前半ではコミュニケーションの難しさに向き合いながら、少しずつ仕事の幅を広げてきた内野さん。2年目になってからは後輩指導やチーム全体の動きにも目を向けるようになり、自分の成長だけではなく「相手のためにどう動くか」という視点が芽生えていきました。後編では、ディレクション業務のリアルな難しさや、その中でつかんだ学び、そして3年目に向けて抱く想いについて深く聞いていきます。
6. “伝え方”に悩んだ1年目。相手を知ることで見えてきた変化
Q.仕事の中で特に難しいと感じたことは?
A.制作側とクライアントの間に立つ仕事なので、伝え方ひとつで案件全体の進み方が変わってしまうことです。最初の頃は、質問するにも「しっかり準備しないと」と思い込んでしまって、必要以上にプレッシャーを感じていました。
ただ、会話を重ねていく中で「相手がどんなコミュニケーションを求めているか」が少しずつわかってきて。無理に自分を変えるのではなく、自分なりの丁寧さを活かせばいいんだと気づきました。
7. 後輩を教える中で知った“自分もまだ分かっていなかったこと”
Q.2年目になり、後輩指導の機会も増えたと伺いました。
A.はい。中途の方や新卒の後輩を教える機会ができて、「教えることは自分の学びにもつながるんだな」と実感しました。
「これってどういう意味ですか?」と聞かれた時に、答えられないことがあったんです。それで初めて、自分が“なんとなく”で進めていた部分に気づけた。
理解しているつもりだった工程も、言語化すると抜けが見えるんですよね。教えることで、自分の仕事の解像度が一気に上がったと感じています。
8. 見える景色が変わった2年目。「自分以外の視点」を持てるようになった
Q.1年目との大きな違いはどこだと思いますか?
A.1年目は「早く一人前にならなきゃ」という気持ちが強く、自分の成長にフォーカスしていました。でも2年目は、後輩やチーム全体の動きを自然と意識するようになりました。
「どうしたら後輩がやりやすいか」
「チームとしてどう進んでいるか」
そういう視点を持てるようになったことで、自分の役割の幅が広がったと感じています。
9. 3年目への想い。「迷ったら、難しい方を選ぶ」
Q.今後について、どんな姿を思い描いていますか?
A.具体的に“こうなりたい”という像はまだないのですが、迷ったら難しい方を選ぶ、という気持ちは大事にしています。挑戦の中で、自分の強みややりたいことが見えてくるタイプだと思うので。
関わる人が多い仕事だからこそ、「この人に任せておけば大丈夫」と思ってもらえる存在になりたいですね。
そして、自分の強みを活かしながら、一つひとつの仕事を丁寧に積み重ねていきたいと思っています。
「やりたいことが分からないまま就活を迎えることは、決してネガティブなことではない」。内野さんの歩みは、そのことを優しく教えてくれます。
挑戦する中で自分の強みに出会い、人との対話の積み重ねが働き方のヒントになる。そんな成長の連続が、キャリアの輪郭を少しずつ描いていくのかもしれません。これからも等身大の姿で挑戦を続ける内野さんの3年目が、また新たな気づきを運んでくれるはずです。