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こんにちは!TOKIUMのプロダクトの責任者をしている花房です。
今日は「AIエージェント時代のプロダクトマネジメント」について書いてみたいと思います。
私は新卒で入社して、いくつかの新規プロダクトの企画に関わってきました。
自分自身はエンジニアやデザイナーなど専門職ではないので、「僕がもっと開発のことを理解できれば・・・」とか「デザインができれば・・・」とか、思うシーンが多くありました。
そういう意味で、アイデアさえあればそれを形にできるAIツールがたくさん出てきて、本当に美味しい時代になったと感じます。
直近、TOKIUMとして新しく「経理AIエージェント構想」をリリースしたことに伴い、プロダクトマネージャー(PdM/PM)や、今から新たな挑戦をするメンバーと話す機会が増えました。とはいえ、美味しい時代になったと感じと同時に、変化にどう適応すべきか?という不安もあります。
TOKIUM、業務の自動運転を支援する「経理AIエージェント」の提供を発表
今日は、AIエージェントの登場が、プロダクトを作る人にとって
- どんな変化があるのか?どんなツールを活用できればいいのか?
- どんなスキルが大切になるのか?
- どんな不安と期待が生まれるのか?
について改めて書いてみたいと思います。
AIの発展
GPT3.5の登場以来、AIツールは飛躍的に発展しました。
ビルゲイツは、「生きている間に革命的だと感じた技術のデモはたった2回で、最初は1980年にGUIを見たとき。そして2回目は2022年の時点のOpenAIのAIを見たときだ。」と言っていますし、NVIDIAのCEOであるジェンスン・フアンは、「Software is eating the world, but AI is going to eat software.」と言っています。
社内でGPTという単語を聞かない日は無くなりましたし、開発チャンネルにはDevinが常駐しています。
今年になり、「AIエージェント」というキーワードが確立され、「人間の業務をAIで効率化する」パラダイムから、「そもそも人間の作業をAIで代替する」という発想の転換が起こっていると感じます。
そんな中で、「プロダクトマネジメント」という業務はどう変化しているのでしょうか?求められるスキルは何か変わったのでしょうか?
AIツールが普及していない時代
プロダクトマネジメントにおいては、「作ること(アウトプット)ではなく、生み出す価値(アウトカム)に責任を持つことが大事」と言われています。 でも正直、AIがない時代はそれどころじゃありませんでした。作る部分で十分に精一杯なのです。
私自身は、開発者でもなく、デザイナーでもありません。
プロダクトのアイデアが浮かんだとき、まずはエンジニアやデザイナーに「こんな感じで!」と伝えるところから始まります。
でも、これが難しい。
そもそも、エンジニアやデザイナーとコミュニケーションするための共通言語がないし、手戻りは多いし、コミュニケーションコストは重いし、難しかった。
言葉で説明して、似ているサービスのURLを持ってきて、「こんな雰囲気で」とお願いする。できあがったものを見ると「なんか思ってたのと違う…」となることが、何度もありました。
まだ存在しない機能をお客様にプレゼンする時も同様です。
毎回デザイナーにお願いできれば良いですが、いつもその余裕があるわけではありません。Figmaを使ってみたものの、思ったように表現できなくて結局パワポで四角を並べて「これがイメージです」とお客様に見せていた時期もありました。お客様にはあんまり伝わりませんでした。
