未経験者のキャリアチェンジや障がい者雇用支援サービスなど社会貢献性の高い事業に取り組むエスプールは創業2年目より新卒採用をスタートさせ、新卒の育成にも注力している。入社後の研修費用は全国平均の5倍以上。そんな新卒育成に携わる人材開発責任者の新卒4年目・青木優香が新卒育成にかける思いを紹介します。
▲人事部 人材開発課 青木優香
先生志望から一転、世の中の広さを知り飛び出決意をする
大学で幼児教育を専攻しており、卒業後は幼稚園・小学生の先生になるとばかり思っていた青木。周囲も8割が先生志望。学生時代は児童養護施設でアルバイトをしており、教育に携わることを疑ったことはありませんでした。
青木 「当時、バイト先で私が担当していた子は、親がすぐに仕事を辞めてしまい経済的に安定しないことにより入退所を繰り返していました。そのころから、虐待をする親への支援に興味をもつようになり、それをテーマに卒論を書くことにしました」
4年生になったタイミングでバイト先の養護施設から内定をもらい、自然な流れで卒業後は養護施設の職員として働くことを決めました。しかし、そんな青木の心を動かす出来事は、思いもよらない場所にあったのです。
青木 「きっかけは夏休み前にキャンパス内で開催されていた就活セミナーでした。虐待児童の親を卒論テーマとしていたので、情報収集しようという軽い気持ちで参加したんです。
しかし、その会場で話す社会人は、これまで私が関わってきた大人とはまったく違う人種でした。純粋に『企業の人と話すのって楽しい』、『広い世界を知っていて、私もそんな風になりたい』と感じました」
しかし、まだ完全に一般企業への就職を決めたわけではありませんでした。これまで大学で学んだ知識、バイト先で積み上げてきた経験、お世話になった施設職員の人々への恩……。
このタイミングで一般企業への就職を決めることでこれまで培っていた多くのことを無駄にし、損なってしまうように感じました。
青木 「それでも、就活セミナーで感じたワクワクを忘れることはできませんでした。もっと雇用を生み出す側の人の話を聞いてみたいーー。はじめは、『卒論の情報収集のため』と自分に言い聞かせて企業への就活をスタートさせました」
そして人生で一番最初に参加した企業説明会が、エスプールの代表取締役会長兼社長の浦上壮平が登壇するTOPセミナーでした。
青木 「私はこれまで『働いてえらくなりたい、お金を稼ぎたい』ということは、言ってはいけないことだと思っていました。しかし社長は、社会課題をビジネスの中で解決することに意義を感じ、お金を稼ぐことを誇りに思って話をしていたんです。
その時に心を決めました。『ビジネスの場で人の成長や雇用に関わることを生業にしよう』と思ったんです」
▲エスプールヒューマンソリューションズでの達成&送別&歓迎会
仕事を楽しみ、成長するなかで感じた違和感
2015年4月エスプールに入社し、最初の1カ月間は同期全員で導入研修を受けました。自己開示がテーマの研修で、同期との関係を構築するために、相手を知る・受け入れることを体感しました。
その後はOJT研修として、法人営業や販促支援など主要グループ会社の業務を経験。 そのどれもが楽しくて、一つひとつ何が学べるのか考えながら取り組んでいました。
6月からは人材アウトソーシング事業を行うエスプールヒューマンソリューションズでキャリアコーディネーターに配属されました。求職者に対して、いかに仕事内容を魅力的に語るか、わかりやすく伝えるか、そして「やりたい」と言ってもらうかが、とても楽しくやりがいを感じながら毎日を過ごしていました。
定期的に行われる研修では、配属によりバラバラになった仲の良い同期と集まる機会となり、リフレッシュできる場として有意義に受講していました。
2年目になり、新規事業である採用支援事業部の営業へ異動。できたばかりの新しい組織で、同期と2人だけで新規営業を担当することになりました。当時の上司は2年目であろうと「自分で考える」ことを優先させてくれる方で、さまざまな手法を試しながら顧客開拓をしていきました。
このころ同期全員で営業研修を受けた青木は、入社して初めて違和感を持ちます。
青木 「この時間は実務に直結していないのではないか、と感じてしまったんです。エスプールは事業が多角化していて、その研修の時間だけでは一つひとつの商材に焦点をあてることができなかったんです。『他事業部の営業と一緒に受けても、社外の講師に教わっても、研修の意義を感じにくいのでは』と思いました」
3年目になり、人事部へ異動することに。働き方改革を本格化させるため、人事給与システムの効果検証や人事労務業務の効率化を目的としたBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)プロジェクトを人事部内で立ち上げることになったのです。
そこで青木はプロジェクトリーダーに就任し、徐々に人材開発にも関わるようになりました。
▲内定者研修での様子
人材開発担当に就任 エスプールに必要な人材とは?
