今年の4月から、中原典人が新たなリーダーとしてUDSを率いています。前身の都市デザインシステム時代から約25年間にわたってUDSを見てきた中原へのインタビュー記事をお届けします。
中原典人 / Nakahara Norito
1999年都市デザインシステム(現UDS)入社。コーポラティブハウス、賃貸住宅、オフィス、商業施設、ホテルでの新築・リノベーションの設計多数。2011年より取締役。2015年には設計事業部COMPATHを立ち上げ、建材や内装施工など設計分野の新たな事業を推進。2025年4月代表取締役社長就任。仕事をする上で大事にしていることは「誠実」。好きなことは人を楽しませること。
それぞれの「やりたいこと」が尊重される風土
Q. UDSに入社したきっかけは?
「中原さんに合うんじゃないですか?」と紹介会社から、UDSの前身の都市デザインシステムを紹介されたことがきっかけです。当時は規模としてまだ30人くらいの時代で、若い人ばかりでみんなきらきらしていたのが印象的でした。
Q. 代表の視点で見るUDSはどんな会社ですか?
UDSで働いて約25年、立場は変化して、会社の規模も大きくなってきていますが私から見たUDSは変わらなくて、「やりたいことに挑戦できる自由さ」が根幹にある会社です。
入社したのは29歳の時だったのですが、会議や打合せの場で、みんながロの字に座り、役職や年齢に関係なくそれぞれの意見を言いあうオープンな感じを見て「こんな会社があるんだ」と、とても驚いたことをよく覚えています。
もちろん当時から闇雲になんでも話が通るわけではなく、事業として成り立つか、デザインクオリティ、社会にとっていいことか、のバランスが大事なのですが、「これをやりたい」と本気で考えて提案すれば真剣に聞いてもらえ、実現に向けて意見を交わしあいながら進んでいました。自分はこれをやりたい!と熱意を持って提案すれば、周りの仲間がそれを尊重し、協力して実現に向けて邁進していく。それが入社した時から変わらないUDSの姿です。
Q. 自由度の高い環境で、それぞれのやりたいことが尊重されるその社風はどこからきているのでしょうか。
創業者であり当時代表の梶原さんが、誰よりもチャレンジ精神を持って、「これがあったらいい」と思う仕組みづくりに邁進する人だったことと、ベンチャーとして新しいことをやっていくためには、「フラット」な組織が大事だと考えて組織づくりをしてきたことが大きいと思います。
「フラット」というのは相手を尊重することで、今でも発言者の年齢や経験値は関係なく、誰の意見でも対等のテーブルに乗せて議論しよう、という意識が根底にあると思います。
そのフラットな環境が意見や提案をしやすい風土を育み、コーポラティブハウスや、ホテルCLASKA、キッザニア東京など、これまでなかったものを形にして、世の中に新たな選択肢として提案をする、というUDSをつくってきたと思います。
▲コーポラティブハウスROXI
Q. 規模が大きくなって、その自由さを持ち続けていくことは難しくはないですか?
自由さ、つまり既成概念にとらわれずにチャレンジしていくということは「ベンチャー気質」とも言えると思いますが、それがUDSの強みの一つなので、規模が大きくなっていってもその思想・精神を失わない組織にしていきたいと思っています。
一人ひとりがやりたいことを持って、自ら動いていく。そこに「それいいね」と思う仲間が加わって自走していくというチームが、私の考えるいい組織であり、強い組織です。そうした環境をどう作っていけるかが自分の大きな役目だと考えています。
Q. その他に組織として大事にしていきたいことはありますか?
挑戦できる自由さは、それぞれが責任を持って進めていくことで成り立っていますが、その下支えとして、仲間が困った時に助け合うことがとても大事であると思っています。コロナ禍の数年間、対面で会って話す機会が極端に減る中でも組織のメンバーは増えていき、結果、つながりが薄まってしまった部分があることは否めないと感じているので、組織が大きくなっていく中で、その意識・姿勢はより強く発信していきたいと思っています。
企画・設計/施工・運営 一気通貫で
循環するまちづくりを
Q.事業面において、これから推進していきたいことは?
