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地方の営業担当社員が、30歳でCFOになるまで。

現在TOKIUMのCFOとして資金調達・組織作り等をリードする堀地氏。彼は新卒で通信キャリアに入社し、地方で営業担当をしていた。その後、大手企業特有の「安定という毒」に危機感を感じてからキャリアを重ね、現在に至る。そんな彼が感じていた危機感の実態とは何か、いまCFOとして考えていることは何かを明らかにする。

目標を立てたら、「手段を選ばない」。

学生時代から、目標を立てたら「手段を選ばない」性格でした。高校時代の過ごし方にそれがよく現れているかもしれません。

 中学時代、荒んだ校風のなか何の達成意欲ももたず過ごした反省から、高校では何か誇れる実績を上げたいとの野心をもち、部活が盛んな地元校に入学しました。中学で取り組んだバドミントン部は校内で存在感が薄かったため、県内ベスト4の実績もあるサッカー部に未経験で入部。レギュラーを獲得することを目標に、毎日部活に加え3-4時間の自主練をするサッカー漬けの日々を送りましたが、結局最後の大会もベンチの外から応援することとなり、「本気でやっても達成できない挫折」を初めて経験しました。同時に、「努力量は勿論のこと、努力の仕方こそ重要」であることを学びました。

高校は、学年の2割が卒業後就職する中堅進学校でしたが、サッカーの挫折を巻き返すべく、自校の歴史上合格実績のない一橋大学を目指しました。理系でしたが、同じ努力量なら理系より文系のフィールドで戦った方が有利と確信して文転しました。また、時間の使い方を一橋合格に最適化すべく、受験に不要な科目はレポートを提出する代わりに出席不要とする交渉を学校と行いました。受験の迫った12月には、高校を約2か月休み、御茶ノ水にあるウィークリーマンションに下宿し、予備校に通い詰めました。この時は努力が実り、一橋経済に一発合格しました。

 大学に入ってからも「手段を選ばない」性格は変わりませんでした。大手の学習塾でバイトしていましたが、時給とご家庭が払う月謝に大きなギャップがあることを知り、港区の高級スーパーに家庭教師募集の張り紙をして直接契約することで、時給は約10倍になりました

大企業で無駄な時間を過ごし、「厳しい環境で徹底的に鍛え直したい」と思った。

 経済学部に進んだきっかけは、高校の時にライブドアがニッポン放送にTOBを仕掛けたニュースをみて、起きていることを資本主義文脈で理解したいと思ったことですが、同時に産業構造を変革したり、時に「下剋上」を思わせるベンチャー企業を純粋にかっこいいなと感じていました。就職を考える時期になった時、大学の講義で「日本は過去30年間の時価総額TOP10の企業がまるで変わっておらず、米国のそれは激変していること」「日本のベンチャー投資総額は米国のうん十分の一であること」を知り、日本の産業の新陳代謝を促さないといけない使命感を強烈に感じたことを覚えています。

 一方で日本の産業リソースは大企業に集中しているため、いずれの道を経るにしても彼らの行動原理を理解しておく必要があると感じ、折衷案的に「ベンチャー投資に積極的な大企業」として通信キャリアを選びましたが、いま振り返っても人生で最も愚かな決断となり、無駄な3年間を過ごすことになります。

 新卒配属は広島の営業支店。ベンチャー投資部門へはゆくゆく異動できそうな感覚はありましたが、この環境を早く脱すべきと判断する為にあまり時間はかかりませんでした。理由は「残酷なまでに社員の視座が低いこと」。先輩同僚と飲みに行っても、職場や残業に対する愚痴に終始し、日本の産業構造のあるべき姿や、我々が提供すべき顧客体験はどうあるべきか、という話は的を得ない。彼らは彼らなりに悩んでいるのでしょうが、悩みの対象が矮小。仮に上手くいっても行かなくても、何も世の中が変わらないような低いレベルのことに悩んでいました。「大企業の安定という毒が、ポテンシャルに恵まれたはずの社員の視座を奪っている」と感じ、自分もいつしか目的を見失い、低いレベルで安定してしまう不安を強く抱きました。同時に、「自分はいますぐ違う場所に行かないと社会的に無駄だ」という、心に冷や汗をかいたような感覚を覚えています

 結局、当初の目的に返り、大企業の行動原理を理解したと思えた3年で退職し、大企業生活で鈍った自分を徹底的に鍛えるべく、40人規模のコンサルティングファームに転職しました。転職先では、質・時間とも全力投球を求められる環境、野心漲る同僚、心から尊敬できるボスに恵まれ、充実した時間を過ごすことができ、ドラゴンボールの精神と時の部屋のようでした。

