「好奇心」が原動力 / 斬新な企画を生み出し続けベンチャーキャピタルとして唯一無二の個性を持っている社員へインタビューしてみました。
学生時代にクラウドファンディングで100万円を集め、日本一周の旅を実現。海外留学や太平洋横断などアクティブなキャリアを重ねてきた今村柚巴さん。
現在はSkyland Venturesで唯一無二の個性を発揮するベンチャーキャピタリストとして活躍していますが、実は最初からこの進路を目指していたわけではありません。
そんな始まりから、今やSkyland Venturesでは今や唯一無二の個性を発揮している彼女にスタートアップ支援に特化したベンチャーキャピタル「Skyland Ventures」でなぜ働くことになったのか、何を大切にし、どこへ向かっているのか。その背景にあるストーリーに迫りました。
インタビューを担当するのは、Skyland Venturesで採用広報を担当している山本さんです。
<プロフィール>
名前:
今村柚巴(Yuzuha Imamura)
経歴
・青山学院大学に在学中、クラウドファンディングで100万円を達成し日本一周
・飛び立て留学ジャパンを通じた海外渡航、太平洋横断、内閣府主催の国際交流プログラムなど多彩な経験を積む
・大学在学中からイベント企画などを行い、Skyland Venturesにインターンとして参画した後に正社員としてジョイン
・「ゆず@ノマド女子VC」としてもnoteで様々な発信活動を行う
ゆず@ノマド女子VC|noteあちこちふらふら寄り道してます。 クラファンでお金をあつめてゲストハウス日本一周してました。 人生のターニングポイントを刻note.com
<Skyland Venturesとは(以下、SV)>
Skyland Venturesは、起業初期の「シード期」と呼ばれるフェーズにあるスタートアップへ投資するベンチャーキャピタルです。これまでに日本国内を中心に約200社へ出資しており、Web3(暗号資産・NFT・ブロックチェーン)や生成AIといった最新技術を活用したスタートアップへの投資に力を入れています。
目次
なんとなく面白そうから始まった、偶然の出会い
-発端は「本日の主役」のたすき。SNS発信がきっかけに
-「入社する気はゼロ」から始まったインターン
-入社の決め手は「なりたい自分に近づける」環境
目指す姿に近づく充実感とその成長痛となる挫折経験
-理想は“サマーウォーズのおばあちゃん”のような存在
-偶発的な出会いを仕掛け、価値を生み出すことがが仕事のやりがい
-自分の存在価値を疑った挫折経験
-「自分の武器」で勝負すると決めた日
Skyland Venturesはどんな環境か
-自分の「好き」がある人が活躍できる環境
-何かが生まれる中心地にしていきたいという目標
なんとなく面白そうから始まった、偶然の出会い
-発端は「本日の主役」のたすき。SNS発信がきっかけに
山本:
最初はSVで働く気は全くなかったとのことですが、そもそもどうやって知ったんですか?
今村:
出会いは本当に些細なことでした。
私は学生時代からさまざまなことに挑戦し、その様子をSNSで発信していたんです。
ちょうど3月1日の就活解禁日が誕生日と重なっていたので、「本日の主役」のたすきをかけて会場に行ったんですよ。その様子をnoteやX(旧Twitter)で発信したところ、想像以上に反響があり、結果としてそれが代表・木下さんの目に留まったようです。
-「入社する気はゼロ」から始まったインターン
山本:
すごい企画力と発信力ですね!そこからSVとのつながりが生まれたんですね。
今村:
はい。その投稿をきっかけに木下さんから「本日の主役のnote、読みました。面白そうなのでBBQに来ませんか?」とDMが届きました。少しびっくりしましたが、普段からまずは行動することを大事にしているので誘われたBBQへ足を運ぶことにしました。
そのBBQが非常に印象的でして、おそらく皆さんが想像されているものとは違って規模がかなり大きいものでした。
500人規模のBBQイベント
そのため木下さんとはその場ではそこまで話すことができなくて、私もせっかく来たなら「来ている人が楽しんでもらえるように、できることを頑張ろう」と思い、とにかくお肉を焼いたり、ただひたすらにできることをしていました。
そのため、会場では声をかけてもらった木下さんとはあまり話すことができず、後日あらためてオフィスで話す約束だけをしました。それが翌日で、その話した時に「ベンチャーキャピタリストに興味はないか?」と声をかけられたときは本当に突然で、びっくりしましたね。今振り返るとBBQの運営サポートスタッフくらいに目立っていたこともあって声をかけられたのかなと思っています。BBQについてもこちらに記事を書いているのでよければご覧ください。
山本:
それで入社を決めたんですか?
