web3への好奇心がベンチャーキャピタリストとして働くきっかけに/大学院に在籍しながらベンチャーキャピタルで働いた濃密な二年間を記事にしました
神戸大学大学院に通いながら、ベンチャーキャピタルであるSkyland Venturesでインターンを始めた坂井さん。
「Web3に関わりたい」という気持ちから始まったキャリアは、リアルなスタートアップでの経験を経てスタートアップの成長を支援したいという想いへと繋がっていきました。
この記事では、
「スタートアップに関わるってどんな感じ?」
「ベンチャーキャピタルの仕事ってそもそも何?」
「学生からでもチャレンジできる世界?」
そんな疑問を持っているあなたに、坂井さんのリアルな経験を通してその答えを届けます。
「スタートアップって面白そう/興味ある」そう思った瞬間がある方には、きっと何かヒントになるはずです。
目次
■Skyland Venturesとの出会い
-Web3への没頭が全てのきっかけ
-新しい刺激のある仕事を求めて東京へ
■ベンチャーキャピタルという仕事に引き込まれた瞬間
-上場企業の目の前で見て感じたこと
-ベンチャーキャピタルの仕事に覚悟を持った瞬間
-同年代の社長と働いて得た一生の学び
■入社して実感した面白さと成長
-Skyland Venturesでしか味わえない醍醐味
-結果を出して次の大きなチャンスを掴み取る仕事
-Skyland Venturesのユニークな環境
<プロフィール>
坂井 柊斗(Shuto Sakai)
<経歴>
・神戸大学大学院在学中にカナダ・バンクーバーへ語学留学
・2023年5月 Skyland Venturesにてインターン開始
・2023年9月 大学院に在籍しながらSkyland Venturesの正社員としてジョイン
・2024年4月 神戸大学大学院を卒業 ・2024年12月〜2025年2月 ドライバーテクノロジーズへ出向という形で支援、その後、経営管理支援に従事
坂井X→https://x.com/shutollen
<Skyland Venturesとは>
Skyland Venturesは、起業したばかりのスタートアップに投資するベンチャーキャピタルです。 特に、まだ会社を立ち上げたばかりの「シード期」と呼ばれるタイミングで、将来大きな影響を与える可能性のあるスタートアップに資金を提供しています。
これまでに、日本国内を中心に約200社のスタートアップへ投資してきました。
暗号資産・NFT・ブロックチェーンといったWeb3領域や、生成AIといった最新のテクノロジーを使ったスタートアップへの投資に力を入れています。
■Skyland Venturesとの出会い
-Web3への没頭が全てのきっかけ
ます、全てのきっかけは「Web3に関わる仕事がしたい」という想いでした。
過去にカナダに留学してたときがあるのですが当時、日中は語学学校、夜はバーで働くというプログラムでした。結構忙しかったのですがその頃からずっとWeb3のことばかり考えてました。
特に「STEPN(ステップン)」という歩くと暗号資産がもらえるアプリが流行っておりランニングが好きなこともあって自分もハマってました。
そこからVoicyでSTEPNのことを発信しているpajiさん (@paji_a) の話を聞いたり、彼が関わってたpNouns (@pnounsofficial) というプロジェクトが立ち上がるときに参加し、オンラインイベントなどの運営に関わっていました。
-新しい刺激のある仕事を求めて東京へ
そんな感じでWeb3にどっぷりだったので、帰国後もこの分野に関わりたいなとおもってました。
神戸大学院の授業は週1だけ残っていたのですが、Web3のような「新しい仕事」は東京にしかないだろうという考えで引っ越しをして、仕事を探し始めました。
正直、関西にもWeb3の仕事はあったのかもしれないですが、当時の自分はWeb3のことしか考えてなくて東京に行く以外の選択肢が見えなくなってました。
冷静に考えたらリスクもあったと思いますが、それでも「今しかない」と思って東京に家を借りて即決断して動き出しました。そこで出会ったのがSkyland Venturesでした。
Wantedlyという求人媒体で見かけてSkyland VenturesがWeb3に特化しているベンチャーキャピタルだと知ったときは、まさに「先端的な技術に触れられる環境だ!」と思いました。
↑カナダ留学中に参加したナイアガラの滝マラソンでの一枚。もともと走ることが好きで、STEPNに興味を持ったのも、「好きなこと」とつながっていたからかもしれません。
■ベンチャーキャピタルという仕事に引き込まれた瞬間
-上場企業の目の前で見て感じたこと
Skyland Venturesに入って特に印象に残っていることは、1ヶ月ほどのタイミングで、投資先の「アイデミー」という会社が上場することになったときですね。そのお祝いの場に、スタッフ兼参加者として呼んでもらい、社員や関係者の方々と一緒に東証での鐘を鳴らすシーンをパブリックビューイングで見た時は今でも忘れられません。
正直、それまで「上場」といってもネットニュースでしか見たことがなくて、どこか遠い世界の話だと思っていましたが、実際にその場に足を運んで見た光景は社員の方やご家族の皆様が笑顔で集まっている様子でした。その光景を見た瞬間に一気に現実味を帯びてすごくリアルに感じたんです。
なぜかというとその時にみんなが本当にうれしそうで「これだけ多くの人の努力が、報われる瞬間があるのか」とすごく胸が熱くなったからだと思います。それを支えているのがベンチャーキャピタルだと思うとめちゃくちゃいい仕事だなと学生ながらに体感した瞬間でした。
この体験が大きなきっかけとなり「もっとこの仕事を深く知りたい」「自分も本気でやっていきたい」と強く思うようになりました。
(私のnoteでも当時の経験について書いているのでよければ見てみてください)