 転職前後を比較して、「この世には無駄な時間も有益な時間も存在する」ことはすぐに理解できました。例えば、私が最初に従事したのは、中堅規模のクライアントにおける法人営業改革のプロジェクトで、現場マネージャーが複数部署の方々と円滑にコミュニケーションをとってまとめ上げ、効果的に上司を使う立ち回りを見せ、目に見える成果を発揮していましたが、その彼は私と同い歳。力量の差に、愕然としました。

TOKIUMにみたミッションの大きさ・懐の深さ・将来への期待感。

 コンサルタントとして4年半が経ち、マネージャーとして何度かプロジェクトリードを経験した頃に従事した大企業のデジタルシフトを支援するプロジェクトを通し、ベンチャー企業との接点が増え、ベンチャーの経営の未熟さ・人材不足感を感じ、「自分でも今すぐに役立てるかもしれない」と感じました。当時、自分はまだ修行中の身と考えており、転職意欲なく情報収集の感覚で訪れた1社目がこのTOKIUMでした。

 TOKIUMのビジョンは「時間革命:無駄な時間を減らして豊かな時間を創る会社」。大企業とコンサルのキャリアを通し、まさに時間を有益に使うことの重要性を感じていた私は、自らのビジョンであるかの如く共感しました。代表の黒﨑は若くて粗削りな印象でしたが、非常にミッションドリブンな男で、私欲への執着がなく、超がつくほどしぶとく、自分自身の時間をフルに投じたいと思わせる懐の深さ・気高さを感じました。

 コンサルタントとしてもやり残したことは多く、後ろ髪を引かれる思いでしたが、何か世の中に大きなインパクトを残すことへの期待感が上回り、TOKIUMにCFOとして参画することを決めました。意志決定にあたっては、1社だけで決めることに不安もあったので、頭をクリアにして幅広にベンチャー・PEファンドを中心に30社程度を回りました。当時のTOKIUMよりフェーズが進んだベンチャーのCxOポジションやPEファンドも内定しましたが、TOKIUMに訪れ、黒﨑と話し、メンバーの雰囲気に触れて感じたほどの高揚感はなく、難しい意志決定ではありませんでした。

経営に携わり、「自分以外のトラックレコードを背負っている」という感覚を持つように。

 CFOの立場を預かってから、投資家の出資金はもちろん、社員やお客様の時間を預かり運用する立場であり、より豊かな価値に換える責務を負っていること、自分以外のトラックレコードを背負っていることを強く感じるようになりました。

 投資家の方々にはとても恵まれており、TOKIUMのビジョンに共感いただいた著名投資家の方々から、アドバイスや我々が必要とする人物・企業の紹介など、大きなリターンとして還元したいと痛感するほどのサポートをいただいています。

 社員に向けては、数ある会社や時間の使い方がある中で、ビジョンに共感しTOKIUMを選んでくれたことに報いるべく、メンバーの成長をドライブするためのフィードバックプロセスを備えた組織作りに注力しています。例えば、私が管掌していたマーケティング部では、全員に何らかのリーダーを任せ、目標見直し・進捗確認を高頻度で行い、全員が全員の仕事に対して遠慮なくフィードバックするためのルールを作り、日々メンバー同士で研鑽し高め合えるチーム作りを行っています。

「時間革命」という価値観の「押し付け」をしたい。

 大企業の勤務を通して感じたことは、多くの人は時間の価値について考える機会をもたず、何の価値も生まない作業を「仕事」と呼び、ゆえに生産性は低く、時間を別の資産に変換できず「浪費」しているということです。時間は、うまく使えば自分自身や世界をより良く導くことができる重要な資源ですが、地球上の人類がもつ総時間のうち、何割が「浪費」に終わっているでしょうか。このような「時間の浪費」に対し、世の中は無意識かつ無頓着だと感じます。

 「無駄な時間を減らして豊かな時間を創る」ために何をすべきか、繰り返し議論をしています。「無駄な時間」は画一的に定義しやすいものが多く、我々がアプローチしている「経費精算」はその一例です。一方、「豊かな時間」に画一的な定義はなく、各人が定義すべきものですが、そもそも時間に無頓着であることを変えない限り、その定義は不可能。つまるところ、我々がまず担うべき役割は、「時間をテーマにした事業展開を通して、時間の価値について真剣に考える機会を提供し、啓蒙すること」です。

 私としては、「誰かの時間を預かったら、利息をつけてより豊かな時間に換えるのがマナー」という価値観の押し付けを図りたいと思っています。例えば、年末年始の挨拶回りで取引先の時間を預かるならば、できるだけ手短に相手に有益な情報提供の1つもするのがマナーですし、それができないならメールか年賀状で済ませるのがマナーでしょう。皆がそれぞれにとって「豊かな時間」を定義でき、自分と相手の時間を尊重した行動が、何気なくできる状態。それこそが、私なりに「時間革命」を実現した暁に見たい風景です。

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