はじめに
こんにちは。ウォンテッドリーのデータサイエンティストの市村(@chimuichimu)です。Wantedly Visit の推薦システムの開発・運用を担うチームのリーダーをしています。
ウォンテッドリーに入社して2年が経ちました。この2年間で、メンバーとして施策を進める立場から、チームリーダーとしてチームの方針を決める立場へと、自分の役割が変わりました。
この記事では、入社からの2年間を3つの時期に分けて振り返ります。前半では、転職後のキャッチアップや感じたギャップ、そしてメンバーからリーダーへの役割の移行について書いています。後半では、リーダーとしてチームの方向性を作るために取り組んだことについて書いています。キャリアチェンジを考えている方や、チームリーダーという役割に向き合っている方にとって、何らか参考になるものがあれば幸いです。
入社~半年:オンボーディング期
前職は日系のSIerで、SE・PMを経験したのち社内異動でデータサイエンティストにキャリアチェンジし、研究開発部門で3年ほど働いていました。その後、機械学習や推薦システムといった技術がよりビジネスインパクトに直結する環境を求め、現職に2024/3に転職しました。入社経緯の詳細は以下のインタビュー記事にも書いています。
入社後はデータサイエンティストとしてWantedly Visit の推薦システムの開発に携わることになりました。SQLやGitHubを使った開発に不慣れだったり、Kubernetesをベースとした開発基盤やデータ周りのドメイン知識などキャッチアップすべきことが多く、正直苦戦しました。
キャッチアップにおいて助けになったのは、チームや開発組織に気軽に質問できる環境があったことです。加えて個人的な工夫として、悩んでいることや考えていることをSlackや日報に書き出すようにしていました。自分の状況が周囲から見える状態を作ることで、メンバーからアドバイスをもらえる機会が増え、問題を一人で抱え込む時間が減りました。
キャッチアップに苦労した一方、受託開発から自社開発に来たことによるポジティブなギャップも感じていました。プロダクトの変更に対するユーザーの反応が直接見えることや、ユーザー体験の改善や仮説検証のためにプロダクトデータを活用できる環境は、前職にはなかったものでした。
半年~1年:役割の変化
入社して半年ほど経った頃、チームに変化がありました。メンバーの長期休暇や退職などが重なり、チームリーダーを引き継ぐことになりました。当時の自分はそもそもリーダーが何をする役割なのかすら十分に理解できていない状態で、目先のチームのタスクを決め、メンバーが動ける状態を作ることが精一杯でした。
リーダーになったことで、自分の役割は大きく変わりました。それまではデータサイエンティストとしての施策推進が中心でしたが、チームで何をやるかを考え、PdMや他チームとすり合わせて方針を決めるという、プロダクトマネジメント領域の動きが求められるようになりました。また、採用活動にも関わるようになり、カジュアル面談や選考プロセスにおける意思決定など、これまでに経験のない業務も経験しました。
この時期はチームの維持に手一杯な面もありましたが、振り返ってみると、この経験を通じて自分の視点が変わったと感じています。たとえば施策を考える際に「この施策はプロダクト全体にとってどういう意味を持つか」といったチーム外の視点が加わりました。データサイエンティストとして個々の施策に集中していた頃にはなかった思考が身につき始めた時期でした。
1年〜2年:リーダーとしての取り組み
リーダーになって半年ほど経ち、四半期ごとのOKR設定やPdMとの方針すり合わせといった定期的な業務の進め方がある程度固まってきました。短期的なタスクを回すことに追われる状態から脱し、中長期的なチームの課題に目を向け、取り組むことが徐々にできるようになってきました。ここでは直近で取り組んでいたものをいくつか紹介します。
中長期的な課題の定義
推薦チームの貢献領域を拡げていくために、中長期的に取り組む課題を整理し、テクノロジーと組織のロードマップに落とし込みました。これによりチーム内外での共通認識を作るとともに、社外にも情報を抜粋する形でチーム紹介記事として発信し、採用活動においてチームの方向性を伝えるためのツールとしても活用しています。
ただしロードマップは作成しても実行されなければ価値がありません。そして実際にロードマップを実行するのは自分だけではなくチームメンバーです。チーム全体の納得感を醸成するために、自分でたたき台を作りつつもチームメンバーを巻き込んで作成しました。そして実現に向けて、既存の推薦経路の改善にとどまらず、プロダクトの新しい機能やWantedly Visit 以外のプロダクトへの推薦導入など、貢献範囲を広げるためにPdMや他チームに対する提案を継続的に行っています。
採用活動
以前はあらかじめ設定されたポジションに対するカジュアル面談や選考が中心でしたが、チームの中長期に実現したい姿を踏まえ、チームに不足しているケイパビリティを特定し、新たな採用ポジションを設定するところから取り組んでいます。また、採用ペルソナを作成したうえで活動を共に行うHiringチームとすり合わせを行ったり、自分以外のチームメンバーが採用活動を実行できる状態を作るなど、チーム全体で採用活動の品質を高めることを意識しています。
情報発信
もともとチームには社内外に向けて発信を積極的に行う文化がありましたが、その意義を改めて整理し、チームのOKRに組み込む形で運用を強化しました。背景には2つの課題があります。1つは、データサイエンスのチームはプロダクトのUI変更のような目に見える変化を出しにくく、社内から「何をしているチームなのか」「何ができるチームなのか」が伝わりにくいこと。もう1つは、データサイエンティストの採用市場が継続的に売り手市場であり、社外へのプレゼンス維持が採用成功のために必要であることです。
具体的な取り組みとしては、全社会議でのチーム成果の定期的な共有、技術ブログの執筆、カンファレンスでの登壇など、社内外の両面で発信を継続しています。
生産性の向上
チームとしての貢献領域を広げるだけでは作業量が増える一方で持続可能ではないため、既存業務の効率化にも取り組んでいます。例としては以下のようなものです。
- 運用負荷の削減:役目を終えた機械学習関連の機能の削除やリポジトリのアーカイブを進め、保守対象を縮小する
- 施策プロセスの効率化: 施策の企画から評価までのプロセス全体を対象とした業務改善活動に、チームとして取り組む意思決定を行う
- 担当領域の再定義: プラットフォームの信頼性に関わる活動(スパム行為への対応など)のうち私たちのチームだけで担当していた作業を、プロダクトチーム全体で分担する形にプロセスを変更する
おわりに
この2年間を振り返ると、自分の役割はデータサイエンティストとしての施策推進から、チームの方向性を定めて推進する立場へと変わりました。一方で、個人として足りない部分はまだ多くあると感じています。直近では、プロダクトマネジメントの領域をより強化し、データサイエンティスト単独で行える施策だけでなく、データサイエンティスト以外の職種を巻き込んだ施策の設計・推進に取り組んで行きたいと考えています。
最後になりますが、ウォンテッドリーの推薦チームには、チャレンジしがいのある課題がまだたくさんあります。もしこの記事を読んで少しでも興味を持ってくださった方がいれば、ぜひカジュアルにお話しさせてもらえると嬉しいです。