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スピード仕事術だけでは出世できないのはなぜ?

企業も生産性向上を求めている

生産性を高めれば、たとえ時短勤務を選んでいたり、しっかりと有給休暇を消化したりしても高い評価を獲得できる。だから企業は生産性で従業員を評価するようになるべきだ。そう考えることは当然です。

特にここ数年、従業員の長時間労働を喜ぶ会社そのものが減っています。というのも、名ばかり管理職などのサービス残業問題や、過労死、精神障害の労災認定の増加など、長時間労働を原因とした諸問題が顕在化しているからです。それらの問題は働く人たちを不幸にするだけでなく、発生と同時にすぐに人々に拡散され、企業イメージをも大きく悪化させます。

企業側にとってコスト面の問題もあります。たとえば2018年4月1日から、すべての企業で、月60時間以上の残業をした人に対しての加算割合が50%になります。資本金額が少ないとか従業員数が少ないとかの理由で免除されていた(この法律自体は2008年から施行されていました)中小企業でも、月60時間以上=1日あたり約3時間以上働いた時間に対しては、残業代が50%加算されるわけです。

できれば長時間労働があたりまえの組織から抜け出したい。そう考える企業が増加しています。だからこそ、企業側としても残業をせずに成果を出すための、生産性向上を強く全面に打ち出しています。たとえばキャノンの「働き方改革」、富士フイルムの「ワークスタイルイノベーション活動」、リクルートスタッフィングの「スマートワーク」のような取り組みが行われています。

生産性向上の基本は、短時間で同じ成果を出すこと

では、生産性を高めた働き方とはどういうものになるでしょうか。たとえばこんな働き方かもしれません。

【生産性を高めた、ある男性課長の月曜日】
早朝:月曜日の朝は通勤ラッシュの時間を外して、少し早めの6時半に出社。週初めだから、課のメンバーに早めに集まるように指示しておいた。そうして会議室でパワーブレックファスト的なミーティングで今週のスケジュールを確認する。
午前:土日にたまっているメールをざっと分類して、重要案件を手早く処理すると、午前中の集中できる時間帯に資料作成を一気に進める。メンバーたちにも自分の仕事に集中するように伝え、電話応対などは緊急のもの以外は午後に振り分けるようにした。
昼食:気になっていた作業の進捗確認を兼ねて、メンバー数名と会議室でランチ。最近は糖質制限をするメンバーも多く、外食だと誘いづらいという事情もある。
午後:他部署との打ち合わせが数件。課長同士必要最低限の人数で集まり、議論すべきポイントと意思決定すべきポイントを整理してから進めるので、どの打ち合わせも30分~1時間で終了。決定事項などは打ち合わせ中にメモ形式で作成が済んでいるので、結果を共有フォルダ―に放り込めば誰でも見ることができる。一応メンバーにはメモを見るよう伝えておく。
夕方:少し早い16時に退社。課のメンバーも全員早出だったので、早く切り上げるように指示をする。今日は出社が早い関係で子どもの朝の世話を妻に任せていたから、家で子どもの帰宅を迎える番だ。帰りがけに食品スーパーに寄って、食後のデザートに良さそうなオレンジを2つ手にした。


この例では、生産性を高めるためのいくつかのポイントを示しました。たとえば通勤ラッシュでムダな体力を使わない、スケジュールを事前に確認してから行動する、タスクの重要度に基づき作業、作業に集中するための工夫、会議の有効活用、情報共有の仕組み、そして家庭生活での役割分担などです。

これらはどれか一つだけ実施しようとしてもなかなかうまくいきません。一気呵成に部署全体で「生産性を高める!」と意識しながら総合的に変えてゆくことで、高い効果が発揮されるでしょう。

しかし、ここに示した働き方の例を見て、顔をしかめる経営者も決して少なくはありません。経営者がそう考えてしまうということは、実は生産性を高めるだけでは出世に結びつきづらい、という事実があります。


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