UDSらしい発想を最大限に発揮してつくり上げていける、企画・設計/施工・運営を一気通貫で手がけるプロジェクトです。コロナ禍の影響もあって、そうしたプロジェクトが減っていたので、これからどんどん増やしていきたいと考えて動いています。ホテルはもちろん、オフィスや住宅、さらにはこれまで取り組んだことのない領域にも挑戦していきます。
▲UDSにて企画・設計・運営を手掛けてきた施設(一部)
Q. 事業を通じて、どんな未来を実現したいですか?
循環するまちづくりをしたいです。わたしたちUDSが、それぞれの地域の特徴やニーズに合わせてつくりあげる新しい場から雇用が生まれ、仕事とお金が地域の中で巡っていく。地元の人が生産した作物や物品をお届けして地域の方に喜んでいただき、つくり手にはきちんと対価が渡って、また次の新しいものが生まれる。というように、資源や経済、人、文化などが地域の中で循環していくまちづくりを実現していきたいと考えています。
2011年に東京・代々木の期限付き土地の有効活用プロジェクトとして「代々木VILLAGE」を手がけましたが、将来的にはどこかの地域にUDSが企画・設計/施工・運営する多様な場を集めた循環するまち、次の時代のVILLAGEのような場を形にできたら、とも考えています。
▲「代々木のマチが変わったら」そんな想いから始まった期限付きの土地の有効活用プロジェクト。UDS は土地活用から事業発案、企画コーディネイト、全体設計、一部内装設計までを担当し、代々木のまちの新しいイメージ形成に寄与しました(2020年 12月 土地活用期間終了に伴いクローズ)
Q. そんな未来に向けてUDSとして進化させていきたい点は?
これまでは国内外の各地域で、その場所にあったらいいな、と思う場をつくってきました。あちこちに点を打っていく、という動きをしてきたわけですが、それら点の周辺に新たな点となる場をつくり、それぞれを繋いでいくことで点が線になり、さらには面になって、まちをより楽しく豊かなものにしていく、そんなまちづくりに取り組んでいきたいです。
Q.そのためにはどういう仲間を求めていますか?
目指したい姿や実現したいことがあって、意欲を持って前に進めていける人、ですね。これは、企画、設計、運営どの仕事でも共通です。
言い換えると、楽しくワクワクと仕事ができる人、とも言えるかもしれません。つまらないと「仕事ですから」になってしまいますが、楽しんでいるとプラス思考に回転してどんどん楽しく、いい仕事ができていきます。みんなにワクワクして仕事に取り組んでもらえるよう、会社としてどうバックアップできるか、をいつも考えています。
Q. 実際、今のUDSにはそういう人が多いですか?
そうですね。前向きで新しいものをつくりたい人が多いと思います。また、自分も含めて人が好きな人も多いように思います。でも当たり前ですがそういう人しかいない、というわけでは全然なくて、人は一人ひとり違う視点、強み、弱みを持っています。多様な人たちが混ざりあって、お互いを尊重しながら、それぞれの強みを発揮して、また弱い部分はフォローし合いながら取り組んでいくことでいい仕事ができると思っていますし、それがUDSらしい姿だと思っています。
Q. UDSで活躍しているのはどんな人でしょうか?
やりたいことを持って、自ら切り開いていける人、ですね。自分がやりたいことに向かって進んでいると、その人の持っている力が最大限に発揮されますし、何より楽しんで取り組めると思います。その楽しそうな姿が人を引き寄せ、その人たちからのサポートを引き寄せ、つながりが深まって、といい循環が生まれていくと感じています。
同時に、頑張りすぎないことも大事です。メリハリをつけて心身ともにきちんとコントロールしながら仕事をしていないと、前向きにワクワクする仕事をし続けていくことは難しいので。この点も気質的な部分がありますし、「そうは言っても…」という時期やシチュエーションもあったりするのが現実だとは思いますが、一人ひとりが自身をコントロールしていくことを意識して、良いバランスで働いてほしいと思っています。
Q. 社長として、この先の目標は?
組織に関する点では、みんなが「以前より、より良くなった」と実感してくれるよう、改善すべき点について、スピード感を持って進めて形にしていきたいです。
昨年から導入した「お泊まりUDS」という福利厚生制度があるのですが、代表に就いてから3か月間で各種検証を進め、7月にこの制度をアップデートしました。これはみんなが「良くなった」と感じてくれるであろう、分かりやすい取り組みの一つだと思っています。「お泊まりUDS」は社員の声・アイデアを、有志メンバーが形にした制度で、UDS運営の宿泊施設に無償で泊まれる、というものです。宿泊日数の上限は、これまで年間3泊だったのですが、7月から5泊に拡大しました。来年には、社員の家族にも使ってもらいやすい形へとさらにアップデートさせていくつもりです。
少し古い感覚と言われてしまうかもしれませんが、これまで家族のような信頼関係のあるメンバーと仕事ができて、それはとても充実した時間でした。そんな関係をみんなで繋ぎ合わせていくことを大事にしたいと考えているので、会社のメンバーには、その家族まで含めて笑顔になってUDSに愛着を感じてもらえるような仕組みを形にして届けていきたいと思っています。
事業に関しては、国内外で社会の大きな変化が起きている厳しい時代だからこそ、事業性・社会性・デザイン性を兼ね備えた新しい仕組みを形にして、世の中に投げかけていきたいです。
Q. UDSに興味を持ってくれている人にメッセージをお願いします。
一緒に世界がワクワクするまちづくりをしていきましょう!!