【座談会】「👑全冠取得」エンジニアに聞く、AWSの資格取得戦略と社内コミュニティの活動
TOPPANデジタルでは、クラウド領域におけるスペシャリストの育成・輩出するための仕組みづくりを強化しています。また、高度な専門的知識を活かして、国内外の企業が抱える多様な課題の解決に向け、クラウドソリューションの提案および導入支援を行っています。
そんな専門性を証明する簡単な手段として、認定資格があります。
2025年6月25〜26日、千葉・幕張メッセでAWSに関する日本最大級のイベント「AWS Summit Japan」の開催に合わせて発表された表彰プログラムにおいて、TOPPANデジタルから2025 Japan AWS Top EngineersおよびAll AWS Certifications Engineersに3名が選出されました。(https://www.digital.toppan.com/ja/news/mvq0400000000bom.html)
今回、この表彰対象になった3名のエキスパートに話を聞いてみました。
「トップエンジニアになる人たちって、どんな人なのでしょうか?」
その素顔から勉強法など、普段何を思い業務を行っているのか、その様子を紐解きます。
目次
対談者の紹介と、AWSへの関わりについて
「全冠達成」エンジニアたちの資格取得の裏側
短期集中?隙間時間?資格取得の「我流」勉強法
資格を戦略的に取得する?
資格取得の背景とTOPPANの技術者としての成長環境
社内技術コミュニティによる新たな価値創出
個々の技術力底上げと共に、プロフィットを生み出す組織を目指して
編集後記
対談者の紹介と、AWSへの関わりについて
--- まずは、皆様の現在の役割とAWS歴について簡単にお伺いできますでしょうか。
▮ 奈良 貴充 👑Japan AWS Top Engineers
私は開発部門でチームリーダーを務めています。業務内容は、組織マネジメントからアプリ開発、インフラ構築まで幅広く担当しています。AWS歴は2015年くらいから約10年になりました。 ※写真中央
▮ 加納 広太 👑2025 Japan All AWS Certifications Engineers
普段は、主に開発業務(設計から開発まで)を担当しています。AWS歴は2021年から本格的に開始し、現在5年目くらいになります。 ※写真右側
▮ 中村 哲也 👑2025 Japan All AWS Certifications Engineers
過去に、2015年から2016年にかけてAWSサービスサポートをしていました。その後、マーケティング・広報を経験し、2021年から前職でトレーナーとして活動を再開し、現在は事業開発やAI推進を行っています。 ※写真左側
「全冠達成」エンジニアたちの資格取得の裏側
短期集中?隙間時間?資格取得の「我流」勉強法
--- エンジニアにとって資格取得は必須ではありませんが、スキルを証明し、自己成長を促す大きな要素です。皆さんはどのように資格学習を進めているのでしょうか?
中村|私は短期集中型です。まず受験日を先に決めました。期限を決めないと取り組めないんですよ。半年間で8個の資格を取得しましたが、間が開くと本当にまた最初からやり直しになるのが嫌なので、一気に詰め込みました。
奈良|中村さんのやり方はかなり効率重視ですよね。私の場合は隙間時間で学習することが多いです。通勤時間を活用して、SNSや音楽を断ち、AWSの公式Youtubeチャンネル「AWS Black Belt Online Seminar」を聞いたり、Udemyの模擬試験を視聴する学習方法を取っています。詰め込んだ知識は、手を動かす実務で定着させます。
加納|私もUdemyの模擬試験はよく利用します。模擬試験と不明点の深堀りが中心になりますね。コツコツ勉強するよりも直前で短期記憶に詰め込み、試験を突破することが多く、平均すると勉強時間は10~20時間くらいだと思います。ただ、私のやり方はすぐ抜けてしまう知識もあるので全くおすすめはしないです。
--- 模擬試験でパターンは掴みやすいですか?
中村|短期記憶として残る部分もありますが、奈良さんが言うように、それを実際に手を動かしてアウトプットすると、生きた技術として残るんです。これは、エンジニアの皆さんなら共通した学習方法なのではないかと思います。
資格を戦略的に取得する?
--- 短期間で多数の資格を取得するには、戦略が必要だと思います。どの資格から取るべき、といったセオリーはあるのでしょうか?
中村|私は難しいものから手をつけました。最初、Solutions Architect Professional(SAP)に2回落ちて絶望したんですが、次にネットワークの資格を取ったら、他の試験が簡単に感じられました。 また、私は「AWSの気持ちになってやる」ことを徹底しています。資格試験ごとに主人公(フォーカスされるサービス)が変わるんです。
例えば、SAAではLambdaが「敵」(コストや運用の面で非推奨になる)かもしれませんが、デベロッパーの資格では「味方」(積極的に利用を推奨)になる、といった具合です。出題者が何を問いたいのか、AWSの機能があればそれを使う、という回答を優先する視点が大事です。
奈良|確かにわかるかも。資格によって出てくるサービスが違ってくることはありますね。自分が普段使わないところでも、知っているところから関連づけていくと、なんとなく答えに辿り着けるようになります。
加納|半年で8個の資格を取得した自分が言うのも何ですが、資格は「計画的に取るのが一番おすすめ」です。私たちのように更新のタイミングを考えずに短期で取りきると、後で更新時期が集中して辛いことになるので(笑)
資格取得の背景とTOPPANの技術者としての成長環境
--- 知識が業務必要だったことはもちろん皆さんが資格取得に踏み切ったきっかけだったと思いますが、全冠を目指した背景にはどんな動機があったのでしょうか?
