2020年にukkaが解散した後、代表・谷川と共にukkaを第二創業に導いた望月。子どもの頃に身近にあった家庭菜園をきっかけに、大学の専攻からこれまでも一貫して食の道を真っ直ぐ歩んでいます。難局を乗り切って新たなフェーズを迎える中、ukkaや食産業がこれからどうなっていくのか、目指す未来について語ります。
サプライヤーマネジメント マネージャー 望月祐吾
東京大学農学部卒業、同大学院修士課程修了後、2014年日清食品に入社。その後、農業資材商社を経て、ukkaに参画。産地・メーカーとのパートナーシップを推進し、全国を駆け巡る。
ーukkaを知ったきっかけと入社した決め手を教えてください
大学時代の親友がukkaでエンジニアをしていて、僕が転職を考えている時に、ukkaの当時の共同代表2人が参加する農業系スタートアップのイベントを紹介してくれたんです。それが2018年の1月でした。そこで代表の谷川さんと話すうちに、当時の事業への想いが合致しました。
僕は農学部の出身で、前職でも農家の方たちと接していたんですが、日本の農業の課題に直面していました。小規模農家が安定的な収入を得られなかったり、特に山間(やまあい)では慢性的な人手不足で、規模を大きくすることも難しいです。そういった日本の食を支えている農家の皆さんの課題解決と、自分も将来農家になることに関心があるので、ukkaでの経験が活きて、自分も持続可能な農業を実現できたら良いなと思い、入社を決意しました。
ー望月さんの業務を詳しく教えてください
僕の場合は大きく、プレイヤーとマネージャーの業務があります。プレイヤーとしては、既存のメーカーやサプライヤーの皆さんと、企画や商品開発の実現に向けて、一緒に形にしていくことです。同時に、新規のサプライヤーを開拓してリレーションを進めています。
マネージャーとしては、チームの目標や行動指針設定とメンバーへの浸透・指示出しを行いながら、採用にも力を入れています。以前よりチームとして大きくなっていることで、マネジメントの難しさを痛感する日々ですが、より大きな成果を残せる体制ができている実感もあります。
日頃からスーパーの売り場をウロウロしたり、商品の裏側にある食品表示シールをみて、どこのメーカーが作っているのか見ちゃうのは職業病ですね。一緒に買い物に行く妻には「またスパイやってるの?」と突っ込まれています。ちなみに、野菜ソムリエの資格を持っているので、野菜や果物の鮮度や美味しいかどうかもしっかり見ています!
ー仕事のやりがいと大変なことを教えてください
売れる商品を作ることって本当に難しいですね。味が美味しいのはもちろんですが、なるべく添加物を使わないなど原料にもこだわって、なおかつ価格を抑えたいといった要望を多くいただきます。そういった原料のこだわりと価格のバランスを突き詰めながら提案しています。
その他にも商品を形にするまでは、業界ならではの複雑な調整の連続です。資材や原料の納品までのリードタイムを加味したスケジューリング、効率的な物流構築、製品在庫リスクのハンドリングなど…。その分、商品がスーパーやコンビニの売り場に並んだ時の達成感は凄まじいですね。
ー「食が好き!」というだけでは難しそうです。この仕事に必要なスキルやマインドを教えてください
食品の流通の最後のポイントである消費者の皆さんに手にとってもらえる商品を作れることに尽きますね。じゃあ小売とメーカーの間に立っているukkaに何ができるかというと、これまでの現場にはなかった新しい切り口で提案していくことでしょうか。ukkaのバリューに「Doubt a theory. 常識や慣例を疑い、本質を導く」というものがあるんですが、良い意味で、これまでの常識や現場からのメッセージを疑っていくことで、実現してこなかったことを新たな方法で商品化に導いたりすることなのかなと思います。
それから、商品が売り場に行き着くまでに、たくさんのステークホルダーの方々とのコミュニケーションが発生します。構造的に元請と下請との上下関係ができてしまいがちなんですが、ukkaは全てのパートナーの皆さんと同じ目線で、良い商品を作るという同じ目的に向かっているという姿勢が大事かなと思います。時には自分たちが緩衝材となりながら、売れる商品を形にしていくためのコミュニケーションスキルは必須です。
プライベートで訪れた沖縄・石垣のパイナップル農家
ーukkaを取り巻く食産業は今後どうなっていくと予想しますか?
まず、SDGsが叫ばれて久しくなりましたが、今はまだ付加価値としての要素があります。今後さらに加速して、食品業界にとっては取り組むのが前提になる時代に突入していると感じています。ロスになり得るものだと、製造過程の川上では、流通にのせられない規格外の野菜や果物などが挙げられます。そういったものを活用したPB商品のニーズが増えています。加工後の商品に対しても、適正な製造計画と販売計画を綿密に擦り合わせて、ロスを減らす取り組みが進んでいます。
もうひとつは、商品開発に関わるすべてのステークホルダーが、疲弊したり負担が偏ったりしない仕組みや環境を作っていく必要があります。例えば、原料が高騰する中で、一部だけ価格を抑えていれば、別のどこかには負担がかかっているはずですから。
それから、消費者のニーズの多様化と変化のスピードも早くなってきているので、それに応えられる商品をどんどん形にしていく力が必要になってくると思います。
ーukkaのビジョン「食産業の希望となり、未来を導く。」にはどうやってコミットしていきますか?
ukkaの事業は、食品の企画・開発・流通まで横断的に関わっているので、それぞれの現場を知っている僕たちだからこそできることがあると思っています。通常の商品開発だと、商品が売り場に並ぶまでにかなり時間がかかっていたりとか、過剰な在庫ロスがでてしまったりとたくさんの課題があります。商品開発と販売検証のサイクルを早く回せるスキームを構築することが「食産業の希望となり、未来を導く」というukkaのビジョン実現の第一歩と考えています。
僕が接するメーカーの皆さんをみていると、みなさん非常に厳しい環境下で事業を行われています。マクロな要因も多く、状況をドラスティックに変えることは難しいんですが、自分たちにできることは着実にやっていきたいですね。
ーukkaやメンバーの特徴、カルチャーについて教えてください
みんな、食べ物・食べることが大好きですね。農学部出身も多いし、食に関する企画が得意な人もいて、美味しいものに出逢ったら素直に感動できる人たちばかりです。
鎌倉での初オフサイト
それから、バリューのひとつである「Respect for all」が強いなと思います。年齢や立場、社内外関係なく、みんな尊敬し合って仕事をしています。相手を思いやったコミュニケーションができているので、心理的安全性が担保された中でディスカッションできるのが良いですね。それが新しい価値の創造に繋がるんじゃないかなという可能性を感じています。