羊SUNRISEは会社として4年目を迎え、既存の飲食事業に止まらない自由な発想で事業展開を進めています。ラムバサダー、流通事業、アパレルブランドの立ち上げなど、業種やエリアを超えてどのように羊を普及させていくのか。関澤社長にお話を伺いました。
ラムバサダー活動で強くつながった羊肉業界
-羊SUNRISEが参加しているラムバサダーはどのような活動をしていますか
日本におけるラムの普及活動を行う団体です。主にラムバサダーとしてのイベント開催や、会員の持ち込み企画によるイベント開催支援を行っています。
-ラムバサダー活動に参加したきっかけを教えてください
羊SUNRISEをオープンする前にオーストラリアの羊生産現場を生で見たいと思い、MLA(Meat & Livestock Australia)という団体にアテンドを依頼したのがそもそもの始まりです。
MLAという団体はオージービーフとオージーラムの販促活動をしているオーストラリアの団体で、日本だと有楽町に事務所があります。日本事務所でラムの担当をしているのは三橋さんという方一人なんですが、この方とオーストラリアの視察から帰ってから会うことができた。
三橋さんと会う前は海外産の羊肉を仕入れたいと思って問屋を回っても門前払いされることがほとんどでした。輸入数自体が多くないので新規の業者に回す余裕がないんですね。ただ、三橋さん経由でインポーターに話をしてもらえたことで、日本に輸入しているほぼ全ての海外産の羊肉を仕入れることができるようになりました。
この出会いがきっかけで三橋さんとは深く関わるようになり、2016年にMLAがラムバサダー活動を開始した際に僕もメンバーの一人に選んでいただきました。
-ラムバサダーに参加してよかったことはなんでしょう
羊業界全体に向けた取り組みができるようになったことです。ラムバサダーはMLAが作った団体なので中心になるのはオーストラリア産ラムでしたが、そこに我々羊SUNRISEが入ることでラムバサダーやMLAの皆さんに国産羊について知ってもらうことができました。
日本国内の羊肉市場はオーストラリア産が70%を占めているので、流通の視点からいうと1%程度にしかならない国産羊に興味を持ちようがないんです。ただ、ラムバサダーに羊SUNRISEのような飲食店が参加することによって、業界内でも国産羊に対する興味を生み出せたと思います。さらに、うちはニュージーランド産もウェールズ産もフランス産も扱っているので、フラットな視点で羊の普及に関わることができる。これはラムバサダーという団体にとってもメリットがあるはずです。
羊肉流通の課題を解決したい
-流通のお話が出ました。今後羊SUNRISEは羊肉流通事業も開始されますが、今の羊肉流通にはどのような課題があると考えますか
まず国産羊については基本一頭買いであること。これだと少量しか使わないお店は仕入れることができません。
海外産に関しては仕入れが安定しないこと。羊SUNRISEは先ほどお話しした三橋さんのご尽力で、問屋を通さずにインポーターに直接注文して必要な品目と量を仕入れることができています。
しかし、普通に問屋から仕入れているお店の場合、問屋の在庫にある品目から選ぶしかないため、在庫になければ諦めるしかない。さらに安定して問屋からおろしてもらうには普段から多めに仕入れておく必要がある。こうなると小規模なお店には難しいです。
羊SUNRISEはこれらの課題を解消するために、物流事業を開始することにしました。自社の加工工場で国産羊を捌いて小ロットでの出荷を加入にしたり、海外から届いたケースをさらに細かくセットにして仕入れやすくしたり。例えば、4ヵ国の羊肉セットみたいな感じで、少量バラエティパックみたいな物を作るとか。
今の羊肉の物流は、飲食店が気軽に仕入れることができないシステムになっているのが課題だと思います。ちょっと試してみるというのが難しい。羊SUNRISEが国産も海外産も一旦まとめて仕入れて、それを飲食店が求める量にアレンジして出荷することで仕入れやすくなるだろうと。結果、羊肉を提供するお店が増えて、日本人が羊肉を口にする機会も増えます。
※流通事業についてはこちらもどうぞ
羊肉の流通を変える!ついに加工工場設立へ
アパレル事業「Waste not,Want not」と共に広める羊のあるライフスタイル
-話を変えまして、アパレルブランドの「Waste not,Want not」が正式にリリースされました。今後の展開を教えてください。
「羊という動物の素晴らしさを伝えたい」「羊文化を普及させたい」というのが根底にあるので、それをブレずに伝えられる事業にしたいと思います。
11月にREADYFORでクラウドファンディングを始めたのを打ち上げ花火として、羊の価値を理解してくれるコアなファンをまず増やしていく。羊皮を使用したバッグやジャケットを中心に完全受注生産で行います。1点20万円を超えるのでアパレルブランドとしてはハイエンド向けとなりますが、まずは本当にいいものを作っているというところでブランドを確立したいです。
今アイデアとしてあるのがジンギスカン、キャンプ、アパレルと組み合わせたライフスタイル提案型のビジネスモデルです。羊SUNRISEとしてキャンプツアーを開催し、ジンギスカンを味わってテントサウナを楽しんでもらう。その一環でWaste not,Want notのバッグやジャケットのサンプルを手に取ったり試着していただき、良さを実感してもらう。
おそらくキャンプは筑波山周辺での展開が多くなると思うので、筑波山に週2日程度営業する羊SUNRISEショップを作るとか。そこで当社が提案する羊とともに過ごすライフスタイルを体験してもらうのはありかなと考えています。
※アパレル事業についてはこちらもどうぞ
羊革アパレルブランド「Waste not, Want not」に込められた羊への思い 前編
羊革アパレルブランド「Waste not, Want not」に込められた羊への思い 後編
日本に羊文化を普及させるために、今後も自由な発想で事業展開を
-様々な事業展開の先にあるゴールはなんですか
「日本に羊文化を普及させる」これに尽きます。思いに共感してくれたり面白いと感じてくれた人とは業界を超えてどんどん繋がっていきたいです。業種やエリアを超えて関わり合うことで、新しい事業が動いたり予想しなかった展開が生まれます。羊によって社会も人生もエキサイティングな方向に進化していくと信じているので、もっともっと羊の普及を突き詰めていきたいですね。