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顧客が本当に求めているものを作りたい。想いを持って事業開発を志し、半導体商社から外資系コンサルティングファームを経てRelicに入社した丹野 渉(たんの わたる)。Relicは、戦略を描くだけでなく実行を通じて事業開発に必要な経験を積んでいける環境だと語ります。今回は、Relicならではの「手触り感のある事業開発」について深堀りします。
ーーまず最初に、Relicに入社するまでの経歴・経緯を教えてください。
大学を卒業した後、半導体を取り扱う商社に入社しました。技術営業として、大手自動車部品メーカーや家電メーカー向けの半導体営業を中心に、6年ほど勤めました。大学では工学を専攻していたので、理系のバックグラウンドを活かせる仕事に就きたいと思っていました。加えて事業開発にも興味があったので、半導体の商社であれば自分の経験を活かしながら事業開発もできると考えて、入社を決めました。
転機が訪れたのは入社して4~5年がたった頃。社内で新規事業立ち上げの機運が高まりました。新規事業専門の部署ができ、既存事業と絡めた事業立ち上げプロジェクトが動き始めました。この波に乗らない手はないと私も手を上げて参加しましたが、何よりも自分の力不足を痛感しました。
特に課題として感じていたのが、顧客のニーズを捉えるための仮説構築力でした。当時は顧客が感じている課題を仮説立てて事業アイデアを出すよりも、自社が持っている技術で何ができるか起点で事業アイデアを出していました。結果として、自分たちの事業が「顧客を置き去りにしてしまっている」と感じることが多かったです。
そのときはIT×農業で新サービスを検討しており、実際に農家さんにお会いして自分たちのサービスへの反応を確かめる機会もありました。私たちは自分が持っている技術の強みを彼らに訴えていましたが、そもそも彼らが抱えている課題が別のところにあったり、課題を抱えていたとしても、解決するために私たちのサービスを使ってはくれないだろうなという感覚がありました。
今Relicで多くの新規事業開発を経験したから言えることですが、当時は顧客が本当に困っている課題は何か、ニーズはどこにあるのか、仮説を持って事業開発をすることが出来ていませんでした。もっとロジカルに仮説を作り、体系立てて事業を推進する力をつけたいと思うようになり、外資系のコンサルティングファームに転職しました。
入社後はもちろん大変な思いをしましたが、ロジカルシンキングや仮説検証の考え方は身につき、自分の不足していたスキルを会得できました。何件か新規事業開発の案件に携わることもあったので「前職のリベンジを」と思いましたが、コンサルという立場上、当事者として事業開発を最後までやり抜くことができない悔しさを味わいました。
私がいたコンサルティングファームでは、事業戦略を作ることはあっても実行することはなく、事業開発の根幹となる「自分が描いたビジネスが本当に世の中に受け入れられるのか?」まで関わることができていませんでした。パワーポイントに描いた戦略のその先を知りたい、作った仮説を顧客に当てたら、どんな結果になるのか知りたい。何より、顧客が本当に求めているサービスを、今度こそつくれるようになりたい。そんな気持ちが膨らんでいた頃に出会ったのがRelicでした。
ーーもっと手触り感のある事業開発がしたくて、Relicに入社したのですね。
そうですね。顧客が本当に求めているものをつくり、届けたいとずっと思っていました。Relicに入社した後に驚いたのは、事業開発の工程を一気通貫で全てカバーしていることです。私がいま関わっている案件でも、戦略を作るだけでなく、実行まで落とし込んでいます。具体的に言うと、初期ターゲットを選定の上ヒアリングを重ね、仮説をアップデートしたり、営業とマーケティングのチャネルを選定し、施策として実行する…など、サービスが顧客から受け入れられているかどうかを検証するために、あらゆる手を尽くしています。
新規事業の難しい部分でもあり、醍醐味でもあるのですが、新しいサービスは何が売れるのか、顧客に受け入れられるかは売ってみるまでわかりません。戦略を作ったり、仮説を立てるのも非常に重要ですが、新規事業という不確実性が高い領域では何よりも手を動かして顧客からフィードバックをたくさん得ることが、サービス開発のための第一歩になります。
