株式会社杉孝
技術サポート部 足場安全コンサルティング課 課長
髙橋理恵子様
仮設機材のレンタルを専門とし、建築・プラント・橋梁・土木等、様々な分野に機材を提供する
とともに、設計や安全教育等のソフト面でも顧客を力強くサポートしている株式会社杉孝様。
この度、杉孝様と安全教育を目的としたMRアプリケーションを共同開発しました。
その経緯や想いを技術サポート部・足場安全コンサルティング課の髙橋理恵子様に伺いました。
現場の課題を解決する「MR」教育
Q, 現状の教育はどの様にされていますでしょうか。どの様な課題がございましたでしょうか?
これまでは、足場点検に関する知識を習得していただくために、杉孝では安全講話で写真や動画を活用してご説明を実施したり、お客様の会社や現場の敷地をお借りして実際の足場を設置し、その足場を使用してご説明等を行っていました。ですので、足場組立、解体の手間がかかる。お客様に足場組立のスペースを確保していただく必要がある。屋外の設置の場合、点検訓練を実施する際に天候に左右されてしまうことがある。お客様にその場所まで来ていただく必要がある、といった課題がありました。
Q, MR導入についての背景についてお聞かせ下さい。導入目的、解決したい課題は何でしょうか?
実際の足場を設置して説明を行う方法も効果はありますが、先ほどの様な課題を解決することを優先的に検討を進めました。これまで杉孝でVRコンテンツを開発し、安全教育に活用したところ、お客様から好評をいただいたこともMR導入にあたって大きかったと思います。実際の足場を使用した教育はもちろん重要ですが、VR の経験もあり、現物が用意できないものや現物では体感不可能なことは、教育上の効果を考えるとMRの活用が最適だと考えました。また、限られた人材、限られた資源で効果的な教育を行うこと、また、時代の変化に合わせ、デジタル技術を活用した教育を推し進めていき安全活動の拡大や生産性の向上を目指しているという背景がありました。
コミュニケーションを重要視した結果の「MR」という選択
Q, VR ではなくMRを選択した理由についてお聞かせ下さい
複数人が同時に体感できる教育コンテンツを検討しており、MRを選定しました。実際の現場での点検と同様に、自身が歩いて点検を行える状況としたかったので、ある一定の範囲内で歩き回れる状況で、他体験者とぶつかったりしないことを考えた場合、MRが最適でした。
足場点検の知識を習得するためには、受講者単独での習得も必要ですが、受講者の方同士で相互に確認し合いながら、また、話し合い、コミュニケーションをとりながら教育を進めることも重要だと考えていました。コミュニケーションを重視した結果VR よりもMRという選択になりました。
普段現場で実施している「点検」を再現
Q, 今回のMRシステムについて、工夫された事は何でしょうか?
私たちが日頃、現場で実際の足場点検を行う際によくありがちな不具合、点検ポイントを入れた事です。また弊社で常日頃使用しているBIM モデルを取り込んだ事で、よりリアルな足場を再現できていると思います。更に、お客様や現場によっては足場の種類が変わる事がよくあります。全ての現場で活用して頂けるように、単管、枠組み、くさび式の3種の足場を用意しました。その他にも脚立と作業台についても比較、点検、体験を可能にし、多様な現場に対応できる様にメニューを多く用意しました。3DCG の人物が被災するアニメーションを確認する機能も入っており、災害事例を体感できるようになっています。
Q, システムが完成する前と後で、MR教育についてイメージは変わりましたでしょうか?
イメージは良い意味ですごく変わりました!想像以上にリアルな体験ができるという事でお客様も驚いて頂いています。今後の可能性をすごく感じており、いろいろな事に使えそうだと実感しています。多くのお客様に早く体験頂きたいという想いです。
Q, 今回のシステムで学べるポイントは何でしょうか?
足場点検を行う時の基礎知識、点検ポイント等を習得することができます。
特に今回は新入社員の方や若手の職員の方など、足場点検の経験が少ない方を対象としていますが、経験が少ない方にとって良質な研修を提供できる様にしています。また様々な視点から確認できるという利点があり、点検者と同じ視点を体験できるという事もポイントになります。
MR学習に加えて、足場の知識や点検ポイントに関する講話を行う等して更に知識を深めることも可能だと考えています。
足場の種類についても複数用意してい、くさび式足場の良さや、足場の違いによる点検ポイントを学ぶ事もできます。
スケールを変える事で、ミニチュア模型の様な感覚でMRを活用
複数人同時にMRで表示された足場モデルを点検する
MRシステム説明Movie
MRシステム説明Movie 機能編
Q, 積木製作に打診頂いた理由、決め手は何でしょうか?
建設業での安全に関するVR・MR制作の実績が豊富だったので、お願いしました。お客様等からもVRやMRと言えば積木製作様のお名前を聞くことが多々ありましたね。
これまでの打合せ等やりとりの中で、より効果的なアドバイスをいただけることが多々あったというのも決め手になりました。
Q, 積木製作の対応は如何でしたでしょうか?
弊社の希望や想いをすぐに形にしていただき、予想以上のものを完成する事ができました。
制作過程で、これまでの実績、ノウハウをお持ちで豊富な知識の中からご意見を頂く事ができました。また担当者それぞれで情報共有がなされており、どなたへ話しをしてもすぐに内容をご理解頂く事ができ、助かりました。制作に関わる方も含めてお打ち合わせをさせて頂けたので、最後まで共通認識を持って進める事ができましたね。
Q, MR教育システムの今後の展開についてお聞かせ頂けますでしょうか?
まずは様々な職種や業種の方に体感いただき、実績を積んでいきたいと考えています。考えられるMRの機能の可能性を引き出し、更に友好的な教育ツールを積木製作様と共に開発していきたいと思っています。
Q, 次にVR,MRのシステムを開発するとすればどのようなものが想像できますでしょうか?
「安全教育」のコンテンツのみならず、現場の効率化や手間削減、生産性向上に向けたコンテンツやツールを検討していきたいと考えています。
杉孝様とMRコンテンツ制作のお話をスタートしたのは2年以上前になります。Hololens2発売前からMRの可能性に着目し、お話しを進めさせて頂きました。我々にとってもMR活用案件としては最大のものとなり、チャレンジさせて頂いた事、本当に感謝しております。
ぜひ今後の杉孝様の取組みに有効活用頂ければと考えております。
髙橋様、誠にありがとうございました。