今村:
いえいえ。noteの発信なども好きだったことがあって当時は広告代理店への進路を考えていて、VCの世界なんて想像もしていませんでした。なので一度はお断りしました。
ただ、どこか「面白そうだな」と思っていたのも事実で、入社はしないと伝えつつ、インターンとして関わってみたいなと思って、誘われた次の日にはインターンとしてSVに関わることにしました。実際インターンとして働いてみるとインターン中にさまざまな気づきがあり、最終は悩んだ末に入社を決めました。
-入社の決め手は「なりたい自分に近づける」環境
山本:
いろいろな葛藤があったんですね。広告代理店への進路を変えて
入社を決めた理由は何だったのでしょうか?
今村:
シンプルに言えば、「自分の得意なことが活かせる」こと、そして「なりたい姿に最も近づける」と感じたからです。
VCやスタートアップ支援がどうというよりも、私は「人とのつながり」や「人が集まる場をつくること」が大好きなんです。その“好き”を仕事にできる環境が、実際にインターンをしてみたらSVにあった。そう感じたことが大きかったですね。
目指す姿に近づく充実感とその成長痛となる挫折経験
-理想は“サマーウォーズのおばあちゃん”のような存在
山本
そうだったんですね。
なりたい姿というのは、具体的にはどんなイメージなんでしょうか?
今村
私が思い描いている理想の成長像は、映画『サマーウォーズ』に出てくるおばあちゃんのような存在です。映画を観たことがない人も多いと思うので簡単に説明すると、映画『サマーウォーズ』のおばあちゃんは「人と人とのつながり」で混乱していたり、危機的な状況を立て直すキャラクターなんですね。
映画では困った人がいたら誰かを紹介して、問題解決の糸口をつくるような“つなぎ役”でして、そこから私も「自分自信が強くある」ことではなく、「強い人を集められる存在」になりたいと強く思うようになりました。
-偶発的な出会いを仕掛け、価値を生み出すことがが仕事のやりがい
山本:
成長像について理解できました。それはSVの仕事とはどのように関連するんですか。
今村:
私は、企画を考えたり、発信をしたりすることが好きです。そして、「これをやりたい」という気持ちに素直に、真っ直ぐ進んでいけるタイプだと思っています。そういった自分の性格が、SVの仕事に求められることと一致していると感じる時があります。
それは私たちSVの役割は単に「投資をすること」ではありません。SVの本質的な仕事は、「スタートアップの成長を支援すること」だと考えています。
成長を支援するとなると投資家や起業家との“縁”をいかに生み出せるかということも非常に価値のあることになります。なぜなら、起業したばかりの会社は、何もかもが手探りの状態で、小さなきっかけが大きな成長につながることもたくさんあるんですよね。
人と人との出会いは、ほんの些細なことから始まって、
新しいアイデアが生まれたり、課題解決の糸口が見つかったりする。
そんな強く不思議な力を持っていると、私は思っています。
だからこそ、私が目指している「強い人が集まる場をつくる」という考え方は、SVにとっても非常に重要な要素です。このような想いがあるからこそユニークに思えるようなイベントでも、恐れず積極的に企画し、実行するようにしています。
2023年にはスタートアップ運動会を開催したりもしました
-自分の存在価値を疑った挫折経験
山本:
確かにそう考えると今村さんの強みが発揮されそうな感じがします。入社してから挫折経験などはなかったですか。
今村:
いえ、全然順調ではありませんでした。
インターンを経て実際に社員として入社すると、しばらくは「自分には何もできない」と感じる日々もありましたね。投資の知識もなく、スタートアップの情報もあまり持っていない。
そんな中で成果が出せず、自信を失ってしまったんです。
負のスパイラルに陥って、「このままじゃ自分の存在意義がない」と感じることもありました。
-「自分の武器」で勝負すると決めた日
山本:
なるほど、スランプはどのように乗り越えたんですか。