AIツールが普及した時代
しかし、この2、3年で状況は全く変わりました。
まず、ChatGPTの登場で専門用語の解像度があがり、エンジニアやデザイナーと会話がよりスムーズになりました。
「データベースってなんなのか?APIってなんなのか?」みたいなことがいまいち理解できませんでしたが、今は「こういうことが実現したい」というのをGPTと壁打ちすることができます。
相手はAIなので、「また明日にして、、、」と言われることもなく、開発者とコミュニケーションするための要件までブレイクダウンして、「中学生でもわかるように」解説してもらう、というのをひたすらに繰り返すことができます。
これを繰り返すことで、「たとえばこういうふうにやるとイメージに近いのですが、どう思いますか?」と叩き台ありきでエンジニアと会話することができるようになったので、議論のスピードが上がり、イメージの相違が起こりにくくなりました。
また、v0のようなUI生成ツールにより、我々はつねに「動くモック」をベースに会話できるようになりました。
実現したい動きを言語化さえしておけば、それが動く画面になります。言葉では解釈の揺れがあった部分も、動くものをベースにすり合わせできるようになりました。
研修で新卒の方が作成したモック
加えて、簡単な実装であれば自分で行うこともできるようになっています。以下のような実装は、ChatGPTとCursorを使ってVibeCodingで作業することができます。
- 新しく書類をデータ化するAPIを作る
- OpenAIなどの外部APIを呼び出すロジックを新規に書く
- 画面のレイアウトを微修正する
もちろん、これらで生成されるアウトプットは、本職のデザイナーやエンジニアが作るものには到底及びません。(むしろやればやるほど本職へのリスペクトが止まりません)
でも、たたき台としては十分すぎる品質です。お客様、あるいは社内のメンバーにイメージを見せるためのプロトタイプを、短時間で作れるようになりました。
「自分は専門家じゃないから…」と諦めていたことが、AIの力でどんどん「できる」ようになっていく。この感覚は本当に楽しいです。
今後、何が求められるのか
AI ツールを活用することで、プロダクトマネジメントにおけるコミュニケーションは大きく進化しました。このような変化の中で、プロダクト開発に関わる職種に求められることも変わりつつあると感じます。
では、具体的に何が重要になってきているのでしょうか?
具体的な価値を早く見せる
AIツールによって、アイデアから動くプロトタイプまでの時間が劇的に短縮されました。
以前は「こんなことができたらいいな」と思っても、実際に形にするまでに数週間かかっていましたが、今は数時間で動くものが作れます。
この変化により、プロダクトマネージャーに求められるのは「早く、具体的に価値を見せる力」です。
お客様との商談で「こんな感じです」と動くプロトタイプを見せられる。社内の議論で「これが実現したいことです」と実際に触れるものを共有できる。
QAエンジニアも同じです。LLMの品質評価は、全く新しいチャレンジです。いくつかの手法が示されていますが、ほとんどの人が未経験の領域で、従来のテスト手法が通用しません。
LLMによるテストの自動化、のような分野も。
だからこそ「早くトライして失敗すること」が価値になります。
今まで以上に、スピードが価値になる時代です。
顧客の業務をより深く理解する
AIツールは誰でも使えます。v0もCursorも、アクセスすれば誰でも同じように使えます。
では、何が差別化要因になるのか?