顧客の生の声を聞き、サービスに反映させる、自分で事業目標を思考し、クライアントを巻き込みながら施策を管理し、数字を見て施策を継続するかしないかを決める…仮説通りにいかないことも含めて、生々しく手触り感のある事業開発がRelicでできていると感じます。
ーーいま関わっている案件の業務内容を詳しく教えてもらえますか。
かなり多岐に渡っていて、大企業向けの新規事業開発プログラムやワークショップ設計をすることもあれば、先述したような事業の戦略設計から実行まで、新規事業に関わるものであればほぼ網羅しているのではないかと思うくらい広く関わっています。
実行に関して、ほんの一部になりますが紹介すると、消費者向けの飲料サービス開発でマーケティング施策の設計・管理を推進しています。SEOやWeb広告、SNSやインフルエンサー活用からECまで、どのチャネルであれば顧客が反応してくれるのか、検証と実行をシニアマネージャーの立場で管理しています。
今でこそ土台が整ったので思いっきりマーケティングのアクセルを踏むことができていますが、事業初期段階では倉庫や配送業者の選定など、流通的な部分をどうするかであったり、請求や契約の管理フローの設計、サービス提供にあたって事故があった場合の保険をどうするかであったり、事業の基礎となる部分を整えていた時期もありました。
地味だと思われるかもしれませんが、事業をつくる上では欠かせない部分です。いま私たちが何気なく使っているサービスが自分の手元に届くまで、たくさんのヒトやモノが関わっていて、どれか一つ抜けても安心して利用することはできないのだなと、肌で感じました。
ーー現在は、シニアマネージャーとしてプロジェクトを管理することが多いそうですね。
そうですね。機会をいただけて、ほとんどのプロジェクトにシニアマネージャーとして関わっていて、これまでにはなかった視点・視座を持てているなと感じます。特に、事業を成功させるための環境・組織をどうつくっていくか?を考えることが増えましたね。
よく「事業は人なり」と言いますが、まさにその通りだなと思っています。人が成長するとできることも増えて、事業成長のスピードも上がるので、シニアマネージャーとして人が成長できる環境をいかに提供するかを意識するようになりましたね。自分が手を動かして何かをやるのはある意味簡単なのですが、1人でできることは限られているので、チームとして底上げをしてキャパシティを増やしていくことが大切だなと思っています。現に私がマネジメントしている案件で、メンバーが成長してやれることが増えて、商品企画までRelicで対応できるようになったことがありました。
ーーマネジメントをする中で多くのメンバーと関わってきたかと思いますが、Relicにフィットする人や活躍する人の共通点があれば教えてください。
いくつかありますが、カオスな状態を楽しみながら物事を推進できる人、強い当事者意識を持って事業を推進できる人がRelicにフィットするのではないかと思います。
前者の「カオスな状態を楽しみながら物事を推進できる」に関してお伝えすると、やはり新規事業開発は前例のない不確実性の高い領域なので、予期していなかったことが起こったり、何も整っていない中を切り拓いて事例を作っていくという気概が求められます。そのため大変なことも多いですが、全て自分の成長機会と捉えて前向きに、楽しみながら事業を推進している人が活躍しているなと感じますね。
後者の「強い当事者意識」は、Relicで大切にしている価値観の一つです。クライアントの新規事業を支援するためには、クライアントよりも事業について考え、行動することが重要です。でないと、クライアントをいい意味で驚かせるような発言や提案はできません。事業の最後の砦として、自責で物事を考え、振り返り、アクションに落としていける方は成長の速度も早く、中途・新卒を問わず活躍されている方が多いです。
ーー最後に、今後の目標やRelicで達成したいと思っていることがあれば、教えてください。
これまでと変わらず、顧客から本当に求められるサービスをつくること、良い事業をつくることが自分の目標です。いつか、日本から世界に誇れるような事業を作れる人になりたいと思っています。何より、私の生まれ故郷の岩手に恩返しがしたいと思っています。 もともと私が事業開発に興味を持ったのは、東日本大震災がきっかけでした。生まれ育った故郷の復興に貢献するために、自分に何ができるのか。それを突き詰めて行動し続けてきた結果、今の自分があります。0から1を、10を、100をつくり続けられる人になって、いつか故郷に還元できるように、これからも事業をつくることに挑み続けていきたいです。