮説検証が、限定的になりがちです。特に紛糾したのが、「採用ステップ管理」の設計でした。一世代前のATSですと、紋切り型の1つの採用ステップ(例:書類選考→一次面接→二次面接→最終面接→オファー…といった流れ)を顧客企業が皆同じものを使うことが一般的でしたが、この10年の間に大きく採用が様変わりし、100人の候補者がいたら、それこそ100通りの採用プロセスが存在するようになりました。特に、採用難易度が高いエンジニアに関しては、流入経路やプロセスも多岐にわたり、One Size Fits Allではなくなって来ているのを実感しています。
そこで今回は、二転三転しながらも、様々な多様な採用プロセスに対応できる超柔軟な採用ステップの設計を実現しました。このプロセスは本当に四苦八苦で、将来的な求人間のファンネル歩留まり分析をApple to Appleで行えるようにするための構造設計も考えたりしながら、柔軟性を担保するというチャレンジでした。
顧客の声 今回はリリースの数週間前より、一部顧客にご案内を開始してきましたが、多くのお客様より感激の声をいただいており、大変嬉しく思っています。特に大きな反響は、日程調整の自動化、採用基準の標準化、それからカスタマイズ性が高い採用ページでした。
まず日程調整です。 実は、今回一番力を入れたのがこの機能でした。日程調整に関しては、意外とどの顧客もそこまで不満と認識していないものの、説明を受けると目をキラキラさせて「これがほしかった!」と言っていただくことが多かった気がします。「ATSの日程調整機能とはこんなものだ」という諦めがあり、もはやそれ以上のものを想像していなかったのではないかと思います。今回は、ワンクリックで日程調整が終わり、候補者と採用担当双方に負担がない理想を実現できました。
次が採用基準の標準化です。 これは、個人的な課題から力を入れた機能です。本来採用というのは、長きに渡って会社で活躍できる仲間をアトラクトし、見極め、オンボーディングするプロセスです。一方で、採用の現場では、「誰が何をどの定義で見極めればいいのか」が全く曖昧なまま採用選考が進み、よもすれば最後は「とにかく人が入ればなんでもいい」担当マネージャー1人の推し具合で合否が決定する危険性も多いにあります。その結果、入社後の職務期待値とグレードの整合性つかず、評価され辛い人が発生するケースも創業初期にはありました。今回、それを解決する「構造化面接」を実現する機能を作ったところ、「こういうのを待っていた!」想定以上に賛同していただける顧客の皆さんが多くいらっしゃいました。
最後が採用サイトです。 Wantedly Visitで長らく私達は、想いや共感によるマッチングを推進してきました。その前提から、採用サイトはおのずと「想い」をリッチに表現できるものに設計しました。その結果、動画やスライドの埋め込みができたり、非常にリッチな表現で自社をブランディングできる採用サイトを簡単に作成できるようになりました。
また、多くのお客様から、Wantedly Hireに先進性を感じる旨のコメントをいただきました。嬉しいニュースとしては、サイバーエージェント様がいち早く導入を決めてくださったことでした!今回の新プロダクトには多くの期待を寄せていただいており、今後も継続したアップデートで、採用プロセスの在り方を全く新しいものにアップデートしていければと考えています。
世界を見据えて展開していく 今回初期から強く意識したのが、グローバル展開です。Wantedlyはこれまでも、Wantedlyの日本外での展開や、海外向けのサービスをリリースしては閉じた経験がありました。
▼ 2020年にリリースしたものの、すぐに終了した「Get in Touch」
そんな中で痛感したのは「2サイドプラットフォームの海外におけるPMFの難しさ」です。UberやAirbnbのような2サイドプラットフォームは、家と宿泊客、のように、現地でのプレーヤーが2種類必要で、その2種のボリュームがそれぞれ一定確保され、流通が活性化しないと、中々PMFまで遠い実感があります。一方で、ツールであれば顧客で完結するが故に、相対的には展開がしやすいのではないかと考えていたので、今回のWantedly Hireはその試金石になるかと考えています。
そして、そういった前提から、Wantedly HireのUIは海外在住のデザイナーの視点も取り入れ、グローバル水準のUIを実現できたと自負しています。11/5火の提供開始タイミングにて、まずはシンガポールを中心に海外での提供を開始する予定です。この展開には、相当に胸が高まっています!
おわりに 終わりになりますが、これを読んでくださった採用担当や人事の皆様、もしご興味がありましたら、現在リリース記念キャンペーンを実施しています。 こちらから是非デモをお問い合わせください 。このブログポストだけでは伝わらないことが大変多いので、実際に動くプロダクトを見ていただけると大変嬉しいです。
Wantedly Hireは、Wantedlyとは独立して利用できます(IDやパスワードも別になります)。一方で、Wantedlyをご利用中のお客様は、WantedlyからAPI連携によって候補者自動でデータをシームレスに取り込んだり、Wantedly上の募集とリンクして、カジュアル面談希望者はそちらに流したり、といったシナジーがあります。
Wantedly Hireは、今後も爆速で進化していく予定です。早く行きたいなら一人でいけ、遠くに行きたいなら皆でいけとよくいいますが、まだ見えない地平線の先まで、突き進んでいきたいと思っており、本事業に拘らず、仲間を募集しています!
▼期末の納会イベントYEPPにて!
究極の適材適所でシゴトでココロオドルひとをふやすべく、日本の採用プロセスの在り方を変え、さらにはグローバルに価値を届けていきたいPdMやエンジニアの方がいらっしゃいましたら、是非以下の募集をご覧ください。Wantedlyのテックチームの 発信はここからも確認できます 。
▼この「自社新規プロダクト」というのがWantedly Hireのことです!
最後になりますが、今回のATSプロジェクトは、これまでWantedlyで当たり前だった「爆速で開発・爆速でリリース、改善」とはかなり趣向が変わったプロジェクトだったため、本当に長い道のりに感じました。しかし、関わってくださったメンバーひとりひとりの前のめりさ、ユーザファースト視点のおかげで、本当に美しく力強いプロダクトに仕上がったと自信を持っていえます。まだスタート地点にたったばかりですが、さらにここからの進化が楽しみでなりません。
引き続き、Wantedlyを宜しくお願いします!
仲暁子