当時のnote:VC歴1ヶ月のインターンがアイデミー上場を間近で見て思ったこと|Shuto
-ベンチャーキャピタルの仕事に覚悟を持った瞬間
上場の会が終わってから代表の木下さんに「ベンチャーキャピタルの環境でちゃんと仕事をしていきたい」と伝えたら、「じゃあ同じ業界のベテランとも話してみたら」ということで業界の中でも大先輩となる3人の方を紹介してもらいました。
具体的には手嶋さん(XTech Ventures)・久保田さん(当時、WiL)・高宮さん(グロービス・キャピタル・パートナーズ)の3名でした。当時、私はまだまだ知見も浅かったため拙い質問をしてしまったかもしれませんが、それでも真剣に向き合ってくださり、仕事をしていく中でのリアルな体験談やアドバイスをいただきました。
そこでむしろもっと本気で頑張りたいと思ったことは今でも覚えています。
そして2023年9月、大学院に在籍しながらではありますがSkyland Venturesの正社員になりました。
そのときはまだ大学の授業に出るために、毎週夜行バスで往復してたのも今ではいい思い出です。
-同年代の社長と働いて得た一生の学び
そして正社員になってから一番印象的だったことがあります。
投資という形に加えて、実務もサポートするため
投資先の「ドライバーテクノロジーズ」という企業に出向したときのことです。
ドライバーテクノロジーズでは2024年12月から3ヶ月間、管理支援の担当として働いていました。
当時、出向した時い期待されていた目標としては
・銀行融資の実行(億単位)
・管理シートと月次会計の整合
・10営業日以内の月次決算
・株主向けの会議資料の準備
という、未経験の領域で難しいことばかりでした。
それでも、上場企業の管理部門の方に伴走していただきながら、なんとかひとつひとつやり切ることができました。そして驚いたのが、ドライバーテクノロジーズの社長・川島くんが、当時まだ24歳だったことです。
自分と同じくらいの年齢の人が、すごく高い視座で物事を捉えていて、しかも社員一人ひとりに丁寧にフィードバックしている姿を見て、当時ほんとうに刺激を受けました。
その光景は、今でも自分が仕事を頑張るうえでの原動力になっているくらい、強く印象に残っています。
あのときの達成感と刺激がなかったら、「今の自分の成長はなかったかもしれない」と思うくらい、人生の中でもすごく大きな経験でした。
↑出向が終わりドライバーテクノロジーズのメンバーとお疲れ様会時の写真
■入社して実感した面白さと成長
-Skyland Venturesでしか味わえない醍醐味
Skyland Venturesはシード期に特化したベンチャーキャピタルだからこそ、他ではなかなか味わえない面白さがあると思っています。
シード期のスタートアップの特徴として、本当に変化が激しい状況に向き合うことが多く
昨日までなかった課題が急に出てきたり、逆にちょっとした工夫で急成長したりすることがよくあります。
その“変化の振れ幅”がとにかく大きくて、酸いも甘いも全部詰まっている感じです。
そんな中で、代表や創業メンバーと一緒に並走するからこそ、普段なかなか味わえない瞬間がいくつもあります。一緒に壁を乗り越えたあとに生まれる信頼感や達成感はシード期のスタートアップに関わっているからこそ味わえるものだと思います。
それに投資先の支援に本気で関わるほど仕事をする人も自然と増えていくし、それに伴って知識もどんどん増えていきます。毎日が新しい学びや刺激にあふれていて、「面白い経験がずっと続く場所」だなと思っています。
-結果を出して次の大きなチャンスを掴み取る仕事
ベンチャーキャピタルの仕事って、結果を出せば出すほど次のチャンスが広がっていくのも面白いと思います。
成果を出したら「次これやってみない?」って声がかかって、気づけばどんどん大きな仕事を任されていく。
そのサイクルがすごく面白くて、自分にはすごく合ってるなと感じました。
ベンチャーキャピタルの仕事って「投資して終わり」と思う方もいるかもしれませんがそうではありません。むしろそれは始まりでしかなくて、そのあとの成長までしっかり支援することこそが大事な仕事だと思っています。
私の場合はドライバーテクノロジーズへの出向を経験したことで、バックオフィス支援とか管理系の仕事にも自然と興味が湧いてきました。
そういった経験ができたからこそ、今は単純に「Web3が好き」という最初の気持ちだけじゃなくて、
「投資もできるし、支援もできる」といった自分なりの理想像やキャリアの方向性を持ちながら仕事に向き合えていると思います。
-Skyland Venturesのユニークな環境
やっぱり挑戦できる領域の幅がめちゃくちゃ広いことだと思います。
ソーシング(投資先を探すこと)もあれば、イベントの企画・運営もあるし、投資先に出向して実務に入ることもある。自分も全部経験しました。
しかも、「この2週間はこれに集中してみよう」みたいに、テーマも明確にしながら動けるのもSkyland Venturesならではなんじゃないかなと思ってます。挑戦のステップがどんどん目の前に現れるから、飽きることがないです。
飽きるだけじゃなくて切り替えにできることに救われたこともあります。
私自身、「 何をやっても成果が出ない…」みたいな時期がありました。
また多くの人が成果に報われない状況は少なからず向き合うものだと思います。
それを乗り越えられることができたきっかけとして、「うまくいかなかったから、じゃあ次これやってみよう」という形で、また違った挑戦やトライする機会があることが大きかったのではないかと思っています。
気持ちを切り替えて前に進みやすいし、挑戦を止めずにいられる。そしてその挑戦を乗り越えた先に興味があることや次にやりたいことが自然と見えるようになっている。そんな仕事ができる環境は本当にありがたいなと感じています。