3年目の11月。正式に人材開発の担当になり思い出したのは、実業務との結びつきの弱い研修についてでした。サービスが多角化しているなかで、新卒社員への育成を画一化することが困難な状況にありました。
各事業での活躍人材像も異なるため、新卒時代にどんな研修を受けてもらうべきか前任の担当者は悩みつづけ、数年の間模索していたのです。
青木 「研修を選定するうえで、より詳細な育成方針を定めることが必要だと感じました。そこで、まずは各事業のマネージャーの声を聞くところからはじめました。育成方針を定めるには弊社で活躍する人材要件を明確化することが必要だと感じたからです」
各事業の現場で新卒がどのような評価を受けているのか、以前まで実施されていた研修の良い点・悪い点をすべて洗い出しました。各事業で求められる人材要件をまとめあげ、最終的には「リーダー=事業部長」を育成することが弊社の新卒キャリアの一貫した方針であると定めます。
青木 「次にこの育成方針を可視化しようと考えました。そして、各事業の社内会議や各種セミナーに参加し、そこで得た知見を基に、新卒社員が長期的なキャリアを描くことのできる、入社10年目までの育成方針をまとめた “成長MAP ”を作成しました」
成長MAPの作成により、研修選定の意識が変わったことはもちろん、新卒社員も目的意識を持って配属先での業務を遂行することができるようになりました。学んだ知識を必ず実業務でアウトプットできるように目標管理も徹底させます。
また、半年に1回実施される人事面談では成長MAPと照らしあわせて「現在できていること・できていないこと」を振り返るようになりました。
青木 「以前は、状況把握を目的としていたので本人の振り返りを人事が聴き、何か困っていることがあればアドバイスをしていました。
しかし現在では、スキルセットの場として運用ができています。今の配属先でどんなことが求められているか、現状なにが足りていないのかを本人と確認し、そのためにどう行動していくかを決めるんです。
そうすることで、新卒社員が社内での長期的なキャリアを描き、かつ現在の仕事への目標達成意欲を持ちながら業務に取り組めるようになりました」
入社後数カ月間の導入研修だけではなく、階層別研修やフォロー研修、縦割り研修、定期面談の実施などにより、教育費用は全国平均の5倍もかかっているのです。
▲ダイバーシティ研修では新卒1年目が先輩社員にむけて研修を企画します。
成長を加速させる研修を。社員と共に走り続ける人材開発
「研修は機会の提供であり、きっかけ、手段にすぎません」と青木はいう。
青木 「社員がもっとも成長できるのは実務の場。研修はあくまで実務における必要知識の習得期間を早めることや、実務では習得できないスキルを補うためにあると思っています。
しかし、だからといって『機会を提供して終わり。あとは活用するもしないも自分たち次第。』というわけではありません。新しい知識は実践しないとすぐに忘れてしまいますが、これまでのやり方や思考のクセを変えることはそう簡単ではありません。
そこに、人材開発としての介在余地があると思っています。研修で得た知識を現場で実践し、意識せずともできるようになるまで振り返り面談やフォロー研修の実施によって伴走する。
私の役割は、少しでも早く、少しでも高く彼らが成長できるような仕掛けをつくり、到達させることです」
エスプールは社会問題や付随する企業課題を新たなビジネスによって解決していく会社。
社会的価値を創造し、時代のニーズに合わせて企業を変革させていくためには、新卒社員の活躍が必要です。事業部長になるリーダーを新卒社員から輩出することが会社の成長を加速させるのです。
そのために、エスプールはこれからも成長を加速させる新卒育成に取り組んでいきます。