今村:
スランプを打開するきっかけは今思えば、それも人との”縁”がきっかけでした。それはある方からの言葉で「今のあなた、中途半端だよ」と言われたんです。
その言葉を聞いた時にガツンと目が覚めたような衝撃を受けました。当時の私はイベントなどを数多く企画していたものの、成果への意識が甘かった。そのことを見抜かれたように感じたからです。
自信を失っていたのは「自分の強みを活かして成果を出すイメージ」が持てていなかったから。私はそれに向き合うことなく、隠していたような気がします。「なんとなく面白そう」で動く癖があり、ベンチャーキャピタリストとしての在り方を逆算して考えていなかったんですよね。
でも、その言葉をきっかけに、「自分だからできることで、どんな成果を生み出せるか」といった視点の掛け合わせの視点で物事を考えるようになりました。自分の武器で勝負する、という"覚悟"が芽生えた瞬間でした。
自分の課題を客観的に指摘されることは鋭くドキッとしましたが、逃げることなく成長に繋げられたきっかけでした。今思えば本当に感謝の気持ちでいっぱいです。さらに大きな転機となったことがあります。
それはSVの出資者でもある地方銀行と連携して開催した500人規模のフェスです。私はプロジェクトマネージャーとして企画全体をリードしました。
こちらが山陰合同銀行と連携して開催した500人規模のフェス「ごうぎんフェス」
結果的にイベントは大成功で「やっぱり私は、こういう“人が集まる場”でこそ価値を発揮できるんだ」と改めて実感したきっかけになりました。
その後は、学生や起業家とのマッチングでも、「自分にしかできないこと」にフォーカスするようになり、今の環境に納得感を持って働けるようになったと思います。企画から実行するまでの過程は別の記事に書いているのでよければ見てみてください。
参加者は400人超!山陰合同銀行とともにごうぎんフェスを作って。|ゆず@ノマド女子VC
それ以降は、学生や起業家とのマッチングにおいても、「自分にしかできないことは何か」に意識を向けるようになりました。“自分だからこそできるやり方で成果を出す”ことを突き詰めたことで、ようやく納得感を持ちながら、自然体で働けるようになったと思います。
Skyland Venturesはどんな環境か
-自分の「好き」がある人が活躍できる環境
山本:
今村さんと話しているとベンチャーキャピタリストっぽくないなと思うのですが、SVの人はどう言った人が多いのでしょうか。
今村:
私に限らずSVにはいわゆる「VCっぽい人」はあまりいないと思います。もともとVC志望だった人よりも、「好きなこと」を突き詰めてきた人が多い印象です。
前回インタビューに登場していた坂井も、Web3への興味やランニングコミュニティの仲間とVCとしてのキャリアをスタートした人でした。
web3への好奇心がベンチャーキャピタリストとして働くきっかけに/大学院に在籍しながらベンチャーキャピタルで働いた濃密な二年間を記事にしました|Skyland Ventures
それぞれが自分の「好き」を起点に動いているからこそ、ユニークなプロジェクトが生まれ、仲間も集まってくる。そんな空気感がSVにはあると思います。
-何かが生まれる中心地にしていきたいという目標
山本:
ありがとうございます。よく理解できました。
将来的に今村さんが考えている目標などはありますか。
今村:
今後はSVを“神社”のような存在にしていきたいと思っています。
神社って「ご利益がありそう」とみんな思っているじゃないですか。
それは困ったとき、何か始めたいときに、ちょっと期待を込めて立ち寄れるような場所ということだと思うんですよね。SVも、そんなふうに思ってもらえる存在になりたいです。
スタートアップに関心の有無を問わず、誰もが気軽に立ち寄れる場所にしたいと考えています。そのためには、目の前の人にとことん向き合い、支援しきることが必要です。「あのときSVに行ったから、今がある」と思ってもらえるような出会いを、ひとつずつ丁寧に積み重ねていきたいです。