それは「顧客の業務をどれだけ深く理解しているか」です。
経理の月次決算で何に時間がかかっているのか。なぜ経費の承認は辛いのか。どういう人が何人くらいで分担し、作業をしているのか。
こういった現場の業務課題を深く理解していることが、AIを使って「本当に価値のあるもの」を作る土台になります。
ツールは手段。解くべき課題を特定し、理解・解決に向けて動き出す力こそが、プロダクトマネージャーの本質的な価値です。
職種に線を引かない
エンジニア・プロダクトマネージャーなど、それぞれの得意領域を最大限に活かしながら、職種の垣根を超えて活躍できる幅が広がっているように感じます。
プロダクトマネージャーはプロトタイプを作り、顧客の前に出る。エンジニアはAIにコーディングをサポートさせることで、開発効率を上げつつ、顧客への提供価値を最大化するという、より重要な役割を担うことができる。例えば、営業チームと連携し、技術的な視点から「どう成果を出すか」・「何が価値として提供できるか」に意識を向けられるようになる。QAもこの動きに加え、シフトレフトが加速されることで企画・プロトタイプ作成にも積極的に関わり、UX・品質の底上げが可能になる。
こんな世界線になり始めています。
この変化を楽しめる人、「自分の職種はこれだから」と線を引かずに、顧客価値に真っ直ぐ向かう人が、これからの時代で活躍できると思います。
TOKIUM でのプロダクトマネジメント
「お客様の業務を丸ごと巻き取る」というビジョンの実現
TOKIUMでは、これまでのSaaS開発においても、領収書の回収や出張手配、請求書の受領代行など、いわゆる「面倒な業務を丸ごと巻きとる」サービスをいくつも作ってきました。
先日プレスリリースにてご紹介した出張手配エージェントもその一つですが、実は過去にはDr.Travelというサービスを提供していました。
人間が出張の手配代行をしていたのですが、お客様が払えるコストと、サービス提供に必要なコストがなかなか見合わないことに加え、コロナの影響を受けてサービスを終了していました。
お客様が課題と感じており、営業としても「こう提案したい」という理想があっても、現実的には人手やコストの壁にぶつかることが多かったです。
でも、AIを最大限活用できれば、この壁を突破できるんです。
私個人の想いとしても、「その人でなくてもいい単純・繰り返しの業務を1ミリもさせたくない」という気持ちが強くあります。
人間が本当にやるべきなのは、その人の意思に基づく意思決定や、ある意味属人的なコミュニケーションだと思っています。
単純作業や繰り返しの業務は、できるだけ機械やAIに任せて、みんながもっとクリエイティブな仕事に時間を使えたり、早く帰って家族や友人と過ごせるようになったら最高です。
失敗こそが資産
今、AIエージェント開発の現場はまさに「正解がない」状態です。市場全体が模索中で、誰もが手探り。
そんな中、変化が激しすぎて付いていくのも大変ですし、「うまく適応できるのか」、「もっとうまく適応している人もいるんじゃないか」、という不安もあります。
でもこういう時だからこそ、失敗を恐れずにどんどん挑戦できるタイミングだと思っています。
新しいAIツールは毎日のように登場しますし、X(Twitter)には情報が溢れています。でも、実際に自分で作ってみて、誰かに使ってもらって、お金も払ってもらって、時には厳しい言葉をもらったり、時には感謝されたり。
ここまで踏み込んで経験できている人は、意外と少ないんじゃないでしょうか?
今やれば、それだけで世の多くの人よりも最先端に立てる。そう思うと、ワクワクしませんか?
TOKIUMで一緒に挑戦しませんか?
TOKIUMでは、この変化の荒波の中でプロダクトマネジメントを再定義している最中です。 そんな私たちと一緒に、AI エージェント開発に挑戦してくれる仲間を募集しています!
こんな方と一緒に働きたいです。
- 新しい技術にアンテナを張り、現状の仕組みを改善しつづけたい方
- 新しいAIツールを見つけたら、とりあえず触ってみたくなる方
- 失敗を恐れずに、どんどんプロトタイプを作って試したい方
- プロダクト開発の業務に愛を持って取り組み、お客様のより大きな「未来へつながる時を生む」ため、UI/UXの設計に徹底的なこだわりを持って取り組むことができる方
- 他部署のメンバーを尊重し、ホスピタリティを発揮しながら業務に取り組むことができる方
実際の業務イメージ
- 商談同席などを通じ、お客様の課題を直接ヒアリング
- AIツールを使って、プロトタイプを作成
- 営業チームと一緒に、ソリューションをご提案
- エンジニアと協力して、品質・UXを意識してプロダクトを実装
技術的なバックグラウンドは問いません。 大切なのは「お客様の困りごとを解決したい」という気持ちと、「新しいことに挑戦したい」という好奇心です。
AI エージェントという新しい武器を使って、一緒に「未来につながる時を生む」プロダクトを作っていきましょう!
興味を持っていただけた方は、ぜひカジュアルにお話ししましょう。