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仕事に活きる対話型鑑賞のススメ

「対話型鑑賞」という言葉をご存じですか?
対話型鑑賞とは、1980年代半ばにアメリカのニューヨーク近代美術館で開発されたアートの鑑賞法です。

対話型鑑賞の特徴は、美術の知識を基にするのではなくその場で抱いた感想や想像をベースに
対話を行うところにあります。作品の背景や作者の考えといった情報を抜きに作品と向き合います。

学生時代、とある芸術センターで対話型鑑賞について学びながら活動していました。
そんな僕が、会社員として働く中で「仕事にも対話型鑑賞は活きる」と感じました。
そこで、日々働く皆さんに対話型鑑賞を勧めたいと思います。

※体系的に学んだわけではなく、あくまで自分の経験から抽出した要素を基に記載しています。
予めご了承ください。

対話型鑑賞について

対話型鑑賞はグループで実施します。
具体的には10名程度の参加者に対して司会進行役を1人用意します。
司会進行役の事をファシリテーターと呼びます。
会の進行を行いつつ、参加者から自由な感想や発言を引き出していきます。
学生時代にはファシリテーターとして対話型鑑賞に関わっていました。

ファシリテーターの役目は一方的な説明ではなく、参加者同士の対話を促進することです。
他の参加者の考えを聞いて自分に取り入れるサポートをします。
近年ではアートだけではなく学びの場でも活用されるようになりました。

自分の今の仕事内容について

私の今の業務内容は、プロジェクトリーダーとして、お客様の要望を整理して仕様に起こし、開発メンバーにタスクを振ることです。
その傍ら、新人研修の責任者として講師陣のサポートをしつつ、新人さんのメンタルケアや成長の手助けも行っています。

プロジェクト業務と新人研修、それぞれの場面で対話型鑑賞の経験が活きると感じました。

対話型鑑賞が仕事に活きると感じた場面

プロジェクト業務にて

考え方や感じ方の違う社内外の人々と一つの目的達成を目指すプロジェクト業務では、対話型鑑賞の前提が役立ったように感じます。

対話型鑑賞の前提は、

「同じ物事を見る、経験しても、感じることは人によって異なる。差異があることを受け止めた上で楽しむ。」

ことであると私は考えています。

この前提を踏まえて業務に取り組んだところ、
お客様から期待した反応が返ってこなかった時や、プロジェクトメンバーと考え方が合わなかったときに、その事実を素直に受け止めることができました。
事実を受け止めた上で、「これからどうしたらいいだろう?」と考えられるため、物事が前向きに進んでいくように感じました。

新人研修にて

新人研修においては対話型鑑賞のファシリテーターとして活動した経験が役立ちました。

対話型鑑賞では参加者同士の対話を促進し、他人の考えを受容することが大切です。
この考え方は新人の教育や、講師育成にも当てはまります。

自分が知っていることを一方的に教えるだけでは情報が定着しにくいため、
目の前の課題や目標に対して新人さん同士、あるいは講師同士での意見交換をとても大切にしています。

問題の解き方だけではなく、これから自分がどうなっていきたいのか?
研修を通じて何を感じたのか?今自分に出来ることは何なのか?
そうした事についても意見を交換してもらうようにしています。

そうすることで、ただ知識をインプットするのではなく、実感を伴った経験ができると考えています。

最後に

近年ではビジネスの場に対話型鑑賞を取り入れる動きが広まっています。
人材育成や組織開発の手法として対話型鑑賞を行う企業も少なくないと言います。
対話型鑑賞はアートだけに留まらず「人との対話」において有効に機能します。

自分と違う考え、感じ方を受容する。
他人がなぜそう考える、感じるのかを想像する。
自分の感じたことを言語化する。

こうした力はあらゆる分野で重要な力だと思います。
皆さんもぜひ対話型鑑賞に触れてみてください。

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