加納| 僕は資格オタクというか…、工業高校出身ということもあり第二種電気工事士や危険物取扱者試験、パソコン検定など、工業系の資格もたくさん持っていました。「習慣」とまでは言えませんが、昔から資格取得に抵抗がなく今も続けています。
奈良|私も、前職SIerなのでベンダー系の資格は多く持っています。元々システム開発をがっつりやっていたので、オラクルマスター、ITIL、GCP、Azureなど、「どこに行っても使える資格」を意識的に取っていました。AWSもこれからの将来、使われ続けるサービスである限り、資格を維持したいと思っています!
中村|過去にAWSを触らない空白の期間がありましたが、また利用するようになってめちゃくちゃ便利になったと思いました。UIとかも使いやすくなりました。当時はみんなが少し怖がりながら使っていたAWSが、今は「AWSを使うと安心」という風に変わっていると感じます。本当に玄人サービスから民主化された感じしますよね。
--- AWS全冠取得を通して、ご自身のキャリアや周りの環境に変化はありましたか?
奈良|正直に言うと実感はあまりなかったんですが、名刺交換をした際などに、社外で認知してもらっていることが増えてきました。
中村|私はちょうど転職活動をしていた時期があり、「All AWS Certifications」に選ばれていますね」と相手企業の方から認知してもらえ、自身の市場価値を高める上で役立つと実感しました。
--- 認知拡大という点では、2024年に「AWSセレクトティアサービスパートナー」の認定取得をしていますね。
奈良|はい、TOPPANが「AWSセレクトティア」パートナーになったことは、社内でエンジニアを表彰してもらえる環境を整える上で、非常に大きな土台になったと感じています。(https://www.holdings.toppan.com/ja/news/2024/12/newsrelease241206_1.html)
中村|社外はもちろん、社内でも徐々に「理解者が増える」という変化を感じますよね。会社として認定パートナーになることで、自社エンジニアのブランディングにも繋げていきたいです。
社内技術コミュニティによる新たな価値創出
個々の技術力底上げと共に、プロフィットを生み出す組織を目指して
--- 社内で技術コミュニティが活発化していると聞きました。
奈良|そうなんです!最近、社内で技術コミュニティを立ち上げました。Top Engineer や All AWS Certifications のメンバーが居ることで、コミュニティ立ち上げに良い刺激となり、活動を加速させることができたと思います。
中村|コミュニティでは、TOPPAN社内で、知見・経験を共有する機会を企画し、「一人ではなかなか踏み出せない」技術やテーマにも、メンバー同士が一緒に手を動かしながら学び、試せる場を提供するためのコミュニティ活動を行いたいですよね。
加納|私も以前から行っているような、ハンズオン勉強会の開催など、コミュニティの盛り上げ役を率先して担い、貢献していきたいです。
--- コミュニティを、今後どのように発展させていきたいですか?
中村|このコミュニティのポイントは、管理職や組織が主導するのではなく、若手メンバーが主体となって引っ張っていくことが肝です。技術者の自発的な成長を促す場としての期待が高まります。
奈良|そうですね。それに加えて、会社で公式のコミュニティとして確固たる認知を得たいです。2025年4月からスモールスタートしたコミュニティですが、半年経った時点で22名まで集まりました。外部とのセッションの企画も進めている状況です。
今後もコミュニティの更なる成長に尽力していきたいと思っています。具体的には、この活動自体に価値を感じて、経営層が投資を判断してくれるようなコミュニティにしていきたいです。そのためには、プロフィット(利益)を生み出せるようになることがまず最初の目標です。単なる技術研鑽の場ではなく、案件の創出に繋げるコミュニティを目指します。
編集後記
TOPPANのトップエンジニアとして技術力を牽引する3名。どれだけスーパーマンなんだ!?という気持ちで今回の座談会に臨みました。しかし、その裏側には、肩書きを裏付ける確かな実力とその努力がありました。
そして、彼らがTOPPANエンジニアとして進む道は、単なる資格取得にとどまりませんでした。自身のスキルアップ、会社の価値向上、さらに後進の育成へと視野を広げている姿が印象的でした。
資格取得はあくまで目標達成のための「手段」であり、実務での活用やコミュニティを通じた事業貢献を見据えた3名の姿が、これからのTOPPANを支えていくのだと期待に胸が高鳴ります✨
最後に、私が一番好きな写真(皆さんが好き勝手していて無防備な様子)で締めとさせていただきます。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。